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久喜市議会議員 いのまた和雄
市政報告『声と眼』 701号
2025年 11月24日


701号ファイル

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★久喜市議会では本会議をインターネットのライブ中継で見ることができます。
11月議会から委員会もユーチューブでライブ中継を開始します。
日程等は市議会のホームページ・公共施設のポスター等をご覧ください。★


給食のアレルギー事故を防ぐために

 11月11日に教育環境委員会で、学校給食のアレルギー事故対策について、所管事務調査を行いました。

 昨年、学校給食で児童生徒のアレルギー事故が9件も発生しました。その後、今年も9月までに5件の事故があったことがわかりました。
◆アレルギーを持つ生徒に、給食センターから代替食が届いていたのに、学校で誤って通常食を配膳してしまった、
◆事前に詳細献立で保護者がアレルギー食材をチェックしていたのに、担任教師が気付かずに除去せずに食べてしまった、
◆当日は持参した弁当を食べることになっていたのに、誤って通常食を配膳してしまったケースもありました。
いずれも運良く軽症ですみました。

 給食のアレルギー対応は、保護者と児童生徒本人、担任の教師と給食主任が連携して、誤食を防ぐ仕組みを作っています。
しかし現実には給食準備の短い時間で、教師がチェックできないでいる内に、代替食が配膳されなかったり、アレルギー食材を除去しないで食べてしまったというケースが起きています。

 教育委員会では昨年の事故の反省に立って、11月から職員室や教室に、《アレルギー対応食配膳ガイド》《アレルギー食材除去ガイド》などを貼り出してチェックを徹底させてきました。
またアレルギー事故が発生したら、すぐに市内全小中学校に速報して、各校の注意喚起を図ることにしました。
問題はそれらが全教職員に徹底できているかどうかです。

 アレルギー対応は命に関わります。
まず朝の職員会議などで、全教職員がその日の給食にアレルギー食材があるかどうかの認識を共有するべきではないでしょうか。
その上で担任教師と給食主任とで、児童生徒1人1人についての対応(代替食か、弁当か、食材の除去か)を確認しておくよう求めました。

【11月市議会】 産業団地造成工事で地下から廃棄物

 栗橋の高柳地区で、県企業局が産業団地の造成を進めています。
久喜市が地元調整や交渉を担当して、県が地権者からの用地買収を行っています。
これまで事業予定地内では土壌汚染や地中に廃棄物は存在しないとされてきました。
ところが県が造成工事に入って、昨年2月に地中から木片・鉄くず・廃プラスチック等の廃棄物が発見され、その量は2000?、廃棄物の処理費用は1億5000万円にものぼることがわかりました。

 廃棄物の処理費用の負担について協議してきた結果、全額を久喜市が負担することになりそうです。
●産業団地整備に当たっての県と市との協定書で、「事業地内で確認された廃棄物等の処理に関すること」は市の責任と規定されています。
●一方、土地買収の際の合意書では、売却後に判明した廃棄物の処理に必要な費用は旧所有者が負担すると明記されています。
●しかし市の判断では、当該の土地売却代金は1600万円程度であり、その10倍もの処理費用を請求することはできないという結論になりました。
 市の補正予算と26年度当初予算の歳出で「廃棄物処理負担金」約1億5000万円が計上される予定です。

公共施設の地下埋設物はだいじょうぶか

 過去にも市有地を民間に売却した後でアスベストなどが出てきて、市が処理費用を負担せざるを得なかったことが何度もありました。
今回のケースも事前の調査が不十分だったことは否めません。市の遊休地を処分する際には、事前に十分な調査をしておかないと責任が問われる怖れがあります。

 当面、問題になってくるのが衛生組合の焼却炉の解体工事です。
新ごみ処理施設の完成後に、久喜宮代清掃センター・八甫センター・菖蒲センターの焼却炉やし尿処理施設の解体工事を行いますが、久喜市の責任で実施することになっています。
規制が緩やかだった数十年前に、清掃センターの地下に廃棄物が埋められていたり、有害物質が出てくるのではないかと危惧されています。


