森博嗣助教授 特別講義

ミステリィと流体力学

主催 講談社NOVELS

後援 森博嗣公認ファンクラブ 「森ぱふぇ」

平成11年3月22日(月曜日)18:30〜20:30

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前置き

小説を書くときは、先を考えないで、メモを書かないで書く。(トリックなど)思いつくまま書いて「誰が犯人かなぁ?」とドキドキしながら書いてる。講演会も何を話すか前もって考えてはいない。

森という字の美しい書き方

上、左下、右下の順で3:5:7の大きさに書く。門松の竹や、お寺の伽藍の配置もこの比が使われている。

流体力学:レオロジー(ちょっと難しい)

世の中にある物質(固体、液体、気体)が温度によって変わることを発見したときは、ミステリィどころじゃなかっただろう。

世の中の物質は、バネ(弾性)、スライダー(摩擦)、ダッシュポット(速さに比例する抵抗)の3つのパターンで表現できる。

(観察事項)森先生が小学校の頃、プレゼントで貰った天使のろうそく(2頭身)が中学の頃に見てみると、ちょっとお辞儀しているのを発見。しかし、ひびは、見あたらない。大学になると、土下座をしていた。最近では、顔がぺちゃんこになってしまっている。

(結論)ろうは、短い時間では、固体に見えるが、長い時間で見ると液体の性質がある。

(類似例)マントルも短い時間では、固い物質だが、長い年月で見ると液体のようにふるまって1年に数p動くといった現象が起こる。(大陸移動説、ウェゲナー)

(補足)2頭身とは、首が真ん中にあること。天使の羽根の位置は、理にかなっている。

レオ:万物は、流転する。という意味。

レオロジーの中に力学という学問分野がある。

サスペンション要素法は、森先生が世界で初めて作った。

今までの建築では、どれだけの力がかかったら壊れるのか?という研究がされていたが、森先生の研究では、壊れた後どうなるのか?というのを調べている。

研究者として発表しているときは、森先生は、「私」と自分を呼んでいる。

ラグランジュという学者は、自分の著書に図を入れない。図を入れないと分からない人には、読んで欲しくないから。

一生懸命導き出した方程式には、愛着がある。

インターネットによる単語検索結果

コンクリート 46000、 セメント 11000 生コン 34000 モルタル 28000

セメントは、粉。 セメントと水を混ぜると水和反応を起こして1日で石になる。 コンクリートの比重は、2.3 、人の比重は1.0 なので沈められない。天気が良かったからコンクリートが固まったというのは、嘘。 水をいっぱいかけると良く固まる。水、セメント、砂、砂利を混ぜるとコンクリートになる。砂利がないのは、モルタル。 さらに砂がないのは、セメントペースト。

森ミステリィのお話。

最初が一番傑作というのが定説。「F」で、萌絵が卒論のテーマでVRに関することを与えられたが、1作目に来てしまったので、何のために真賀田博士に会ったのか分からない。儀同世津子もライバルとして登場するはずだった。国枝助手に関する記述も伏線だった。

「冷密」を書く前は、小説を書いていなかった。

執筆した通りに出版していたら後半5作は、書いていなかっただろう。

森先生は、「まど消」が一番好き。

森先生は、本を読むのが嫌いだった。

字が好きな人は、日本で30万人くらい。(根拠無し)

新シリーズ(Vシリーズ) Vは、紅子(主人公)のV。

新シリーズは、2作目まで脱稿されている。只今3作目を執筆中。

タバコをやめてから、1作作るのに3週間から4週間かかるようになった。

ゲラを読むのが2週間くらいかかる。執筆時間は、10時〜3時まで。

教授になったら大学を辞めるかも知れない。教授と助教授の違い(国立)は、、人事権のあるなし。優れた研究をしている研究者は、早く助教授になれる。若い助教授は、研究が上手い。若い教授は、学校の運営に熱心な人。理学部になると助手が大学を運営している。助手が一番年をとっている。

わんちゃんジョーク

窓際でコーヒーを飲みながら、タバコを吹かしているテリアは?

ちょっと声が低い犬は? (ハスキー) これは伏線。

少し憂鬱そうにしているコリーは?

