紅つばき B04 拭き漆工房 翠簾洞 素舟齋 |
庭の白椿の根元に踏み付けられながら生えていた腰曲がりの貧弱な苗を鉢上げして気にも掛けずに育てていたら、10年あまりも経って漸く花を付けました。ところが、白椿の実生だとばかり思っていたのに、意外にも赤い花が咲いたので驚きながらも、天の恵みとばかり大喜びしました。年を経て、苗の時の腰曲がりが幸いして、椿の盆栽にしては珍しい文人風の樹になりました。
2012年春、14年振りに植え替えをしたところ、石のように固まってしまった根を崩すのに失敗し、樹が枯れそうになりました。出来るだけ多くの枝を詰め、残した葉を各3分の1ほどに切って辛うじて越冬させましたが、翌春には意外な新芽ばかりが出てきて、樹木の本性を教えられました。
庭に実生の白椿がある。樹齢30余年ともなろうか。毎年花後に枝を切り詰めて育てたのだが、2メートルほどに伸びて花付きも良い。しかし、白花だけでは淋しいので友人宅の西王母の枝を数本切って貰って、団子にした鹿沼土の微塵に挿し、白椿の根元の実生が沢山生えているところに植え込んでおいた。2、3年して残念ながらこの挿し木は全滅したと思っている。
白椿の根元の実生が沢山生えている一番外側に、踏まれたためか曲がりくねった幹に葉を数枚つけた貧弱な樹があった。庭を歩くのに邪魔なので引き抜こうとしたのだが、ふと面白い幹だと思い直して鉢に上げておいた。
同じような子苗が沢山生えているので、これは当然実生の白椿だと決めて疑いもしなかった。
1995.03.20. | 樹が伸びてきたので、少し大きな鉢に植え換えた。 |
1996.04.27. | 棒根切りした。 |
1997.02.09. | 鉢換えし、曲がった幹の形を整えて針金を掛けた。 |
1998.05.08. | 丸鉢から長い鉢に鉢換えした。 |
1999 | この年 記録なし。 |
2000 | この年 記録なし。 |
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毎年、横行している幹の部分に出て来る胴吹き芽を迷いながらも摘んできたが、どうやらこの辺で形が治まってきたかと思う。
しかし、摘み取った枝の跡が瘤だらけでどうにも幹肌が悪い。
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今年は暑かったが、この樹は新芽が枯れなかった。
水を切らさないように努めて、殆ど日陰で育てたのがよかったようだ。
横行した幹に出ている小枝を、切るべきか残すべきか悩むところだ。
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4月22日から5月7日まで京都に行っている間に小鉢のモミジやトウカエデは枯れてしまった。
しかしこの樹は新芽が萎れていた以外には若葉も元気だった。
水をやりながら2、3日すると新芽も上を向いて元気になってきた。
これは竹の下陰に置いてあったのが幸いしたのだと思う。
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6年ぶりの植え替えをした。
縦長の鉢から抜くのに苦労した。
確かにしっかりと根が廻ってはいたが、存外根詰まりはしていなかった。
全部土を落として重なり根を直そうとしたら、直ぐに折れてしまった。
そんなにして折れたのが2本ある他は不揃いな根もなく、瘤状の髭根も無い。
赤玉土と黒山土で、前と同じ鉢に植え替えた。
根を大幅に切ったので、枝も詰めて針金も掛けた。
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去年の土替えに効果があったのか、始めて蕾を2個付けた。
椿は前年枝の枝先に花が付くようで、深い切り込みは出来ないようだ。
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今朝漆部屋に置いていた鉢にふと目をやると赤いものが見えたので何だろうと近づいてみた。
今まで思ってもみなかったが、何とこの椿は赤花だった。
白椿からの実生だから当然白い花だと思い込んでいたが、何故か綺麗な赤色で、花の形は白椿と同じである。
