【特別企画】クラウン60周年記念展フォトギャラリー
(期間限定公開)

2015年は、クラウンが発売されて60周年。これを記念して、愛知県のトヨタ博物館にて、クラウン60周年
記念展が開催され、歴代クラウンが一同に展示されました(開催期間は4月25日〜7月5日)。
クラウンが歩んできた60年、どのような変化・進化があったのか、特別企画を立ち上げました。
2015年12月頃までの公開を予定しております。どうぞご覧くださいませ。
ご感想は是非TPH記帳室(掲示板)または、TOPページのメッセージボックスまでお願いいたします。



初代クラウン RS系(1955〜1962)




展示車両 画像上(赤) RS-L型(北米向輸出仕様 左ハンドル)、画像下(黒) RS型(博物館2Fに常時展示)

1955年(昭和30年)1月、初代トヨペットクラウンが発表・発売される。
戦後、1950年代に入ってから、日本経済は徐々に回復し、乗用車の完全国産化が始まろうとしていた。
その幕開けに誕生し、本格的な量産を行ったのがトヨペットクラウンである。
信じ難いかもしれないが、全長4,285mm、全幅1,680mmと、現在のカローラよりも小さいボディサイズで
登場したのであった。
エンジンは、この2年前から「トヨペットスーパー」に搭載されていたR型1,453cc 直列4気筒OHVエン
ジンを採用、最高出力は48PSであった。
当初は1.5Lのみであったが、途中で、3R型1.9Lエンジン搭載車も追加された。
フロントにダブルウィッシュボーン式独立懸架を採用、タクシー用としてはフロントもリジッド式サス
ペンションを採用した「トヨペットマスター」も発売されていたが、ダブルウィッシュボーンの耐久性に
問題ないことが後にタクシー業界からも認められたため、マスターは廃止となり、クラウンのタクシーが
世に広まったのであった。
発売から3年が経った1958年には、北米への輸出も始まったが、高速走行時のパワー不足の指摘などが
理由で、わずか2年で中止された。
価格は発売当時でおよそ100万円であり、当時の大卒初任給がおよそ1万円という時代であったことから、
乗用車が相当高価なものだったことがわかる。
開口部分を広く取るため、観音開きドアが採用されたことも大きなトピックスだ。





2代目クラウン MS40系(1962〜1966)



展示車両 デラックス

先代の輸出での反省から、外国車と肩を並べる耐久性、高速安定性を目指して2代目クラウンは
開発され、1962年に発売された。
初代クラウンの誕生から7年ぶりのフルモデルチェンジであった。
シャシにはX型フレームを採用することにより低重心化に成功、全長も初代より325mm、ホイール
ベースも160mm長くなったことにより大型化され、居住性が大幅に向上した。
エンジンは、当初は4R型直列4気筒1.9Lエンジン搭載車のみであったが、2年後の1964年には、
2.6L V型8気筒OHVエンジンを搭載した「クラウンエイト」を発売。これが日本初のV型8気筒エン
ジンなのであった。
このクラウンエイトは、ボディも専用のボディサイズが与えられ、全幅が1,845mmと、今日の国産車の
中でも大きい程であり、歴代クラウンの中でもこれ以上全幅が大きいモデルは存在しない。
クラウンエイトが発売された翌年には、M型 2.0L直列6気筒OHCエンジン搭載車を追加。このM型エン
ジンは、トヨタ初のOHCエンジンでもあり、長年にわたってクラウンに採用され続けた直列6気筒
エンジンの始まりでもあった。
完全自動化されたオートマチック(トヨグライド)も本モデルから採用された。





3代目クラウン MS50系(1967〜1971)




展示車両 2ドアハードトップ SL(ミニカーは4ドアセダンスーパーデラックスとワゴン)

