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007 死ぬのは奴らだ
1965年作
イアン・フレミング原作
さいとう・たかを著
アメリカに多数の古代金貨が流れ込み、金の相場を狂わせ始めた。
黒幕は黒人の犯罪王ミスター・ビッグらしい。
事件を調査する為、ボンドはアメリカに乗り込んだ…。
さいとう・たかをによる007シリーズの劇画化第1作。
「ゴルゴ13」以前の劇画黎明期の作品だけあって、アクションの処理などまだ漫画っぽさがありますが、これはこれでなかなか味わいがあっていい感じです。
物語的には、原作の大筋には沿いつつ、アクションシーンを増やしたり拡げたり趣向が凝らしてあって、なかなか楽しめます。
物語のアレンジに伴って、終盤まで姿を現さないミスター・ビッグの代わりに、原作では序盤でボンドに殺されたサム・マイアミが組織の幹部として活躍したり、サメの餌食になるのがライターではなく別のCIAエージェントだったりと、キャラクター配置にもアレンジが加えられているのですが、一番大きな変更は原作のヒロイン、ソリテールが登場せず、代わりにCIAエージェントのキティと言うオリジナルキャラクターがヒロインになっている所でしょう。
確かに、謎の美女を助けるよりも、元々味方である美女を助ける方が、漫画的には分かりやすいかも知れません。
あと、終盤にオオガキ・ハヤトと言う日本人のオリジナルキャラクターが登場するのも、日本人の(特に年少の)読者が感情移入しやすくする為の配慮でしょうか。