私が作っている盆栽乃至凡栽の中で最も愛着があるのがこの白梅です。学生時代に購入したものですから、就職して実家を離れた数年間は父の手を借りた思い出も含めて、四季折々に変わっていく姿を半世紀にわたって楽しんできました。しかし、なかなか欲しいところに枝が出なくて、思うような樹形にならないものですね。
プロローグ | 1996〜2000 | 2001年 | 2002年 | 2003年 |
2004年 | 2005年 | 2006年 | 2007年 | 2008年 |
2009年 | 2010年 | 2011年 | 2012年 | 2013年 |
この盆栽は学生時代に購入した野梅だが、結婚して家を出たので手入れが出来なくなり、父が庭に下ろしておいてくれた。数年後、樹高が1メートルほどにもなっていたのを、町田市に越して来てから樹高を詰めて引き取り、また鉢植えに戻したものである。従ってこの樹が現在ある盆栽の第1号ということになる。
記憶では、町田に持ってきて鉢上げしたときには、まだ樹高数十センチの背が高い盆栽だった。しかしある時鉢の移動中に落として、殆ど幹の真ん中あたりで折れてしまった。当時は今見られるような根元の下枝が全然無くて、地面に棒を立てたような姿だったので、折れていても思い切って切ることが出来なかった。
結局、折れた幹が鋭角に曲がったままの姿で2、3年育てていた。
しかし、短い枝が少ししかない貧弱な樹なのに、加えて帆柱が折れていては難破船のようなので、遂に折れた幹を切ってしまった。▲TOP▲
この年は何回目かの植え替えで、この時根上がりにしたものだ。
樹冠が出来る位置で幹を更に切り詰めた。根元に出た枝は成長が早くて助かった。当然根も切り、土も替えた。▲TOP▲
芽切りをして植え替える。鉢は同じ。根は問題なし。
根土をすっかり洗い落とした。
曲がった幹から根が沢山出ている。この形から「蟠龍」と銘を付けた。
葉が落ちた秋の姿。植え替え時に較べると、枝先に小枝が付いたのがよく判る。
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去年の植え替えが成功し良く花が付いて、立派な正月飾りになった。
今年は蕾が全部開いてもまだ花びらが一枚も散らない。理由はよく判らないが、幾つか考えられる。
1) 花が2、3輪咲くまで外の棚に置いたままで、その後すぐ玄関に飾った。
2) 水やりは如露を使わずに、たっぷり時間をかけて腰水にした。
3) 玄関に置いてからも、大鉢なので水は辛めにした。
4) 極力鉢に触らず、動かさないようにした。
盆栽棚に戻して、花殻を綺麗に落とした。葉芽はまだ固い。
晩夏は水遣りに一番気を使う時節だ。
逆光に輝く
晩秋の一刻。
すっかり葉が落ちて冬支度に入る。特に忌み枝もないようだ。
春の花芽がはっきりとしてきた。
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まだ開花と云えるほど花はないが、正月飾りとして玄関に取り込んだ。
野梅とはこういうものかこの樹が特別なのか知らないが、この樹には6弁花が多い。それで「6弁の梅花」と言う意味で「雪天神」と銘を付けた。
2001年春の植え替えで土に肥料が入ったためか、今年は花付きがよい。そして1ヶ月余りも花がもった。
遅咲きの紅梅(紅千鳥)が開いてきたので、
歳の干支(明治神宮神鈴)も飾って
玄関飾りの競演。
花付きが良すぎたのか3月も末というのに、どうも芽の伸びに力がないような感じがする。
鉢から抜いてみると、2年目の割りに根は余り廻っていないし、上土が黒っぽく泥状になっている。根全体に髭根がない。根腐れ寸前の状態のようだ。
植え替えて良かった。上土にばかり細根が張ってしまって目詰まりし、下層には髭根が育つほどの水が廻っていなかったのだろう。
根を洗ってみると癖根はないが、鉢に沿って丸く這っている古根があったので、これは切り外した。 植え付けの安定保持のために放射状の部分だけを残して、根先を切り詰めた。 |
蟠龍のような根には新根もあり何本も根が出ているので、蟠龍そのものを見どころとして強調するように植え付けることにする。
この樹を最初に買ったときは「蟠龍」のような横根はなかったから、父が地植えにしている間に、根本の幹の立ち上がりが土に埋もれて、根が生えてしまったものだと思う。
底石を敷いた上に赤玉土の大中粒・炭片・少量の鶏糞粒を入れ、
