長距離を帰す為の1年間の管理


 

 月

管 理

 始めに
 
 実際の所、長距離を帰って来た鳩達に聞かない事には本当の事は解らないのですが、当舎の管理で此処
 
 数年帰りの悪いレースでも帰って来ているので、あながち間違っていないと思っています。
 
 何故鳩がレースから帰ってくるのか(速く帰って来ると言う意味合いでは無い)。
 
 色々な条件が重なって初めて長距離を帰って来ると思う。 
 
 持って生まれた素質、肉体的&精神的コンデションその鳩に合った飛行条件、その他もろもろ。
 
 1、長距離を帰って来る鳩を作出出来る素質ある種鳩を導入する事をまず行なわなければならない事だが、
 
   長距離といっても、地域性、飛行条件、管理方法などを考慮して導入しなければならないと思う。
 
  @地域性 → 何処の地域でも長距離を帰って来ている血筋を導入出来れば良いのだが、なかなか
 
         そう簡単には行かない。 やはりコースが同じ地域で活躍している2〜3鳩舎の長距離を
 
         帰って来る血筋を集中的に導入する事が近道の様に思われる。
 
  A飛行条件 → 長距離になってくると特に飛行条件が明暗を大きく左右するのはご存知の通りです。
 
          実距離1000kmともなると、残り30〜40kmの所で力尽きてしまう鳩も
 
          見受けられ、鳩の限界を感じてしまいます。 この限界を克服する為には、帰りの
 
          良い高分速で活躍した長距離鳩の血筋だけを集めただけでは、無理ではないかと
 
          考えています。
 
          血筋は遺伝するものなので、鳩の能力を問われる様な長距離レースで活躍した鳩の
 
          血筋を導入する事が重要だと思います。
 
  B管理方法 → 考え方の違いにより、管理方法も千差万別ではあるが、基本的な事は不変であると
 
          思っています。 此の基本的な事を無視または理解出来ていなければ、なかなか
 
          長距離を帰す事は難しくなって来ると思っています。 
 
          幾ら長距離を帰って来る血筋を導入しても、その能力を発揮できる管理をしてあげない
 
          事には、結果が出なく秋レースが終わった頃には長距離を帰ってこれる鳩も殆ど居なく
 
          なっているのが現実だと思われます。
 
         「鉄は熱いうちに打て」をそのまま生き物に当てはめて管理していては、無理を生じると
 
          思っています。
 
          若鳩を鍛える事は大事な事ですが、鍛え方も程度問題です。 若鳩は精神的に脆い
 
          ものなので、成長をじっと見守ってあげたいものです。
 

 5月
  
 長距離レースの持ち寄りが終わるとA部屋を2つに仕切った展望台がある1坪の部屋に1番仔を入れます。
 
 (2015年の交配は3月10日、長距離の持ち寄りは5月6日)
 
 巣立ちした雛には大粒の飼料を余さない程度まで小分けにして与え、孵化後45〜50日ほど経った所で
 
 ND生ワクチンの点鼻点眼を行い(2015年は5月22日に実施)、次の日からはトリコモナスの投薬を
 
 3日間実施し、その後3〜4日ほど経ってから上側の出舎口を開けて(2015年は5月28日に実施)、
 
 2週間ほどは自由に出入りをさせます。
 
 長距離に参加させず残った鳩達は分離の状態が続き、長距離から帰って来た鳩達の疲労が無くなってから
 
 B部屋を仕切っていた格子を取り外し自由恋愛で雛を作出します。(2015年は5月13日に自由配合)
 