【11月市議会】 市議会ハラスメント防止条例制定へ

 昨年から市議会代表者会議で「ハラスメント防止条例」の制定を協議してきました。
条例案の内容について全会派で合意できたので、11月議会への上程が決まりました。

 当初、代表者会議では執行部と協力して議会と職員のすべてに適用する一体的な条例を作ることも検討しました。
しかし市長の考えがはっきりしなかったため、市議会単独で先行して検討を進めてきました。
市長は今年6月に『ハラスメント撲滅宣言』を行いましたが、職員からの申立て窓口の設置や強制力を伴った調査などを規定した「ハラスメント防止条例」を策定する方針は示されていません。

久喜市議会ハラスメント防止条例(案)

 議員は市民の負託を受けた代表者であることから、市政に携わる権能と責務を深く自覚し、地方自治の本旨を体現するとともに、住民の全体の奉仕者として住民の福祉向上に努めなければならない。

 ハラスメントは基本的人権、個人の尊厳を著しく傷つける悪質な人権侵害であり、業務への支障につながり、ひいては市民サービスを低下させるものである。したがって市民のみならず社会からの信用及び信頼を失うこととなる。

 よって、久喜市議会は、議員及び議会としての役割を十分発揮するため、互いに人権を尊重し相互信頼を深めることを通じて、議員によるハラスメントの根絶と未然防止をすることにより、市民から信頼される議会の実現に資することを決意し、この条例を制定する。

第1条(目的) この条例は、議員間及び議員による職員に対するハラスメントを根絶し、及び未然に防止することを目的とする。

第2条(定義) この条例において「ハラスメント」とは、パワー・ハラスメント、セクシュアル・ハラスメント、妊娠・出産・育児又は介護に関するハラスメント、その他のハラスメントをいう。

第3条(議員の責務) 議員は、ハラスメントが議員及び職員の個人の尊厳を不当に傷つけ、労働意欲を低下させ及び執務環境を害するものであること並びに議員同士又は議員及び職員が職務遂行上の対等な立場にあることを自覚し、個人の人格を尊重した活動をしなければならない。
2 議員は、ハラスメントと疑われたときは、自ら誠実な態度をもって疑惑の解明に当たるとともに、その責任を明確にしなければならない。
3 議員は、他の議員の行為がハラスメントに該当するおそれがあると認められる事態に遭遇したときは、当該行為を行っている議員に対し厳に慎むべき旨を指摘し、遭遇した事態について速やかに議長に報告しなければならない。

第4条(議長の責務) 議長は、議員によるハラスメントの防止に努めるとともに、議員によるハラスメントがあると認めるときは、ハラスメントの防止のための措置を迅速かつ適切に講じなければならない。

第5条(相談及び苦情の申出) 議長は、議員によるハラスメントに関する相談及び申立てを受け付けるため、ハラスメント相談及び申立て窓口を置くものとする。

第6条(事実関係の調査等) 議長は、前条に基づく相談及び申立てを受けたとき又は議員によるハラスメントの疑いが生じたときは、速やかに各会派の代表者からなる調査委員会又はハラスメントに関する専門的知識又は識見を有する者からなる第三者委員会を設置して調査を行い、当該事案に係る事実関係を把握しなければならない。

第7条(対応措置) 議長は、前条の規定による調査委員会又は第三者委員会の調査結果及び意見に基づき、ハラスメントを行った議員に対して指導、助言又は注意を行うものとする。
2 議長は、前条の規定による調査結果に基づき、とるべき必要な措置について検討するものとする。
3 前項の規定により再発防止措置が必要であると判断されたものは、議長が別に定める対策を講ずるものとする。

第8条(公表等) 議長は、特に重大事案であると認めるときは、前条第2項に基づき、当該ハラスメントを行った議員の氏名を公表するとともに、必要な措置を講ずるものとする。

第9条(研修等) 議長は、ハラスメントの防止及び根絶を図るために必要な研修等の実施に努めるものとする。

第10条(議長職務の代行) 議長が調査の対象となったときは副議長が、議長及び副議長がともに調査の対象となったときは年長の議員が、この条例に規定する議長の職務を行う。

第11条(被害者等のプライバシーの保護等) 議員及び職員は、ハラスメントの被害者及び関係者のプライバシーの保護に十分配慮し、職務上知り得た秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後も同様とする。