表面に若干の赤玉微塵と黒土を敷いて、苔を置いた。
植え替え中に枝先の芽を4芽くらい落としてしまった。
小枝を増やすように枝を詰めておきたいのだが、枝元の花の痕には葉芽がなくて思うようにならない。それでもすべての枝を出来るだけ短く切った。
小さなカイガラムシが数本の枝に着いていたので、ピンセットでこすり落とした。「樹が弱るとムシが着くのだ」ということは、この樹は昨年夏から弱っていたことになる。弱ってきたので無理に花を沢山付けたのかも知れない。肥育に留意しよう。
4月22日から5月7日まで京都に行っている間に、小鉢のモミジやトウカエデはすっかり枯れてしまった。しかしこの樹は鉢が大きかったのがよかったのか、殆ど変わりがなかった。それでも蒸散を少なくする意味もあって枝を剪定しておいた。▲TOP▲
昨年の水切れの結果を心配していたが、一応例年通りの時期で花が咲いた。しかし花数は少なくて、且つ役枝なのに枯れたような枝も沢山ある。春の芽吹きを待たないと枯れたか否か確認は出来ないが、水切れの被害は矢張り大きかった。
今朝見るとすっかり芽を吹いていて驚いた。早く植え替えをしろとせがんでいるようだ。早速裏山から山土を掘ってきた。
植え替えるべく鉢を抜いてみると、髭根が全く無くて根の部分は鉢下部の大粒の土と全然馴染んでいない。土塊は小粒より大粒の方が根が育つというが、粒が大き過ぎて土が落ち着かないのかも知れない。
あまり根を崩さないように表土を剥がした。鉢に残った土塊の上に鹿沼土を手で掬って若干注ぎ足して鋤込んだ。その上にそっと根を置き、揺すりながら下の土に馴染ませた。表層は山土と赤玉の微塵を半々混合で覆った。
今年は暖冬なのか地球温暖化のためか、兎に角秋から今までの気温が例年よりも高かった。そのため花木の蕾がどの樹木も大きく膨らんでいる。
この蟠龍もご他聞に漏れず今月始めから蕾の先が白く見えていたが、早くも月半ばで開き始めた。
例年元日に合わせようと部屋に入れたりしていたのだが、今年は労せずして咲いた。 |
しかし花はやや小さいように思われる。 |
沢山の花が揃って開いてくれた。
根元から出て来た枝が程良く太ってきたので、全体のバランスが良くなった。
特に手前に出た枝が、本来は幹姿を隠すので嫌うのだが、この樹の場合は幹の棒立ちを隠して役枝になった。
写真で見ると、幹肌が日本画の垂らし込み技法のようで興趣が出てきた。
花はやや小さめで、且つ例年よりも6弁の花が少ないように思われる。
幹を少し太らせるべく剪定を延ばしてきたが、あまりに長く伸びたので鋏を入れた。枝の混み具合も芽の位置も良いと思われて、気持ちよく剪定出来た。
ふところ枝を少し外し、枝先を一部詰めた。
真ん中の太い柱のような幹筋があまり気にならなくなってきた。
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1月11日
今年は猛烈な寒波が来て花が遅い。蕾が膨らむのを楽しみながら盆栽棚に置いていたが、暮れになって屋内に取り込み、正月飾りとして3日まで玄関に飾った。
その後暖かい漆工房にあげた。
大分蕾が丸くなってきたがなかなか開かない。
1月28日
蕾が大きく膨らんできたので数日前に床に飾っておいた。
昨日漸く最初の花が開いた。
2月1日
最初の開花から数日でこんなに沢山の花が咲いた。
今年は蕾を落とさないように秋口から取り扱いに注意していたので、枝先まで一つも落ちずに沢山の花がムラなく付いている。
2月8日
満開!
将に散らんとしているが佳い香りを保っている。
2月10日
今日は蕾が全て咲ききった。
鉢を動かさないでいるから、ここまで咲いても花ビラが1枚も落ちないで、完全満開だ。
3月29日
花後の姿。
花殻を全部取り除いておいた。
葉芽はまだ小さくて固い。
7月16日 作業前
7月16日 手入れ後
すっかり根元の苔を取り除いた。
さっぱりしたが、果たしてこの「蟠竜」と称する根は、ケシキとして認められるのだろうか。
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今年の暖冬で暮れから蕾が大きかったが、正月には間に合わなかった。暮れの30日から部屋に上げたが、最初の1輪が7日から開いた。
咲き始めだからか現在の香りはとても良い。
花弁は矢張り6弁が多い。
今年は枝も疎らだし花も少ない。
かといって、とりわけ花が大きいとも云えないようだ。
満開!
