こどものくすり


くすりあいこん妊娠と薬
   鉛筆妊娠前後のくすりの服用について、催奇形性等の問題から心配がつきません。
      ここではくすりの胎児への影響について解説、理解を深めてもらいたいと考えています

妊娠と薬剤危険度
   胎児危険度は医薬品による胎児へののリスクの見積もりであり、妊婦に対して用いられた場合を対象にしています。
   つまり人乳中へ移行した薬剤のリスクを扱うものではありません。ちなみに、授乳危険度分類というものもあります。
   日本では公的な胎児危険度分類は今の所存在しません。そのため実地診療では米国のFDA分類や、
   オーストラリアの分類などを参考にしていることが多くあります。
   日本の分類としては東京の虎の門病院が独自に策定した基準があり、広く参考にされています。
   危険度の点数は妊娠期を5つのステージに分けて設定した点数と薬の危険度とを掛け合わせた数値によって決定します。

服用時期の危険度分布
   無影響期(0~27日目 /0点) : 受精前~妊娠3週末(次の生理予定日まで)・・・・・・安全(服用可)
       
●受精後2週間以内に服用した薬剤の影響を受けた場合は着床しないか、流産して消失します。
      
さもなければ影響が完全に修復されて健康児を出産します。この時期は残留性のある薬剤以外は問題ありません。

   絶対過敏期
(28~50日目/5点) : 4週~7週・・・・・・絶対危険(服用不可)
      ●中枢神経、心臓、消化器、四肢など器官形成がおこなわれるためもっとも催奇形性の強い時期にあたります。

   相対過敏期(51〜84日目/3点)〜比較過敏期(85〜112日目/2点)
     ●この時期は性器の分化や口蓋の閉鎖などが行われています。
      薬剤に対する胎児の感受性は次第に低下しますが、なくなるわけではありません。
 

   潜在過敏期
(113~出産日/1点)
     ●母胎に投与された薬剤は主として胎盤を通過して、胎児に到達します。薬剤を選択する上で胎盤の通過性は重要な因子です。

妊娠週数

男性の使用した薬
   薬剤の影響を受けた精子は受精能力を失うか、受精しても着床しなかったり、流産して消失すると考えられています。
   出生したとしても器官形成される前の影響なので遺伝子もしくは染色体レベルの異常で、
   いわゆる奇形のような形態異常は発生しません。
   もともと精子の20%くらいは形態的に奇形が含まれています。薬剤の影響で精子の奇形が50%になったとしても、
   受精させる能力はもたないと考えられています。
   男性への影響としてはコルヒチン・チガソンの報告を除いて、ほとんどの薬剤で無視できる程度です。

薬剤危険度
   薬剤の危険度を点数別に説明します。薬剤例は代表的な例に過ぎません。
   妊娠中は出来るだけ薬を控えるようにします。しかし母体や赤ちゃんのためにどうしても薬が必要なことがあります。
   ※当院ではできるだけ安全な薬を選んで処方しています

 【1点】 
   疫学調査は行われておらずヒトでの催奇形を肯定する症例報告はありません。動物生殖試験は行なわれていないか
   あっても奇形は認められていない。
   局所に使用するものおよび漢方薬なども入ります。

   ●薬剤例
     解熱鎮痛剤--------アセトアミノフェン、ボルタレン、ポンタール、ロキソニン
     鎮痙剤 ------------ブスコパン、ロートエキス
     鎮咳剤-------------メジコン、アストミン
     去痰剤-------------ムコソルバン、ビソルボン
     気管支拡張剤------スピロベント
     抗ヒスタミン剤---ポララミン


 【2点】
   疫学調査は行われておらずヒトでの催奇形を肯定する症例報告はありません。
   ただし動物生殖試験で催奇形の報告があり、否定と肯定の報告もあります。
    ●薬剤例
     解熱鎮痛剤--------スルピリン
     総合感冒剤--------PL顆粒
     鎮暈剤-------------トラベルミン、ボナミン
     鎮咳剤-------------リン酸コデイン
     気管支拡張剤------テオドール
     抗アレルギー剤---セルテクト

 【3点】
   疫学調査で催奇形を示唆する報告と否定的報告がともにあります。動物生殖試験では催奇形の報告がありますが
   その結果ヒトでの催奇形が必ずあるとまでは言えません。

    ●薬剤例
     解熱鎮痛剤--------アスピリン、インダシン
     沈痛剤-------------カフェルゴット、ジヒデルゴット

 【4点】
   疫学調査で催奇形を示唆する報告があり、否定的と肯定的なものがあります。
   中には人での催奇形に関する信頼性の高い症例報告が複数あります。

    ●薬剤例
     催眠鎮静剤--------ユーロジン、デパス、リーゼ、ベンザリン
     抗てんかん薬-----テグレトール、フェノバール


 【5点】
   疫学調査で催奇形があると確定的に考えられています。動物生殖試験の結果でもヒトにも催奇形があると確定的に
   考えられています。

    ●薬剤例
     抗てんかん薬-----ミノ・アレビアチン、デパケン


    ※このほか高点数の薬剤には抗がん剤・ホルモン剤などがあります。
     一部の育毛薬なども使用を控えた方が良く、その種類はとても広範囲に広がっています。
     市販薬なども医師との充分な相談の上での使用が大切です。

   鉛筆危険度総合点数からの評価
      妊娠週数と薬剤の危険度の評価を総合することによって個別の危険度を把握し処方に役立てることが
      可能になります。

危険度総合点数=薬剤危険度点数×服用時期危険度点数

  0〜6点....【影響無し】..全く影響が考えられず胎児の奇形が起こる確率は薬剤を服用しなかった人と全く同じです。

  7〜11点..【注意】........奇形リスクは0とはいえませんが確率は薬剤をしていない人と同じか大差がない程度です。
            ...動物実験では催奇形が報告例がありますが人では否定的なためにまず安全と考えれるます。

  12〜19点【警戒】 .........胎児への催奇形の可能性はあるが危険性は低い。薬剤を服用していない人の奇形発生率を1%とすると
            ....影響は2~3%程度になるものと考えられています。
                ....即座に人工妊娠中絶を考慮する段階とはいえません。

  20〜25点【危険】  ...服用しなかった場合と比較して明らかに催奇形の可能性が増加します。
               .....人工妊娠中絶を考慮しなければならないレベルです。


戻る