SUBARU LEGACY B4 2.0R B-SPORT Model 2005
Retraced(?) Impression




「振り返りファースト・インプレッション」なる文章は、ありだろうか。

 本来現在の愛車SUBARU LEGACY B4 2.0R B-SPORT(Model2005、即ち「C型」)についての「ファースト・インプレッション」となるはずだったこの拙文は、実際には納車から4年半近くを経て完成されている。というのも、読みたいと言う人間も、一気に書き上げる時間も根性もなくなった状態で、途切れ途切れに綴ったものだからである。
 以前、6代目のAccordに乗り始めた時は、偶然にも友人がグレードこそ違うが同じAccordを同じ頃に買い、その辺りからのリクエストがあって、納車1ヶ月半ほどで「ファースト・インプレッション」をものしている。が、今回はそういうこともなく、歳のせいか新車を手に入れてもそれほどはしゃぐこともなくなっていた。
 それでも何となく書いておきたいという気分だけは消え切らず、ずるずる引きずってしまった。その結果がこれである。「ファースト・インプレッション」では気付かなかったであろう点が幾つも後追いで補填してあったり、フルチェンジ後のモデルに関する記述があったりさえする。「振り返り」とした所以である。

 前置きはこの辺にしておこう。

 私見であるが、LEGACYのエクステリア・デザインは偶数代と奇数代ではっきり分かれるように思える。初代(BC/BF)3代目(BE/BH)さらに5代目(BM/BR)が比較的エッジの立った、角張ったイメージなのに対し、2代目(BD/BG)そして筆者の4代目(BL/BP)はそれに比べて柔らかい印象を与える。
 もっとも、2代目がボンネットなどほっそりした感があるのに対し、4代目はむしろふっくらしている。前3世代に亘り続いていた5ナンバーのボディサイズを脱したが故でもあろう。筆者にとっても、これが初の3ナンバー車である。
 だがその拡大は決して大きいものではなく、全幅で1730mmと、35mmの拡幅に過ぎない。同時期のACCORDは1760mm、AXELAは1745mmであるから、デザイン上の要求からの必要最低限に抑えたという印象である。この拡幅で、ボディ強度の確保に無理をせずに済むようになり、結果として逆に軽量化に繋がったという設計者の話もあるようだ。
 
 フロントバンパーは出っ張った造形でなく、ボンネット前縁からバンパー先端までが面一に近いラインで繋がっていて、さらに空力部品的なものも付かないので、顎の出ていない丸顔といった趣である。横から見ると幾分ロングノーズに見えるのも、バンパーによる区切りがないためかも知れない。また猛禽の眼をイメージしたというライトも、プロジェクタ式ロービームの覆いが球状の丸みを帯びている。
 その上のボンネットは、外側から入ってきて一度すとんと落ち、そこから中央に向けてなだらかに膨らむバルジの意匠が、実はBE/BHと共通である。

 LEONEからの側面6ライト・ウィンドウは4代目まで受け継がれた。サイドウィンドウのラインはBEとほぼ同じで、リアウィンドウはそれなりに寝ているので、最後端のガラスエリアは決して大きくない。かつての愛車であるCONCERTOも6ライト・ウィンドウを採用していたが、こちらは客室の高さがある上に、Dピラーが細くかつブラックアウトされていたため、5ドア車のみならず4ドア車でもずっとガラス面積が大きかった。

 エクステリアで筆者が気に入っているのは、後方からの眺めである。
 それまでのLEGACYが3代に亘って採ってきた左右尾灯をガーニッシュで繋ぐというデザインを廃した4代目は、ハイデッキ、ダックテール風のトランクリッド後端処理、左右2本出しの大きめのテールパイプ・フィニッシャーの装着(新排出規制直前頃、各メーカーは排気筒の存在感を消す方向にあったが、最近はそうでもないらしい)もあって、ヴォリューム感と躍動感を兼ね備えているように思える。富士重工自身もこの角度が気に入っているらしく、コマーシャル・フォト等でも採用している。
 もっとも、ハイデッキとは言っても運転席からの振り向き視界にはトランク上面は全く入らない。Accordの時もやはりトランク後端が見えず、後方感覚が掴めないかと考えて低いタイプのリア・スポイラーをオプション装着したのだが、B4では気に入ったデザインをスポイラーがスポイルするという駄洒落になりかねないので付けていない。