日常の授業では

寝ていても怒らない。 たまにジョークを言ってみんなの眠気をさます。

リアリティ

現実にその場にいて、その人は、どうするのか?というのを考えて小説を書かれている。 (例)人が突然死んだら周りにいる人は、悲鳴をあげるか? 冷静になってその後の行動を判断するのが普通だろう。 よってTVなどで悲鳴をあげているのは、おかしい。

ポーカーでスリーカードが初めにきていたら。カードを代えないのが常套。

コナン君は、面白い。

一人称の小説で見られる独白は、現実には、有り会えないだろう。思考というものはもっと早い。一度独白しない一人称とか、独白していくうちに眠たくなってしまったり、別のことを考えてしまう小説を書いてみたい。

ABS

ABSという樹脂がある。

アンチロック・ブレーキ・システムの略。ブレーキして、タイヤをロックしてしまうとスリップしてしまいハンドルが切れなくなってしまう。また車体もまわってしまう。そこで、タイヤがロックする直前にブレーキをちょっとゆるめてタイヤの回転が止まらないようにすることで、早く止まれるようにしてるシステム。

スバルさんは、ブレーキを踏むとフォークのようなものが下から出てきて止まると思っていた。また、息子さんがリモコンの戦車を動かしていた時、進行方向が曲がるのをみてビックリし裏返してみていた。

動摩擦と静摩擦の差はなぜ?

ミステリィには、オチ(意外な犯人、意外な動機)がある。これにはブレーキで止まる時と同じ快感がある。ミステリィを読み慣れていると、大きいオチに出会うとその後滑ってしまう。そこで森先生は、ABSの原理で?オチそうでオチないように小説を書かれていた。

森ミステリィについて2

地球スラ 「僕に似た人」 ダールの「あなたに似た人」にかけている。 これがどうして、「石塔の屋根飾り」の前にあるのか?

幻死使 有里匠幻の名前に関する謎。

笑わない数学者 のタイトルの理由

犀川&萌絵シリーズの短編は、5作ある。 しかし「まど消」に2作、「地球スラ」に2作。残り1つは?

「黒猫の三角」は、傑作と森先生ご自身が太鼓判。

森先生は、普段は、5オクターブくらい声が高い。この日は、花粉症で低かった。

Vシリーズは、「ミステリィのめぞん一刻」

S&Mシリーズは、「ミステリィの動物のお医者さん」

犀川先生引退、国枝教授、浜中助手。萌絵は、自分で研究所を開く?との噂あり。

メモをするとした途端につまらなくなる。本当に面白いものは、いつまでも覚えている。

知り合いがいるとあがる。いないと言いたい放題。

デザインとは、無駄なものを削ること。

質問タイムより

森先生は、地理が苦手。

アメリカのカンドルが森先生と殆ど同じ解析法を発表した。お互い影響しあって、現在では、実質上同じ解析法になってしまったが、周りの研究者は誰も気づいていない。

ミステリィと力学は、ミステリィ・トリッキィ学にかけていた。

お煎餅を二人で折って取り合うときは、自分で力をいれずに、相手に折らせる。

森先生の視力は、2.0。裸眼。

昔は、回文に凝っていた。最高300文字。

最近は、タイトルと先に決めて書かれている。つぎにテーマを決めて、人物表を書く。

笑わせたり泣かせたりするのが一番難しい。怒らせるのは、一番簡単。

森先生が一番面白いと感じたジョーク。冷蔵庫の中にキリンをいれる方法は、全部で4つ手順がいる。象を入れるときは、冷蔵庫を開ける。象を入れる。冷蔵庫を閉める。の3つ。キリンの場合。冷蔵庫を開ける。象を出す。キリンを入れる。冷蔵庫を閉める、で4つ。

森先生は、寿がきやのラーメン、ソーレのスパゲティが好き。

Vシリーズでも、5作発表されて、短編集が出るパターンの予定。

ずっと天才で有り続けることは、ありえない。「この人は、ある時期において天才だった」という表現が正しい。天才は、柔軟性があって、社会に適合でき、いろんな人格をもって、考えを一つに決めない。子育ても出来る。

小説を書かれるときは、場所が大切。取材はしない。参考文献もない。

自然があんまり好きじゃなくて、にぎやかな街が好き。

「世界の車窓から」が好き。電車に乗ったときの流れる風景が好き。

花束贈呈には、カーネーションとチューリップ。

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ということで、今回は、箇条書き風でお伝えしました。

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