◇道徳的価値観が壊れてきている!?
今日の人類は、文化的にも科学的にもかつてない高度な時代となっています。
これが可能となったのは、共同体を結成することで集団生活が安定し、発展することができることを知って、それを継続してきたからだと考えられます。
そうした生活の基盤は、世界共通ですから、そこには何等かのルールがあるはずです。
昨年、オックスフォード大学の人類学研究チームが、世界中の様々な文化を収集分析した結果、世界中の文化に共通する「7つの道徳的価値感」が存在するこ
とがわかったということです。
1 家族を助けること
2 共同体のメンバーを助けること
3 贈り物には返礼をすること
4 勇敢であること
5 目上の者を敬うこと
6 話し合いの内容はコミュニティ内で共有すること
7 私有財産を尊重すること
以上、7項目ということです。
これらは、共同体の存続に重要であるとして、時が経っても守られ引き継がれてきたことだと思われます。
そして、共同体が平和裏に継続するならば、益々、文化的・科学的に発展していくことが見込めるからです。
ですから、共同体同士は結合し大きくなって、今日のような国を形成してきたと考えられます。
しかし、一つひとつの項目を、今日の日本の社会に照らしてみて見ると、かなり守られていないと感じられます。
日々のニュースや生活を見れば、守られていないことは明らかだと思います。
これらの背景には、個人としての主張が強くなってきたことと無関係ではないように思います。
昔の日本人は、その反対の性格が主流でしたが、共同体同士の交流拡大は、異文化との交流でもあり、その点の研究をせずに歩んできた〝つけ〟のようなも
のかも知れません
40年程前のことですが、「世界価値会議学会」という学術団体が存在し、世界に共通する〝価値〟について世界各国の研究者を招いて研究していました。
そこの成果も、オックスフォード大学の成果も共に、人類が平和に生きるための基本的なことを教えてくれています。
そして、それらは、宇宙の意識の意図に沿った事柄だと考えられます。
共同体が、平和的に存続するための道徳的価値観が壊れ来た今日、もう一度基本に返って、人々の生活の基礎を考え、やり直す時期が近づいているのか
も知れません。
2020.11.17(火) K・W
◇〝より良く生きる〟ことが大切 !
人生は、ただ生きるのではなく、〝より良く生きる〟ことが大切です。このことを明確に語ったのは、紀元前5世紀に活躍したギリシャの哲人ソク
ラテスです。
この言葉は、ソクラテスが若者を惑わすとして捉えられ、死刑宣告がなされたことから、親友のクリトンが脱走を促した際、脱走を拒んだソクラテ
スが語ったとされるものです。
生きることを真剣に考え、日々の生活に疑義を感じながら、自らの信ずるところで生きたソクラテスの真理の言葉であると思います。
〝より良く生きる〟とは、簡単な言葉ですが、正しく捉えれば大変深いもので、人類共通の真実であると思います。言葉は多少違っていても、仏陀
やイエス、孔子をはじめ、〝生きる〟とは何かを真剣に考えた哲人、思想家などの人々に共通した真理であると考えられます。
今日の日本に存する哲学者や政治家では、あまり感じられませんが、近代日本の経済、実業界を設計した渋沢栄一氏や、戦後の日本政界や思想界に
大きな影響を与えた安岡正篤氏などは、このような考えのもとに行動された方々であったと思います。
〝より良く生きる〟とは、これとは反対に、良く生きられない生き方が存在するということです。そして、多くの人々は、そのことを考えることも
なく、〝より良く生きていない〟ということでしょう。
また、〝より良く生きる〟とは、何等かに照らして、〝より良く生きる〟ということです。その基準は、日々真剣に生きながら人々に幸(利益な
ど)を分けるとか、苦を取り去るとか、社会発展に貢献する、あるいは真理を広めるなどというところにあるはずです。
しかし、今日、さらに掘り下げれば、全宇宙に通ずる指針に照らして、〝より良く生きる〟ことが必要であると理解されます。
これは結局、〝宇宙の意識〟のもとに生きることにほかならないということなのです。
「明日死ぬと思って生きなさい 永遠に生きると思って学びなさい」とは、ガンディーの言葉ですが、この真剣な生が、今こそ求められているのかも知れません。
2020.11.23(月) K・W