眠れぬ夜

(2001/11/26)

 

 ロト3部作が完結してもうドラクエは、体験できないだろうと少しばかり寂しい気持ちを味わっていたのもつかのま、中学2年の時にそれは、知らされた、「ドラゴンクエスト4」の発売決定である。それから毎週のようにゲーム雑誌を買っては、ドラクエ4の情報収集にいそしんだのは、想像に難くないだろう。4での売りは、5章仕立てのシナリオ、パーティーが今まで4人だったのが倍に増えて8人構成!馬車の登場!そしてそして、RPG初のAI戦闘システム!もうとにかく新しいことづくめだったのである。

 さて5章仕立て、具体的にどうなっているかというと、1章「王宮の戦士達」は、バトラントという国で起きた幼児誘拐事件の真相を突き止めるため旅に出た王宮戦士ライアンのお話。この章では、ライアン一人だけの冒険。ドラクエ1を思わせる設定である。そして2章「おてんば姫の冒険」では、サントハイムのお姫様アリーナの腕試しのお話。このお姫様武術の達人で、全然お姫様らしくないおてんばぶりどれくらいすごいかっちゅーと、自分の部屋の壁が穴だらけでいつも修理をお願いしてるくらい。ついに父親である王様のいいつけをやぶって外に冒険にでることに・・・、そこでお供をすることになったのが神官のクリフトと教育係のブライ。どことなくドラクエ2を思わせるパーティーなのである。3章「武器屋トルネコ」は、今はレイクナバという町で下積み中だけどいつか世界一の武器商人を目指すトルネコのお話。そして4章「モンバーバラの姉妹」は、死んだ父親の敵討ちの冒険にでる踊り子マーニャと占い師ミネアのお話。3,4章は、商人や踊り子といったちょっと変わった職業の主人公でドラクエ3を思い出させてくれる。さて、1章から4章まで全然違った目的で冒険にでてる彼ら達、決して巡り会うことはないだろうと誰もが思うだろう。しかし5章で登場する勇者によって彼らの目的が共通のものであったことが徐々にわかってくるのだ。

 大まかなストーリーは、こんな感じなドラクエ4。近くのおもちゃ屋さんで予約して発売日にGETできることにはなったものの発売日1週間前には、もう夜も眠れないありさま。毎日予約券を確認してから床につく始末。そしてなによりすごいのが、発売日前日は、心配のあまり「予約券がタンスの中で粉々になり灰となって消えてゆく夢」まで見てしまった。しかも、3度もである。今にして思えばかなり笑える。冒険の方はというとドラクエ3で自力クリアを達成したためか、RPGに自信がつき特にこれといった困難は無かったように思える。ただし悩みどころはあった。「ちいさなメダル」を何と交換するか?である。ちいさなメダルは4からのアイテムなのだがこのときは、メダル何枚とアイテムを交換といった形式がとられていた。つまり景品を全部GETするにはそれだけの枚数を集めないといけなかったのだ。町や洞窟においてあるちいさなメダルだけでは、まず無理でモンスターがたまに落とすのを地道に集めないと達成できなかった。当時は、そんな根性は、なかったので町などであつめたメダルだけでどれを交換するかを真剣に考えたものだ。はぐれメタルの防具が欲しかったのだがどう頑張っても目標の枚数に到達できずに奇跡の剣で妥協した覚えがある。そして、もう一つ思い出深いのがパーティ編成である。5章で仲間になる順は、「マーニャ、ミネア」「トルネコ」「アリーナ、クリフト、ブライ」「ライアン」なのであるが、最終的に落ち着いたパーティは、勇者、アリーナ、クリフト、マーニャであった。ドラクエ3でいうと、勇者、武道家、僧侶、魔法使いのような編成でとてもバランス良くまたステータスも申し分なかった。後半はずっとこのままで行っていた気がする。で、ここに至るまでの過程でとてもかわいそうなキャラがミネアである。勇者がレベル一桁で、まだ弱い頃は、ミネア、マーニャ、勇者のパーティで勇者をひっぱっていくとても頼りになるお姉さんであったのだが、徐々に勇者に追い抜かれ勇者、ミネア、マーニャとなる。そしてトルネコを仲間にした時点で勇者、トルネコ、ミネア、マーニャ。ここまでは、まだいい。主力の地位を確保している。だが、アリーナ、クリフト、ブライが合流してくると徐々に危うくなってくる。合流直後は、レベル差もあり大丈夫なのだが追いつかれると選手交代、勇者、アリーナ、クリフト、マーニャのパーティになってしまい、ミネアは、お払い箱ずっと馬車の中で過ごすことになってしまうのである。この落ちぶれ方なんとも涙を誘うではないか。ライアンに至っては、行動順が一番最後になってしまうため初めから馬車入り確定である。一度も戦闘に出たことはなかった。かくしてマーニャは、最初から最後まで主力メンバーの地位を確保するのであった。この原因はひとえにメラ系、ギラ系、イオ系と3つの攻撃呪文を持っていたことであろう。一方ミネアの落ちぶれの原因としてはステータス的に特出した部分がなくごく平均的に成長していき中途半端だったためとこれといって使える呪文がなかったことに由来する。クリフトと同じ僧侶系のキャラなのだが、ザオリクが唱えられないのは致命的すぎる。

 さて、今回のラスボスであるデスピサロ。彼は今までのラスボスと違う。ドラクエ3までのボスは、絶対的に悪であったがデスピサロは、そうでなかった。デスピサロは、元々ピサロという魔族の王であったのだが、魔物達からはとても好かれていてロザリーというエルフの彼女がいたのだ。このロザリー、ただのエルフじゃなくて彼女が流す涙はルビーとなって落ちる。これに目を付けた欲深い一部の人間は、彼女を我が者にしてお金持ちになろうとした。しかしピサロはそれが許せなくて次第に人間に対する憎しみが増していく。そしてある日、ロザリーは、欲深い人間達にさらわれてしまいその命を落とすことになってしまうのである。ピサロの人間に対する憎しみは人間を根絶やしにする欲望へと変化して行きデスピサロと名を変えて地獄の帝王への道を進んでしまうのである。この辺がデスピサロを倒した後も複雑な心境にさせられる。クリアした後しばらくたってから雑誌か何かで読んだのだが、「本当はピサロは仲間になって、最後に真の悪をうち倒すはずだった」そうである。これを読んだとき、愕然としたものだ。どうしてそうならなかったのかと。なんでも、容量をめいっぱいまで使ってしまいこうするしか無かったのだそうだ。今でもピサロが好き!という人は良く聞く。ドラクエ四コマ漫画などでも魔物達にやさしいピサロが良く描かれている。ドラクエ史上唯一愛されたラスボスだと言っても過言じゃないだろう。「ピサロは仲間になるはずだった」11年前これを知った人はどう思っただろうか。ドラクエ4をこのままで終わらせて良くないと考えた人が少なからずいたことを僕は信じている。

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