自然観察 見どころスポット



・ 愛川町及び近在の観察コースや見どころスポットを順次紹介していきます。

・ 新しい情報や、「マイ・フィールド」がありましたら、ぜひご紹介ください。

・  絶滅が危惧されている動植物は勿論、環境保全地域、風致地区、国定公園内、私有地内での動植物の採集捕獲は禁止や制限があり、法的な処罰もあります。自然保護の観点から許される範囲の観察に留め、貴重な自然が失われないよう注意を払い、モラルも含め、自然保護に努めていきたいものです。

(1) ★  「 三増牛松山 」

 愛川町三増の愛川町運動公園脇から登り、15分ほどで山頂に着きます。
 視界が開け、相模湾、湘南平、江ノ島、ランドマークタワー、新宿高層ビル群などが遠望できます。また、北東眼下には相模川と川の働きによって形成された河岸段丘が4段、階段状に眺望できます。
 山頂付近は四季を彩る植物や昆虫が観察されます。中でも、ほとんど姿を消してしまったハルゼミ(5月ころ)の声を聞きます。植物ではスズサイコ、オケラ(キク科)、タムラソウなども観られます。
 丘陵性の山地で、山頂は広く、ガーデンテーブルもあり、景色を眺めながらのお弁当は最高です。


(2) ★  「 塩川添と南沢、塩川滝 」

 中津川との合流地点を「塩川添」、合流する沢の名前は「南沢」、この沢の500m程上流にある滝を「塩川滝」、周辺の山林地帯を「滝の沢」、上流部は「南山」と呼んでいます。何やらややっこしいが、ここが早春の観察スポット。中津川では流れに沿って帯状に、ヤナギが河畔林を形成し、馬渡橋から右岸の堤防沿いを下流に向かうとタチヤナギ、オノエヤナギ、イヌコリヤナギ、ネコヤナギなどのヤナギ類が早春の水辺を彩っています。ヤナギはいずれも雌雄異株の単性の花で、苞や子房にビロード上の絹白毛を密生する尾状花序に咲かせます。朝日を浴びてきらきら輝くさまは春の風物詩です。足を伸ばして沢沿いに塩川滝まで進むと、途中渓畔植物やスミレなど観られます。
 季節は違いますが、塩川滝付近にはオオムラサキの集まるカエデがあります。また、滝つぼの斜面にはクリハラン、コケシノブ、サジラン、アリドウシなどの県下でも稀な植物が自育しています。イワタバコやカンスゲなども群生する学術的にも貴重なスポットです。なお、塩川滝は愛川−藤野木構造線の断層面に沿って出来た滝です。


(3) ★  「 角田大橋からの眺望 」

  角田大橋は中津川の中流域に位置していますが、海底(おぞこう)山が突き出るように中津川に迫り、川幅が狭くくびれた場所に架けられています。この橋から上流を眺めると、広い河原と帯状に伸びる流路と、護岸や中洲には河畔林が点在し、広い空間をつくっています。そして、何よりなのは、この空間の延長上に見える仏果山・経ヶ岳の山容です。山裾である河床から頂上部までの山体全容が一つの視野にすっぽりと納まるさまは絶景です。絵葉書の世界のようです。 通りすがりに立ち寄れるスポットです。晴天の日の午前中が適時、ぜひご覧ください。  この流域はアオハダトンボの県内でも数少ない生息地の一つです。


(4) ★  「 大岩と崖の植物 」

  中津川は愛川町半原の日向橋下流で大岩にぶつかりほぼ直角に右に流れを変えています。この大岩から続く下流100m程の左岸は斜面が急峻なため岩肌がむき出しで、南に向いているため日当たりがよく、また、水湿地もないため乾燥した崖となっています。このため、こうした環境に適応できる植物しか生えることが出来ません。イワヒバとツメレンゲがここの植生の主で岩の割れ目に体を固着して生活しています。
 イワヒバは雨が降らず乾燥が続くと葉を丸め干からびた状態で休眠し、次の雨を何週間でも待っています。
 ツメレンゲは多肉質の葉をうろこ状に重ねあわせ、体内に保持した水分を蒸散させずに保つことの出来る性質を持っています。以前、押し葉標本をつくるため1ヶ月かけて乾燥させていっても元のままで困惑したことがありました。ツメレンゲは珍蝶クロツバメシジミの食草ですが、群落の規模が小さいためクロツバメシジミは生息していません。
 特異な環境とそこに適応する珍しい植物を見ることの出来るspotです。


(5) ★  「 動の入沢の貝化石と大滝 」

  愛川町田代を通る412号線の平山坂大曲から「経ヶ岳登山口」と表示された「動の入沢」沿の道を進むとやがて砂防堰堤に突き当たりますが右側に迂回用の階段が付いています。2つ目の堰堤を登りきると登山道は「動の入沢」から別れ、山腹の勾配の急な山道になりますが、お目当てのスポットは山道へは進まず沢をそのまま進みます。注意して観ていくとすでに河床の転石には貝の化石が散見されます。
 この化石を含む地層は1000万年以上前に火山島や海底火山の噴火がもとになった火山礫や火山灰が堆積したもので、愛川層群と呼ばれています。また、この貝はカネハラニシキといい、寒流域の海底に生息した種類で、当時は今より寒冷な気候だったことを物語るものです。
 堰堤から沢を30mほど上流に進むと沢は2手に別れどちらも勾配が大きくなります。右手に折れ沢を登るように進むとやがて目的の滝が見えてきます。滝は途中に小さな段を持つ落差15m程のものです。渇水期には水量も少なくなりますが、降雨期には豪快で迫力のある大滝に変身します。この滝は愛川層群と小仏層群との接触面である愛川―藤野木構造線の断層面に沿って出来たもので、愛川町域には他に、畑の沢、南沢、中津渓谷を結ぶ直線上にも同じような滝が見られます。
 愛川町域の大地が語る地質時代の出来事や、今日までの大地の変遷の過程を垣間見せてくれるスポットの一つです。フールドワークをされる方はヤマヒルに注意してください。晩秋から春先までの間が適期です。


