名ブランド、相次ぐ「リストラ」?
近頃、長年親しまれてきた車名が続々と姿を消す傾向が見られる。
45年にわたって販売され、一時は国内販売台数1位を記録したこともあるコロナや、足のいい
ヤツというフレーズで親しまれてきたカリーナ、スーパースポーツセダン(SSS)という愛称で
親しまれてきたブルーバード。いずれも30年以上日本のクルマ社会を支えてきたクルマと言えよう。
特にブルーバードとコロナに関しては「BC戦争」という言葉も聞かれたくらいである。
これらのネームブランドは、すべて2001年中に消滅し、まったく違う新しいブランドとして
生まれ変わるかたちとなり、コロナはプレミオ、カリーナはアリオン、ブルーバードはブルー
バードシルフィとして新しいスタートをきったばかりである。
だが、なぜ長年親しまれてきたブランドを消滅させる必要があるのだろうか。
ネーミングを一新して、また1からセダンをつくりなおそうという意気込みだと解釈することが
出来ると思う。だが、現実では「名前が古くさい」「オッサンが乗るクルマみたいだ」
というブランドの古さを指摘した意見が出てきていたのであった。
ワゴンやSUVが多く出回ることにより、セダンが不調となったこの頃。セダンを
買う年齢
層は50代、60代と上昇していく一方だった。このことに、各メーカーは頭を抱えていたに
ちがいない。この打開策として、ネーミングを一新するという結論になったものとうかがえてくる。
以前、プレミオの発表会に足を運んだとき、営業マンはこう話していた。「今回のターゲット
は幅広い」と。ネーミングを一新することによって、「セダンの若返り」を狙っていたのである。
ただ、ここでふと思うことは、プレミオを今までコロナに乗っていたユーザーが見れば「なんと
まあすごい変わり方なんだ」と思うのではないかということ。外観を見るだけでそう思うユー
ザーもいることだろう。セダンの若返りを図ったとはいえ、これだけの変わり方が従来のコロナ
ユーザーに理解されるだろうかという疑問も少々残るし、「なんでわざわざ名前を変えたりした
んだ、コロナのままだって別に問題なかろう」という声も多少はあったはずである。
ブルーバードについては「ブルーバードシルフィ」という名前で売り出したが、メーカー側と
しては「シルフィ」として売りたかったという話を聞いたことがある。
これも「ブルーバードという名前が古くさい」といった指摘があったからなのかもしれない。
だが、これに販売側が「ブルーバードは残せ!」と猛反発し、「ブルーバードシルフィ」と
なった経緯があるようだ。
「ネーミングを変えたがる」ということには、ある傾向が考えられる。
クルマのモデルチェンジを例にしてみよう。日本では4年から5年に一度フルモデルチェンジを
行なうのが一般的だ。マイナーチェンジ、いわゆる小規模の変更も2年に一度は必ず行なわれて
いる。だが、海外を見てみよう。メルセデスベンツやBMWが4年もしくは5年に一度フルモデル
チェンジを行なった例があるだろうか。少なくとも一度モデルチェンジをしたら10年近くは
もってもおかしくないのである。
日本車のモデルサイクルが短いのは、日本人が飽きっぽいからという話を聞いたことがある。
これがもし本当だとすれば、ネーミングを変更したがることも、モデルチェンジの場合と同様
な理由からではないかと推測することも可能である。