 春レースで残った成鳩は、1番仔の鳩達が全てA部屋の出舎口から出入りする様になり、その後B部屋に
 
 あるトラップから入れるようになるまでは舎外は行ない様にしています。 成鳩も1番仔と同じ様に
 
 5月23日にトリコモナスの投薬を3日間実施します。
 
 長距離レースはブロックが開催するレースなので、その年その年で日程やシステムの変わる事が
 
 ありますが、3つの連盟の思惑もあるので仕方が無いことです。 此処3年ほど帰りが極端に悪いので、
 
 来春の長距離レースは帰りの良いレースになって欲しいものです。
 
 此処数年、帰りの悪い長距離レースでも当舎が帰還しているので、多くの人達から如何したら長距離を
 
 帰す事が出来るのかを聞かれますが、特別な秘策が有るわけでもなく、毎年失敗しないかと心配しながら
 
 長距離レースの持ち寄りを迎えているのが現実です。
 

 6月
 
 その年によってやり方も変化していますが、雛鳩の失踪がなるべく少なくなる様に気を付けて管理して
 
 います。
 
 A部屋の上側出舎口から自由に出入りさせていた雛鳩も段々と多く出入りする様になって来たら全鳩を上側
 
 出舎口から強制的に追い出しします。 時間的には朝早く行う事は無く、大体昼過ぎに行なっています。
 
 此の頃になったら、朝の時間帯には成鳩の舎外を開始しトラップは閉めておき、A部屋とB部屋を仕切って
 
 いる戸を開放して雛鳩が成鳩達が入っていたB部屋に自由に出入り出来る様にします。
 
 これを何回か繰り返したら次は雛鳩をA部屋の上側出舎口から出し、出舎口は閉じて、B部屋にある
 
 入舎口を開けて此方から成鳩達が居るB部屋に入る様にします。 A部屋の上側出舎口とB部屋の入舎口は
 
 展望台の屋根の位置にあるので、夕方の暗くなる頃にはB部屋に明かりを点けているので、殆ど入って
 
 くれる様になります。
 
 1番仔を成鳩と一緒にB部屋で管理出来る様になったら、空いたA部屋には2番仔を入れ始めます。
 
 2番仔も1番仔と同じ様に大粒の飼料を余さない程度まで小分けにして与え孵化後45〜50日ほど経った
 
 所でND生ワクチンの点鼻点眼を行い(2015年は6月28日に実施)、同じ日からトリコモナスの
 
 投薬を3日間実施し、その後3〜4日ほど経ってから上側の出舎口を開けて(2015年は7月5日に
 
 実施)、2週間ほどは自由に出入りをさせます。
 
 成鳩と一緒の部屋になった1番仔の舎外は上下の出舎口は開けますが、しばらくは追わないで自由に出入り
 
 させて様子を見ます。 これを幾度か繰り返したら1番仔も上下の出舎口から強制的に追い出しします。
 
 レース後自由配合になったペアはボックス型止まり木に荒縄を20cmほどに切って解いた物を運び、巣を
 
 作り、そこに卵を産み暖めます。 6月の10日頃には孵化し、足環を装着して3〜4日ほど経ったら、
 
 仕切り板を外し広い巣にします。 また、その頃になると荒縄の下も湿気て来るので、荒縄を取り除き
 
 変わりに巣皿を置きます。
 

 7月
 
 2番仔は6月28日にND生ワクチンを点鼻点眼していたので、1番仔と同じ様に午後1時過ぎに
 
 上側にある出舎口を開けて、自由に出入り出来る様にしました。(2015年は7月5日に実施)
 
 7月の10日頃になると選手鳩から作出した雛鳩も巣立ちし、餌を自分で食べれる様になってから成鳩が
 
 入っている選手部屋に入れていましたが、どうしても成鳩が自分の雛鳩だったと思い込んで飼料を与えて
 
 しまう事が有ったので、今年は2番仔が入っているA部屋を広くして選手から作出した雛鳩を入れました。
 
 選手鳩は基本的に1羽しか雛鳩を育てさせない事にしていて、2番仔に当たる卵は基本的に偽卵に変えて、
 
 飽きるまで抱かせています。 (今年は再開した同級生用に雛鳩を作出しなければならなかったので殆どの
 
 ペアが2羽育てました) 選手鳩から作出する雛鳩は遅生まれとなるので、多くは作出しない様にして
 
 います。
 
 7月の中頃になると、雛鳩も全て巣立ちし終えるので投薬を開始します。 (2015年は7月16日に
 
 虫下し、7月18日からトリコモナス、7月24日からコクシジウム)
 
