製作年度:2010年アメリカ映画 配給:20世紀フォックス
出演:ナタリー・ポートマン バンサン・カッセル 監督:ダーレン・アルノフスキー
2011年6月 映画館にて鑑賞
「π」の時は数学中毒、「レクイエム」では薬中、「レスラー」ではプロレスバカ、そして「ブラックスワン」ではバレエに取り憑かれた人ということで何かに熱中する人をよく描くダーレンアルノフスキー監督。ハリウッド規模でナタリー主演ということもあって、さすがにいつもみたいに好き勝手ロシアンな重たさは演出できまいと思っていたら(ブルックリン生まれでロシアとは全く関係ありません)、ナタリー使って好き放題あんなことこんなこと完全にセクハラOUTだったが、お師匠様と呼ばせていただきます。というかハリウッドでよくOK出したなーと感心。エロスとグロさがいい割合で見応えがある。作品自体はアカデミー賞を逃したように王道ののりではなかったが主演女優賞は納得。プロのダンサーから見ればどうかは分からないが素人目には十分華麗なるステップが堪能できた。背中の筋肉がきれいでカメラもそこをよく写してくる。背中を見せるだけではなくこの作品のカメラワークは構成がなかなかいい。足のターンのアップ、踊りの引き、ぐるぐる回る主観視点などをうまく組合わせつつ、時には酔わせて不安を誘い、オープニングと本番のシーンなんかではダイナミックに見せてくれてうまく引き込む。主演以外の脇役陣もあなどれないくせ者揃いでいつ足を引っ張られるかとドキドキする。助演賞は電車で自分の股間をさする発情じいさんにはい決定。「羊達の沈黙」でジョディーフォスターに精液投げつけてきたおっさん以来の衝撃。内容はいたって斬新とまではいかないが見せ方がとにかくうまい映画だった。「世にも奇妙な物語」を200点満点で作ると「ブラックスワン」に、「ブラックスワン」をB級映画界のドンが撮ると「ショーガール」に早変わり。メジャーにいってもこのアングラ路線はずっと観たいところ。