環境問題&住民紛争


  「環境問題と住民紛争」は、市民部門の私が掲げている専門分野の一つです。廃棄物の焼却場建設や最終処分場の立地問題等、いろいろな問題で全国的に沢山の環境紛争が発生しています。

 (*昔は空気や水や土壌を汚しても、自然の浄化能力が大きく問題になりませんでした。
しかしながら、産業が発展した現在は、何も処理せずに自然環境中に放出することはできません。人間が生きていくために必要な水や空気をだめにしてしまいます。
しかし、水や空を元通りにする費用は、誰かが支払うだろうと考え、汚したまま放置されることがよくありました。

  一方、排出者責任の追及は年々厳しくなってきましたが、経済学では市場に表れない自然の修復費用等を外部不経済として取り扱います。環境問題には外部不経済と考えられる問題がが多いように思います。

  焼却場建設をめぐる紛争も、「どこかに作らなければならないので、地元民は、我慢して。」ということで紛争になります。
 施設の必要性は認めても、「自分の所はダメ。」というわけです。
迷惑料や適正処理のお金が正しく払われずに(外部不経済にあたる部分)、紛争に発展します。
代償としてのお金を受け取り、我慢して受け入れる人々と絶対に我慢できないとする人々で住民紛争は分裂することもよくあります。
一例として、滋賀県滋賀郡志賀町(現・大津市)で発生したごみ焼却施設計画をめぐる官民の紛争がありました。
実は紛争には、たくさんの目に見えないお金が使われます。経済学では反対する住民の労苦を、機会費用という手法を使ってお金に換算できます。
旧志賀町の紛争コストを計算したところ、2004年度1年間で当時の町の一般会計の6%に当たる約4億6,000万円に上るお金が使われていました。(2008年10月22日、毎日新聞夕刊、1面)。
  紛争は戦争ほどではないにしても、たくさんの負の遺産を発生させます。紛争は問題点をクローズアップさせ広く世間の人に
知ってもらい結果としてよりよい解決につながるなど必ずしも否定されるものではありませんが、ある段階からは秩序ある話し合いと収拾に向かうことが望ましいと考えています。
  
      
  
 滋賀県における住民紛争(過去の歴史)
 (1)栗原の産業廃棄物焼却場建設計画⇒工事中
 (2)栗東RD処分場問題⇒工事中リンクの住民紛争参照
 (3)甲賀最終処分場(クリンセンター滋賀)⇒工事中