「白いクラウン」のキャッチコピーで発売された3代目クラウンは、「ゆとりある高速長距離セダン」を
目指して開発、1967年に発売される。
アメリカで実施された自動車安全基準もクリアし、安全性能も強化された。シャシはぺリメーター
フレームが初めて採用され、これがクラウンの長年にわたる伝統となった。
翌年の1968年には、このクラスでは初めてとなる2ドアハードトップを追加。
セダンが丸目4灯のヘッドランプだったのに対し、ハードトップは角目2灯とフロントマスクも全く
違ったものになっていた。
エンジンは5R型直列4気筒2.0LとM型直列6気筒2.0Lの2種類だが、この代から6気筒モデルを中心と
したグレード展開がされていった。
セダンで6気筒モデルの「オーナーデラックス」が88万円で発売されたことや、2ドアハードトップが
設定されたことから、より個人ユースを意識したモデルへと変化していったのであった。





4代目クラウン MS60系(1971〜1974)




展示車両 4ドアセダン 2000 スーパーサルーン(本館1階に展示)、2000 カスタム(ワゴン)

4代目クラウンは1971年に発売され、この代から「トヨペットクラウン」ではなく「トヨタクラウン」と
なって発売された。
先代までとは全く異なる方向性を持ち、「スピンドルシェイプ」と呼ばれた個性的なデザインを採用、
三角窓が廃止となり、車幅灯とウインカーランプをボンネットとフロントグリルの間に配置、バンパー
もボディ一体のカラードバンパーが採用された。
最上級グレードに4M型2.6Lエンジンが搭載されたことにより、クラウンエイト以来の3ナンバー登録車が
登場、メカニズム面では、ABSの前身となる後輪ESCやオートドライブ(現在のクルーズコントロール)、
電子制御式3速オートマチックなどが一部グレードに設定された。
先進装備も満載し、さらに上級車化されて登場した4代目クラウンだが、その個性的だったデザインが
裏目に出てしまい、ユーザーにも受け入れられなかったため販売は振るわず、ほぼ同時期に発売された
ライバル車である日産セドリック、グロリアにリードを許す結果となった。
未来を先取りし過ぎてしまったことが原因とも言われているが、生産終了から40年が過ぎた現在でも、
通称「クジラクラウン」と呼ばれており、旧車愛好家からも親しまれている。





5代目クラウン MS80系(1974〜1979)



展示車両 4ドアセダン 2600ロイヤルサルーン

4代目クラウンが結果的に失敗となってしまったこと、さらにオイルショックによるガソリン価格の
高騰や、排出ガス規制の実施など、厳しい環境が目の当たりになっており、当初の予定を繰り上げ、
3年8ヶ月でのフルモデルチェンジとなった。
TTC(Toyota Total Clean system)と呼ばれる排ガス規制対策技術を導入し、51年、53年規制を
クリア、酸化触媒やEGR、そしてEFI(電子制御燃料噴射)の導入が積極的に行われた。
デザインは直線基調のスタイルに変更し、保守的なイメージに戻した。
さらに本モデルからは、4ドアハードトップもシリーズに加わった。
最上級グレードとして、「ロイヤルサルーン」が初登場し、4輪ディスクブレーキや車速感応式パワー
ステアリング、世界初のオーバードライブ付4速オートマチックが同グレードに初採用となった。
山村聰、吉永小百合の共演するCMでも話題になった。





6代目クラウン MS110系(1979〜1983)




展示車両 4ドアセダン 2800ロイヤルサルーン(ミニカーは4ドアハードトップ スーパーエディション)

先代の直線基調のスタイルを踏襲し、6代目クラウンは1979年に登場した。
従来の4M型2.6Lエンジンが5M型2.8Lに変更され、平均車速や燃料消費量などを表示できる「クルーズ
コンピュータ」が採用される。
2トーンボディカラーが初めて設定され、上級グレードには、衝撃吸収式カラードウレタンバンパーや
運転席パワーシートも採用された。
電動サンルーフも初登場し、オプションで設定された。
発売から1年後には、ツインノックセンサー付M-TEU型 直列6気筒 2.0Lターボエンジン搭載車を追加。
クラウン史上初でもあり、トヨタ初でもあるこのターボエンジンは、最高出力145ps、最大トルク
21.5kg.mを発生し、クラウンに初搭載以降も、マークIIやソアラなどに順次設定されていった。
マイナーチェンジでは、2.8LエンジンがDOHC(ツインカム)化されたことにより出力が大幅に向上し、
さらに磨きがかけられた。
2.0Lも、新開発の1G型エンジン搭載車を設定、M型エンジンからの世代交代が始まっていった。





