翠簾洞 素舟齋 写
外部参照【 調べてみよう 盆栽用語集 】
あかだまつち【赤玉土】 盆栽に使う用土の種類のひとつ。多孔質で水持ちが良く、しかも空気の流通が良いことからほとんどの盆栽で多用されている。
あしらい【あしらい】 とりあわせ。主となるものを引き立てるためにつけるもの。席飾りにおいて主木に対する添えをさす場合もある。
あたま【頭】 盆栽の頭部。樹冠とも言う。盆樹の頂点に来る頭は樹形でもっとも重要な部分である。不等辺三角形が盆栽の基本となる形だが、頭は丸い方が古木感が出せる。頭をうまくまとめられるかどうかで、その人の技量を図ることが出来る。
あまい【甘い】 灌水量を表す言葉。「水が甘い」とは、灌水量が多め、つまり1日の灌水回数が多いという意味。逆に灌水の度合いが少ない場合は、水が【辛い(からい)】という。
あらき/あらぎ【新木】 山採り後で仮植え中のものや、畑上げものなどでまだ手が入れられていない、これから本格的に樹作りを始めようという素材のこと。
いかだぶき【筏吹き】 幹が倒れ、そこから出た枝が幹となった多幹樹形のひとつ。山の中でよく見られる姿だったためか、樹形としては根連なりよりも古くからあった。
いきみち【生き道】 水吸いとも言う。真柏・杜松などによく見られるもので、幹の一部が枯れ白骨化した部分【ジン・シャリ】以外の、まだ生きて水分を枝葉に供給している部分のこと。先に挙げた樹種などでは、シャリとの絡み具合を”芸”として鑑賞することが多い。
いっさいしょう【一才性】 種を蒔いたその年に開花結実する品種のことだが、盆栽・園芸界では、実生・接ぎ木・挿し木後1〜2年で開花結実するものを指す。
いちのえだ【一の枝】 根元から数えて、最初にある枝のこと。単にこの語句だけを用いた場合左右は問わないが、「右一の枝」と称せば右側に限定して一番下の枝を指す。樹形の基本となる重要な枝で、この枝の高さ(出位置)、長さ、幹の太さとの関係が樹高、樹形などを大きく左右する。
うえつけかくど【植え付け角度】 前後左右を問わず、樹を植え付ける角度のこと。これを変えることによって、かなりのイメージチェンジも可能であり、樹形構想のポイントになる。また、植え付け角度を変更し新たな樹芯を立てた場合、枝角度にも修正が必要となる。
うえつち【植え土】 盆栽を鉢に植える際に用いる土。一般には用土という。基本的にゴロ土や化粧砂とは分けて考える。保水性に富み、排水性・空気の流通が良く、粒子の崩れにくいものが最適とされる。さまざまな土や砂の種類とその配合が研究されており、更に最近ではふるえばそのまま使える配合土も販売されている。
うけえだ【受け枝】 利き枝に対して力のバランスを取る役目を果たしているのが受け枝である。利き枝とともに樹全体を引き締める重要な役割を担い、たいていは利き枝よりも短くて、反対側に位置している。
うしろえだ【後ろ枝】 樹の後ろ側に伸びている枝。裏枝ともいう。正面から見ればつい左右の枝配置ばかりに気を取られてしまうが、この枝によって樹の奥行きを表現する重要な枝。左右の枝の間からさりげなく覗かせるのがおしゃれ。
うわつち【上土】 鉢の表層部の土。肥料カスや汚れがつきやすく、放っておくと劣化して固まり、水通りが悪くなるので、植え替えの際にはしっかりと落とすことを心掛けたい。
うわね【上根】 幹元からすぐ、土面に近い位置から出ている根のこと。土の表面に出ている根を特に根張りと言い、鑑賞・評価の対象になる。真下に伸びる「直根」は盆樹に必要ないので切除されるため、この上根は樹の生長のために大切な存在である。
えだうち【枝打ち】 枝の付き方や出方。狭義には「枝順」とほぼ同じだが、長さや模様といった枝の芸味を含めた解釈でも用いられる。「枝付き」とも言いう。
えだじゅん【枝順】 役枝の順序。右左右と交互に置かれるのが理想で、枝順の基本とされる。
えだしん【枝芯】 枝の芯、枝の流れの中心。一つの枝の枝芯は、言うならばその枝の幹にあたるので、幹と同じようにコケ順や模様にも気を配りたい。
えだそうさ【枝操作】 枝の位置を移動させること。欲しい位置に近くの枝を寄せて来たり、上がり気味の枝を下げたりすること。
えだだな【枝棚】 ひとつひとつの枝から出る小枝や葉をワンブロックにまとめたもの。単なる固まりにするのではなく、フトコロ部への日照・通風を促すと同時に、奥行き・立体感を表現するなどの目的で、小さいブロックが集まった形で、ひと棚を作ること。
えだふせ【枝伏せ】 上向きの枝を水平もしくは下向きに伏せること。目的は次の通り。「フトコロ部へ日照・通風を改善する」「枝先の力を抑制する」「時代感(古相)を表現できる」
えだぼね【枝骨】 枝の骨格。枝芯も意味に含まれる。