香りがよいが、もう散り始めた。
03年に土替え、04年に表土を足して鋤込みして以来、久し振りに土を替えることにした。
6月末という常識外の日を選んだのは、梅雨時なら根付きがよかろうと思い、試してみることにしたのだ。
鉢から抜いて意外だったのは鉢周りに髭根が廻っていないことだった。ガーゼで包んだようになっているかと思ったが、鉢の内側には殆ど根がくっついていなかった。
髭根の先が黒い土玉になっていて、底の方の内部は赤土が乾いたままになっていた。昨日から今日の午前中まで雨が降っていたので、当然しっとりと土が濡れていると思っていたが、こんなに乾いていては如露の水が鉢の内壁を伝うだけで、中心部は乾いていたのだろう。そのために髭根が充分に伸びていないのかも知れない。
周りだけの髭根
平鉢向きの薄い根
大粒の赤玉土
中赤玉土/腐葉土/黒土
一方根全体が薄く拡がっていて平鉢向き、引いては盆栽らしい形になっていた。
鉢底石を使わず、代わりに大粒の赤玉土を厚めに敷き、樹を据えて2本のアルミ線で固定した。用土は中粒の赤玉土6分、腐葉土3分、黒土1分とし、川砂と木炭屑を少し加えた。
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地球温暖化のためか露地のままで越年したが、今年は蕾の膨らみが早いようだ。
根元の一番枝が枯れてしまったが、幹の前後に小枝が生えてきて両方に蕾が付いている。
このどちらかを活かして一番枝を育てたい。
花開いた。座敷にあげると部屋が佳い香りだ。
2月17日
2月7日
青葉が茂り、徒長枝も伸びてきた。下枝は枯れてしまったが、代わりに細かな枝が固まって生えてきた。
剪定前
樹形を整えるにはもう少し時間をとった方が良さそうだ。今回は徒長枝などを軽く剪定しておいた。
剪定後
今年は冬が遅くて暖かい師走だったので、蕾がすっかり膨らんだ。
1週間ほど前に部屋に入れ、昼間は陽当たりに出していたら、昨日樹頂に一つ、今日は根元に一つ咲いた。花は一つでも流石に梅だけあってよい香りを漂わせる。
蕾も割に沢山着いたが、残念ながら小枝が無くなって枝先ばかりに着いた。
それでも、これで結構よい正月飾りになる。▲TOP▲
めでたさも
こんなものかな おらが春
立ち上がりに咲いた花
元旦に飾りの花を買わないでこの鉢で済ませた。
開き初めなので特に香りが良くて大変好評だった。
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よく綺麗に咲きそろった。 小枝が無くて枝振りは不細工だが、花付きはみごとなものだ。 |
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徒長枝の剪定をした。
みな太くてしっかりとした枝だった。
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元旦
1月6日
温暖化に期待して暮れはずっと露地に置いておき、29日に室内に入れたが、元旦には下の方にやっと開いた花が見られた。
蕾は沢山ついたが、根元の枝がまた新旧入れ替わってしまったようで、樹形作りが難しくなった。
2010.01.08. |
今年もよく咲いてくれたが、少し香りが弱いように思う。 根元の枝に花がつかず、別な枝が出て咲いた。 根元ばかりではなく、樹頂の方にも枯れ枝と新枝とが並んだところがある。 これではかなり太い枝を抜かなくてはならず、枝の整理が難しい。 |
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まだ香りは残っているが、これが満開という限界で、漸く散り始めた。
根元から出て随分太くなっていた枝が枯れてしまったようだ。
その下から新しい芽が2本出ているが、全然細い。
太るまでは更に数年掛かるだろう。
植え替えをした。土の上に苔が茂り、梅の幹にまでびっしり付いている。幹に苔が付くのは古木感が出てよいと思っていたが、ここまで茂ると肥料分をすっかり吸い取られているような気がしていた。
植え替え前
抜いてみると根は鉢の周囲にほとんど廻っていない。根全体に力がないような気がする。古い土は赤玉土が多いが赤玉土とは相性が良くないようだ。
根を完全に解してしまった。幹の下に土が固まって通気が止まっているようだ。
新しい土は、鉢底石の上に、赤玉3、鹿沼1、培養土0.5、牛糞0.1、木炭0.1、更に上層にはこれに市販の培養土「花の土」1を混ぜた。良く鋤き込み、表面には「花の土」を撒いて押さえた。
植え替え後
今年の異常気象でいろんな草木が狂っているが、この樹も蕾が小さくてまばらだった。蕾は先が尖って出て来たので葉芽かと思ったくらいだった。
本枝はみんな間延びしてしまったが、根元には小枝が2本、前と後に出たのは有り難い。
12月18日
12月21日
間延びした枝に、まばらながら付いている限りの蕾は満開になった。
佳い香をただよわせている。
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昨年植え替えたばかりで今年は花が少なかった。
