自然を見つめて(投稿 & コラム)
愛川自然観察会のホームページです。
(1)
カブトムシの森造り
投稿者 山口 勇一
山裾の傾斜地にある耕作地の多くは周辺の林の樹木の日影になり易く、面積も細切れで栽培効率が悪い上、耕作資材の運搬路も十分ではないため、多くの畑が放棄され荒廃地として連鎖的に拡大してきています。我が家の畑もこうした環境に取り囲まれるようになったため、最小限の維持管理で有効に利用できる方法として、樹木園をつくり、薪炭用、シイタケ栽培用、将来に炭焼きの夢をもっての原木作りをするとともに、その過程での昆虫の森を構想して、2001年にクヌギ、コナラの苗をどんぐりから育て、70本ほどを植栽しました。植栽するときに、娘や息子に手伝わせ、5年後にここにカブトムシが必ず来るから孫たちにカブトムシを採らせてあげようと宣言しました。5年目に予告通りカブトムシをはじめ、様々な虫や蝶が集まり、昆虫の森が出現しました。2007年にはヘビやコジュケイにも会えました。(孫はまだだが)
それにしても、昔の雑木林ように子供たちが採集のために頻繁に訪れ踏み荒らされてできる小道もなく(近所の子供たちが出入りすることを期待していたが)、子供たちの注意の的にはならないようです。近くには少年野球の練習場や、そこに通う子供たちの通り道があるにもかかわらず、野外で、昆虫を採集することの体験がなく、カブトムシのいる場所も知らないのであろうか。野外遊びの楽しさや自然がどういうものなのか知る機会のないまま大人になったとき、どんな自然観を持ち、自然とどのように折り合いをつけ共生していくようになるのか、将来への不安を感じるところです。
(2)
仏果山観察会の報告 11月19日(土)
報告者 山口 勇一
晩秋といっても今年の仏果山は本格的な紅葉が始まったばかりである。当日は晴天に恵まれ、観察会日和となった。愛川ふれあいの村駐車場に集合、宮ヶ瀬ダムサイトを眺めながらスタートした。コースはふれあいの村を横切り一度宮沢に下りて沢沿の林道を登り、中腹で交差している仏果山中央林道を左折し、途中で折り返すものであった。
ふれあい村を過ぎまもなくの土手で、リンドウ、ヤクシソウ、ヤブコウジ、ノコンギクなどが目に留まった。宮沢林道は仏果山の等高線にほほ直角に付けられていてコンクリート舗装はされているものの傾斜はきつくなっている。セキヤノアキチョウジ、ノダケ、ノボロギク等の花に混じって、ノササゲの紫の朔果、ヒヨドリジョゴの真っ赤な腫果等が次々に現れ、観察や植物談義に忙しく、交差地点を曲がると程なく歩んだところで昼食となった。紅葉の山並みを眺めながらの弁当は格別の味がするものである。中央林道は等高線に平行なため平坦で、何人かのハイカーにも出会った。シモバシラ、アキカラマツ、アザミ類の他、ガマズミ、クサギの赤やノブドウの水色の実、サンカクズル、ウド等が観察された。
仏果山山頂への登山口を過ぎると眺望が開け眼下に中津川の流れが、また、遠くには東京都心の高層ビル群が眺められ、爽快な気分に浸ることができた。
往路は一気に林道を下った。ふれあいの村に着くと、ダムの湛水によって失われてしまった中津渓谷の渓岸に生育していた貴重種を移植したフールドで、イワヒバ、ハルユキノシタ、ヤシャゼンマイ等を見た。食堂ではコーヒーとケーキが待っていて、疲れをいやしながらのお楽しみの時間を持つことができた。
(3)
(仮称)愛川町新郷土資料館について 2008.03.25
報告者 山口 勇一
(仮称)愛川町新郷土資料館は平成21年の春のオープンをめざして建設が進められています。基本計画によれば、町外からの来館者に対しても配慮し、誰でもが気楽に利用できることを念頭に置いた開かれた施設として、また、内容としては、愛川町の自然、歴史、文化を総合的に構成し、町地域の特徴を紹介すると共に、生涯学習施設として町民のニーズに応えた事業を行う郷土資料館となります。
場所は宮ヶ瀬ダムサイト下流の県立あいかわ公園の工芸工房村施設内に、周囲の自然環境と融合し、地域の歴史や伝統からイメージを起こしたデザインの施設となることがうたわれています。
内部施設は、常設展示室、企画展示室、工作・研修室(可動間仕切りで2室)、資料・研究室、自然系・人文系各収蔵庫、燻蒸室等があります。
自然系の常設展示は、3つのテーマからなり、「大地の由来」では中津層出土のステゴドンゾウの上顎化石から復元した全身骨格がエントランスホールに展示される他、サルの進化の系統研究上注目されてきている頭骨化石等が展示されます。「中津川の岸辺」では中津渓谷の渓岸植生や、中流域の河原環境を住み家とするカワラヨモギやカワラバッタ等の「カワラ・・」を名前に持つ動植物とともに魚類などの展示がなされます。「里山の自然」では雑木林をベースに鳥類や獣、昆虫類等が展示されます。
規模的には大きいとは言えない資料館ですが、山地、川、大地等の多様な自然環境とそこに歴史を育んできた産業や、芸能、出来事、人々の暮らしや文化に関わる資料の収集や整理、体験学習の拠点としての機能が期待されるといころです。この資料館が多くの人々に利用され生かされていくためにも、利用する側からの資料館への支援や要望も必要とことと考えます。愛川自然観察会も支援団体の一つとしての役割が果たせれば幸いです。
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