製作年度:2012年 アメリカ 配給:ワーナー・ブラザース
監督:クリストファー・ノーラン 出演:クリスチャン・ベール トム・ハーディ
2012年8月 映画館にて鑑賞
ノーラン監督が熱望して、大人も楽しめるバットマンをコンセプトに始まった新バットマン3部作。「ビギンズ」最高、「ダークナイト」は超最高で幕を閉じ、果たして最後はどうなっちゃうの?とオリンピックばりに待ちに待った4年間、長かった。制作進行中の時にちょろっと出た宣伝トレーラーの出し惜しみ感がまたうまくて心が踊る。ここまで続編が楽しみなハリウッド映画があったろうか?となって今年の夏、おー、ついに本年度の大本命「ダークナイトライジング」公開!!「スターウォーズ新3部作完結」の時よりテンションは高い。鑑賞前に世間の前評を恐る恐る覗くと軒並み高評価ときたもんだ。「よし、ノーラン、あんたはスゲー、ルーカスはすでに超えた」とか思いつついざ劇場へ。
冒頭で悪役登場、マスク姿が大丈夫か?とかこいつ強いのか?とか目的が何したいんだかよく分からないけどとにかく掴みは迫力満点でOK。ここから先は平和になったゴッサムシティーへの新たな恐怖、バットマンの浮き沈み、なんかが展開していく。で、おもしろくないわけではないんだが、なんかな…という微妙なところ。ちゃんとポイントは押さえてはいるんだけども、たまに冷める演出が水を差す。背骨治りすぎ、警官丸腰で突っ込みすぎ、それを迎え討つ敵が自動小銃携帯しているのに素手すぎ、ベインの部下が命張る理由があまり見当たらなすぎ、飛行型モービル「バット」に頼りすぎしかも名前「バット」って、女の子壁登れすぎ、監獄警備なさすぎ、バットマン正体悟られすぎ、キャットウーマン衣装ちゃっかり揃えすぎ、バットマン日中に出てきすぎ、大統領の声明とか現実すぎ、ゲイリーオールドマンがんばりすぎ、で相棒候補がでしゃばりだすと最終的には結局いつものバットマンに逆戻りといったところだ。ただこれを上回るかっこいいシーンもたくさんありスタジアムの国歌斉唱の演出はすごくよく仕上がっている。
キャラクター面では奇才ヒース・レジャー演じるジョーカーが使用禁止となり次に出てきたのがベイン。声が迫力あって、強いし、ヒースの後継としては申し分ないのだが最後の弱体化が…やっぱり…。闇でのパワーはどこへやら。この映画に限らず、呼吸困難キャラやサイボーグキャラってなんでいつも弱点のチューブや配線が剥き出しなんだ(その点ベイダー卿のマスクは優秀)。むしろキャットウーマンの魅力が演じる女優含めて好印象。旧リターンズのムチ持って「ニャーオ」でデパートが爆発するシーンも好きだったが、今回のバットポッド(バイク)の乗り方を説明中に「I got'it.」と発進できてしまうアン・ハサウェイはかっこよすぎる。またスピンオフ映画できそう。前回はラズベリー賞で惨敗だったけど今度はいけそう?おしゃれ泥棒ラブストーリーにすれば…。と人気票もキャットウーマンに集まっているようではベインのキャラ設定に誤算があったのでは?バットマンが薄いというのは今に始まったことではない。「ビギンズ」の瀕死状態のリーアム・ニーソンに「お前を殺しはしない、だが助けもしない」で電車脱出のシーンなんかは好きなところであった。今回は「バット」自体はかっこよくて印象が強いが、乗っているバットマンそのものは薄いし、ホイールが自由回転するバイクのクールさには勝てない。
最後はヒーローらしい華のある最期となっているものの、なんかもうバットマンの管轄ではない。ジャックバウアーを呼べ〜!!
といろいろ不満を書いてしまったが、見所はたくさんあるし、フリーズ、リドラーの時よりは断然進化している。バットマン新3部作も終わって振り替えってみれば、かっこよくて、おもしろい3部作ができたしてもティムバートンの初期2作品は影響を受けない別の次元にいるんだなと思った次第。あの頃のバートンはまさに天才であり、鬼才だった。