同じ品種の白花と赤花の種子を偶然鳥が運んできてしかもうまく育ったとは一寸信じられないことだ。
白椿の突然変異かも知れない。
いずれにせよ全く思いがけず紅白の花に恵まれた。
鉢と文人風の樹型も良くマッチしている。
2006.03.17. | 2006.03.19. | |
2006.03.23. | 2006.03.25. | |
2006.03.27. | 2006.03.29. |
京都に行っている間に、水遣りが不十分で枝先の葉が枯れ落ちた。
しかしどうやら樹は枯れずに枝先には新芽が出て来た。
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しっかりと新芽が吹いてきたが、どうも枝振りが悪くなってきた。
枝詰め前
枝詰め後
新芽が期待できそうな、なるべく短いところで枝を詰めた。
土を替えようとしたが、細長い鉢に根が廻っているので抜けない。
マイナスドライバーで鉢をこするようにして根を切り、漸く引き抜いた。
明日植え替える予定だ。
・・・ << この時の植え替えには記録がない >>
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この年 記録なし。
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徒長枝が伸びた
枝先を詰めた
今年は蕾が付かなかったが、枝が伸びたので先芽を止めた。
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今年も花を付けなかった。
横に伸びた枝2本をアルミ線で下に引いておいた。
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赤花とは未だに信じられず、大きく拡がった蕾が赤くなったのを見て、漸く赤と決まった。
古歌でもあるまいに、色に出るまで実に気を持たせる椿だ。
2011.03.16. |
開いた花は夜間もしぼまなかった。 椿は咲く一方で、花びらは夜になっても閉じないらしい。 |
2011.03.20. |
2011.03.22. | 今年は枝振りもよく2本の枝に花が来たが、残念ながら花の向きが悪くまた開花も時期がずれた。 | 2011.03.25. |
2011.03.26. | 辛うじて二つの花が揃ったところを見ることが出来た。 先に咲いた花は26日午後に散った。 1輪だけになって美しさが強調されたようだ。 | 2011.03.27. |
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かっては毎年2個か3個しか花が来なかったが、昨冬は今までになく沢山、殆どすべての枝先に蕾を付けた。蕾を2個付けた枝もある。盆栽棚の下に置いたままで、余り陽当たりがよいとは云えない場所だが、半日蔭を好む椿の性にあったようだ。
今年に入ってからは棚下から露地に出したが、陽射しは午後少しの間だけしか当たらない。
それに昨年末からもう2週間ほども雨が降らないので、水遣りの加減が難しい。
この椿の鉢だけは縦長なので如露では水が廻らないだろうと思い、いつも腰水にしている。
これが零下になるような冬場では水が足りているのか不足なのか見当が付かない。
3日おきくらいに腰水しているが、蕾が黄色っぽくなったような気がして、根が腐っていないか心配だ。
葉も埃が乗ったようで艶も色も悪いし、巻き込んでいるのが目立つ。
樹は水不足だと葉を巻くと聞いているが、矢張り水が足りなかったのかも知れない。
2012.02.21.枯れてはいなかった。他の蕾はまだ固いのにただ1輪だけ早駆けして咲き、元気ぶりを示してくれた。 | |
2012.03.09.初花が落ちてから2番目の花もまた、他の蕾よりも頭抜けて早く咲いた。 |
この樹は花を1輪ずつ咲かせる。
3個目の花は枝の下に隠れていて蕾があることにも気付かなかった。
これだけ沢山ある蕾が一斉に咲いたら美事だろうと思っているが、1つずつ息が長く咲いてくれるのだろうか。
樹頂の蕾が大きく膨らんできた。
ここまできて、すっかり忘れていた友人から貰って枝差しした紅椿のことを思い出した。