 外装オプションと言えば、Accordではフロントグリルも替えた。筆者が乗っていたCF4初期型の標準は横2本の桟の入ったものであったが、これをメッシュタイプ(後期型では縁をメッキして全ボディ色対応し標準採用された)に付け替えている。開口部が大きくなかったのでさほど嫌味にはならなかった。
 一方今度のB4は、クリアビューパックは別として、マッドガード以外に外装オプションは付けていない。フロントグリルも標準のままである。航空機製造業者でもある富士重工が翼を連想してデザインしたという、六連星を挟んで左右に拡がる銀メッキの一本桟が、グリル開口部の大きさを見事にうち消してくれている。実際、バンパーにまで食い込む4代目LEGACYのフロントグリルは割と大きい。BlitzenやD型以降のSpec.Bで採用のメッシュグリルを見ると、その押しの強さが分かるであろう。

 ボディカラーはアーバングレー・メタリックとした。Accordのムーンストーンシルバー・メタリックと似た色調だが、近くで見るとこちらの方が「ぎらり」とした感じである。ダークグレー系は個人的に好みなのだが、結果的には無難な色となってしまったらしく、同色のボディを街中でよく見かける。家人はディーラーで見た黒が綺麗だと言ったが、さすがに手入れの手間と夏場の暑さを考えると手が出なかった。
 ちなみに京商から1/43スケールのダイキャスト製ミニカーで、筆者のと同じ2005年モデルと明確に銘打ったB4 2.0Rが2007年だかに発売になっている。プラ模型にせよ金属ミニチュアにせよ、筆者の乗っている車がリリースされたのは初めてだったので、喜んで買った。残念ながらアーバングレー・メタリックのボディは無く、近似色のブリリアントシルバー・メタリックではあったが。

 足回りは5本スポークのアルミホイールに、BRIDGESTONEのPOTENZA RE050A。アルミホイールも初めてなら、扁平率50%を切る(215/45R17)スポーツタイヤも初めてである。ちなみに以前の車ではtodayは145/65R13のREGNOが標準、CONCERTOは185/65R14のASPECを2セット、Accordは195/60R15のREGNOを履き潰し、DNA dbに替えた。いずれもコンフォート方面のタイヤで、スチールホイールにホイールカバーという足であった。
 グリップはいいのかも知れないが(そこまで攻めたことはない)、それまでのタイヤに比べて確かにノイズは大きい。最初の内家人にもこれは不評だった。

 一つ不思議なのは、ドアハンドルである。最近はどのメーカーもグリップ型の採用を主としていて、富士重工でも同時期のImprezaやForesterでは採用しているのに、LEGACYは何故か4代目までフラップ型であった。全幅の大きくなるのを避けたのだろうか。Accordのグリップハンドルに慣れた家人が、最初の内何度か空振りして笑わせてくれた。

 リモコンで施錠を解き、そのフラップハンドルを引いて、コクピットに入る。
 Accordの時はリモコンはキー本体と別であり、これは一体化の方が望ましいとかつて書いたが、LEGACYでは一体である。形状はキー先端に向けて尖った不等辺三角形で、結構大ぶりである。部品合わせ目の処理が甘く、少々安っぽく見えるのが残念である。解錠・施錠はウィンカとビープ音によるアンサーバックあり。Accordではこれがなく、錠機構の動作音と、暗い時には室内灯の消灯とで確認していた。
 ドアの閉まる音は、窓ガラスが閉まっているとしっかりした感じで心地よい。窓が開いたままだと逆に「ぱふん」と締まりの無い音に感じられてしまう。サッシュレスであることがその原因かも知れない。だがサッシュレスであるが故に、狭い場所での乗り降りは窓全開だと楽ではある。
 オフブラックのファブリックシートはやや固めで疲れにくい。2.0GT以上に標準装備されている電動調節機構が、B-Sportの特別装備の1つとして付いている。電動シートは筆者としてはCONCERTOに次いで2度目である。座面前後位置はいいとして、背面角度と座面高さ、ランバーサポートの位置決めには手こずった。さすがに半年も経つと体が慣れてしまうので、今でこそ問題ないのだが。またなまじ保持性がよいため、冬場に厚着のままシートに座って走ると、それだけであばら辺りが窮屈に感じることさえあった。