 抗生物質は本来治療薬であり、感染症に罹っていないのに与えても意味がないものと思っていますので、
 
 感染症に罹った鳩をケージに入れて個々に投薬をしています。
 

8月
 
 8月ともなると2番仔や選手から作出した遅生まれの雛鳩も1番仔や成鳩達と一緒に管理する様に
 
 なっているので、強制はしませんが全鳩を追い出し舎外する様にします。(2015年は7月23日に
 
 一緒にしました)
 
 全鳩を追い出すと、掃除を始め終わってから飲水器の水を交換し新しい鉱物飼料を追加するまでは入舎口は
 
 閉めているので、早く降りた鳩は飛んだり降りたりを繰り返しています。
 
 入舎口を開けても直ぐに呼び込んで飼料を与える事は無く、入舎口を開けて20分ほどは飲水器の脇で
 
 入って来る鳩達を観察し、大方の鳩達が入舎してから合図をして飼料を与えます。
 
 雛鳩が巣立ちすると直ぐにトウモロコシと豆だけの大粒の飼料を与えND生ワクチンを点鼻点眼してからは
 
 配合飼料6〜7に対して大麦を1の割合で混ぜたものを秋レースが終わる頃まで与え続けています。
 
 また、配合飼料も大粒主体で豆類は25%ほどの割合にし、1日に何グラムと言うように計算して与える
 
 事は無く、小分けに餌箱に飼料を入れて行き大麦を残さない程度まで与え続けています。
 
 8月も10日頃になって来ると殆どの鳩達が集団となって1時間以上は飛ぶようになっていますが、
 
 どうしても飛ばずに直ぐに降りたり、電線に止まったりする鳩が出てくるので、しばらくは様子を見ます。
 
 同じ鳩がこのような状態を3〜4週間も続けるようなら選手鳩としては使い物にならないので、選手部屋
 
 から取り除いています。(2015年は春の後日鳩2羽と若鳩3羽)
 
 9月の20日以降には訓練を開始するので、8月の終わり頃にはND生ワクチンの点鼻点眼を行ないます。
 
 (2015年は8月30日に実施)
 
