川柳・狂歌
1.〔青首大根・作――〕
年とれば花粉の悩み止むといふ 年じゃないんだ、じゃあおれは
かゆみ増し えぐり出したき目ン玉を 出してどうする パチンコ玉にもならず
もの忘れ多きも他事と捨ておけど 捨てるもならぬ食って寝ること
そんなにもありがたきことにはあらねども 虫歯の痛み消えたその夜は
さりながら うるはしきはめでたけれ 老ひびとばかり見たるその目に
職追はれ 貧苦に手あはす ナンマイダ 何枚食うた まわる寿司皿
2.【閑粒子・作】
米英の砲火に子らは逃げまどふ イラクはクライ砂塵のなかに
藪(ブッシュ)深し 傾けよ耳「モモ」のごと 世界にどよもす非戦の声に
ライオンがポチ≠ノ化けたる宰相を などてきみまで持ち上げきたるか
瞳(め)に光やどして抗す砂の子と 少女おしんのけなげさに泣く
3.〔蒙昧御前・作〕――貧乏神・選/5月
みながみな その背に負える数トンの 火薬が地球を恢(はい)にする日はいつ
(評)懼るべし。世界が抱える爆弾はそんなにも多いのか。
若ければ一生不犯(ふぼん)は求めねど 五欲の味を貪るなきみ
(評)早く不能になりたきゃ、それもいいんじゃない? 清貧を気取るタマじゃなし。
こどもの日 いや老いびとの日か 鯉のぼり 長生きせよと風にはためく
(評)老人保健施設にへんぽんと翻る鯉のぼり。少子時代だしなぁ。
まよひ来たひげアザラシのたまちゃんに 群れる人垣 五月の連休
(評)ゴールデンウイーク、浪費しないですむし、子どもは喜ぶし…。