おいこみ【追い込み】 フトコロに近い芽のすぐ先まで切り戻し、それにより次の芽の成長を促す剪定方法のこと。小枝の先端は細く維持したい部分だが、何年も経つと徐々に太ってくる。こうした時の枝先の更新には、この追い込み剪定が欠かせない。換言すれば、いつでも追い込めるようにフトコロ芽を守ることが樹形維持のコツである。【切り戻し】参照。
かたえだ【片枝】 幹の片側に枝が集中して、反対側には少ない状態。直幹や模様木樹形には不向きだが、吹き流し樹形などでは映える。寄せ植えには好都合になる。
かたね【片根】 幹の片方にしか根がない状態。樹形にもよるが、見た目の安定感には欠ける。
かたまる【固まる】 新芽が成長し、枝になることを指す。同様に新芽の成長もさす。
かぬまつち【鹿沼土】 用土の種類のひとつ。表面に無数の毛管孔隙があり 、空気や吸収した水分をその孔隙内部に含むので、普通の畑土のおよそ2〜3倍の保水性を持ち、排水性・保肥性にも富む。さつき盆栽の主要土として重宝される。
かぶわけ【株分け】 株状になる樹種に用いられる繁殖法。親株から子株をいくつか分割して培養し、それぞれに独立した個体にする方法。無性繁殖なので、親株と同じ性質を持つものを増やすことができる。他の無性繁殖の例としては、挿し木・取り木・接ぎ木などがある。
からい【辛い】 水やりや施す肥料の量および回数が少ないこと。[甘い]参照。
からみね【絡み根】 他の根と絡み合っている根。根張りの美観上好ましくないので、植え替えの際にほぐして矯正するか、多いものならば切り取る。
カルス 癒合組織のこと。細胞を増加させ傷ついた部分を覆い隠す。樹の再生機能。
かわりぎ【変わり木】 直幹・模様木・懸崖などの、どのカテゴリーにも当てはまらない樹形。個性をうまく活かせば、味わいのある樹になる。
かんじょうはくひ【環状剥皮】 取り木の方法のひとつで、樹皮を環状に剥ぎ、その部分から発根させる方法。普通は取る部分の太さ(直径)の1.5倍の幅を目安に、形成層を完全に剥いで水ゴケなどで覆っておく。
かんれいしゃ【寒冷紗】 木綿やナイロンなどをごく粗めに織った広幅の布。夏は直射日光、冬は霜などを遮るために棚場や樹の上を覆う。
ききえだ【利き枝】 枝順には関係なく、樹全体の中でポイントとなっている枝。一の枝とは限らず、全体を見た中でアクセントになっており、印象に強く残る、もしくは余韻が残る枝である。この作り方によって樹の印象は大きく変わってくる重要な枝。
ぎせいし【犠牲枝】 樹形的な面から見れば不要な枝なのだが、枝元を太らせたい、傷を巻かせたい等、樹格向上のために故意に残しておく枝のこと。幹骨を作る段階の養成木によく使われる。徒長枝を2、3年残しておくことが多いが、いずれ切られる運命にある。
きょくづけ【曲付け】 幹や枝を針金などで曲げ、全体の流れや形を整えて風情を出すこと。「模様を入れる」ともいう。
きりこみ【切り込み】 →【剪定】
きりもどし【切り戻し】 枝を作り替える方法のひとつ。枝元にある芽の先の部分で枝先を切り落とし、その芽を伸ばして新たに枝を作っていく方法。枝先の更新には欠かせない剪定方法。【追い込み]参照。
くいつきえだ【食いつき枝】 幹の途中に、食いつくように出ている他の枝より極端に短い枝。樹形を大きく左右する存在ではないが、アクセントとして重要な役割を果たす。細幹素材や文人木など、枝数か少なく味わいのある樹に多く見られる。
けいせいそう【形成層】 茎および根の肥大成長を促す栄養分を伝える分裂組織。維管束の木部(水の通路)と師部(同化物質の通路)の間にあり、内側に木部、外側に師部がある。取り木で環状剥皮を行う際はすべて取り去る。
けんがい【懸崖】 盆栽樹形の一つで、樹の先端が鉢縁よりも下にあるものを指す。自然の中で、断崖絶壁にしがみつくように生きる樹の生命力のたくましさや力強さが表現できる。
こうはい【交配】 結実のために雄木と雌木を掛け合わせること。交配しないと、実が成ってもその実の種が発芽しない不完全種子になってしまったり、実止まりの悪さ(結実してもすぐに落ちてしまう)の原因にもなる。
こけじゅん【コケ順】 根元から樹冠部に懸けて幹が細くなっていくバランス。「しぼり」ともいう。盆栽の美的要素として非常に重要。根元だけ太い樹はバランスが悪いので、コケ順が良いとはいえない。
こしだか【腰高】 根元から一の枝までの距離が長いこと。文人木などではそれが魅力とされることもあるが、普通は鑑賞者に不安定な印象を与えるものが多い。環状剥皮して修正する。
こしみず【腰水】 水を張った水盤などに鉢ごと浸し、鉢底から水分を吸い上げさせる方法。夏場の水切れ対策として有効。