7代目クラウン MS120系(1983〜1987)



展示車両 4ドアハードトップ 3.0ロイヤルサルーンG

「いつかはクラウン」のキャッチコピーで、1983年に7代目が発売された。
2ドアハードトップが廃止となり、モデルの主流も4ドアセダンから4ドアハードトップとなった。
(2ドアの後継としてソアラが登場したという話もあるが、本当のところは不明。)
「クリスタルピラー」と呼ばれた樹脂処理がされたCピラーも特徴的であった。
同年に保安基準が改正されたことにより、日本では禁止となっていたドアミラーの装着が認められた
ため、4ドアハードトップに電動リモコン式ドアミラーが標準装備、後に電動格納機能も追加された。
(セダンはフェンダーミラーを引続き標準装備とした)
リヤサスペンションがセミトレーリングアーム式に変更され、ABSの前身となる4輪ESCも設定された。
最上級グレードに「ロイヤルサルーンG」が設定され、当初は5M型2.8Lエンジンであったが、1年後に
6M型3.0Lエンジンに変更された。
2.0Lエンジンは、従来のM型に変わって1G型がメインで搭載され、マイナーチェンジではM-TEU型
ターボが廃止された代わりに、新たに1G-GZE型スーパーチャージャー搭載車が設定された。
同エンジンは、日本初のスーパーチャージャー搭載機種であり、2.0Lで高出力化されたこと、レスポンス
に優れたことが注目され、8代目クラウンまで設定されたが、クランクシャフトの動力を利用して過給
するため、機械損失が大きく、燃費はあまり優れなかった。
特別仕様車として、2.0Lスーパチャージャー搭載の「アスリート」も発売された。
初めてアスリートという名称が使われたのは、11代目の170系と思われがちだが、実はもっと古く、初めて
使われたのは本モデルなのであった。





8代目クラウン MS130系(1987〜1991)



展示車両 4ドアハードトップ 3.0ロイヤルサルーンG

バブル絶頂期の頃、1987年にクラウンはフルモデルチェンジし8代目となった。
3.0Lエンジンは、7M型へと進化し、単気筒あたり4バルブ化され、ツインカム24バルブとなった。
最上級グレードのロイヤルサルーンGには、オートレベリング付電子制御エアサスペンションを採用、
今日のカーナビゲーションシステムの先駆けともいえる「エレクトロマルチビジョン」装着車を設定
するなど、さらに豪華な作りとなった。
3ナンバー車には専用のワイドボディも与えられ、より重厚感を増すものとなった。
マイナーチェンジでは、ロイヤルサルーンGにV型8気筒 4.0L 1UZ-FE型エンジン搭載車を設定。
(無鉛プレミアムガソリン指定 通称V8クラウン)
クラウンとしては、「クラウンエイト」以来のV型8気筒エンジンであり、20数年ぶりの復活となった。
同時に、3.0Lには新グレード「アスリートL」も登場、3.0Lと2.0Lスーパーチャージャー搭載車は最高
出力がアップし、無鉛プレミアムガソリン指定となった(この1年後に追加された、2.5L 1JZ型も同様)。
2.0L 1G-E型もハイメカツインカム化され、ガソリン車全機種の4バルブDOHC化が完了する。
本モデルが発売されていた1980年代後半は、世間ではバブル景気に加えて、上級セダンが市場で
活発化した、いわゆる「ハイソカーブーム」の最中でもあり、クラウンも例にもれず好調な売行き
となった。
なお、9代目の発売後も、セダンとステーションワゴンはマイナーチェンジをして継続販売された。
セダンは10代目が発売される1995年まで生産され、ステーションワゴンは11代目でエステートが
発売される1999年まで、実に12年にわたって生産された非常に息の長いモデルなのであった。





9代目クラウン JZS140系(1991〜1995)



展示車両 4ドアハードトップ マジェスタ 3.0(グレード不明)
画像下はハードトップ ロイヤルサルーン(画像提供 荒様)

