森博嗣先生 講演会

すべてがミステリィになる

主催 名大祭 実行委員会

平成11年6月12日(土曜日)13:00〜15:00

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今回のキーワード

不思議 (Mystery)

日常 (Ordinary)

空想と現実 (Imaginary and Reality)

技術 (Technology)

予定 (Previously)

客観 (Objectibity)

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 名古屋大学で森先生が講演会を開かれるのは、これで2回目。まずは、去年のおさらいでした。走っている自転車がどうして倒れないのか?それは、力を受けた場所から90度ずれた場所で作用を受けるから。これがジャイロ効果。この為にブーメランは、投げると戻ってくる。ブーメランの断面は、飛行機の翼の様になっていて、正面から風を受けると気圧の差により力をうけて、一方に傾こうとする。しかしブーメランは回転しているのでジャイロ効果によりまっすぐに進まずに曲がってしまう。それが連続して起こって、ブーメランはかえってくる。 ブーメランのお話をされた時、森先生が非常に嬉しそうにしていたのが印象的でしたね〜。 「ブーメランが返ってくる理屈を知らなくても投げれば返ってくるのがTechnology」<いわゆるブラックボックス。 これが技術の最終系。

 次は、ゴジラのお話。ゴジラの目(直径3m位)には、何が見えるのか? 目というのは、電磁波をとらえるアンテナ。アンテナというのは、電波と同調してとらえるもの。そのためには、とらえたい電波の波長にあったサイズにしなければならない。 可視部の波長には、人の目のサイズが合っている。つまりゴジラの目には、可視部の光は、入らないで、もっと波長の長いTVの電波などが見えるのだろう。 ゴジラは、TV塔をみるとまぶしがるのではないか? これが空想と現実。 透明人間は、角膜が無いので目が見えないだろうともおっしゃっておられましたね〜。

 そして、縮尺のお話〜。ものが大きくなったり小さくなったりしたらどういう変化がおこるのか? 牛は、あの体の大きさだから細い足でも耐えられる。 「物体は、大きくなるほど弱くなる」とガリレオは、言った。当時は、微分という概念がなかった。 単位面積当たりどの程度の重さを支えなければならないのか?これを考えた場合。モノが拡大されると。体積は、3乗に比例するのに対し、断面積は、2乗に比例する。つまり大きくなればなるほど、単位面積当たり支える重さが大きくなってしまいいつかは、耐えられなくなる。 ウルトラマンのように人間の30倍の大きさになると。まず、地面にめり込んでしまう。ゴジラは、足が太いからなんとかなるだろうとのこと。しっぽもあるし。ゴジラは、倒れたらどうやって起きあがるのか?という疑問も投げかけられていましたね〜。これも、空想と現実

 車には、車輪がある。ヘリコプタには、プロペラがある。つまり回転していた方が効率が良いのだけど、動物には、、どうしてそういう機構を持っているものがいないのか?プロペラのある鳥も、スクリューのある魚もいない。ちょっと寄り道されて、人間が初めて船をつくった話もされました。海面は、海と空の境界面で非常に危険な場所であり、そこに生態系を持つ生物は、いない。人間は、その一番危険なところの乗り物を作った。つぎに、陸に、海底、空と安全なところの乗り物を作ったのだそうです。で、本題にもどって。どうしてタイヤが付いていないのか?という疑問に対して、生物のサイズが大きすぎるからだとおっしゃられていました。この大きさにまでなるとエネルギィを隅々にまで送るのに単細胞のように膜圧だけでは、対処し切れなくなり、血管のようなパイプラインが必要になってしまう。植物の導管師管も同じ。 そのため、車輪のような回転運動をしてしまうと血管がねじれて切れてしまう。だから動物には、回転運動する機構がない。 ここで!

「植物は導管によって水分を葉にまで供給しているが、水は、ポンプなどで吸い上げても、10mまでしか上がらない。しかし10m以上の高さの樹は世の中に存在している。どのようにして水を供給しているのだろうか?」 これが日常不思議。 そして、今回の宿題でした。

 人間は、どれくらいの加速度に耐えられるのか? 人間は、どんな速度にも耐えられる。地球が回っている速度を考えるとわかりやすい(?) ここで、加速度のお話になって、そこからジェットコースタのお話に。森先生は、昔ジェットコースタ同好会に入られていたそうで、夜中に車を走らせて朝一番で富士急ハイランドに行っておられたようです(笑)  話は、もどって、加速度も人間は耐えられる。(腕だけ引っ張られたとかいうのなら別) その後、前方にブラックホールを作って走る宇宙船のお話をされました。これだと、宇宙船全体に加速度が加わるので、シートベルトの必要がない。 ちょっとわくわくドキドキしてしまいましたね(笑)

 ここでミステリィのお話に。「そして二人だけになった」をご自分だけ持っていると、壇上で自慢されていましたね〜。 すっごく嬉しそうでしたよ。 それからそれから今回のジョークは題して「普通ジョーク」 

この作品は、読者になにかを語りかけているようだ。

聞いている者に語りかけるようなナレーション(これは、やりすぎ?)

 そして、なんと森先生がオヤジギャグまで出されたのには、圧巻されてしまいましたよぉ。えと、一部分だけ「飛び込み」というのがポイント(笑)

 この後、作品のお話に〜。「S&Mシリーズ」のお話。これは、新宿での講演会でお話されていたので省略です(汗)そうそう「夏のレプリカ」は、もともと「いつか問われる」というタイトルだったそうです。「人形式モナリザ」のもとのタイトルは「人のかたち」だったようです。この後色々ファンには、聞き逃せない内容ばかりでしたが、ネタバレになりそうなので自重します〜。(汗)

 最後にミスディレクションのお話でした。水が流れやすいところに流れるのと同じで、ある作品の中で話しやすいテーマがミスディレクションとなっていることが多い。今回の講演会では、植物の宿題がそう。既刊の小説を例にわかりやすくお話されてましたが、どれもギリギリでした(笑)そして、突然 数学のお話に。「n角形の対角線の数はいくつか?」これは、中学レベル。では「n角形の対角線で作られる交点の数は、最大いくつか?」これは、大学院の入試問題に出されたそうで、まず「対角線の数の公式を求めさせて」次に「対角線でできる交点を求めさせる」ようです。実は、前の問いがミスディレクションでなかなか、2問目の問題が解けなくなるように作られている。というお話でした。 この答えは「Cのnの4」(笑)

 一番最後にありがたい教訓を頂いてしまいました。「問題を自分で解くことが出来るようになったら、つぎは、問題を見つけられるようになりましょう」というお言葉。就職活動での面接では、最後の「なにか質問は?」にたいする返答で評価が殆ど決まってしまう。ということで、これからも色々疑問を抱き続けていきたいなと思うのでした。

 ということで、僕からのレポートは、これで終わりです〜。

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