ごろつち【ゴロ土】 赤玉土や各種の砂など、盆栽用土は使用上の目的によりいくつかのサイズに分けられるが、その中でも一番大きい粒のこと。鉢底に薄く敷きつめ、その上から用土を入れる。余分な水の流出がよくなり、水が切れた後は鉢穴を通して空気の流入を容易にするなど、重要な役割を持っている。
ざ【座】 樹の足もと、根張りの芸のひとつで、細かく岐れた根が癒着して、放射線状に横に広がった様子。盤根もしくは盤根になりかけた状態。
さく【作】 培養の成果や仕上がり状態のこと。その年の天候・気候条件に大きく左右される。転じて「培養を続ける」の意味もあり、「もう一作すれば良くなる」といった場合はもう一年待ってみるという意味となる。
さしえだ【差し枝】 利き枝の一種で、横に長く"差し出す"ように出ている枝のこと。樹高とのバランスを考慮する必要はあるが、おとなしくまとまった樹とはまた違った趣がある。
さしき【挿し木】 繁殖法の一種。植物体の一部(枝・葉・根)を土に挿して、独立した新しい個体を作ること。比較的簡単な繁殖法で、太りも早く得られる。また、実生とは異なり、親木と同じ性質を受け継ぐという利点がある。挿すもの(枝や葉)を挿し穂と呼び、土の方を挿し床と呼ぶ。
さばみき【サバ幹】 自生地で長い歳月の間に幹の一部(もしくは大半)が自然の災害を受け、裂けたり割れたりして、木質部が現れている状態の幹を指す。
じだい【時代】 古さ、又は古く見える見せ方。盆栽の基本的要素であり「時代が良い」「時代が乗っている」などと表現され、盆樹の評価対象となる。樹の古さは幹肌に表れる。その他にも、良く使い込まれてきた古い鉢など、古さ・落ち着きを感じさせるものに対して、広く使われる言葉である。
したえだ【下枝】 下の方にある枝。枝一本を示す場合と枝のまとまりすべてを示す場合がある。
しめこむ【締め込む】 枝などが間伸びしないように、樹形を小さく引き締めて作ること。そのためにはフトコロ芽を大切にして枝岐かれを作る必要がある。バランス良く締め込まれた樹は、小さくても大樹の相を表すことができる。
しゃこう【遮光】 主に夏場、ヨシズや寒冷紗などで直射日光を避けること。太陽熱を制限することで、蒸散量(葉や鉢上から蒸散する水分の量)を調節し、雑木の葉灼けや水切れを防ぐ。
しゃり【シャリ】じん【ジン】 幹や木質部が朽ち果てて、白骨化したものを指す。幹が白骨化したものをシャリ、枝をジンと区別する。松柏類、特に真柏や杜松では見所とされ、評価・鑑賞の対象となる。樹の古さ、自然の厳しさを表現するのに有効。【生き道】参照
しゅかん【主幹】 複数の幹を持つ樹形(寄せ植え、株立ち、根連なり)で、全体の中心的な存在となる枝を指す。一般的に、枝の中でもっとも太く、高く、力強い存在で、全体のイメージを左右する大切な幹である。
じゅかん【樹冠】じゅしん【樹芯】 どちらも樹木の最上部を表す言語。一番上に位置する枝棚全体を「樹冠」と呼ぶのに対して、樹の先端部分で幹の頂点を「樹芯」と表現する。ともに樹形に大きな影響を及ぼし、流れを決める際に重要な役割を果たす。
じゅせい【樹性】 その樹種の持つ性質のこと。成長のスピード、花・実・葉の性質、土質条件、病虫害抵抗性、繁殖方法など、様々な要素がある。管理方法や作業時期などにも関係があるので、樹性をしっかりつかんでおくことが必要である。
じゅせい【樹勢】 樹木の生育状態。文字通り、樹の勢いを表す。一般的に、枝葉・幹・根の伸長が順調な状態を樹勢良好とする。
しゅぼく【主木】 飾りでメインとなる樹。席飾りでも一番目立つ位置に飾られ、重要度は高い。
しょう【性】 樹の個体差を表す言葉。「性が良い」「葉性」「皮性」などと使われる。またその特徴が固定化したものに対して、品種名のように用いられることもある。例:もみじ荒皮性、蝦夷松八ッ房性(荒皮性…短期間で幹肌が荒れてくるもの、八ッ房性…芽や葉の矮小化したもの、盆栽に適している)。
しんしょう【新梢】 今年伸びた枝(当年枝)。新梢の伸び方で、樹勢の判断ができる。
すかす【透かす】 葉・芽・枝・根等の量を減らすこと。樹勢のバランスを調節するという目的がある。
すきこむ【すき込む】 植え替えの際、竹串や割り箸などで用土を隙間なく詰め込む作業を言う。用土の詰まり具合を均一にしておかなければ、小根の発達が偏り、不自然な形になる。特に根が多く捌かれる幹の真下は隙間ができやすいので、樹を固定する前にしっかりすき込んでおくことが重要。
ずだし【図出し】 素材の長所を生かし短所を補う正面を決め、その正面にそって枝抜き・整姿を行うこと。盆栽の手入れや改作はすべてその樹の盆栽的素質を引き出す操作だが、特に形を決めるという意味合いで使う。まず上下左右あらゆる角度から樹を見てみること、するとどこかに「図」になる角度がある。それがその樹の正面。正面を見つけてから作業法を検討する。