第12条(継続的な検討) 議会は、この条例の定める事項について、検討を加える必要があると認めたときは、速やかに所要の措置を講ずるものとする。

第13条(委任) この条例に定めるもののほか、この条例の施行に関し必要な事項は、議長が別に定める。

附 則
この条例は、公布の日から施行する。

提案理由
久喜市議会は、議員及び議会としての役割を十分発揮するため、互いに人権を尊重し相互信頼を深めることを通じて、議員によるハラスメントの根絶と未然防止をすることにより、市民から信頼される議会の実現に資することを決意し、この案を提出する
 

 条例案は、被害の申立て窓口を明確にし、第三者による強制力を持った調査、対応も定めました。

★市長はなぜ職員間のハラスメントを防止するための条例を制定しないのか。
市の職員アンケートには、部長級以下の職員によるハラスメントがあったと書かれているのに、申立て窓口もなく、報復が怖くて訴え出られない(?)状況もあるようだ。★









久喜市議会議員 いのまた和雄
市政報告『声と眼』 700号
2025年 11月 3日


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11月定例市議会の日程 

私たちは政務活動費を何に使ったか

  久喜市議会では4半期ごとに1人1か月3万円の政務活動費が各会派に交付され、支出報告書と領収書の提出が義務付けられています。
市民の政治を進める会(猪股・川辺・田村)の7~9月分の使途報告と明細です。



久喜市のハラスメント 何があったのか!?
『声と眼』700号 2025/11/1

 昨年、市は職員アンケートで、職員によるハラスメント調査を行いました。
回答した職員の13.8%にあたる104人が「ハラスメントを受けたことがある」と回答し、部長級以下の管理職らによるパワハラがあったことがわかりました。
市は人数や割合などの集計結果は公表したものの、具体的な内容などはいっさい明らかにしていません。
私は4月にアンケート結果の情報公開を請求しましたが、ハラスメントの内容に関する自由記述欄の回答はすべて真っ黒のスミ塗りで非公開とされました。
個人が特定できるものの「非公開」はあたりまえですが、それ以外の記述までスミ塗りというのはやりすぎです。
そこで9月に、個人が特定できる以外の記述の公開を求めて、異議申立ての行政不服審査請求を提出しました。
市からは公開できない理由を書いた「弁明書」が送られてきました。

 情報公開条例では「特定の個人を識別することができるもの」は非公開とすると明確に規定しています。
しかし市の「弁明書」では、「個人が特定または推測される怖れがある」、「怖れがあり得る」ものも非公開としたと書かれています。
条例の規程を勝手に拡げて、「恐れ」や「怖れがあり得る」ものまで非公開とするのは、条例の恣意的な拡大解釈で認められません。

 職員アンケートで職員によるハラスメントが100件以上も書かれているのに、何があってどう対処したのかはいっさい明らかにしない…。
これは市政にとって都合の悪いものは隠しておこうという、久喜市政の秘密主義の典型と言って過言ではありません。

 また「弁明書」には、「相談してきた職員は行為者に対して伝えないでほしいと要望している。報復や行為者との関係悪化を危惧するが故の選択である」とも書かれていました。
しかしだからといって、行為者に対する調査もしないのではハラスメントは解決できません。
たとえば解決するまでは当事者同士が職場で顔を合わせないような配慮をした上で、調査や対策を行う必要があるのではないでしょうか。

★川越市では職場におけるハラスメント防止のための指針で、内部および外部の法律事務所などに委託して相談窓口を設置することや、ハラスメント審査委員会の設置、行為者への処分なども規定しています。★

生活保護世帯がまた増加傾向か
『声と眼』700号 2025/10/30

 久喜市内の生活保護受給世帯数は2023年にはじめて1400世帯を超え、24年7月には1438世帯まで増えました。
人数でも一時は1850人を超えていましたが、今年4月以降は1700人台でやや落ち着いています。
一方、市の生活支援課への相談件数は今年度上半期(4~9月)だけで344世帯、その内の150世帯が保護申請し、119世帯が支給開始となっていて、昨年を大きく上回るペースで増えています。
今年9月の生活保護受給者数は1431世帯(1788人)でしたが、このままではまた増加に転じるのではないかと思われます。
25年度 市への相談・申請・決定の件数と生活保護世帯数・人数
相談 (昨年比) 申請 (昨年比) 決定 (昨年比) 世帯数 人数
4 46 (▲8) 25 (+2) 18 (+5) 1419 1789
5 53 (▲6) 26 (▲10) 19 (▲3) 1418 1788
6 60 (+25) 27 (+12) 23 (+5) 1426 1793
7 74 (+29) 29 (▲2) 18 (±0) 1426 1786
8 46 (±0) 24 (+5) 19 (▲7) 1424 1781
9 65 (+15) 19 (+5) 29 (+17) 1431 1788

