MMT(Manual Mascle Test:徒手筋力テスト)のポイント

  

MMT(Manual Mascle Test:徒手筋力テスト)は臨床場面で多く用いられる筋力検査法。簡便な反面、データとしては検査者の主観的な判断による部分が大きく、他の検査者が行ったデータとの比較には再現性がないなどの弱点はあが、臨床場面で筋力を大まかに把握するには有効な方法である。

 

MMTの段階付け

 

MMTの段階付けについては基本中の基本。筋ごとに多少の違いはあるものの原則は以下の表。

数的スコア

質的スコア

その意味

NormalN

検査者が被検者の肢位持続力にほとんど抵抗できない

GoodG

段階5の抵抗に対して、被検者が抗しきれない

Fair(F)

重力の抵抗だけに対して、運動範囲内を完全に動かせる客観的基準

Poor(P)

重力を取り去れば、運動範囲内を完全に動かせる

Trace(T)

テスト筋の収縮が目で見て取れるか、または触知できる

Zero(活動なし)

視察・触知によっても、筋の収縮が確認できない

  MMTにおいて基準となる「3」に関しては、検査者の主観をほとんど排除できるため重要である。

*プラス(+)やマイナス(−)付きの段階付けについて
 MMTにおいて(+)や(−)を段階付けに用いるのは  
「3+」、 「2+」、 「2−」 のみで、その他の段階では避けるというのが原則。 そうしないと、ただでさえ曖昧な判定基準がさらにあやふやになってしまう。

MMTにおいて運動範囲内とは??

 

MMT実施時に「運動範囲内を完全に」というのがひとつのきまり。では、MMTにおいて運動範囲とはどこまでをさすのでしょう。

 

答えは簡単。「被検者が動かせる範囲」です。
ROM制限がある被検者でも、「動かせる範囲で」完全に運動が出来るかを見ればよいというわけです。

   

MMT施行時の3つの注意点

 

MMTを実際に行うとき、検査者が気をつけるべき3つの大きな注意点は、

 

 @抵抗
 A固定
 Bポジショニング  
の3つ

 

・抵抗のかけ方はMMTの信頼性を大きく左右するもの。
 まず守るのは、
いつも同じ手で行い(利き手)抵抗力は同じようになるよう心がける。
 また、このときに
体重は乗せない様に気をつけることが大事。

 

・固定は運動させる関節に対して「中枢固定・末梢抵抗」が基本。

 

・ポジショニングは同じ体位で出来るものはまとめて、被検者に体位変換などの負担をかけないようにする。

 

ここで、下肢のMMTを例にとってポジションのまとめです。

●座位(8個)

  【足関節】 前脛骨筋 (背屈+内がえし)
         後頚骨筋 (内がえし)
         長・短腓骨筋 (背屈+外がえし)

  【膝関節】 大腿四頭筋 (膝伸展)
         内旋筋群  (股内旋)
         外旋筋群  (股外旋)
         縫工筋    (あぐら動作)

  【股関節】 腸腰筋 (股屈曲)

●仰臥位(0個)

●側臥位(3個)

  【股関節】 中殿筋(後にそらして外転)
         筋膜張筋(すこし前に出して外転)
         内転筋群 (内転)

●腹臥位(2個)

  【股関節】 ハムストリングス(膝屈曲)(外側・内側で分離しても良い)
         大殿筋(膝屈曲で個伸展) 

 

まとめ

 

MMTは技術の熟練が必要だと言われます。それも間違いじゃありませんが、きちんと原則に従って実施すれば早い段階で一人の検査者の中では、ある程度の再現性を持たせる事が出来るハズ。ただ漠然とやっていれば経験を無駄にするだけ。「考えながらやる」のが一番のポイントなのかも知れません

 

 

 

:新しいMMTの変更点と学生に対する指導のポイントについて教えて下さい

 

A: いわゆるダニエルの徒手筋力検査法は96年に第6版が発行され、今までとは装丁も内容も大きく変わり「新・徒手筋力検査法」となりました。この内容の大きな変更は、国家試験は新版から出題されるのか?と教育の場での困惑から始まりました。とりあえず発行の年は旧版で教え、新版も購入させる措置をとり、現在では全く新版のみの授業となっております。なぜ困惑したかと言いますと、内容が全くと言っていいほど変わってしまったからです。また、新たに幼児や小児の筋力テスト、脳神経支配筋の筋力テスト、直立姿勢保持のコントロールのテストなどが加わり非常に活用の範囲が広がったといえます。 変更のいくつかのポイントを上げます。

@スクリーニングにより、大まかに測定筋群を絞り込み、F以上の筋力と思われる場合は、必ずFのテストを行い関節の可動域範囲の動きが可能かをチェックします(もちろん可動範囲が狭ければF以下となります)。可能ならば、G以上の筋力では抑止テストを用いることになります。以前の版ではこの辺の表記が曖昧で、どちらにも取れる内容でしたが、教育の現場では抵抗を全可動範囲にわたり与える、抗抵抗自動運動が奨められていました。抑止テストでは筋により、「最終域」か「一番力を出せる特別な肢位」で抵抗に対し肢位を保持できるかどうかを確認します。この位置が筋により違ってきます。

APのテストでは、筋により可能な範囲を動かせて(全可動域)判定する場合と、一部動けば判定する場合とに別れます。これは重力除去位を取れるかどうかにより変わるようです。

Bプラス・マイナスの表記は、「F+」と「P−」の場合のみ使用可能。例外としては足関節底屈が2の段階を「2+」「2」「2−」としています。

C以前の版と同じ検査ができる筋は、ほとんどありません。顔面に至っては判定の段階も変わっています。

 学生に対しての指導のポイントですが、学校教育で障害者を持つ人の検査をほとんど行っておりません。N以外の検査はそれこそ経験と練習が必要です。本書の緒言に「臨床評価法の熟達を得る唯一の道は、繰り返し繰り返し練習を実地に積むことである」とあります。大きく変わったとはいえ、旧版の方法も別法として記載されており、旧版の方法を使って判定することは楽なことでが、今まで疑問に感じていた点も改善され、使い方も工夫されている本書の新法を、新たに覚え直すことも大切と考えます。時間を掛けて熟達しましょう。