 スポーツのイメージは内装全般についても感じ取れる。筆者の乗ってきたCONCERTO、Accord共に木目調パネルが室内に貼られていたが、LEGACYでは木ではなく金属調である(素材はもちろんいずれも合成樹脂)。さらには空調吹き出し口のノブにまでアクセントにメッキが入っている。
 ステアリングホイールはこれも特別装備のシフトスイッチ付きMOMO製本革巻3本スポーク。本革巻であることは重視していなかったのだが、実際に握ってみると、この握り心地が何というか気持ちよい。知らなければウレタンで全く問題なかったろうが、知ってしまうと癖になりそうである。またエアバッグが小さく収納出来るようになったのだろう、センターパッドは大きくなく、その中央に六連星の紋がはめ込まれている。筆者のお気に入りだった後期型CONCERTOも、さすがに本革巻ではなかったが、同じようにセンターパッドに車名の入ったオーナメントが埋め込まれていた。当時からこういう演出は好きであったが、Accordでは単にホンダのHマークが掘ってあるだけで味気なかった。ちょっとうれしいところである。
 収納スペースは多くないが、そう困る程ではない。Accordにあったサングラス入れは、インパネ上段の物入れ(埋め込みナビはここに入る)で代用。同じくAccordにあったセンターコンソールの物入れ(埋め込みナビ装着時にエアコンとオーディオがずれてくるスペース)は、オーディオの充実のおかげで入る物が無くなり不要に。グローブボックスが浅いこと、それとその中に缶ホルダとカードホルダがないのだけはちょっと惜しかった。特にカードホルダは、ヒューズボックス蓋を兼ねた物入れで代用を試みたものの、幅が不足でまっすぐに入らない。一度など当時まだ存在していたハイカをインパネ内側に落としてしまい、拾い上げるのに難儀した。以来、MDのケースを流用してホルダ代わりにし、フロアコンソールの物入れに入れることにしている。フロアコンソールと言えば、縦並びのカップホルダーは、シャッターを閉めるとちょっとしたサイドテーブル風になるので、ここを軽い物の仮置き程度によく使っている。

 カタログの所謂「快適装備」にもふれておこう。
 オーディオは、筆者としてはようやくカセットデッキを脱却し、CD/MDに移行した。CDは6連装チェンジャーだが、2006年の所謂D型以降と違いMP3/WMA対応ではない。それがあれば恐らくMDの必要もなかっただろう。というのも、筆者はカセット時代からオムニバステープを良く作って聴いており、同じ用途には4倍LPモードとランダムプレイを共にサポートしているMDの方が圧倒的に向いているからである。スピーカーは前席優先で、後ろでは聞こえにくいとのこと。確かに過去のセダン2車種は、共にリアボードにスピーカーが入っていたのだが、今回はドア下方へのマウントである。もっともリアボードにあればあったで、後席耳元から音が出るので、オーディオを使いながら前席と会話するのが少々難だと家人は言っていたが。
 結構メーカーによって個性が出るという話のあるのがエアコンだが、B4のエアコンはある意味「積極的」である。Accordでは、暖房が効きすぎてくると控えめな運転になるのだが、B4では頭寒足熱モードに切り替えてくるので、時に寒かったりする。逆に夏冷えすぎの時暖房になったかどうかは記憶が定かでないが。

 さて、始動しよう。
 内溝式キーの差し込み口は着座状態からは見にくい。Accordでもそうだったので、これは我慢のしどころ。慣れてくれば何と言うことはない。
 2段ひねってON位置に。これは先代B4にも同様のギミックがあったが、ブラックアウトされたパネルの中で、メータ外縁と指針が順に赤く点灯し、指針が一度振り切れてから0位置に戻ると、次いで文字盤が白く点灯する仕掛けになっている。「走りへの期待を高める」という触れ込みではあるが、慣れるとどうということはない。それでも慣れてしまうとなければないで何だか物足りなく思えるので、設定で動作を止められるのだが、止められずにいる。ホンダ車に乗っていた時も、ON位置でのPGM-FI警告灯消灯を待つという「儀式」があったが、それと同じようなものか。

