瀬名秀明さん

「パラサイトイヴ」 (99/01/06)

 大学を卒業してからは、生命科学研究所というところで、大学院生活が待っているわけですが、これを読んでいると、将来待っている研究生活を見ているようなそんな気分にさせられました。化学とちがって、物質じゃなくって、ラットとか細胞とか生命を扱うわけで、ちょっとドキドキ。前に映画で一度見てしまっているので登場人物のイメージは、映画の俳優さんと重なってしまいました。ちょっと順番を間違えてしまったかと後悔。物語がどうこうというよりも、この作品では、研究の風景を楽しんだり、移植に関する問題点とかを新たに知ったり、ミトコンドリアと宿主細胞との関係について一緒に考えてみたり、と科学的な部分(?)に目がいってしまいました。僕がそういうところに興味があるからだと思いますが。ミトコンドリアと核どっちが、支配者でどっちが奴隷なのか?ひょっとしたら、ミトコンドリアが核DNAを操作しているかもしれないではないか。という聖美の言葉には、意味ありげに感じましたね。いつか本当にミトコンドリアが反乱を起こして核DNAに取って代わるかもしれない。でもその時は、きっとお互い凄い利己的だから細胞の中は、とんでもないことになって、人間の体は、大変なことになるんじゃないかなぁ。なんて妄想にふけったりもするのでした(笑)

 最後、利明がEVE1の子供を抱きしめるところには、ちょっとだけ胸を詰まらされる思いがしました。

 


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