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秋山草堂〇〇七部屋・映画「007は二度死ぬ」

DATA

007は二度死ぬ

1967年度作品
監督 ルイス・ギルバート
脚本 ロアルド・ダール
音楽 ジョン・バリー
主題歌「YOU ONLY LIVE TWICE」ナンシー・シナトラ

出演
ジェームズ・ボンド
 …ショーン・コネリー
アキ
 …若林映子
キッシー
 …浜美枝
タイガー田中
 …丹波哲郎
大里
 …テル・シマダ
ヘルガ・ブラント
 …カリン・ドール
ブロフェルド
 …ドナルド・プレザンス

 …バーナード・リー
ミス・マニーペニー
 …ルイス・マックスウェル

 …デズモンド・リューウェリン
ヘンダーソン
 …チャールズ・グレイ

あらすじ

国籍不明の謎のロケットによって、アメリカのロケットが宇宙空間で行方不明になる事件が起きた。
アメリカはソ連を疑い、両国間に緊張が走る。
第三次世界大戦の勃発を防ぐ為、手掛かりを追ってボンドは日本に飛んだ……。

解説

シリーズ第5作。
原作と同じく日本を舞台にしていながら、原作を大胆にアレンジしたSF風スパイアクションに仕上がっています。
粗も少なくないのですが、全体的にはとても面白い作品だと思います。

舞台となる日本の風景も美しく、日本人から観ても……と言うより、むしろ現代の日本人の視点で見ればこそ余計に懐かしく魅力的に感じます。
姫路城の忍者部隊など、当時の日本人からすればあり得ない日本描写も、現代の我々から観れば、映し出される40年前の日本の町並みや風景全てが既にファンタジーの領域に足を突っ込んでいる為、そう言った細かい部分は全く気になりません。
ネオンサインや町並み、行き交う車のどれもこれもレトロな魅力に溢れています。

車と言えば、トヨタ2000GTを忘れるわけには行きません。
私は車には疎いので偉そうな事は言えませんが、フォルムの美しさではボンドカーの中で一番だと思います。
ノスタルジックな日本の町中を走る真っ白なスポーツカー……美しすぎます!

二人の日本人ヒロインも魅力的です。
特に若林映子演じるアキが可愛くて(笑)。
三歩下がって男をサポートすると言った感じの、かつての日本女性のイメージそのままな健気さがイイですね!
ボンドの身代わりに殺されてしまう所も、儚げで印象深いです。

浜美枝演じるキッシーも可愛いですな。
アキほど見せ場が無いので印象は薄いですが、少ない見せ場の中でコケティッシュな魅力を振りまいていてとても魅力的です。

我らが丹波哲郎もいつものマイペース演技で、安定した存在感を見せてくれます。
しかし、英語よりもたまに挟まる日本語の台詞の方が聞き取りづらいのはどうしたものか(笑)……と思ってたら、英語の方は吹替だとか。
……道理で(笑)
そして、今回初めて素顔を晒したブロフェルド。
ドナルド・プレザンスは存在感があっていいのですが、リアリティに欠けるのが欠点のような。
とは言え、作品自体がファンタジックな雰囲気なので、このブロフェルドも合ってるっちゃぁ合ってる様な気もしますが。

魅力の多い作品ながら、先述の通り粗が多いのが玉に傷です。
宇宙から地上に向かって垂直にゆっくり降下してくるロケットなどの科学的デタラメさも大概です。
いや、そもそも宇宙空間でロケットを捕獲すると言う設定自体が…(笑)
ヘリのチェイスシーンでは、爆発のカットのみミニチュアに切り替わるのですが、それがあまりに安っぽい上に見せ方もおざなりで、チェイスシーンそのものの出来が良いだけにとても勿体ない気がします。
しかしながら、ルイス・ギルバートの演出も新鮮で、ケン・アダムの豪華なセットも素晴らしく、欠点を補って余りある独特の魅力を持った個性的な作品と言えるでしょう。

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