せきかざり【席飾り】 「席」だけでは椅子や畳だけしか意味しないが、「飾り」と合わせて用いると、盆栽飾りの総称を意味する。制限された空間の隅々まで意識した飾りが良いとされる。「床飾り」や「棚飾り」は席飾りの一形態。
せっかいいおうごうざい【石灰硫黄合剤】 農業では殺虫・殺ダニのために用いられる。適切な倍率に薄め、噴霧器や筆などで散布また塗布する。冬は休眠期なので20倍程度でも良い。ジンやシャリの化粧もこれで行う。
せっかしょう【石化性】 自然状態で石のように固くなりやすい性質を指す。八ッ房性(葉が小さく詰まりやすい樹)と同じ意味で用いられることも多い。
せつかん【節間】 節と節との間。葉や枝の出ている箇所を節という。小さくまとめるべき盆栽では、節間の間延びした枝(樹)は評価が低く、節間が短いほど評価は高い。太りを得るために意識的に伸ばした犠牲枝など、特別な場合を除き、できるだけ節間を短く作るのが盆栽の枝作りの基本となる。
せんてい【剪定】 幹や枝、葉などを切り整えること。主に次のような目的で行う。
◆樹形の基礎を作る
◆完成樹の維持
◆樹形(樹勢)のバランスを整える
◆枝葉の密生を避け、発芽を促す
◆日照・通風条件を整える
◆大きくなった木を小さく作り直す
そうかん【双幹】 一株の根元より二本の幹が出ている樹形のこと。幹の太く高い方を主幹、細く短い方を副幹と呼び、両者の調和を維持することが重要。幹の岐れが少し上に位置するものは途中双幹と呼ばれる。
そえ【添え】 飾りの中で主木に対して飾られるものの総称。実物・花物・山野草類が用いられ、主木を引き立てる役目を果たす。
そこね【底根】 幹の真下の部分にある根のこと。ある程度できている樹の場合、太りすぎや間伸びに対する抑制になるし、薄めの鉢に納めることを考えて、植え替えの際に(樹勢低下の問題がなければ)深めに切り詰めることが多い。
たかうえ【高植え】 鉢の縁よりも全体的に盛り上げて樹を植え付けること。植え替えの際、根捌きが足らずに高植えになることがあるが、なるべく避けたい。培養上の利点として、(大気にさらされることにより)根張りに古さが出る点が挙げられるが、水切れ・乾燥など管理は難しくなる。
たぐる【たぐる】 針金などを使った整姿の際に使われる言葉で、左右の葉張りを小さくしたい場合や、枝を短くしたいが切ることができない場合に、強く曲を入れて短く見せること。空間操作上必要な作業で、サイズを小さくすると同時に模様を入れたり枝の方向を変えたりする。
たちあがり【立ち上がり】 地表から出ている幹の基部。下から見ていって幹の始まる部分。広義では、根張りを含めた最下部を指すこともある。樹の安定感を表現する大変重要なポイントで、この部分に十分な太味があれば、重厚な落ち着きが表現できる。また、幹のコケ順の基準にもなる。
たてかえ【立て替え】 剪定によって枝や幹のコケ順を作り直すこと。枝や幹の長さ・形に問題があって、先端部分を作り直したい時、新しい枝心や樹芯を途中の枝や芽に設定して切り換えることをいう。具体的には、新芽や小枝を新樹芯や新枝芯に決め、そのすぐ先の部分で切除する。特に胴吹き(幹肌に新芽が吹くこと)が可能な樹種であれば、立て替えだけで作っていくこともあり、これによって間伸びのない締まった枝を作ることができる。
たなかざり【棚飾り】 箱型に作られた棚卓を用いて、いくつかの樹や添景、添え草などを飾ったもの。小品盆栽はこの型で飾られるものが圧倒的に多い。棚卓には真行草それぞれ定まった各種の型がある。
たなわり【棚割り】 ここでいう「棚」とは枝棚のことで、枝が幾層にも重なってできた枝棚をきれいに整理・ブロック化し、何段かに分けることを指す。「棚割りがきれいにできている」などと用いられる。杉や杜松を始め、松柏に多く見られる枝の作りで、諧調をつけることで、樹形全体にメリハリをつけ、弾みや空間を生み出す効果がある。また美観以外にも風通しを良くする目的がある。
たまごえ【玉肥】 肥料を練って玉状に固めたもの。原料には油粕や骨粉が主に用いられている。形の崩れやすいものは、降雨時などに流れ出て、結果的に肥料の遣り過ぎとなるので注意。
たんし【短枝】 文字通り短い枝のこと。枝には、良く伸びる枝(長枝)・その年伸びた枝の基部付近から出る成長の少ない枝(短枝)・その中間の枝(中枝)があり、短枝は組織が充実していて、花芽や実が付きやすいという性質がある。特に実物盆栽などではこの短枝の果たす役割は大きい。
たんようほう【短葉法】 →【芽切り】
ちょっかん【直幹】 樹形の一つ。字義通り、幹が真っ直ぐ天に向かって伸びている形。整然とした美しさは大きな魅力である。八方根張りやコケ順・枝順など、盆栽の基本の要素が求められ、ごまかしの利かない樹形と言われる。下枝が弱らないよう、また、太い枝の元部を膨らませないことが樹作りのポイント。
