ダイ・アナザー・デイ
2002年度作品
監督 リー・タマホリ
脚本 ニール・パーヴィス
ロバート・ウェイド
音楽 デヴィッド・アーノルド
主題歌「DIE ANOTHER DAY」マドンナ
出演
ジェームズ・ボンド
…ピアース・ブロスナン
ジンクス(ジアシンタ・ジョンソン)
…ハル・ベリー
グスタフ・グレーヴス
…トビー・スティーブンス
ミランダ・フロスト
…ロザムンド・パイク
ザオ
…リック・ユーン
M
…ジュディ・デンチ
Q
…ジョン・クリーズ
ファルコ
…マイケル・マドセン
ムーン大佐
…ウィル・ユン・リー
ムーン将軍
…ケネス・ツァン
ラウル
…エミリオ・エチェヴァリア
ヴラッド
…マイケル・ゴアヴォイ
ミスター・キル
…ローレンス・マコール
ロビンソン
…コリン・サルモン
マニーペニー
…サマンサ・ボンド
ムーン大佐暗殺の為に、ボンドは北朝鮮に潜入するが、正体がバレて捕らえられてしまう。
そして、14ヶ月に渡る拷問の末に、突然ボンドは開放された。
情報漏洩を疑うMは、00ナンバーを剥奪した上、ボンドを医療施設に軟禁する。
自身の無実を証明する為、そして踏みにじられた誇りを取り戻す為、施設を脱走したボンドは、独自の調査を開始する……。
映画007シリーズ20作目にして40周年記念作品だとか。
そんなダブル・アニバーサリーを記念して、過去作へのオマージュが色々ちりばめられているのですが、取って付けた感が強く、ファンサービスと言うには、いささか安直な印象を受けます。
元からコメディ的なQ課のシーンなどは、過去作のガジェットが登場しても、パロディとして素直に楽しめるんですけどね。
それはさておき、内容について。
素材は悪くないと思うのですよ。
キャラの設定と配置も、なかなか魅力的です。
しかしながら、それらを調理する過程で、味付けや手順を間違えて、ヘンテコな料理なってしまったような、そんな作品だと思うのです。
まず、CGIの使い所の悪さ。
特に、ジンクスが後ろ向きに飛び降りる場面や、ボンドが即席パラグライダーで滑空する場面などは、CGI丸わかりで興醒めです。
何が何でも生身のアクションじゃなきゃヤダなんて事は言いませんし、今の時代CGI使ってて普通だと思いますが、せめて生身のアクションに見える気配りはして欲しいと思います。
それから、ヴァンキッシュの光学迷彩と、Q課のヴァーチャル・リアリティ・マシンは、オーバーテクノロジー過ぎて、やはり興醒めです。
特にヴァーチャル・リアリティ・マシン。
マニーペニーの恥ずかしい妄想までプログラムしてあるのでしょうか(笑)
そして、脚本の穴が多すぎます。
ミサイルを撃ち落とせるほど素早く向きを変えられるイカルスなのに、地上を走るドラッグマシンのスピードに追いつけないのもおかしいですし、多方向から同時にミサイルで狙えば、イカルスを簡単に破壊できそうなものなのに、それに気付かないMを始め、英米情報部の面々とか(笑)。
他にも、穴とは言えないまでも、14ヶ月も監禁拷問されても髭と髪を切ったら元通りてのは、ジョークとしても笑えませんし、ジンクスが活躍すればするほどボンドの影が薄くなってしまっている点も、欠点だといえるでしょう。
他にも色々ありますが、論えればきりが無いので、このくらいで。
さて、今作が最後のボンド役になってしまったブロスナン。
歴代ボンド役者の中で、全体のバランスという点では最も優れていただけに、もうちょっと彼のボンドを見たかった気がして残念です。
イオンプロの007シリーズで再登板は無理でしょうから、ブロスナン主演で「サンダーボール作戦」の二度目のリメイクなんて如何でしょうか(笑)。
敵役、グレイブスの小憎たらしさは、なかなか良いですな。
殺し屋ザオも悪くないですが、顔のダイヤはあんな風にずっと張り付いているものなのでしょうか(笑)
個人的には、ボンドのキューバでの協力者ラウルや、ホテルの支配人に扮した中国情報部のミスター・チャンなどの脇役がなかなか魅力的だったと思います。
クライマックスも、英米だけじゃなくて中国や韓国やロシアの情報部も絡んできたら面白かったんじゃないでしょうかね。