 6月に入り夜になると蚊が鳩舎内に入って来て、鳩達がゆっくり睡眠を取れなくなってくるので、電子
 
 蚊取り器を夕方の飼料を与える時に点け、朝の掃除の時に消す様ににし、大体10月一杯まで実施して
 
 います。
 
 成鳩と若鳩が一緒になると5坪+展望台1.5坪の広さに例年200羽程が入る事になり、外気を取り込む
 
 換気扇を1日中回していても、通風が悪くて結膜炎に罹る鳩が出てきますが、安易に抗生剤で治療する事は
 
 せず、先に水道の蛇口から少量の水を流し、その水で鳩の目を1分ほど洗う様にしています。
 
 殆どの鳩は朝夕に行い3日もすれば、直ってしまいます。
 

 9月
 
 9月も8月と同じ様な管理が続きます。
 
 今年は友人からビール酵母を5kg以上も貰ったので、試しに毎日の様に飼料に食用油を垂らし馴染ませて
 
 からビール酵母を振り掛け塗したものを与えてみました。 例年ですと生菌剤2種類とビール酵母の3種類
 
 ほどをサイクルを掛けて与えていました。
 
 舎外失踪や訓練での失踪をなるべく少なくする事を重点的に管理しており、舎外時間を長くしたり、入舎
 
 する時間を早くしたり、早く帰って来る為の訓練などは行なわない様にしています。
 
 舎外で遠征時間が長くなってくると喜ぶ人達が多くいる事と思いますが、当舎では反対に心配する様に
 
 なります。 遠征先で猛禽類の攻撃を受けると、集団で何処までも逃げて行き、仕舞いには帰って来れなく
 
 なって大量失踪してしまった事があったので、長時間の遠征が続くようになった時は舎外をしばらく休む
 
 事にしています。
 
 レースで帰って来た時の入舎時間を早くする為に舎外でも鳩達が降りたら直ぐに呼び込む管理を行って
 
 いる鳩舎が沢山いると思いますが、鳩が帰還してくれない事には次のレースにも参加する事が出来なく
 
 なるので、在舎する鳩達のコンデションのバラツキが少なくなる様な管理を心がけています。
 
 訓練に於いても有視界飛行が出来る短い距離を幾たびとなく行い、最短距離で鳩舎に帰って来る訓練方法を
 
 実施している鳩舎もいますが、当舎では長距離をメインに考えているので、太陽コンパスや地磁気を使って
 
 方向判定するであろう距離から訓練をスタートする様にしています。
 
 また、今の環境では何処でも猛禽類からの攻撃があるので、訓練をすればするほど鳩が減って行くのが
 
 現状です。 近場からの訓練だからと言って安心は出来ません。
 
 例年、9月の終わりか10月の初めには連合会の100Kレースがスタートしますが、例年当舎では
 
 100Kレースには参加せず、200Kレースから参加するので、訓練の開始も他鳩舎より遅れて行ない
 
 ます。
 
 また、訓練も40Kからスタートし53Kの2回ほどしか行なわないので、尚更遅れて訓練をスタート
 
 できます。
 
 今年も9月23日に40K訓練を実施し、9月27日に53K訓練を行い、2回の訓練で未帰還3羽で
 
 済みました。 (40K訓練参加124羽、53K訓練参加124羽)
 

 10月
 
 10月はレースの月ですが此れと言って変わった管理をしていく訳ではありません。
 
 レースの持ち寄りが近づいてきたからと言って、状態を上げる様な事はせず、鳩なりの管理をしています。
 
 ただ注意している点といえば、舎外の時、訓練やレースでの迷い込みが入る様になるので、発見したら
 
 直ぐに鳩舎以外の場所に隔離する様にしています。(200Kレースの持ち寄り日までは病気の感染を
 
 防ぎたい為)
 
 また、レース当日が高気圧に覆われるような天気の時は、喉渇き対策を行なって持ち寄る様にしています。
 
 (喉渇き対策を行なうとレースに参加せず残った鳩達の糞は緩む様になります)
 
 例年、200Kレースが終わって3〜4日ほど過ぎた頃から餌吐き病が出てくるので、その後にある
 
 300Kレースは参加する事が出来なくなっています。
 
 此の餌吐き病は自然と治るものなので心配はしていませんが、直ったと見えてもレースに参加させると
 
 未帰還になってしまう確率が高く、注意する様にしています。
 
 例年、最終400kレジョナルレースに合わせて、遅生まれの訓練を行うのですが、今年のレジョナル
 
 レースは天候不順から延び延びになったので10月27日に酒田市(約40k)から訓練を行ないました。
 

 11月
 
 例年10月の最終土曜日がレジョナルレースなので10月でレースが終わっているのですが、今年は天候
 
 不順の為延び延びになり11月4日に行なわれました。
 
 当舎では若鳩は200Kレースを帰って来ていれば良いと思っているので、それ以後のレースは無理を
 
 しない事にしています。 故に例年最終レジョナルレースには少数の成鳩と少数の若鳩しか参加して
 
 いません。
 
 秋レースで目一杯鳩を使用すると、2〜3才で長距離を帰って来れる鳩達を無駄にしてしまう恐れがあると
 
 思っています。
 
 11月に入ると良い天気がなかなか続かなくなり、また猛禽類の攻撃も増えることから、例年11月の
 
 10日頃には舎外止めを行います。
 
 此の頃には1・2番仔の換羽も残り1〜2枚ほどになっているので飼料もたんぱく質の少ないものに変えて
 
 行きます。 トウモロコシ13、豆配合3、小麦2、青米2、白マイロ1の割合の配合飼料5に対し大麦を
 
 1混ぜたものを朝夕与えています。
 

 12月
 
 11月に舎外止めを行い、飼料も然程絞っている訳でもないので、気の合った鳩同士がペアになり
 
 11月の終わり頃から12月の始め頃になると卵を産む鳩が出てきますが、レース中でもないので気にせず
 
 産んだら直ぐに取り除く様にしています。どちらかと言えば2015年生まれの鳩が来年の春レース途中で
 
 初卵を産む方が影響が大きいので、今の時期に産む鳩は産ませておいた方が良いと思っています。
 
 11月末の品評会が終わり、12月の10日頃を過ぎると、もう入って来る種鳩も居ないので、投薬を開始
 
 する事にしています。(2014年は12月6日から実施、2013年は12月15日から実施しました)
 
