声ノーモア・ミナマタ訴訟弁護団

抗 議 声 明


  本日、参議院本会議において、水俣病問題特別措置法案(チッソ救済法)が可決され、成立した。われわれは、加害企業の救済を第一の目的にして、加害責任を負う環境省にフリーハンドを与えて水俣病問題の幕引きを図ろうとする法律の成立に、心の底から憤りを覚え、強く抗議する。

総理大臣が「国政の重要法案」と位置づけながら、衆議院では、一切審議をせず、参議院でも1回の委員会審議で採決を強行した。
 
  チッソ救済法は、誰を救済対象とするのか、その判断資料として何を使うのか、給付水準等の救済内容はどのようなものか、いずれについても具体的には何も書かれておらず、今後、加害責任を負う環境省が決めていくというのである。
 
  この法律で唯一はっきりと決まっているのは、チッソを初めとする加害企業の分社化の容認である。分社化はチッソが長年要望していたものであり、今回の法律はチッソの要求に応えたものである。この法律が、被害者救済ではなく、チッソ救済を真の目的とする、加害者救済の法律であることは誰の目にも明らかである。
 水俣病の半世紀の歴史は、加害者に救済対象者を決めさせれば、被害者は必ず切り捨てられるということを教えている。水俣病の問題の解決を、加害者である行政に任せておくことはできない。

裁判での救済を求める被害者が、熊本、近畿、新潟に広がっている。

 われわれは、1人の被害者ももれなく救済される、真の全面解決を求めて、引き続きたたかっていく決意である。

                     2009(平成21)年7月8日
           

新潟水俣病阿賀野患者会

水俣病不知火患者会

水俣病被害者互助会