製作年度:2011年 アメリカ 映画 配給:ディズニー
出演:ブラッド・ピット ショーン・ペン 監督:テレンス・マリック
2011年9月 映画館にて鑑賞
本当は「ライフ」を観るつもりが前日にテレビでやっていた「ジェシー・ジャームズの暗殺」のブラピがかっこよすぎたので、ライフ違いで「ツリー・オブ・ライフ」を観ることにした。テレンス・マリックの新作来た〜!!と喜ぶ人は日本にはそんなにいないかもしれない。私がテレンス作品を始めて観たのは高校時代の「シンレッドライン」で当時はちょっと前に「プライベートライアン」が公開され、CGと音響の融合によるリアルで生々しく新しい戦争映画の表現技法が確立した頃だった。そんな中公開されたのが「シンレッドライン」。CMコピーが「映像の魔術師テレンスマリック」だとか「僕は彼の新作をどれほど待ち受けたことかbyショーンペン」だとかでやたらかっこよく、出演陣も豪華。宣伝の映像も灰色一色のライアンに対してこちらは、新緑と海の日本戦ときていて違う戦争映画観たさに行った。その時はただのガンアクション映画好き感覚できっとかっこいいスナイパーや軍曹の熱いキャラとの戦いとかあるものだとばかり思っていたのだ。蓋を開けてみればプライベートライアンで進化した戦争映画の撮り方をあっさりと受け流すかのような控えめな戦闘、スローテンポ映像が続き、戦争なのにスピリチュアル映画であり、自分の許容範囲をあっさり越えて私が被弾して眠りの中に…内容を思い返しても何も覚えていない。その後「ニューワールド」も前にレンタルで観たが内容が全く思いだせず、「ベアーズキス」はそこそこ楽しめた記憶がある。「天国の門」は未見で借りる体力がない。
10年以上が経ち「シンレッドライン」以来劇場で久々に観ることとなったが、今作では今まで以上にすごい爆弾を投下してくれた。始まって数分、父親役のブラピが出てきて「リーマンファッションと眼鏡が似合わんな〜」と思っていたら次男の訃報が入って、長男ショーンペンの時代に跳んで…と、そこまではいいのだがスケール増幅のパッキンがいかれ、宇宙までいって、人がいっさい出てこなくなり、地球の誕生まで遡ちゃって、「おいおい、誰か止めてやれ」と「2001年宇宙の旅」終盤以来の衝撃が走る。そのあと延々と恐竜とか進化の過程が入って、「神様大好きなのに進化論は推すのね」とか思ったりして。胎児になってようやく長男誕生となるあたりで「この人やばい、神すぎて誰も練習に付いてこれません監督」と驚愕。その後も記憶の断片を独特の映像繋ぎでアメリカのいち家庭としての父親像の在り方だとか、子供達の自我の目覚めなんかをひたすら綴っていく。で今回も例に漏れることなく被弾して途中寝てしまった。暫くして起きると話が進んでいなかった。映像の撮り方はすごくきれいで天を見上げるショットを多様するのが印象的。一通り家族の生活を描くと、ラストがまた神映像になってととにかく斬新すぎる映画構成にもうたじたじ。威厳喪失してただのパパになったブラピにはちょっと感動。次男の死に至る軌跡がよく分からんかったが寝ている間にひょっとしてあった?
P.S.先日BSで「シンレッドライン」をかなりレアな確率で放送していたので改めて見直したが映画館で観た時の当時の印象と
違ってそんなに悪い映画ではなかった。草原を風が撫でるように吹いている感じがなかなかきれいだったし、ニックノルティーがはまり役でおもしろかった。「戦場のピアニスト」のエイドリアン・ブロディーが早くも出ているなど見るポイントは各所あり、でもやっぱりヘタレ軍人なのね。(2011.12)