友人に尋ねるとその椿は西王母だそうだ。この花は西王母にしては色が赤いが、肥料や日照の関係などで色は変わるのかも知れない。
とにかく白椿から赤花が出るというよりは西王母の枝差しとする方が自然だろう。
3輪一緒に花がきた。ちょっと赤色が冴えない感じだが姿は面白い。これで葉色がよければ品評会に出品できるのだが・・・。
白椿と合わせて飾った。
本日満開、みごとだ。
時期的に花が早く咲いたが、沢山咲いてみると白茶けた赤であまりよい色ではなかった。肥料でも花色は変わるだろうが、艶がある赤になって欲しいものだ。
花が散ったが1ヶ月余り経っても新芽は全然出てこない。しかも葉がみんな丸くなっていかにも力がなさそうだ。これは根詰まりに違いない。記録を見ると2004年以来植え替えをやっていない。
花後で時期がよいので、この際急遽植え替えることにした。
植え替えるために鉢から抜こうとしたがびくともしない。鉢を割るには忍びないので、何とか抜こうと鉢の縁にドライバーを差し込み捻るようにして、鉢を廻しながら根を剥がしていった。ドライバーの長さ一杯に押し込んでも根は動かない。鉢の内側の土をほじり出すようにして周辺に隙間を作ると、ようやく根がグラグラしてきた。
根を廻すようにして強引に引っ張ると、バリッと音がしてやっと抜けたが、根は半分以上鉢底にそのまま残っていて上だけ捻じ切れたのだった。切れて残った根にはドライバーが届いていなかった。
あらためてドライバーで鉢から剥がしながら、鉢の裏側の水穴から押し出してやっと外した。土は全く見えなくて髭根ばかりが鉢形の球状になっていた。
取り出した根は粘土か石膏で固めたようにカチカチで爪を立てても崩れない。根鈎で引っ掻いても効果がない。バケツの水に浸け水中でほぐそうとしたが円筒状の根土は全然崩れない。暫くバケツの中で揉みほぐしていたが、表面だけ髭根が見えてきた程度で芯は依然として円筒のままである。仕方なくそのまま翌朝まで水に浸けて放置しておいた。
毎朝1時間余りずつ3日掛かりでどうやら根がほぐれた。しかし残っている根は根鈎の先で突かれて皮が剥けてしまった太根ばかりだ。
長角鉢に植え替えた。
底石を敷き赤玉土を入れ炭片と鹿沼土を落として、その上に樹を置き、若干の鹿沼土と炭片を混ぜた培養土を竹箸で突き込んで植え付けた。
根株がひどく傷んでいる上に殆ど無いに等しい状態なので、葉をすべて約3分の1だけ残して切り詰め、3本の支柱棒で固定した。。
幹姿がよく見えて一応文人木らしい好ましい樹容になったが、根の恢復が問題だ。
植え替え直後の半月ほどは強い朝日が当たる場所に鉢を置いていたが、椿は元来半日蔭が良いようなので、置き場所を換えてみた。
植え替えてから3ヶ月、水を涸らさぬよう気をつけていたが、枝先に付いていた芽は枯れ込み、切り詰めた葉も生気が無い。どうも枯死してしまったような状態だ。挿し木で活着するのだからこの位の根でも大丈夫だろうと思っていたが、少し甘すぎたようだ。
この3ヶ月間に、切り詰めた葉が4分の1くらい枝から落ちている。葉が落ちた枝先は黒く枯れている。更に最近一番長く伸びた枝だけ葉を付けたままで先端が5cmほど茶色く枯れた。その他の枝先は、新芽は全く出てこないけれども、明白に枯れたというわけでもない。
長く伸びた枝が都合よく枯れて丈が詰まったうえに、このまま冬を越して来春には新芽が出て小枝が増えれば、怪我の功名というところだが・・・。
今年の夏は猛烈な蒸し暑さが続いた。地植えの白椿の陰に置いているので、蒸れて根腐れを起こさないように水遣りにも注意していた。この管理が成功したのか、暫く見ないうちに何と元気な新芽が4本も出ていた。しかしどれも枝先ではなく幹から生えた食い付き枝ばかりで、第1芽は第3曲、第2芽から第4芽は第5曲から第6曲に進む角に出ている。
この文人風の樹の立ち上がりに生えた第1芽は、広がった葉が3枚もあり色艶がよくていかにも元気なのだが、観賞上の邪魔なので迷わずに掻き取った。
幹の曲がり角に出た3本の芽はいずれどれか1本にしなければなるまいが、問題は出た方向である。樹全体の流れに逆行して出ている。
一番上に出た第4芽だけは、新芽の中で最小の芽だが僅かに同じ流れになっているので、これを残して下の第2芽と第3芽を取るのが順当な選択だと思う。
