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秋山草堂〇〇七部屋・映画「ゴールデンアイ」

DATA

ゴールデンアイ

1995年度作品
監督 マーティン・キャンベル
脚本 マイケル・フランス
   ジェフリー・ケイン
   ブルース・フェアステイン
音楽 エリック・セラ
主題歌「GOLDENEYE」ティナ・ターナー

出演
ジェームズ・ボンド
 …ピアース・ブロスナン
アレック・トレヴェルヤン
 …ショーン・ビーン
ナターリア・シミョノヴァ
 …イザベラ・スコルプコ
ゼニヤ・オナトップ
 …ファムケ・ヤンセン
ジャック・ウェイド
 …ジョー・ドン・ベイカー
M
 …ジュディ・デンチ
ヴァレンティン・ズコフスキー
 …ロビー・コルトレーン
ディミトリ・ミシュキン
 …チェッキー・カリョ
ウルモフ将軍
 …ゴットフリード・ジョン
ボリス・グリシェンコ
 …アラン・カミング
Q
 …デズモンド・リューウェリン
マニーペニー
 …サマンサ・ボンド
ビル・タナー
 …マイケル・キッチン

あらすじ

冷戦時代、007は006と共に、ソ連の化学兵器工場の破壊工作を行った。
しかし、工場の破壊には成功したものの、006は捕らえられ殺されてしまう。
そして、9年後。
タイガーヘリ強奪に端を発する、ソ連の宇宙兵器コントロールセンター崩壊事件を追ったボンドは、その影でヤヌスと呼ばれる謎の男が絡んでいる事を知る。
さらに調査を進めるボンドの前に、遂に姿を現したヤヌス。
その正体は、死んだ筈の006、アレック・トレヴェルヤンだった……。

解説

シリーズ17作目。
ピアース・ブロスナン初登場の巻であります。

正直言いますと、公開当時、この作品の事が嫌いでした(笑)。
しかし、改めて見直してみると、それほど悪い作品でもないなと思うのですよ。
相変わらず、気に入らない所は沢山あるのですが、良い所も少なからずあるなと。

まず、良い所から(笑)。
なんと言っても、ブロスナンボンドの魅力。
それまでのボンド役者がオッサンばかりだったのと、重いダルトンの後って事もあって、公開当時はボンドと言うには若造過ぎると感じていたのですが、これはこれでアリです。
むしろ、その若造っぽさを売りにして、Qに「大人になれ」とたしなめられるボンド像は、他のボンド役者には真似できない独特の魅力があります。

あと、スマートで機敏な身のこなしも魅力的なのですが、ブロスナン・ボンドの一番の売りはそのコメディセンスにあるように感じます。
困っているような楽しんでるような微妙な表情や、人を食った笑顔など、ロジャー・ムーアよりも控えめで現代風なリアクション芸と言えるのではないでしょうか。

また、ファムケ・ヤンセン演じるゼニアも良いですな。
こちらも公開当時は、「ネバーセイ・ネバーアゲイン」のファティマの劣化コピーに思えて、イマイチ好きになれなかったのですが、ファムケ姉さんのその後の活躍を知っている今の視点で見れば、なかなかに味わい深いと言うか、感慨深いものがあります。
無抵抗な人達を虐殺しながら興奮に喘ぐシーンなど、なんというか楽しそうで良いですな(笑)。

ちゃんと存在感のある役どころでビル・タナーが登場するのも原作ファンとしては嬉しいですし、ジャック・ウェイドやズコフスキー等のキャラクターも魅力的です。
プロット的にも、006の裏切り、コサックと英国の歴史、アレックとの対比でボンドのキャラクターを再定義しようとしていたりして、狙いは悪くないです。
前半はそれらの要素を中心に物語が展開するので、結構楽しめます。

…が、しかし。(以下、気に入らない所(笑))
後半の展開はグダグダ過ぎてあんまりです。
アレックも、偉そうなわりにやってる事はせこいし、ボンドの手の内を知り尽くしていると豪語したわりに、ボンドに良いようにあしらわれているし、死んだと思ったら死んでなかったけどやっぱり死んだ(笑)みたいな未練がましい最後もいただけません。
あと、ボリスが鬱陶し過ぎます(笑)。
ああいうキャラは007ムービーとは相性悪いと思うんですがね。

ヒロインのナターリアも魅力に乏し過ぎます。
序盤の宇宙兵器コントロールセンターのシーンも、いくら崩壊する基地からの脱出劇を感動的に盛り上げて見せられても、彼女の事を不運だと感じこそすれ、特に好感を持てる要素も無いので、全く感情移入する事が出来ず、延々無駄なシーンを見せられている気になってしまいます。

あと、音楽がダメです。
ボンド映画を全く理解していません、エリック・セラ。
独特の雰囲気を出していて悪くない曲もあるのですが、ジェームズ・ボンドのテーマとか的外れな使い方をしているので、盛り上がって欲しい所で盛り上がれず、欲求不満が残ります。
また、エンディング曲も、エリック・セラ本人が歌っていて、ウンザリさせられます(笑)。

気合いを入れてリニューアルしたがために、上手くいった所と失敗した所が明確に(それも沢山)現れた作品と言った所でしょうか。
「リニューアルは大成功!」とは言い難いのですが、「やや成功?」ぐらい言っても良いかなと。
少なくとも今は嫌いな作品ではなくなりましたし。

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