 かなり甲高いセルモータの音に続いて、迫力のあるBOXER-4のエンジン音が響くが、所謂BOXERサウンドではない。起動直後の横方向の振動は少し大きめに感じられるが、暖まるとほとんどなくなる。しかしアイドリング状態でも重いうなり(騒音ではない)で存在感を示すエンジンである。軽のtodayは別として、この辺はこれまで乗ってきた車とはやはり違う。Accordを試乗した時など、信号待ちで全くエンジン音も振動も感じず、驚いたものだったが。
 走り出す。スロットルをケチって開けると、思った以上に低速トルクが薄い感じがする。出力グラフを見ると、比較的フラットなトルクカーブなのだが、そこに落ち着くのは2600回転辺りからである。ちゃんと加速したいなら、そこまでしっかり回してやる必要がある。60km/h定速で流す分には回転数は4速で1800前後なので、シフトダウンせず加速するとなると、特にECOモードでは少々ラグは大きくなるかも知れない。
 もっとも、そもそも4代目までのLEGACYのエンジンEJ20は低速トルクが薄いらしい。水平対向故のオーバースクエアが影響しているのだろうか。思い返せば、CONCERTOのZC、AccordのF20B共に直列4気筒横置きのロングストロークであった。ZCなどは75mm×90mmというかなりのロングストロークにして高回転型という恐れ入った代物である。一方のEJ20は92mm×75mmと、ZCをひっくり返したようなプロファイルを持っている。その分確かによく回るエンジンである。一度うっかり(?)マニュアルモードに入れて1速のまま踏み込んだら、あっという間にレッドゾーンぎりぎりまで吹け上がったのには驚かされた。さすがに過給器付きのようには行かないが、回せば加速はがつんと来る。
 高速道路での安定性はさすがに良いが、ある程度の速度を越えると、感覚的なものなのかも知れないが、やや車体が浮き上がるような印象を覚えた。
 ハンドリングだのコーナリングだのについてはいろいろ言えた柄ではないが、これまでのFF車の明らかなアンダーステアに比べて、AWD故であろう、ニュートラルステアと言ってよい印象となった。タイヤの性能と合わせて、コーナーでの踏ん張りもかなり効いている。おかげで要らないところで余計な横Gをかけて楽しむようになってしまった。

 今までがずっとそうだったので今回も自動変速機モデルだが、通常(ECO含む)、スポーツ、マニュアルの3モードに切り替えが出来る。マニュアルと言ってもNAモデルでは4速でしかないので、さほどがちゃがちゃ遊べるものでもない。が、予想外にこれが重宝したのが、長い長い下り坂でだった。手元のシフトスイッチと相俟って、エンジンブレーキのコントロールが極めて楽なのである。一度長野県に行った折、濃霧で高速道路が通行止めになり、軽井沢辺で下り坂一般道を延々下りたことがあったが、指先だけである程度速度の調節が利き、疲労が少なくて済んだ。
 一方フットブレーキだが、ブレーキアシストが付いていない。筆者のブレーキコントロールだと、Accordのブレーキアシストは悉く急ブレーキと判断して「かっくん」になってしまったが、今度はそういうことがなくなり、逆になめらかなブレーキングが出来るようになった。下位グレードの2.0iのみにブレーキアシストを設定したところ、富士重工の考え方が見えるように思える。

 昨今の車と同じくマルチ情報ディスプレイが搭載となった。時計に加えてボタン選択で外気温、瞬間燃費、2つのトリップメーターに連動する区間燃費(給油毎にトリップAをリセットするようにしているので、そちらは事実上給油までの間)、想定航続距離、エンジン動作時間が見える。休憩勧告のつもりらしいエンジン動作時間の1時間毎の明滅や、外気温が3度を割ると路面凍結警告の意味での明滅など、余計なお世話的なものもある。時折瞬間燃費計で加速時のとんでもない数字を見たりしているが、普段は区間燃費表示にして、一応気にしながら走っている。カタログ燃費の14.0km/lに対し、買い物走りだと8.5km/l前後とあまりよろしくないが、ツーリングペースだと11.0km/lを超えることもある。ワゴンの方が「ツーリング」ワゴンを名乗っているが、確かにツーリング向けの車と言ってよいだろう。

 さて、このようにひとわたり書き連ねてはみたが、極めて散漫な印象を与える文章となってしまったようである。だらだらと長期間に亘って放置しては書き足しを繰り返していたので、それも無理からぬところではあるが、決してB4自体から筆者の受けた印象が薄かったわけではない。むしろ初めての富士重工車、初めてのスポーティ車(スポーツセダンという言い方もあるようだが)、初めてのフルタイムAWD車ということで、年相応の期待もしたし、そして今現在満足もしている。文中に不満点についての指摘がほとんどないことでもそれは察して頂けるであろう。
 冒頭で触れたAccordのファースト・インプレッションでは、正しくファーストであり、かつその前の車に極めて高い満足度を抱いていたこともありで、一種不利な条件での記述であったが、ごく初期の操舵系のリコール以外は障害らしい障害もなく、そこそこ満足しつつ結局8年近く乗り続けることになった。それを考えると、4年半以上を経過しての「振り返りインプレッション」が甘めの内容になることも、またやむを得ないことであろうか。

le 30 janvier, 2010




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