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秋山草堂〇〇七部屋・映画「死ぬのは奴らだ」

DATA

死ぬのは奴らだ

1973年度作品
監督 ガイ・ハミルトン
脚本 トム・マンキウィッツ
脚本原案 ジャック・ウィッティンガム
音楽 ジョージ・マーティン
主題歌「LIVE AND LET DIE」ポール・マッカートニー&ウィングス

出演
ジェームズ・ボンド
 …ロジャー・ムーア
ドクター・カナンガ/ミスター・ビッグ
 …ヤフェット・コットー
ソリテール
 …ジェーン・シーモア
ペッパー保安官
 …クリフトン・ジェームズ
ティー・ヒー
 …ジュリアス・W・ハリス
サメディ男爵
 …ジェフリー・ホルダー
フェリックス・ライター
 …デヴィッド・ヘディソン
ロージー・カーヴァー
 …グロリア・ヘンドリー
M
 …バーナード・リー
マニーペニー
 …ルイス・マックスウェル
アダム
 …トミー・レイン
ウィスパー
 …アール・ジョリー・ブラウン
クォーレルJr.
 …ロイ・スチュワート
ハロルド・ストラッター
 …ロン・サットン
タクシー運転手
 …アーノルド・ウィリアムス
ミス・カルーゾー
 …マデリーン・スミス
歌手
 …B・J・アーノウ

あらすじ

ニューヨーク、ニューオリンズ、サンモニークで英国情報部員が次々殺害された。
事件を追ってボンドは単身アメリカに飛ぶが、ハーレムの黒人社会を牛耳るミスター・ビッグの恐ろしい罠がボンドを待ちかまえていた……。

解説

シリーズ8作目。3代目ボンド、ロジャー・ムーア初登場作品。
正直、初めて観た時は良い所無しの失敗作といった印象でした。
ヘンテコな主題歌、間抜けなボンド、破裂するカナンガ、死んでないサメディ男爵。
すべてが“なんじゃこりゃ?”でした。
しかし、時が経ち、ヘンテコな主題歌も格好良く思えてくると、この作品への評価も微妙に変わってきました。

そう、ダメな子だけど良い所もあるんですよ。
まず、一押しはソリテール(ジェーン・シーモア)の可愛さ。
初めは怪しげな厚化粧でつんとした雰囲気だった彼女が、ボンドと恋に落ち(……というか、たらし込まれ)カナンガの呪縛から解き放たれて、メイクもナチュラルに、表情も可愛くなっていくのがツボです。
あと、個人的に非常に魅力的だったのがハーレムの雰囲気。
さながらブラックムービーの様なハーレムの街にジェームス・ボンドが立っている光景は、それだけで強烈な格好良さを感じます。
イングリッシュマン・イン・ハーレム。
007・ミーツ・スーパーフライ。って感じです。
それから、フェリックス・ライター役のデヴィッド・ヘディソンも良いですねー。
「消されたライセンス」でも再びライター役を演じていましたが、ライターの誠実さと精悍さが良く出ていて、歴代のライター役者さんの中でも上位に入りますね。
あとは、謎のサメディ男爵(笑)。
007シリーズ唯一の超自然的存在。
正体不明で胡散臭くてダンディで、死んだと思ったら死んでなかったり。
その無駄に強烈なキャラクターは、この映画の影の主役とも言えるでしょう。

……と、そういった魅力的な役者やキャラクターが揃っている一方、全体的には雰囲気ユルユルで何ともしまりのない作品であることは否めません。
主役のロジャー・ムーアそのものが持つユルい雰囲気に脚本が合わせすぎたのか、ボンドが間抜けに見えてしまい、スリルやサスペンスがさっぱり感じられません。
その上、アクションシーンを盛り上げる筈の音楽も殆ど流れず、何とも寂しく盛り上がらないアクションシーンが続くこともダレる原因になってしまったのではないでしょうか。
しかし、そう言ったユルい雰囲気を楽しめれば、この映画も結構…それなりに面白く見ることが出来るかもしれません。

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