ちょっこん【直根】 特に実生の場合、種子から初めて真下に伸びた根のこと。この根が下に伸びる力で幹は高く、太くなるのだが、伸ばしていると横根(いずれは根張りとなる根)に力が行き渡らないので、一般的には早めに切除する。
つかみよせ【つかみ寄せ】 苗木を数本から数十本、互いの根元をくっつけて植え込む方法。根元の癒着を経て、株立ち・多幹樹形風のものを作る目的がある。
つぎき【接ぎ木】 大変重要なテクニックで、繁殖や枝作り、さらには根張り作りにまで応用できる。一口に『接ぎ木』といっても様々な目的や方法があるので、ここに挙げる。
◆枝接ぎ・芽接ぎ:フトコロ部に芽が欲しいが、追い込める芽がない場合など、枝や芽を接ぎ穂にして芽を得る。
◆根接ぎ:良い根張りを得るために、根張りの足りない部分に接ぐ。
◆呼び接ぎ:接ぎ穂にする部分を母木から切り取らずに行なう接ぎ木。活着の難しい樹種(もみじなど)に用いられる。
◆通し接ぎ:幹に穴を開け、接ぎ穂を通して活着を待つ方法。樹種(もみじや楓など)や時期(5月下旬〜6月上旬)を選ぶため、あまり一般的ではない。
その他、品種や葉性を変えたい場合や繁殖法としてなど、接ぎ木の応用範囲は広い。また接ぎ木で繁殖された素材は、花や実が来るのが早くなる。
つぎほ【接ぎ穂】 接ぎ木を行う際、接がれる木を台木、接ぐ木を接ぎ穂と呼ぶ。新しい枝や根張りとなるので、傷のないしっかりしため芽を持つものを選ぶこと。
どうぶき【胴吹き】 幹や枝の途中に芽が吹くこと。枝を追い込む剪定によって胴吹きを促すことができるが、樹種によって胴吹きし易いものとし難いものとある。
とちょうし【徒長枝】 伸びたままの、勢いの強い枝のこと。徒長枝をそのままにしておくと、樹の養分がこの枝に集中し、他の枝の生長が遅れてしまう。養成中の樹の枝・幹に太味を得たい場合はこれを放置することもある。いずれにしても、組織の成長を伴わないまま太っていくので、花芽などが付きにくい。
とぶ【飛ぶ】 芽や枝の間隔が広すぎること。
とめる【止める】 枝を切ることを指す言葉だが、単に輪郭線を整えるためだけではなく、枝の立て替えや、花物・実物盆栽などで結実を確実なものにするため、枝を短い状態にしておく、というニュアンスが強い。
とりき【取り木】 繁殖法のひとつ。幹を削り木質部からの発根を待って根の下部で切断、上の部分を植え込んで使う。大変重要なテクニックで、改作にも活用でき、特に小品盆栽では取り木で作られた名品も多く見られる。樹種により適期は違うが、均等な根張りが得られるところと、模様・幹肌の良い部分だけを選択できるというのが、取り木の最大の魅力である。
ながれ【流れ】 左流れ、右流れなどと使う。幹や枝には必ず方向があり、それを人間の手で操作していかに意味付けをしていくかが樹作りのポイント。流れがちくはぐだと味は出ないし風景も呼び起こせない。例えば枝操作の途中で少し樹から離れ、全体を見渡してみるのも一つの手。飾りに関しても同様。
にくまき【肉巻き】 枝や幹を切断した跡が、カルスによって癒着して治っていくこと。松柏類はヤニが多く出るものが、雑木は楓などが肉巻きしやすい。また、ブナなど肉巻きしやすいが巻いた跡が黒ずむ樹種もある。
にばんめ【二番芽】 芽切りや葉刈りによって、二回目に吹いた芽を指す。通常は1年に一回しか芽を吹かない樹種でも、作業適期に芽切りや葉切りを行えば二番芽を吹く。二番芽は、軸などの伸びは一番芽よりも小さく、葉も短く締まっている。
ねあらい【根洗い】
◆植え替えの際、土を水で取り去る方法。土の崩し取りと水洗いを併用して行う。畑で長年培養されていた樹の鉢上げや、さ皐月など雑木類の植え替え時に行われる。根洗いを特別に必要としている樹種がいくつかあり、皐月もその一つ。皐月は根土が残っていると吸水・保水その他多くの点で調和を欠き、培養に悪影響を及ぼすことがある。一度完全に根洗いしたものは再度行う必要はない。
◆長く持ち込んで根がびっしり固まった状態のものを、鉢から抜いて水盤などを使って展示・鑑賞するものを根洗い盆栽という。一般の盆栽よりも草ものによく用いられる。
ねぐされ【根腐れ】 根が腐り、完全に機能を失うこと。悪臭を伴う。水抜けの悪さや肥料あたりも考えられるが、ほとんどのケースは水切れによる小根の枯れ込みが原因。早期発見の上、根洗いや患部の切除が望まれるが、いずれにしても樹にかかるダメージが大きく、樹勢にも影響が出る。
ねさばき【根捌き】 植え替えなどの際、土を落とし根を切り詰めることを指す。
