ダイヤモンドは永遠に
1956年度作品
イアン・フレミング著
ダイヤモンドの密輸により英国は年間200万ポンドの被害を被っていた。
背後でアメリカのギャング団が糸を引いているらしい。
密輸ルート解明の為、ボンドは運び屋に化けてアメリカに乗り込む……。
原作第4作。
獲物を狙うサソリの姿をしつこく描写する冒頭から、フレミング、調子に乗りすぎです(笑)。
ま、ファンにとってはそんな所も楽しいのですが。
この作品の一番の見どころは、ヒロイン、ティファニー・ケイスの魅力でしょう。
世慣れした蓮っ葉な態度の奥から、純粋で情熱的な本性が見え隠れする処が可愛いですな。
ウィットに飛んだ会話とコロコロ変わる態度にリアリティがあって、とても魅力的です。
一方、ボンドの軽率さには不満を感じさせられます。
Mやビル・タナー、ティファニーやフェリックス・ライターそれぞれに注意されたにも係わらず、ギャング団を甘く見て軽率な行動をとってしまうのです。
ギャング団に潜入捜査をしているのに、探偵(ライターのこと)と行動を共にしたり、買収した男にボンドが直接金を渡しに行ったり、疑われるような事を自らすすんでしているように思えるのです。
ウィントとキッドの正体についても、もっと早く気が付いても良さそうなのに、ボンドはまったく気が付きません。
この作品で唯一最大の欠点だと思います。
敵の存在感がちょっと薄い気もしますが、許容範囲かと。
ライターはホントにイイ奴だ。