 飼料の方も12月の中頃からは大麦を多めに配合飼料に混ぜて与える様になります。
 
 (配合飼料5〜6に対し大麦2の割合程度を1日28gほど・・計ったりはしないので毎日同じ量ではない)
 
 舎外止めをした時に与える飼料の内容や与え方を尋ねられますが、然程気にする必要はないと思います。
 
 その地域地域で気温や環境が異なるので、此れが一番良い方法だとは言い切れないと思います。
 
 なるべく自然には逆らわない様に管理した方が鳩にとっては良いように思えるのですが・・・。
 
 12月の中頃から大麦を多く含んだ飼料を与えているので、餌箱に置いた飼料を食べ終わっても足りなく、
 
 しゃがんで鳩達を見ていると足元に寄って来ます。そこで足元の数箇所に飼料を少し撒き、それを2〜3回
 
 ほど繰り返しています。鳩が人に馴れ過ぎると活躍しないと言う人も居ますが、当舎では馴れ過ぎる鳩でも
 
 活躍してくれています。
 

 1月
 
 12月一杯で投薬は終わっているので、毎日餌水だけの管理ですが、餌には2〜3種類の生菌剤を
 
 サイクルで塗して与え、1週間に一度位は飲水器にナチュラリンを入れて与えたりしています。
 
 (臨機応変です)
 
 冬季間は北西の風の強い日が続きますが、海の直ぐ側にあるので飲水器の水が凍る日は然程多くはなく、
 
 吹雪でも無い限りはB部屋のサッシは外したままで1日を過ごします。
 
 2月に入ると舎外を再開するので、1月の終わり頃にはND生ワクチンを点鼻点眼しています。
 
 (春レースのスタート日から逆算している → 2015年は1月24日に実施、2014年は2月14日
 
 に実施)
 
 冬季間でもコロコロとした糞をしてくれれば良いのですが、餌を少なめに与えている為かなかなか全鳩が
 
 コロコロとした糞をしてくれないのが現状です。飼料を多めに与えればある程度はコロコロとした糞をして
 
 くれるのでしょうが、そうすると太りすぎて舎外再開時に犠牲が多くなってしまう恐れが出てきます。
 
 冬季間、鳩は寒さに耐える為に脂肪を付けようとするのが自然の姿なので、飼料を絞りすぎるのも考え物で
 
 す。
 

 2月
 
 2月に入るとレース日程に合わせて、舎外を再開します。(2015年は2月4日、2014年は2月
 
 23日)
 