ねつぎ【根接ぎ】 接ぎ木法のひとつ。根張りの弱い部分(または無い部分)に接ぎ穂を接ぎ、活着を待つ。良い根張りを作るのが目的で、特に雑木などで理想とされる八方根張りは、根だけでなく丸幹を作るためにも都合が良い。接ぎ穂は実生若年性の苗木を使う。
ねつち【根土】 成長の過程で根に密着し続けてきた土のこと。台土(だいつち)とも言う。
ねばり【根張り】 土の表面より外に出て見える樹木の根元の上根の状態。盆栽の土台となる大変重要な部分で、見所のひとつとなる。どっしりと大地を踏みしめるような根張りは強い安定感と落ち着きを生む。
ねぶせ【根伏せ】 挿し木技法のひとつで、挿し穂に根を用いるもの。植え替えなどの際に出る不要根の、模様の良い部分を5〜6cm切って、少しだけ頭を出して土中に埋める。一般の挿し木法より活着しやすく、また根ならではの面白い模様も活かせるので、繁殖によく利用されている。特に小品盆栽の素材作りには最適。
ねみず【根水】 灌水の際に、盆栽の頭から水をかけるのではなく根元の部分にだけかける方法。葉水と対比して使われる。昼の高温時に樹は蒸散活動を行うので、水の吸い上げ量は増える。そのため根にしっかり水を与える必要があり、朝は根水、夕方には葉水が好ましい。
はがり【葉刈り】春に出た新芽を摘み取るのが芽摘みだが、その後に固まってきた葉を、葉柄を残して刈り取る。雑木盆栽、特に葉物盆栽では非常に重要な作業である。 葉刈りには小枝作りと樹勢の平均化のふたつの目的がある。適期に葉刈りを行うと、残った葉柄の脇から二番芽を吹き、伸長する。つまり二年分の枝作りができるのである。また春から伸び出た新葉は5月〜6月頃にはかなり大きくなり、フトコロへの日照・通風を妨げるので、葉刈りによってこれらを改善する必要がある。枝先に行くほど樹勢が強くなるものであるから、これを抑える意味もあり全体の樹勢が平均化される。
はぎり【葉切り】 基本的には葉刈りと同じく、日照・通風を良くし、樹勢を平均化する目的がある。葉物の中には2番芽が伸びにくい樹種があるので、すべて刈らずに葉の中程で切る。ブナが代表的。
はさみづくり【鋏作り】 針金を使わずに剪定だけによって小枝を作っていく方法を指す。若木の場合、枝骨作りがメインとなるため芽が上に立ったままの状態では具合が悪い。よって針金で伏せ込む作業が必要となるが、枝骨ができあがり枝先作りの段階になると、やや暴れ気味の方が自然味が出る。このため、方向の良い芽だけを残す剪定で小枝を作る方法がとられる。ほぼ完成段階の雑木類一般に行われる。
はしりね【走り根】 土中において、他の樹種に比べ極端に伸びた根のこと。鉢から樹を抜いた時、鉢に形と同じように回っている小根の中に、一本長く太い根が見られることがある。これが走り根である。根も枝と同じく、勢いの平均した状態が望ましい。植え替えの際に細い根に立て替えるか、取り去っておきたい。
はずす【外す】 針金などを外すという本来に意味に加えて、枝や根などを切除して取り去ることを指す。「一の枝を外す」などと使う。
はずみ【ハズミ】 盆栽の枝表現におけるリズムのようなもの。一般に盆栽樹姿とは、幹筋の大きな流れに対して枝の場所や長短で変化がつき、躍動感が生まれてくるものである。よくできた樹形の中には、一本の差し枝でハズミを出しているものや、逆に短い枝と長い枝だとの対比で調子を変えているものなど、さまざまな枝表現がある。
はちあげ【鉢上げ】 初めて鉢に植えること。畑上げものや挿し木・実生苗木の活着したもの、山出しものを培養鉢に納める。基本的に、盆栽として作るための最初の植え替えと考えた方が分かりやすい。
はぬき【葉抜き】 黒松の古葉もしくは新葉を抜くこと。樹勢調節と培養条件を整える目的がある。一般的に芽切りを行っても樹勢が完全に平均化されることは稀で、二番芽の中でも強いものと弱いものが出てくる。そこで芽切りの効果を補う方法として、11月頃からの休眠期に葉の整理を行って樹勢の平均化を図る。弱い芽以外は古葉を全部取り、特に強い芽は新葉も減らす。栗松の樹勢調節では欠かせない大切な作業である。
はばり【葉張り】 言葉の意味は葉のある部分の大きさということであるが、転じて樹全体のかさ、左右のサイズを示す場合が多い。幹の太さなどから総合的に見て、理想的な葉張りサイズは決まってくる。
はみず【葉水】 葉に水をかけること。根水が水分を鉢土に浸透させることを目的にしているのに対し、葉の表面温度や湿度を調節する意味合いが強い。特に植え替え直後の根量が大幅に減って根からの吸収力が弱まった状態の時や、夏の暑い時などは、一定期間これを与えてやることによって葉からの蒸散作用を抑え、全体のバランスを調節することができる。
はりがねかけ【針金かけ】 盆栽作業の中で最重要視されるもののひとつで、幹や枝に針金を巻き付けて模様を入れ、姿を整えることをいう。現代盆栽テクニックを代表するものなので,その効用をまとめてみる。