 生活保護受給者数の推移を見ると、2015年9月には1144世帯(1634人)でしたから、10年間で世帯数は25%増、人数は約10%増になっています。
人口は減少傾向にあるのに、生活保護受給者は増え続けています。
コロナ禍の生活困窮から回復できていない上に、引き続くインフレと実質賃金の低下で貧困と格差がいっそう拡大していることは明らかです。

高齢者ひとり暮らしの生活困窮が増加

 生活保護世帯の内訳を昨年同期と比較すると、世帯数はあまり変わらないのに、ひとり暮らしの高齢者世帯の受給者が増え続けています。
生活保護を受給している1431世帯の内で、高齢者世帯が740世帯で51.7%を占めています。
生活保護受給世帯の中で、ひとり暮らしで10%、2人以上の世帯では25%の人が働いています。
しかしその賃金や年金だけでは保護基準以下の収入しか得られないため、生活保護を受けています。
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単身世帯数 2人以上の世帯数
高齢者 障害者 傷病者 その他 高齢者 障害者 傷病者 母子 その他
675 194 126 173 65 31 18 42 107
1168世帯(1168人) 263世帯(620人)
24

663 184 135 166 70 28 29 48 107
1148世帯(1148人) 282世帯(679人)

 久喜市の生活保護基準(「健康で文化的な最低限度の生活」に必要と国が定めた額)は、年齢によって違いますが1人6~7万円弱で、住宅扶助(家賃)がひとり暮らしで3万7000円などとなっています。

外国人の不正受給が多いというデマ

 今年の参院選で、『外国人の生活保護受給者が増えている』『外国人の多くは不正受給者だ』というような宣伝が流されました。
久喜市の外国人の生活保護受給者は36世帯(60人)で、増えてはいません。
市内の生活保護受給者に占める割合は世帯数で2.5%、人数で計算しても3.4%です。
また久喜市の外国人数4765人の内の生活保護受給者は1.3%で、日本人とほとんど同じ割合です。
外国人の生活保護や不正受給が多いというのは“デマ”と言うしかありません。

社協の生活困窮者自立支援事業も

 社会福祉協議会でも困窮者自立支援事業を行っています。
社協への相談件数も上半期だけで282件に上り、昨年よりも増加傾向を示しています。
『生活費がない』『食べる物がない』などの切実な相談も多く、緊急一時貸し付けは65件にのぼりました。
生活保護にあたると判断されて、市の生活支援課を紹介したケースも29件あり、その内の14件が保護開始になっています。

『生活保護基準引上げ反対』の議員の論理

9月市議会で私が提案した「生活保護基準引下げを違法とした最高裁判決を踏まえ、生活保護利用者への補償措置を求める意見書」は、みらいと公明党の反対で否決されました。
反対の理由は『生活保護基準の最低生活費以下で生活している人もいる。生活保護基準を引き上げてそうした低所得者の生活水準を超えてはならない』『生活保護基準を引き上げると、低所得者との公平性が損なわれる』と言います。
しかし“もっと苦しい人がいるんだから生活保護基準を引き上げる必要はない”というのは、社会保障に逆行する考え方です。
年金や賃金収入が生活保護基準にも届かないで生活が苦しい場合には、当然に生活保護を申請する権利があります。
そうした困窮者を放置しておかないで、生活保護の申請を勧めるのが政治の役割ではないでしょうか。

★最近よく生活保護の実態について聞かれることがあります。
私は市生活支援課から、市内の生活保護の推移の資料を提供してもらっていて、調べればそれらが悪意と偏見によるデマだということはすぐにわかるのですが。★