 舎外を再開しても直ぐには纏まって長い時間は飛べませんが、7〜9回ほど舎外すれば纏まって1時間は
 
 飛ぶようになってくれます。
 
  舎外回数     2012年          2013年         2014年
  
  1回目    2月20日10:40     2月18日10:30   2月23日10:30
 
  2回目      20分            20分           15〜30分
 
  3回目     10〜80分         5〜10分          15〜40分
 
  4回目     30〜110分       10〜40分          15〜30分
 
  5回目    100〜150分       20〜60分           5〜40分
 
  6回目      50分          20〜65分          10〜60分
 
  7回目     70〜130分       60〜70分          40〜90分
 
  8回目     50〜70分        50〜65分           5〜60分
 
  9回目     60〜70分        60〜90分          35〜90分
 
 10回目     75〜120分       80〜110分          5〜35分
 
 11回目     50〜100分        訓練開始           35〜45分
 
 12回目     65〜85分                        70〜75分
 
 13回目      レース参加                         訓練開始
 
 舎外再開前に太り過ぎは猛禽類の餌食になりやすいので注意する様にしていますが、反対に痩せている鳩は
 
 舎外再開後の食欲減退で調子を崩してしまう恐れがあるので、これも注意が必要です。
 
 3月に入ればレースが始まるので、2月の終わり頃には1回だけ訓練を行う様にしています。
 
 例年、春のレース前の訓練は全鳩が1時間以上飛べる様になってから行うようにしており、放鳩時間も
 
 朝早くではなく、遅い時間帯に飛ばす様にしています。
 
 2015年午後2時2分 酒田市40K(112羽参加 帰還111羽 )→100Kレースへ(成鳩は除く)
 
 2014年午後2時50分 酒田市40K(118羽参加 帰還117羽 99.2%) → 200Kレースへ
 
 2013年午後2時10分 三川53K(125羽参加 当日110羽 後日14羽 99.2%) → 
 
       200Kレースへ
 
 2012年 訓練なしで150Kレースに参加(102羽参加 当日89羽 後日7羽 94.1%)
 
 2011年午後2時26分 酒田市40K(86羽参加 当日74羽 後日2羽 88.4%) 
 
       震災でレース中止
 
 2010年午前11時15分 酒田市40K(75羽参加 当日67羽 後日4羽 94.7%) → 
 
       200Kレースへ
 

 3月
 
 3月の始め頃になると春レースがスタートするので、その前に種鳩・選手鳩共トリコモナスの投薬
 
 だけは行なう様にしています。 (2015年は3月2日から実施、2014年は3月11日から実施)
 
 200Kレースが終わると在舎鳩も少なくなって来て、120〜130羽以下になるので、A部屋を2つに
 
 仕切って選手鳩は4坪+展望台1.5坪で管理する様になります。
 
 A部屋を仕切った残りの1坪の部屋には8ペア用ケージを組み立て、主要種鳩の配合に使います。
 
 例年、長距離の持ち寄り日が終わってから、雛鳩を選手部屋に移動出来る様に交配日を決めますが、
 
 A部屋を半分に仕切れる様な選手鳩の羽数にならないと、交配日は変更になります。
 
 (2015年は3月10日に交配、2014年は3月17日に交配しました) 
 

 4月
 
 4月に入れば、始め頃に400Kレジョナルレースが中頃には600K地区ナショナルレースが行なわれま
 
 す。
 
 300Kレースが終わった時点で分離システムに移行したい所ですが、1.5坪×2部屋に70羽程度が
 
 限度なのを考えると、400Kレジョナルレースが終わらないと実行出来ないでいます。
 
 レジョナルレースからはある程度餌を食い込ませて参加したいので、天気を見て夕方も舎外する様に
 
 しています。 但し、余りにも状態を上げすぎると♀鳩が産卵してしまうので、大麦が1割〜1.5割ほど
 
 混ざった飼料を持ち寄り日前日まで与えています。
 
 また、速さより帰りを重要視しているので、レース帰還後の休養は少なめにし、帰りの良いレース後では
 
 翌日には舎外を始め、反対にレースの持ち寄り日前の舎外は抑える様にしています。
 
 殆どの人達が行なっていると思われる、中間訓練と言うものは此処10年ほど1度として行なって
 
 いませんが、それなりの成績で推移していると思っています。
 
 早く帰したいからといって、普段やっていない事をレース期間中に行う事は危険を伴うので、普段通りの
 
 管理に徹するべきだと思います。
 

 5月
 
 長距離を帰す為には1年365日の適正な管理があっての事だと思っているので、レース期間中だからと
 
 言って特別なことを行なっている訳では有りません。(他の人から見れば、特別な事をやっている様に
 
 見えるのかもしれませんが・・・)
 
 例年600K地区ナショナルレースが終わってから約3週間後に長距離レースの持ち寄りが行なわれます。
 
 (2015年は600K地区Nが4月18日予定で実際は4月22日に放鳩、長距離持ち寄りは5月4日
 
 予定で実際は5月6日に行なわれました。)
 