◆ハサミ作りに対して圧倒的な早さで樹姿をまとめることが可能。特に間延びした部分に模様を入れられる効果は大きい。
◆針金かけによって扇状に広げられた枝は、日照・通風条件が良くなりフトコロ芽に力がのりやすくなる。また、針金の刺激によって植物内にエチレン(植物ホルモンの一種)が分泌され、芽吹きが良くなる。
針金掛けの最終目的は効かせることにある。針金を外したときに効いていなければ、再びかけ直してやる。
ひばい【肥培】 人為的に樹に養分を補給してやること。太らせるため、元気を付けてやるためなどさまざまな目的がある。天然土中には豊富な栄養分があるが、必ずしも樹が吸収できる化学形態とは限らないため、樹が吸収しやすい人工肥料を与える。現在ではさまざまな肥料が開発され、その形状も固体(灌水の際に溶けだして鉢内に浸透する)、液体(多くは原液なので薄めて散布する)、土壌中の栄養分を樹が吸収しやすいように化学変化させる土壌活性剤など、バリエーションに富む。
ビオトープ 穴あきの鉢に植えるのではなく、花器等、水の張れる器に植栽するもので、水を張って生きられる水辺の植物を使って創作するものをビオトープと呼ぶ。cf. 根洗い
ふところ【フトコロ】 幹に近い枝元部分のことで、理想的な形としてはここに沢山の枝岐れが欲しいのだが、日照・通風条件を考えながら培養しないと、せっかくあった枝や芽も枯れてしまう。フトコロ枝のない部分に吹いた芽は大切に育て、力を付けたい。
ふるはとり【古葉取り】 五葉松で、夏から秋にかけて古葉を取り除いてやる作業。常緑樹の葉は、場合によっては1年ないし1年半ほどついている。こういった「昨年葉」「一昨年葉」を総称して古葉と呼ぶ。日照・通風条件を改善するための方法のひとつである。
ほね【骨】 立ち上がりや幹、太い枝など樹の小枝以外の部分。簡単に作れない、作り直せない部分を指す。樹は一本一本個性を持っているものだが、その個性とは概ね骨の形である。
ほんばち【本鉢】 樹を鑑賞する目的で植える鉢。対して日常の培養目的で使う鉢を培養鉢、仮鉢などと呼ぶ。一般に本鉢は鉢土内への酸素混入率が悪く、培養していく上では条件が良くない。そのため、通常は培養条件の良い粗めの胎土を使った培養鉢に植え込んで管理する。
みきはだ【幹肌】 幹の表面、皮のこと。凡才の評価を左右する要素として、古さや時代感が挙げられるが、これをもっとも端的に表すものが幹肌である。荒れた幹肌は古色を表現し、気品を作り出す。小さい鉢で”締めて”作られたものは幹肌への時代の乗りも早く、見所に富む。
みきもよう【幹模様】 幹が描く模様のこと。直幹以外のほとんどの場合多少なりとも模様があり、この模様が樹形の基礎となる。
みしょう【実生】 繁殖法の一つで、種を播いて素材を作ること。手間の掛からない繁殖法で、ゼロから盆栽としてしつけることが出来、根張りが良くできるという利点もあるが、一方では実生変化で品種が安定しないという傾向もある。
みずぎれ【水切れ】 鉢土内の水が不足すること。程度にもよるが樹にとって致命傷となることが多い。
みずすい【水吸い】 真柏・杜松などジンやシャリを持つ樹種では幹の生きた部分、水を吸い上げている部分を指す。すべての樹種に水吸いは存在するが、この水吸いがはっきり色、形に出る樹種に於いては見所となる。ジン・シャリの朽ちたイメージとこの水吸いの生命力に溢れたイメージとの対照はもちろん、樹によっては両者の絡みつく様が芸となって鑑賞価値を高める。
みずぬけ【水抜け】 水排けのこと。鉢または鉢土内から余分な水が抜ける度合い。灌水直後の鉢土は水分をたっぷり含んでいるが、この水分を適度に保ち、次の灌水までに樹のゆっくりした吸い上げを促すのが理想的な鉢土の状態である。
みずやり【水やり】 植物を育てる上で最も重要な要素は水である。ことに盆栽は鉢という限られたスペースで生き続け、剪定や整姿にも耐えて漸く鑑賞段階へと到達できる。言葉では単に盆栽に水をやることを指すのだが、その難しさは「水やり三年」という言葉があるほどで、また実際には三年では覚えきれないほど奥が深い。気候風土やその年ごとの温度変化、環境に違い、樹種特性、樹勢状態、用土の違い、鉢の大小や深浅とさまざまな要素があり、完全なマニュアルはこの世にはない。基本的な考え方として、水やりとは水分を補給するだけではなく空気をも補給するものであることを忘れてはならない。
みどりつみ【ミドリ摘み】 ミドリとはまだ葉の開いてこない新芽のこと。春先にこのミドリを摘んで樹勢バランスを調整してやることをミドリ摘みという。一般的には黒松・赤松や五葉松に対して行う作業。