バブル絶頂期に開発され、1991年に発売された9代目クラウンの最大のトピックスは、やはり上級
モデル「マジェスタ」の登場であろう。
先代クラウンのモデル途中で設定されたV8 4.0Lエンジンに、4輪ダブルウィッシュボーンサスペン
ション、クラウン史上初となるモノコックボディ、後に追加となった「i-four」に装備された同じく
クラウン史上初のフルタイム4WDや4WSなど、同じクラウンを名乗るも、違いは外観や内装だけに
とどまらず、もはや全く別のクルマと化していた。
フルモデルチェンジで発売されたのは、このマジェスタとハードトップのロイヤルシリーズのみで、
セダンとステーションワゴンは先述のとおり、旧型8代目のマイナーチェンジで継続販売された。
3.0Lは、長年にわたって生産されてきたM型エンジンから、新開発の2JZ-GE型に変更、先代で設定
された2.5L 1JZ-GE型も継続して設定された。
ハードトップのロイヤルシリーズでは、新グレード「ロイヤルツーリング」が設定され、専用チュー
ニングのサスペンションや、電子制御式5速オートマチックなどで他グレードとの差別化を図った。
しかしながら、同シリーズは、曲面を多用し過ぎた外観で、トランクリッドを厚くしたハイデッキ
スタイルとなってしまったこと、テールランプのデザインが「クラウンらしくない」という意見まで
相次いだことから、販売では苦戦を強いられてしまった。
このため、発売から2年後には大規模なマイナーチェンジを実施し、デザインを大幅に変更することと
なり、特にテールランプのデザインは先代クラウンのイメージに近いものとなった。





10代目クラウン JZS150系(1995〜1999)



展示車両 4ドアハードトップ 3.0ロイヤルサルーンG

クラウン誕生から40周年となった1995年、10代目にフルモデルチェンジして発売された。
先代モデルの反省から、ロイヤル、マジェスタともに直線基調のデザインへと方向転換を図った。
特にマジェスタは、リヤテールランプが縦長タイプとなったことで注目を浴びた。
先代ではマジェスタのみであったモノコックボディが全車に展開され、これまでのクラウンの伝統とも
なっていたペリメーターフレームを廃止し軽量化を実現、サスペンションも全車4輪ダブルウィッシュ
ボーン式となった。
安全装備も充実し、運転席・助手席エアバッグとABS、衝撃感知ドアロック解除システムが全車標準
装備化された。
マジェスタのi-fourには横滑りを防止するVSC(Vehicle Stability Control)を初採用、後にロイヤル
シリーズにも設定が拡大された。
3.0Lの2JZ型エンジンには、連続可変バルブタイミング機構(VVT-i)を採用し、燃費性能を向上、後の
一部改良やマイナーチェンジを機に他機種へも展開され、最終的にはガソリン車全車に搭載されることと
なった(後にBEAMSエンジンと呼ばれた)。
マジェスタのV8 4.0L 1UZ-FE型エンジンは、マイナーチェンジでVVT-i化されたのを機に、最高出力が
当時の規制いっぱいの280PSに到達した。
エレクトロマルチビジョンも音声案内機能が追加され、VICSへの対応も始まった。
モデルライフ途中で、ロイヤルシリーズにも2.5Lでフルタイム4WDが追加、後に3.0Lにも展開された。
10代目クラウン発売と同年の1995年には、タクシー専用モデル「クラウンコンフォート」も発売され、
法人タクシーの用途では、ほとんどがこちらに移行していった。
なお、このクラウンコンフォートは、クラウンを名乗ってはいるものの、実際のところクラウンとの
共通要素は皆無に等しい。





11代目クラウン JZS170系(1999〜2003)




展示車両 3.0ロイヤルサルーンG(ミニカーはアスリート)