(6) ★  「 幣山耕地の中津川堤防 」

  観察を続けていると、同じ場所に何回となく足を運ぶ場所が出来てきます。幣山耕地の堤防や畦道は何回でも行きたくなるような場所の一つです。この土地を耕作されている人たちが、今でも共同でシバ焼や草刈をされているようで、堤防は約500mにわたって日当たりのよい良く管理された草地になっています。春はオヘビイチゴやネジバナ、カントウタンポポ、ミヤコグサ、オオジシバリ、ムラサキサギコケなどが咲き乱れ、お花畑のようになります。
 かってはどこでも見られた日当たりの良い土手や草地は、手入れが行われなくなった昨今では荒廃地を好む高茎なオオブタクサやセイタカアワダチソウ、セイバンモロコシなどの帰化植物に覆われ、在来種の背が低く地面を這う植物などは日光に当たることが出来ず、駆逐されてしまっています。
 このスポットは、人の手が加わることによって日本の田舎の原風景が維持されている例と言えます。5月の連休の時期が観察の適期です。花に囲まれてお弁当を広げるのも幸せのひと時かも。


(7) ★  「 三増金山の栗沢沿い 」

  県道愛川・津久井線の上三増バス停の150m程手前で栗沢に向う町道(山王坂)を下るとすぐに沢沿いの道に合流します。 。この合流地点周辺がスポット。季節は春限定。イチリンソウ、ニリンソウ、ジロボウエンゴグサ、ユリワサビ、セントウソウ、カキドウシ、ネコノメソウ等の群落が見られます。また、神奈川県下では稀にしか見られないレンプクソウの自生地でもあります。レンプクソウは派手な植物ではありませんが、こうした植物が息づいていることは貴重な自然が残されている数少ない場所であることになります。数年前に道路の拡幅工事が行われ生育地の半分ほどが失われ絶滅が心配されましたが、町教育委員会の配慮によって一部移植も行われました。エリヤは狭いですが、お花畑のような一角が出現します。


(8) ★  「 小沢相模川右岸 」

  小沢グランドから相模川右岸の下流に広がる六倉までの河原は、ヤナギやニセアカシヤに覆われている箇所があったりフナの釣り場となっている場所がありますが、堤防から離れた本流沿いに広がる河原(玉石、礫からなる場所)は、植生がまばらで一年草が中心に生えています。これは豪雨時に増水し、河原の植生を剥ぎ取り、石ころだらけの土地になりやすく植物が定住できないため、一年で一生を完結する一年草の方が生活に有利なために発生する植生の一タイプです。オフロード車のわだちに沿って歩くと、カワラニガナ、カワラハハコ、カワラヨモギ、テリハノイバラ等の他、ビロードモウズイカ、クララ、シナダレスズメガヤ、アメリカネナシカズラ、ムシトリナデシコ等の乾燥地に強い帰化植物も見られます。川の作用によってリフレッシュされた土地がどのような植物を育むか面白い観察テーマになります。


(9 ) ★  「 向山尾根ハイキング路 」

 半原地区の北方に東西に連なる山を向山(むこうやま)と言います。東の端の富士居山(愛川中学校の裏山)から西の端の大峰(津久井町韮尾根寄り)まで尾根づたいにおよそ3kmのハイキングコースが整備されています。山仕事が行われなくなって歩く人も途絶え、長い間山道もほとんど消滅していたものを、愛川山岳会の方達の御尽力により整備が行われ、ハイキングコースとして復活し、案内板も設置されました。  
木々の間から半原地区や仏果山が全視野で捉えられ、また、宮ケ瀬ダムサイトも壮観に眺められます。また、半原地区のテレビの電波受信施設の鉄塔も3基建てられています。  
この尾根コースまでの登り口は半原側に2つ、反対側の志田側に2つ、富士居山と津久井の清正光(朝日寺)それぞれにもありますが、いずれもきつい傾斜を登らなくてはなりません。健脚向きと言ったところです。市街地とは隔絶した多様な林があり、明るい陽の注ぐ空間があり、小鳥の鳴き声や動物の生活痕が観察され、一度は歩いてみてはいかがでしょうか。


(10) ★  「 高取山山頂付近 」

 愛川ふれあいの村または宮沢林道から登るコースが最短で変化に富んでいます。山頂近くなったところで、鬱蒼としたスギの植林地(下草がほとんど見られず、表土が雨水に流されて樹根がむき出しになっている)を抜けると急に明るく開けた雑木林になりここを登りきったところが山頂(海抜704m)になります。この山頂の手前(海抜690mくらい)が魅力のスポットです。以前は手入れの行われないボサ山で、アブラチャンなどが繁茂し下草も生えない林でしたが、潅木類が刈り払われ明るい疎林に変わったところ、たちまちに様々な林床植物が生活を始めたところです。山頂付近にもかかわらず肥沃な黒土の緩やかな斜面からなり、オオバダケブキやシモバシラ、スミレやテンナンショウなどが見られるようになりました。一気に山頂を目指さず、ここで、山地性の植物の観察をお勧めしたいところです。また、ここにはハルニレ(仏果山山地では唯一本しか確認されていない)とサンショウの巨木もあります。
 高取山山頂(展望台もある)は、360°の視界が開け、東に関東平野、南に大山・湘南方面、西に丹沢山塊、北に高尾山や小仏山地、また、眼下には宮ケ瀬ダムや愛川町域が眺められる胸のすくような絶景が堪能できます。


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