これらの新芽から上の枝先には、芽らしいものが全く見えていない。
出て来た4本の新芽を見ると根元に近いほど出ている葉が大きくて元気だ。新芽より先にある古い枝にもっと力を付けるには、折角出て来た新芽を取る方がよいのかも知れないが、養分を根から幹に送り込む力が、新芽を掻いたために弱められては虻蜂取らずになってしまう。
考えた挙げ句、今はもう気温が下がって樹の生長も止まっているのでこの冬はこのままで過ごして、来春の芽ぐみ時に枝先の芽吹きを見てから、逆枝の第2芽と第3芽を外すことにした。
椿の下葉に隠れて暫く忘れていたが、今日見ると新葉は大きく広がっている。
古葉は伸びも枯れもせずだが、葉艶は悪くない。
新葉は樹容の流れに逆行しているので将来切らなければならないが、樹勢を付けるためにこのままにしておく。
一方、この枝に取られて古枝の方に養分が廻らない心配もあるので、見る度に迷うところだ。
一番下の大きな新芽の枝には、先芽と2枚目の葉の脇芽が元気な姿を見せている。これだけの芽が出ればそれなりの根が出来ているのも間違いあるまい。 |
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古い枝先を仔細に見ると、小さく切り詰められた葉の付け根に僅かながら脇芽が見えている。緑っぽいので枯れた芽でないことは確かだ。これは来春の芽吹きが楽しみになってきた。 |
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切り詰めた古枝の間から小さな新葉が1枚だけ出ている。葉艶も良く元気だ。
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植え替えから1年が過ぎた。
去年の夏は、椿が好きな半日蔭を探してあちこち移動しながら大事に見守ってきた甲斐があって何とか葉を落とさずに越冬出来た。
しかし昨年秋に芽吹いた3本だけが強く葉を出しているものの、新芽を持った古枝は1本だけだで、どの古枝も辛うじて葉を残しているだけという状態だ。
また幹の起ち上がり部の真ん中に元気な若芽が1本伸びて来た。
この第3曲と4曲の間に出て来た大きな胴吹き芽は
文人木の邪魔になるから
躊躇なく掻き取った。
唯一昨年秋に古枝の先に出てきた新葉1枚は大きくもならずに冬を越し、今見ると葉先から少し黄ばんできたようで元気がない。
これは幹の大きく曲がった部分に出た3本の新芽がどんどん大きくなって、葉先へ行くべき養分を全部吸い取ってしまったからだと思う。
幹が大きく曲がった部分に出た3本の新芽は伸びて大きな葉を沢山拡げて来た。これは元気でよいのだがあまりに強すぎていてしかも一番根元近くに出ているので、上(梢)の方の古枝に養分が届かなくなっているようだ。
この3本の枝は丁度幹の曲がり角に出ている。これを活かして新たな文人木の形を作れないかと欲張って残してきたのだが、これを活かしては樹全体が大きくなりすぎるし、枯れかかっている古枝先が再生出来ない。
切り捨てた若芽
大分考えたがこの際3本のうち根に近い方の2本を切り取り、一番上の1本も葉1枚を残して切り詰めた。
ついでに古枝の1番枝も背が高すぎるので枝先を詰めて置いた。
伸びない新芽
芽が出ない古枝
古枝には1本だけ新芽が2個見えてきたが、その他はみんな新芽が見られない。その新芽もなかなか大きくならず、掻き落とした新芽との成長差が甚だしい。
しかし切り詰めてある古葉が枯れ落ちないで残っているから、まんざら枯れ枝になったわけでもない。
元気に伸びて新葉を拡げた枝はなるべく切り詰め、芽が出ていない枝先まで養分が廻るようにして気長に様子を見よう。
表面の土を箸で突いてほぐし「花の土」を上に入れておいた。梅雨まで水を切らさないようにして梅雨を越せばまた別な古枝にも新芽が出るだろうと期待している。
古い枝の中程に赤い小さな点が見える。
胴吹き芽が出てもおかしくない部位だが、赤一色で艶がある。
ここに新枝が出れば嬉しいのだが、こんな艶がある新芽は見たことがないので或いは寄生虫かもしれない。正体が判るまでそっと観察しよう。
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