むろ【室】 冬場に盆樹を保護するための設備の総称。プレハブでもビニールハウスでも何でもよく、通風、積雪、霜、鉢の凍て割れなどから守れる閉め切った密室があればよい。
めあたり【芽あたり】 小さな芽が吹いている所、吹くと思われる所を指す。盆栽では節間の締まった枝が好まれるが、節間が間伸びしているからとむやみに剪定しても理想的な位置から吹くとは限らない。どんなに芽吹きの良い樹種でも、普通はこの芽あたりの位置もでたどって切り戻すようにする。
めおこし【芽起こし】 松柏類、特に五葉松の針金整姿などの際、枝先の芽を上方向に起こした形に整えること。見た目にもきれいだが、通風・日照条件など培養面の条件向上が第一目的。芽元の部分に日光を当てることで新芽の吹き方が格段によくなる。
めおさえ【芽押さえ】 新芽を針金で伏せ込む作業。春先に出た新芽は勢いがあり。ほとんどの樹種で斜上する。これを放置すると盆栽樹形はできない。このため、ある程度充実した新芽は針金で下方向に伏せ込む必要がある。特に若い樹は新芽の勢いが強いので、重要な作業になる。
めきり【芽切り】 芽力の平均化・枝数を増やす・葉の長さを揃える……この三つの大きな目的を達成するため行われる、黒松を作る上で最も大切な作業。別名「短葉法」とも呼ばれる。「芽切り」は、春に出た芽を6月頃に一度切り取り、それから出た二番芽を育てる技術である。様々なケース・目的があり、時期の微調整をはじめ、二度・三度に分けるケースや部分芽切りを行う場合などいろんな応用がある。基本的には強い部分は強く抑制し、弱い部分を助けてやるという精神。その後吹いた二番芽を間引いてやる作業が「芽掻き」。
めつぎ【芽接ぎ】 接ぎ木の一種で、樹木の芽の部分を枝や幹に接ぎ込むこと。台木に切り込みを入れ、接合部をくさび型に切った接ぎ穂を差し込み、固定する。フトコロなど樹形上必要な部分に枝を作るケースや、葉性などを変えるためのいわゆる「衣替え」として行われるケースがある。
もちくずす【持ち崩す】 樹が盆栽としてのピークを迎えた後、形が崩れてしまうことを指す。樹勢が落ちる(ガレる)こととは微妙に違う。更新すべき箇所は更新してやらないと樹形の維持は難しい。
もちこみ【持ち込み】 盆栽として鉢に入れられ培養されてきた年月、または経過のこと。「持ち込みが古い」などと使われる。鉢という特殊な条件に順応し、枝打ちや葉も徐々に細かくなり(より大木感が出る)、幹や枝の皮肌にも時代が乗って、紛れもない「古さ」を見せ始める。
もとぼそ【基細】 枝や幹の付け根が細く見えること。特に幹に対して言うことが多く、幹上部よりも立ち上がりが細く見えると非常に不安定な印象を与えるので、好ましくない。根接ぎなどで修正することもできるが、かなりの時間を要するので、こうした問題を抱えている素材を避けるのが、素材選びのコツと言える。
やくえだ【役枝】 樹形上の骨格を決める枝。簡単に言えば役割のある枝のこと。狭義では一の枝・二の枝・後ろ枝などを指すが、広義では差し枝や受け枝、利き枝など樹形上主要な枝すべてが含まれる。特に若い木の培養過程でこうした”役枝”を決めておくと、ひと枝ごとの役割・目的が明らかになるので、その目的に沿った枝作りをしていくことが大切になる。
やけこむ【灼け込む】 切断や何かの障害で太枝が枯れた後、その部分から真下に向かって枯れ込んでいくことを指す。水吸いが切れることによって吸い上げが止まり、その直下の水吸いが枯れ上がる現象。「灼けが入る」とも言う。樹種によって灼けにくい・灼けやすい樹がある。枝抜き跡の直ぐ下に枝が残っていれば水を吸い上げるので、まず灼ける心配はない。これを灼け止めの枝という。
やごめ【ヤゴ芽】 根元や根の一部から出る芽のこと。ヒコ生えとも言う。ぼけ・長寿梅・さつき・ピラカンサなど低木性の樹種によく見られる。成長力が旺盛で、放置しておくと本体の養分まで吸い取ってどんどん徒長するため、必要のないものなら早めに切るのが望ましい。また、これを使って株立ち樹形や根連なり樹形を作ることもできる。
ゆごうざい【癒合剤】 枝抜き跡に残る傷口を、早く癒すために塗る薬剤。ペースト状に練られたものが一般的で、枝抜き跡に塗る。(貼り付ける)。元来は雨(水)や風が傷口に当たらないように保護する目的だったが、研究・開発が進み、癒合促進剤が含まれる製品も多くなった。
よこね【横根】 鉢の中で横に広がる根を指して言う。これを表土に掻き出したものが発達して根張りになっていく。
よびつぎ【呼び接ぎ】 接ぎ木の一種で、接ぎ穂の根を活かしたまま接ぐ方法。同じ樹の徒長枝を回して用いる場合や、同一樹種の根の付いた苗木を接ぎ穂として用いる方法がある。
完
2012年10月12日作製 / 2013年10月21日様式改正