「21世紀へ、このクラウンで行く」のキャッチコピーで発売された11代目は、より厳しくなっていく
衝突安全基準をクリアするため、衝突安全ボディ「GOA」に加えて、全シリーズがサッシュ付4ドア
セダンと化し、長年主役の座にあった4ドアハードトップは姿を消した。
これによって、全高が高くなったため、室内の居住性が大幅に向上した。
従来のロイヤル、マジェスタに加えて、スポーティ志向の新シリーズ「アスリート」が加わる。
発売から数ヶ月遅れてワゴンもフルモデルチェンジし、8代目以来12年ぶりに一新され、「エステート」
として発売、ロイヤルサルーンとアスリートの両方が設定された。
「アスリート」の名称は8代目クラウン以来の復活となったが、シリーズ展開としては初めてであり、
専用フロントグリルにホイール、丸目4灯ヘッドランプ、さらに専用スポーツサスペンション、2.5L
1JZ-GTE型 VVT-iターボエンジン(280PS)を搭載した「アスリートV」など、ロイヤルサルーンとの
違いは、以前のアスリート以上に明確なものとなった。
エンジンは、3.0Lに筒内直接噴射方式(D-4)を採用、後に2.5Lにも展開された(4WD車は除く)。
なお、ディーゼル車の設定が、本モデルからなくなっている。
マイナーチェンジでは、3.0Lロイヤルサルーンに、2JZ-FSEエンジン+モーターを搭載した「マイルド
ハイブリッド」を追加、ディスチャージヘッドランプも設定拡大された。
エステートは、マイナーチェンジでロイヤルサルーンを廃止、アスリートシリーズ1本に絞られ、12代目
クラウン発売後も2007年まで生産が続けられた。





12代目クラウン GRS180系(2003〜2008)



展示車両 3.0ロイヤルサルーンG

「ZERO CROWN かつてゴールだったクルマが、いまスタートになる」
このキャッチコピーで12代目クラウンは登場した。通称「ゼロクラ」。
エンジン、プラットフォーム、足回り全てが一新されて登場し、デザインはこれまでの保守的なイメージから
スポーティさを強調したものとなり、テールランプも横一文字型から左右独立型となった。
エンジンは、およそ40年にわたって搭載されてきた直列6気筒エンジンに終止符を打ち、3.0L、2.5Lともに、
新開発のGR系V型6気筒エンジンに切り替えられた。ハイブリッドはラインアップされなかった。
サスペンションはフロントはダブルウィッシュボーン、リヤにはマルチリンク式が採用された。
シーケンシャルシフト付6速オートマチックや、ナイトビュー、ヘッドランプコントロールシステム(AFS)など、
新技術も惜しみなく投入された。
マイナーチェンジでは、ナビゲーションシステムがHDD式に変更され、アスリートはエンジンが3.0Lから3.5Lの
2GR-FSE型に変更された。
同エンジンは直接噴射式(D-4)に加えて、エンジンの回転負荷に応じてポート噴射も行う「D-4 S」が採用
された。さらに、280PS上限規制が廃止されたことにより、最高出力は315PSまでパワーアップし、マジェスタ
をも上回った。
セダン需要の縮小が進む中、歴代クラウンの中でも例を見ないほどの大胆な変革を実行した「ゼロクラ」は、
旧来からのユーザーに加えて、新規ユーザーの開拓にも成功したヒット作となった。
また、アスリートの存在感がより一層強くなったモデルでもあり、「クラウンはロイヤルサルーン」という、
暗黙の了解のようにできていた概念もなくなりつつあった。
ワゴンは先述のとおり、先代のエステートが2007年まで継続生産されたが、後継はついにデビューすること
なく、この生産終了をもって事実上消滅となった。
一方、マジェスタはゼロクラ登場から半年ほど遅れてフルモデルチェンジ、排気量がアップされ、V型8気筒
4.3L 3UZ-FE型となった(最高出力は280PSのまま)。
上級車種のセルシオが2006年にレクサスブランドへ移行し、レクサスLSとして登場したため、センチュリー
を除き、トヨタブランドとしてはマジェスタが最上級車種となったのであった。





13代目クラウン GRS200系(2008〜2012)




(パネル展示のみ)
画像左上 ロイヤルサルーン、画像右上 アスリート、画像左下 ハイブリッド、画像右下 マジェスタ(画像提供 荒様)