樹は元気なようだが、どうも小枝が茂らなくて、年ごとに枝が淋しくなるように思う。
根本近くに出て来る小さい枝も大きくなれずにいる。
新芽は出るのだが枝が飛んでいて形にならない。
秋霜に備えんとする黄葉もまた宜しからずや。
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昨冬は盆栽棚に置いたまま越年した。棚では昼頃から4時間位しか日光を浴びないし、北風が当たるので、蕾はなかなか脹らむことが出来ずに、新年を迎えた。
このままでは花が遅れるので、正月に入ってから2階のベランダに取り込んだ。ここなら10時頃から4時頃まで陽が当たり、北風は家で遮られる。
昨年は棚に置いたまま越年し正月2日に2階のベランダに上げ、暖かい陽に当てている。
今日は七草粥だが、まだ蕾は固い。
3日間雨模様の日が続いたが昨夜から雪になった。ベランダにも降り込み淡雪が積もった。
この湿り気で蕾が大分膨らんで、3つ4つ白いものが見えてきた。
夜は部屋に入れ昼間はベランダに出して陽に当てているのだが、今年は雪や霙が降り寒い日が続いていて、1月末というのに花が遅い。
今日は漸く蕾が1つ開き掛け蘂が見えてきた。
香りはまだ無い。
今年は東北・北陸では大雪に悩まされている。
鉢をベランダに上げて陽当たりに努めてきたが、花は遅く小さい。また決定的なのは香りがないことだ。鼻をつけると辛うじて梅の香りだが、10センチ離れるともう匂わない。
しかし立ち上がりの小枝の花がビッシリしてきてよいあんばいだ。根や幹に苔も生えて時代が付いて絵を見るようになってきた。
2月19日
玄関に飾って動かさないようにしてきたので花持ちが良かったが、漸く満開を過ぎて散り始めた。TVでも今年の梅は寒さが厳しくて3週間の遅れだと報じている。
先月末から盆栽棚に戻したが、今までに2回雪をかぶった。
もう花びらは残り少く、花殻ばかりが多くなった「うば梅」だ。
それでも鼻を付けると、心持ち残んの香がある。
花殻を落としただけで芯を止めていない。
根元の新芽がとても元気だがこれをどうやって活かすかまだ迷っている。
秋の陽に葉が色付いて散り始めた。
葉がよく巻いて蕾も多いので来春の花が多く期待出来る。
しかし来年は花後の植え替えの時期に来ているようだ。
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暮れから2階のベランダに上げていた雪天神に、昨日やっと初花が1輪咲いた。
和室の飾り棚の上に飾った。
ところが今日は9時ごろから初雪が降りはじめ、ズンズン積もる大雪となった。
そこでまたベランダに出して、しっかり雪を積もらせ、自然潅水をしてもらった。
梅一輪
一輪開く
かほりかな
見頃です。
満開!
いつも花後にはすぐ花をすっかり摘み取っていたが、
今年は自然に任せて実がなるかどうか試してみることにした。
花後の萼が少し残っているだけだが、どうやら実になるものはなさそうだ。考えてみれば、開花から散るまで部屋の中に置いたのだから、受粉していない道理だった。
花の下からなるべく枝を短くするように剪定したいのだが、芽が出そうな節が全然ないのでやむなく一番下の芽を残して切った。 |
根元から出ている枝も年々長く伸びるばかりで曲がない。しかし鋏の入れ方が判らなくて放置するばかりだ。
2013.04.01.新緑の季節となり、各枝にはそれぞれ新芽が元気よく吹き出してきた。 |
3月に残した芽だけが伸び育って立派に茂っている。
しかし、これではますますチューリップのような茎が長い樹になるので、伸びた新芽をまた葉1枚残して切り落とした。
また、横に長く伸びた枝が内側に廻り込んでいる。元から外すと幹模様が無くなるので少し短く切り詰めたいところだが、孫枝が全く無いので詰めることも出来ない。
取り敢えずアルミ線で外側に向けて矯正しておいた。
用土が大粒の方が根が伸びると云われているが、このような古い樹はもっと細かくて湿度を保つ用土の方が適しているのだろう。
そこで、2010年以来3年振りともなるし、土を変えるために植え替えをした。
鉢から抜いてみると一昨日雨が降ったのに、小粒の軽石と赤玉土主体の鉢土は保湿性が全く無くてボロボロと崩れる。 | ||
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根も貧弱で髭根らしいものはほとんど無いし、勿論鉢底に沿った巻根は全く見あたらない。 このように乾いていて髭根もない状態だから小枝が茂らないのだと考えた。 |
そこで、今回の植え替えの用土は、中粒以下の鉢底石を置き赤玉土中粒を敷いた。その上に、腐葉土2、「花の土」1、庭の土1、発酵鶏糞0.1、化成肥料微量、粉炭微量を混ぜあわせた。
この用土は腐葉土が多いのでしっとりと湿り気がある。
植え替え後腰水してしっかり水を吸わせておいた。来春の芽吹きを期待している。
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