Report3: 信州限定お菓子解析論
(99/05/17)
はじめに
お菓子解析には、さまざまな手法がある。季節限定ものの比較分析、同じ種類中での比較分析(チョコレート菓子、スナック菓子等)などが挙げられる。また、近年の傾向としては、「地域限定物」で売っているお菓子も多数有り、これまでそれらの比較検討は、あまりなされていないように思われる。今回信州限定お菓子を比較することで信州という地域の特徴を推し量ってみた。
味を論ずる

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明治 アポロチョコレート(くり風味)
甘さ ★★★☆☆ 苦み ★☆☆☆☆
まろやかさ ★★☆☆☆ 香り ★★★★☆
食感 ★★☆☆☆
6種類のお菓子の中では、唯一栗風味なのがこのアポロである。栗独特の香ばしさが口いっぱいに広がる感触がなんとも言えない。 |

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グリコ コロン(信州あんず)
甘さ ★★★☆☆ 苦み ★☆☆☆☆
まろやかさ ★★★☆☆ 香り ★★★☆☆
食感 ★★★★☆
やや、甘酸っぱさが足りないもののあんずのすがすがしい風味が味わえるのが良い。外側のカリッした食感のあとのクリームのやさしい舌触りがウリではなかろうか。 |

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明治 こんがりポポロン(りんご&ブルーベリー)
甘さ ★★☆☆☆ 苦み ★☆☆☆☆
まろやかさ ★★☆☆☆ 香り ★★★★☆
食感 ★★★★☆
コロンとは、対称的に外側のシューが軟らかくその後にさらにクリームのふんわり感が味わえる。甘酸っぱさを求めるなら、ブルーベリー味。さわやかさを求めるならアップル味がオススメ。 |

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明治 きのこの山(巨峰風味)
甘さ ★★★☆☆ 苦み ★☆☆☆☆
まろやかさ ★★☆☆☆ 香り ★★★★★
食感 ★★★☆☆
一粒一粒袋に入ってるが、その一つを空けるとまず感じるのが巨峰の香りである。香りの強さでは、アポロに負けないだろう。巨峰が好きな人には、たまらないかもしれない。 |

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森永 信州パックンチョ(ブルーベリー)
甘さ ★★★☆☆ 苦み ★☆☆☆☆
まろやかさ ★★☆☆☆ 香り ★★☆☆☆
食感 ★★★★☆
外側のビスケットの食感に圧倒されてブルーベリーの風味や甘みが弱いものの逆を言えば、癖が無くいくらでもいけてしまう。小袋に書かれている信州の景色で地理の勉強もばっちり? |
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グリコ ポッキー(信州巨峰)
甘さ ★★☆☆☆ 苦み ★☆☆☆☆
まろやかさ ★★★☆☆ 香り ★★★☆☆
食感 ★★★★☆
つぶつぶイチゴポッキーのように、チョコレートクリームの中に巨峰のフレークが入っていて、噛んだときの食感が楽しい。また、1本で満足できる大きさも魅力の一つである。 |
栄養成分表示、原材料について
表1 各信州限定菓子の一箱における栄養成分
名前 |
内容量(g) |
熱量(kcal) |
タンパク質(g) |
脂質(g) |
糖質(g) |
ナトリウム(mg) |
アポロくり風味 |
6 |
33 |
0.4 |
2.1 |
3.3 |
4 |
コロン信州あんず |
16 |
85 |
0.6 |
4.5 |
10.4 |
21 |
こんがりポポロンりんご&ブルーベリー |
16.8 |
596 |
0.9 |
7.2 |
7.9 |
17 |
きのこの山巨峰風味 |
7 |
39 |
0.3 |
2.4 |
4.2 |
9 |
信州パックンチョブルーベリー |
19 |
90 |
1.2 |
3.7 |
13.4 |
47 |
ポッキー信州巨峰 |
不明 |
71 |
0.8 |
3.6 |
8.9 |
35 |
アポロ、きのこの山に関しては、一粒当たりのデータを示した。それぞれ一箱当たり、46粒、32粒入っていた。ポッキーにおいては、内容量が示されておらず、一本あたりのデータである。一箱あたり20本入っていた。コロン、ポポロン、パックンチョは、どれも一袋当たりのデータを示した。それぞれ一袋当たり、18袋、10袋、14袋入っていた。
表2 各信州限定菓子の原材料
名前 |
原材料 |
アポロくり風味 |
砂糖、植物性油脂、カカオマス、ココアバター、乳糖、全粉乳、脱脂粉乳、乳化剤、香料、栗パウダー、クチナシ色素、食塩 |
コロン信州あんず |
砂糖、小麦粉、ショートニング、乳糖、あんず果汁パウダー、濃縮全卵、水あめ、還元水あめ、クリームパウダー、脱脂粉乳、洋酒、ソルビトール乳化剤、植物性油脂、着色料(カロチン、クチナシ、アナトー)、香料、食塩、膨張剤、甘味料(ステビア) |
こんがりポポロンりんご&ブルーベリー |
クリーム(植物性油脂、乳糖、砂糖、全粉乳、紅花色素、レシチン、デキストリン、香料、粉末アップル果汁、酸味料) シュー(鶏卵、小麦粉、マーガリン、卵殻カルシウム、乳化剤、香料) |
きのこの山巨峰風味 |
チョコレート(乳糖、ココアパウダー、砂糖、全粉乳、植物性油脂、脱脂粉乳、巨峰果汁パウダー、着色料(クチナシ、ビートレッド)、乳化剤、香料グレープ果汁パウダー、酸味料) クラッカー(小麦粉、植物性油脂、ショートニング、砂糖、膨張剤、食塩、全粉乳、香料) |
信州パックンチョブルーベリー |
小麦粉、砂糖、植物性油脂、乳糖、全粉乳、脱脂粉乳、マーガリン、膨張剤、ショートニング、チーズ、鶏卵、ブルーベリーパウダー、食塩、デキストリン、酸味料、香料、乳化剤、カラメル色素、アカキャベツ色素、クチナシ青色素、イースト |
ポッキー信州巨峰 |
小麦粉、植物性油脂、砂糖、乳糖、ショートニング、加糖、れん乳、巨峰パウダー、卵黄、異姓化糖、乾燥グレープ、全粉乳、イースト、ブルーベリーパウダー、膨張剤、香料、乳化剤、食塩、グレープピューレ、グレープ濃縮果汁、クチナシ色素、赤キャベツ色素、紅花色素、クエン酸 |
こんがりポポロンブルーベリー味は、紅花色素の代わりに着色料(フラボノイド、クチナシ)が、粉末アップル果汁の代わりに粉末ブルーベリー果汁が使われていた。
終わりに
栗、あんず、ブルーベリー、アップル、巨峰。これらが信州を代表する食べ物のようである。そのお菓子も、定番のものより、サイズが大きく、パーティ向けなのは、観光客を意識してのことなのであろうか。これは、地域限定お菓子の一般的な特徴である。
最後に、今回のレポートを作成するに当たり、信州限定お菓子の存在を教えていただき、また提供していただいた水都様に深く感謝している次第である。
協力者 募集中
今回のような地域限定チョコレートを研究するに当たり、ご助力していただける研究員を募集したいと思います。地域限定であろうと思われるお菓子を送っていただくだけでも構いません。(もちろん料金は、僕がもちます。) 協力していただける方は、メールでお知らせ下さい。よろしくお願いします。
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