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秋山草堂〇〇七部屋・映画「ダイヤモンドは永遠に」

DATA

ダイヤモンドは永遠に

1972年度作品
監督 ガイ・ハミルトン
脚本 リチャード・メイボウム
   トム・マンキウィッツ
音楽 ジョン・バリー
主題歌 「Diamonds Are Forever」シャーリー・バッシー

出演
ジェームズ・ボンド
 …ショーン・コネリー
ティファニー・ケイス
 …ジル・セント・ジョン
エルンスト・スタブロ・ブロフェルド
 …チャールズ・グレイ
プレンティ・オトゥール
 …ラナ・ウッド
ウィラード・ホワイト
 …ジミー・ディーン
サクスビィ
 …ブルース・キャボット
ミスター・キッド
 …パター・スミス
ミスターウィント
 …ブルース・グローバー
フェリックス・ライター
 …ノーマン・バートン
メッツ教授
 …ジョセフ・ファースト
M
 …バーナード・リー
Q
 …デズモンド・リューウェリン
シェイディー・トリー
 …レナード・バー
マニーペニー
 …ルイス・マックスウェル
ピーター・フランクス
 …ジョー・ロビンソン
モートン・スランバー
 …デヴィッド・バウアー

あらすじ

ダイヤモンドが大量に行方不明になる事件が起きた。
裏で大掛かりな密輸組織が動いているらしい。
手掛かりを追ってアメリカに飛んだボンドを待ち受けていたのは、死んだはずのブロフェルドだった……。

解説

シリーズ7作目。
一度はボンド役を降りたショーン・コネリーが一作だけカムバックした作品。
コネリーの存在感は格別だけど、作品自体は正直あまり出来が宜しくないと言わざるを得ないでしょう。
敵も味方も抜けていて、全体的に緊張感が感じられません。

ま、それでも何かしらの良い所はある物で、まず先にも挙げたショーン・コネリーの存在感は素晴らしいです。
初期の作品のスマートさとはまた違った、渋みと貫禄が感じられる雰囲気が非常に魅力的です。
あと、ゲイの殺し屋コンビ、ミスター・ウィントとミスター・キッドはかなり良い味を出してたと思います。
ナルシスティックな表情のミスター・ウィントも、飄々とした味わいのミスター・キッドも、見ていて「この人達は実はいい人達なんじゃないか?」と思えてくるぐらい愛嬌のあるイイ顔をしています。
悪人役なのに良い人に見えるのは、問題ある様な気もしますが(笑)
ラナ・ウッド演じるプレンティ・オトゥールは、ちょっと頭が悪そうなところが可愛くてイイ感じです。
出番が短いのが残念ですが、彼女はあれくらいが丁度良いのかも知れません。

ただ、頑張って探しても残念ながら良い所はそのぐらいしか思いつきません。
まず、先にも書きましたが、敵も味方も間抜け揃いで、緊張感も何もあったもんじゃありません。
ボンドは何度も敵に捕まり、その度に敵の回りくどい間抜けな作戦のおかげで命拾いするのです。
他の007作品でも多かれ少なかれそのような傾向はあり、それがまた007シリーズの味でもあると言えるのですが、この作品に関して言えばそれが悪い効果しか生んでいない気がします。

それから、キャラクターにも締まりがありません。
ヒロイン、ティファニー・ケイスの役立たずぶりと可愛げの無さはシリーズのトップクラスだと言えるでしょう。
彼女がもっとやり手の女性として描かれていたなら、非常に魅力的なキャラクターに成り得たでしょうし、彼女が魅力的であったなら、この映画ももう少し面白い作品になっていたかも知れません。
それに個人的な意見ですが、ティファニー役のジル・セント・ジョンににあまり魅力を感じない事も印象が悪い一因だと思います。
人好きのする良い表情の時もあるのですが、全体的にはティファニーの蓮っ葉な面ばかり強調された色気のないキャスティングに思えるのです。
原作のティファニーは可愛かったんだけどなあ。
他に、チャールズ・グレイのブロフェルドは凄味に欠け、女装姿まで披露して脱力させてくれます。
あのブロフェルドが女装って……orz。

アクションシーンも魅力に欠けます。
玩具のような月面車や三輪バギーに乗っているボンドは正直格好悪いですし、クライマックスのアクションも大ざっぱ過ぎます。

全体的に締まりのない作品で、まるでボンド映画のパロディのようです。
007じゃなく、当時粗製濫造されたスパイ映画の一つとしてみれば、この作品も意外と楽しめ……ないよね、やっぱり(笑)。

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