犬の話
最初のワンコ(出会い)

 皆さん初めて犬と出会ったとき、犬と接したときの事を覚えていますか。私の話をさせて頂きます。
小さいとき、私の母は体が弱く伯母の家によく預けられました。伯母には子供がいなかったのでとても可愛がってもらいました。
伯母は犬を飼ってました。スコッチテリア(スコティッシュ、テリア)のアボです。
真っ黒でヒゲをたくわえたアボは、子供の私からは哲学者のおじいさんのように見えました。
哲学者のおじいさんはその容貌とおなじで決して慌てたりせず、いつも静かでおちついた動きで歩きます。
走り回るなんてことはしません。伯母がいなくて寂しくても大声で騒ぐなんてこともしません。
ちょっかいを出しても、静かに「ウー」と私に警告します。けっして咬んだりしません。
もし子供のときアボに咬まれたりしていたら、これほど犬好きにはなってなかったと思います。
伯母は自分でトリミングをしていました。綺麗に丸く短く刈りそろえられた背中は触ると、とても気持ちよかった。
アボと伯母は私に散歩を教えてくれました。春のヒバリのさえずり、夏の暑さ、秋のススキ、冬の霜柱の踏む音。
四季の移り変わりを楽しみました。
一緒に歩いた散歩コースは、今、車が走り回る道路になってしまい面影もありません。
最初に死というものを教えてくれたのもアボでした。いたものがいなくなる。触れなくなる。会えなくなる。それを教えてくれました。
何年くらいだったのか覚えてませんが、多くの事を一緒に経験した思い出があります。
不思議な体験
むかし、飼っていた犬の話です。 友人の知人から貰い受けたワンコです。白と黒のブチの犬です。
名前もそのままブチ。ブッチャンと呼んでました。
体の弱い仔でジステンパーにかかったときは、もう駄目だと思いました。仕事に出かける前、帰ってからの散歩が日課で楽しい一時でした。
ある日、軽く咳をしていました。しばらく様子をみてましたがあまり良くならないので病院へ。家へ帰り玄関先で寝かせました。
しばらくして意識が朦朧となり、苦しそうにしています。良くなる様子が無いので深夜もう一度病院へ向かいました。
残念ながら手遅れで病院へ着く前の車中で息を引き取りました。
病院へ行ったばかりだかりという過信と、もっと早く連れて行けばよかったという後悔ばかりが残りました。
わずか4年の付き合いで愛犬を死なせてしまった悔しさを覚えています。

 不思議なことはブチを死なせた2,3日後おきました。夜寝ていると外でゴソゴソ音がします。夜中の12時を過ぎたころです。
何事かと思い外で出てみました。そこにはブチがいて、スクーターのカバーを引っ張っているではありませんか。
「え〜ブチ生きてたのか!」と一瞬思いましたが冷静の考えればそんなことはありえません。よ〜く見るとブチにそっくりな近所のワンコです。
この仔とは一度も遊んだことも無くうちに来たこともありません。
その仔は一心にスクーターのカバーを引っ張り、私の顔を見ると吼えるでもなくシッポを振ってうれしそうにお座りをしました。
何かを言いたそうに座り私の顔を見ています。私は「いいよ分かったからお家にお帰り。」そういうとその仔はシッポを振りながら元気に帰っていきました。
たんなる偶然でしょうが、なにかブチが別れの挨拶に来てくれたような気がしました。
 そのあと、数回その仔の頭をなでてやることはありましたが、我が家にやって来ることはありませんでした。
 あの夜のことはいったい何だったでしょう。時々思い出しては不思議に思えます。
真夏のミステリー
 その日仕事は早く終わりました。トリマーさん達も帰り、愛犬二匹もゲージから出て店の片隅で静かに寝ています。
私はパソコンでネットサーフィンをしてました。とても静かな一時で外を走る車の音ぐらいしかしません。
そのとき突然1匹(ハスキー)が顔を上げました。「ん!何。」私は不思議に思いました。
ハスキーは天井の一角をジッと見ています。するともう一匹(柴犬)も顔を上げ同じところジッと見つめています。視線の先を見ますが私には何も見えません。
二匹の視線は天井から壁にうつります。私には何も見えません。二匹の視線は壁から徐々に私の方に来ます。「え〜これってもしかして子供や動物には見えて、
人間の大人には見えないってものですか?」
 二匹の視線は私の方に、私は少しパニクリながら「何が来るんだ。お化け、悪霊、わ〜来るな〜、こっち見るな〜」心の中でつぶやきました。
私の直前で二匹の視線は外れカウンターの方へ、ホッとしたときハスキーが立ち上がりカウンターに向かいました。
カウンターに前足をつき何か臭いを嗅いで窺がってます。よく見ると、とっても小さなハエがそこにいました。あまり小さかったので私の眼には見えなかったのです。
ど〜っと疲れが出ました。そして安堵の溜息。あまりオカルトに興味を持つものではありませんな。静かな夏の夕方、怖い思いをした一瞬でした。
手作りのバンダナ
 お店を始めたころの話です。 初老の夫婦が3,4歳のシーズを連れて来店しました。トリミングを終えて仲良く帰っていきました。
その仔の首にはバンダナが巻いてありました。トリマーさんが言いました。「あのバンダナはお父さんの手作りなんですよ。」
店の中にフッと暖かい空気が流れたような気がした。
その数年後、そのお父さんが亡くなりました。
仲の良かったお母さんは大層落ち込み悲しみました。その悲しそうな様子に言葉も出ません。
シーズーのロンちゃんはそんなお母さんを支えきました。
月日は流れ10年近くの時が過ぎました。お母さんは体のあちこちが痛いと言いながらも頑張っています。
そんなお母さんを支えてきたロンちゃんもかなり高齢になって来ました。
ときどき、お父さんのバンダナかは分かりませんが首に巻いてます。どうしても犬は人より早く歳を取ります。
ロンちゃんにもしものときお母さんが心配です。
あのときと同じ悲しい想いがお母さんに来るのかな。少しでも長く生きて、お母さんを支えてあげて・・・・・・。
ホテル犬の思い出
 ホテルでたくさんの仔の世話をして来ました。そんな中、印象に残ってる仔の話です。
パグのキクちゃん

