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秋山草堂〇〇七部屋・映画「女王陛下の007」

DATA

女王陛下の007

1969年度作品
監督 ピーター・ハント
脚本 リチャード・メイボウム
音楽 ジョン・バリー
主題歌「We Have All the Time in the World」ルイ・アームストロング

出演
ジェームズ・ボンド
 …ジョージ・レーゼンビー
トレーシー
 …ダイアナ・リグ
ブロフェルド
 …テリー・サヴァラス
マルク=アンジュ・ドラコ
 …ガブリエル・フェルゼッティ
イルマ・ブント
 …アイル・ステパット
マニーペニー
 …ルイス・マックスウェル
ヒラリー・ブレイ卿
 …ジョージ・ベイカー
M
 …バーナード・リー
Q
 …デズモンド・リューウェリン
キャンベル
 …バーナード・ホースフォール
ルビー
 …アンジェラ・スコーラー
ナンシー
 …カトリーヌ・フォン・シェル

あらすじ

犯罪組織ユニオン・コルスの首領ドラコの一人娘、トレーシーと出会ったボンド。
二人は次第に惹かれあい、仲を深めていく。
そんな時、杳として行方が知れなかった宿敵ブロフェルドがスイスにいると言う情報を掴んだボンドは、単身敵地に乗り込んでいくが……。

解説

シリーズ6作目。
2代目ボンド、ジョージ・レーゼンビー初登場にして唯一の作品です。
荒唐無稽さを増した前作(と言ってもその後のシリーズから考えれば地味なモノですが)の反省からか、かなり原作に忠実に作られたこの作品。
ボンドとトレーシーのラブストーリーを中心に、全体的にロマンティックな雰囲気が漂っているのが魅力的です。
特にジョン・バリーの音楽が素晴らしく、個人的にはシリーズで一番のサウンドトラックだと思います。
ルイ・アームストロングの主題歌も絶品で、この曲が掛かるだけで泣けてきます。

ジョージ・レーゼンビーも、一作で降りてしまったのでボンドとしての印象は薄いですが、元モデルでほとんど演技の経験がなかったにしては、まずまずいい味を出していたと思います。
(ヒラリー・ブレイ卿に対する態度など)尊大さが鼻に付くシーンもありますが、新人とは思えない存在感と言えるでしょう。
結婚式で涙を流すマニーペニーに優しい笑顔で手を振って見せるシーンなど、とても良いですねー。
トレーシー役のダイアナ・リグはまずまずと言った印象。
あ、でも嫌いじゃないですよ(笑)。

それより(と言うのも主役の二人に失礼かも知れませんが)、脇を固めるおっさん&おばさん達の好演が光ります。
テリー・サヴァラスのブロフェルドも良いです。
「007は二度死ぬ」のドナルド・プレザンスよりも現実的で、「ダイヤモンドは永遠に」のチャールズ・グレイよりも凄みがある、とても納得出来るブロフェルドでした。
木に首が挟まるシーンはちとマヌケでしたが(笑)。
M、Q、マニーペニーの御三方は勿論、ドラコ役のガブリエル・フェルゼッティやイルマ・ブント役のアイル・ステパットも、とても存在感があって作品に落ち着きを与えていたと思います。

あと、ルビー役のアンジェラ・スコーラーがとても可愛かったと思います。
個人的には、トレーシーよりもこっちの方が…(笑)。

特筆すべきはアクションシーンの素晴らしさ。
特に雪山でのチェイスシーンは、美しさ・スリル共に申し分なく、撮影と編集の見事さに唸らされます。

上映当時は評判が芳しくなかったそうですが、今観るととても良く出来た作品です。
品があって、ロマンティックで、アクションも素晴らしく、必要十分なリアリティがある。
シリーズでも上位に入る傑作だと思います。

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