 600K地区Nレースの帰還後3日間ほどはビタミン剤や栄養剤などを与え、その後呼吸器系の抗生物質の
 
 アモキシシリンを3日間与え、その後4〜5日経ってからトリコモナスの投薬を3日間与えています。
 
 600K地区N後もその前のレース帰還後と同じ様に配合飼料1、配合D1、大麦1の割合を2〜3日
 
 与え、その後2日ほど配合飼料に豆類を追加した物を与えています。
 
 600K地区N帰還後7日ほどしてから通常の大麦を1.5割ほど混ぜた飼料を与え、しばらくしてから
 
 徐々に大粒の飼料を追加して行きます。 長距離の持ち寄り7日ほど前からは大麦を除き、5日ほど前
 
 からは大粒の飼料を残したらその残った飼料は引き上げ、代わりに脂肪分の多い小粒を少量与える様に
 
 しています。
 
 400Kレジョナルレースや600K地区ナショナルレース前の中間訓練は行ないませんが、長距離レース
 
 前の訓練は行う様にしています。 訓練に関する考え方は色々な理由で行なっている事と思いますが、
 
 当舎ではレースで帰って来たらペアの相手に会える事を覚えて貰いたくて行なうのが第一の理由でその他に
 
 レース間隔が開きすぎて参加させると輸送時に餌を吐きやすくなる為の予防的な考え方で行なっています。
 
 例年、400Kレジョナルレースが終わると分離システムに移行し、長距離レースが終わるまで分離は
 
 続きます。
 
 中間訓練は40Kまたは53Kの距離で長距離に参加出来る2才以上の♀鳩を単羽で飛ばし、その後に
 
 1才の♀鳩を一斉に飛ばします。 ♀鳩が見えなくなったら長距離に参加できる2才以上の♂鳩を単羽で
 
 飛ばし、その後1才の♂鳩を一斉に飛ばしています。(2015年は4月30日に40Kから1回だけ
 
 行ないました。 ちなみに長距離の持ち寄り日は5月4日が延びて5月6日になりました。)
 
 普段鳩舎内では鳩を捕まえて見る事が無いので、単羽放鳩の時1羽1羽のコンデションを確認してから
 
 行なっています。 後は長距離の持ち寄り日に鳩を捕まえてコンデションがどの様に変わったかを
 
 チェックし、状態が落ち気味だと思われる鳩は参加させないようにしています。
 

分離
 
システム
 
 2000年から今の鳩舎でレースを行う様になりましたが、当初から分離システムでレースをしていた
 
 訳では無くしばらくはナチュラルシステムで長距離まで参加していました。
 
 師匠である阿部宏氏が分離システムで長距離を活躍されていたので、当舎も教わりながら分離システムで
 
 レースをするようになって行きましたが、元々鳩舎が分離システム用に建てた物でなかったので、
 
 同じ様には行きませんでした。 しかし、色々と工夫しながら回数を重ね分離システムが出来る様になった
 
 と思っています。
 
 選手鳩の羽数が70羽ほどになったら、B部屋を2つに仕切り入舎口がある南側の1.5坪の部屋には
 
 ♂鳩を入舎口の無い北側の1.5坪の部屋には♀鳩を入れます。
 
 舎外は♀鳩から行い♀鳩を追い出したら出舎口は閉め、仕切り戸を開けて今まで♀鳩が入っていた北側の
 
 部屋に♂鳩を移動し仕切り戸を閉じます。
 
 舎外を終えた♀鳩は入舎口がある南側の部屋に入り全鳩が入ったら入舎口は閉め、♂鳩が入っている北側
 
 の出舎口を開けて♂鳩を追い出し舎外をします。♂鳩が全部出て行ったら出舎口を閉め、仕切り戸を開けて
 
 再び北側の部屋に♀鳩を移動させ、仕切り戸を閉じます。 舎外を終えた♂鳩が南側の部屋に入ったら
 
 それぞれに飼料を与えます。