 お母さんがよく旅行に行かれましたので、その間よく面倒みさせて頂きました。ちょっとアトピーがある高齢のパグです。
痩せてて、キョロっとした可愛い目が印象的でした。部屋を覗くと大きな眼で顔を見つめてきます。散歩に行くとヨタヨタした足取りですが元気に歩きます。
アトピーの関係で食事は制限されたくさんはあげられません。散歩から帰ると美味しそうにフードを食べ「もっと欲しい。」とあの愛くるしい眼で顔を見ます。
そのキクちゃんもしばらくして亡くなりました。面倒見たのは期間にして半年くらいだと思いますが、今だにあの可愛い眼は大きな印象に残ってます。


破壊犬ギン

 知人からの紹介でした。飼い主が病気で入院するのでしばらく預かって欲しいとのこと。犬種はシャーペイ。だらんとしたホッペとちょっと怖そうな眼の犬です。
大きさは小ぶりのラブラドールくらい。今まで飼い主と離れたことはなく見かけとは違い人にベッタリ甘えてます。
ホテル部屋に入れました。大騒ぎでパニクリ3分でホテルの戸を食い破りました。人の姿が見えるとおとなしくしてます。
見えないと寂し飼がり大騒ぎです。板張りのホテルには入れておけず、やむなく鉄製のゲージで預かることに。顔に似合わず寂しがりのギンちゃん。
我が家のヒナちゃん(柴)が気に入りチョッカイ出しますがおもいきり嫌われ、たるんだホッペをかじられてました。
皮膚が悪いので綺麗にしてやりたかったのだけど、水が大嫌いで大暴れ、大騒ぎになります。何でも子犬のとき河に投げ込まれ水恐怖症になったそうです。
 不細工だけど愛嬌のある顔で近所に人にも愛されました。一月預かりました。退院された飼い主に連れられ帰っていきました。
ボロボロになったゲージが残りました。食い破られたホテルの扉は泣きながら直しました。(修理大変だったのですよ。)


破壊犬ギン2

 一月後、退院されたギンの飼い主さん、また具合が悪くなり預かることに。相変わらず愛嬌のある不細工な顔です。
ゲージも少しは慣れたようで以前ほどは暴れません。でも相変わらず水は嫌い。散歩のとき川の中の石を渡ってみました。
水に近づいたら緊張して脚が思うように動かず川に落ちました。すさまじい恐怖の表情と悲鳴。
トラウマはかなり深いようです。シャンプーはあきらめました。一度、家の庭で放してみました。
が、やはり人がいないと不安で柵から飛び出してしまい、近所の子供達に追いかけられてました。
子供達に面白い顔は恐怖より愛嬌になったようです。2ヶ月ほど預かり、退院した飼い主さんに返したときはとてもうれしそうでした。
 気付かぬうちのそっと帰ろうとすると、一瞬私のほうを見て「あれ帰っちゃうの?・・・。」って顔をしてくれました。
い主さんの病状やギンは元気にしているか気になりますが、その後連絡はありません。元気にしてるかな?・・・。

 ギンちゃんです。おもしろい顔しています。
犬の話2
新しい話を追加しました。