好評であったゼロクラのイメージを踏襲しながら、2008年にバトンタッチ。
まさしく、ゼロクラの正常進化ともいえるのが13代目クラウンである。
ブレーキ、エンジン、ステアリングの統合制御を行うVDIMや、可変ギア比ステアリング(VGRS)、ミリ波レーダー
式プリクラッシュセーフティシステム(PCS)などが装備された。
シリーズラインアップは、ロイヤルが2.5Lと3.0L、アスリートシリーズは2.5Lと3.5Lで変わりないが、本モデル
からハイブリッドが新たにシリーズ追加された。
先々代に設定されていたマイルドハイブリッドとは異なる本格的なハイブリッドであり、レクサスGS450hなどに
搭載されている、3.5L 2GR-FSE型+モーターであり、このハイブリッドがシリーズの頂点となっていた。
マイナーチェンジでは、エコカー減税対応車の拡大に伴い、2.5Lエンジンは出力が若干低下したものの、
レギュラーガソリン仕様へと変更された。
マジェスタは、1年遅れて2009年にフルモデルチェンジ。排気量を更に拡大し、V型8気筒 4.6L 1UR-FSE型を
搭載、トランスミッションも8速化された。
(但し、4WDモデルのi-fourは先代と同じ4.3L 3UZ-FE+6速A/Tを搭載)
全長、全幅、ホイールベースも拡大され、かつてトヨタブランドで発売されていたセルシオに近付いていた。
最上級グレードのGタイプには、大型センターコンソールを装備した4人乗り仕様まで設定されていた。





14代目クラウン GRS210系(2012〜現在)




(パネル展示のみ)
画像左上と右上 ハイブリッド アスリートG ReBORN PINK(東京モーターショー2013にて撮影)
画像左下 ロイヤルサルーン、画像右下 マジェスタ(画像提供 荒様)

更なる変革をテーマに掲げて2012年にフルモデルチェンジ、現行型クラウンは数えて14代目となる。
ミニバンやSUVなどといった乗用車の多種多様化や、クラウンユーザーの高齢化による若返りが必要に
なってきたことが背景にあるようだ。
シリーズ体系は、ロイヤル、アスリートシリーズを主軸に、それぞれハイブリッドも設定する形となった。
パワートレーンは、3.0Lが廃止となり、2.5Lをメインとした展開がされ、ガソリンエンジンは、両シリーズ
共通でV6 2.5L 4GR-FSE型を継続して設定。アスリートには、3.5L+8速オートマチックも用意されている。
ハイブリッドは、両シリーズとも2.5L 2AR-FSE型 アトキンソンサイクルの直列4気筒エンジンにモーターを
組合せたものであり、「クラウンは6気筒」という概念からも脱却を図ったのであった。
先代の3.5Lハイブリッドと比べて、小排気量化され、価格が100万近く安く設定されたことから、ハイブリ
ッドが販売のメインとなっている。
なお、パーキングブレーキが、従来の足踏み&リリースレバー式から、足踏みダブルアクション式に変更された。
2013年9月からは、発売当初から話題になっていた、「アスリートG ReBORN PINK」(通称ピンククラウン)を
1ヶ月間限定で発売し、全国で約650台を受注した。
さらに2015年4月には、クラウン誕生60周年記念として、「アスリートS 空色edition」と、「アスリートS
若草色edition」がピンク同様に1ヶ月間限定で発売された。
マジェスタは半年遅れで登場したが、専用ボディではなくなり、ロイヤルシリーズをベースに、ホイールベース
を75mm延長するにとどまった。
このため、専用グリルが与えられてはいるものの、外観ではロイヤルシリーズとの見分けがつきにくくなって
おり、マジェスタの定番ともいえたV型8気筒エンジンも廃止され、V6 3.5L 2GR型エンジン+モーターのハイ
ブリッドとのみとなり、後に追加された4WDモデルにおいては、ロイヤル、アスリートシリーズと同じ2.5Lの
4気筒+モーターのハイブリッドとなった。





参考書籍
日本自動車史年表 GP企画センター編(グランプリ出版)
トヨタ自動車の研究 その足跡をたどる 岡崎宏司・畔柳俊雄・熊野 学・遠藤 徹・桂木洋二 共著(グランプリ出版)


画像提供 荒様 ありがとうございました。




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