水中工学4(4章)


 
4章 “しんかい2000”及び“しんかい6500”の概要
4.1 全 般
 今日、世界には下図に示す有人深海潜水調査船がある。本章では、わが国が保有す
る有人の潜水調査船“しんかい2000”と“しんかい6500”について述べる。  
“しんかい2000”は、わが国が開発・建造した最初の本格的な深海潜水調査船であ
り、当初から専用の支援母船を持つ深海調査システムとして計画されたのは、 “しん
かい2000”が、世界でも初めてである。                   
“しんかい6500”は、“しんかい2000”の運航経験・使用実績を積極的に反映させ
ると共に、建造技術に関する新しい研究・開発の成果を折込んだ世界で最新鋭の深海
潜水調査船である。その潜航深度6500mは、現役の有人潜水船としては現在も世界最
深クラスである。                             
 “しんかい2000”は、深海潜水調査船を開発・建造するに際して、第3章で述べた設
計システムを確立すると共に、建造及び運用に関する経験・実績を蓄積・評価するため
のプロトタイプとして位置づけることができる。一方“しんかい6500”は、“しんか
い2000”で得た深海潜水調査船システムの設計・建造・運用に関する知識、経験、ノ
ウハウを基礎として、そのうえに新しい技術開発の成果を加えて世界一の高性能を達
成した深海潜水船と言うことができる。このような見地から、両潜水船の概要・特徴
についてする記述する。  
                4.2 しんかい2000の開発        しんかい2000                                「しんかい2000」は、水深2,000mまで潜航できる有人調査船である。日本初の本格 的な深海の有人調査船として1981年に完成し、その完成以来、長期間にわたり海洋調 査の第一線で運用されてきた。日本周辺を中心に様々な海域に潜航し、相模湾・初島 沖で化学合成を行うシロウリガイのコロニーを発見、沖縄トラフでは熱水噴出現象を 発見するなど、日本の深海研究の進展に大きく貢献してきた。また、「しんかい 2000」の開発・建造によって培われた技術と経験は、「しんかい6500」、「かいこ う」など、その後の海洋調査機器の開発に活かされてきた。            (1)しんかい2000は母船搭載式潜水調査船である。                    基地から調査海域までの移動                          潜航前の整備、点検                              海面への着水                                 海中、海底での位置測定、情報伝達、追尾監視                 浮上後の揚収                                 揚収後の点検、整備、補給等、母船の支援を受けるものである。                「しんかい2000」の歴史               
               (2)しんかい2000の調査対象                         海洋の調査観測は、海洋資源の開発、地震・津波の原因となる海底地殻変動の他、 我々の生活に大きく影響する気象や、生物学、地球物理学等の学術研究等種々の社会 的要請により行われている。これらの海洋調査観測は、従来、主に水上船舶により行 われているが、海中、海底等特定の場所を精密に調査する必要があるがある場合は、 海底等を直接視認でき、その場の状況に応じて最適な方法を選択できる友人潜水船が 必要となる。                                 有人潜水船で実施される海洋調査項目は多岐に亘っているが、“しんかい2000システ ム”に期待されているものは次の通りである。                  1.海底鉱物資源の調査                             鉱物資源の分布、生成環境の調査,海底鉱物資源の開発、採取技術に関する調査  2.海底地形、地質等に関する調査                         地震・津波予知及び広く地球物理学の観点で海底地形、地質、重力、磁気等に関  する調査                                  3.深海生物、深海微生物の調査                          底ダラ類等の末利用生物資源の生態・分布、漁礁、底質等の調査、深海微生物の   採取等                                  4.海洋物理関係の調査                              海運、気象、水産等に広く関わる塩分、水温、流向、流速、音速等の調査    (3)しんかい2000システムの主な特徴                     潜水調査船、支援母船、陸上基地からなる“しんかい2000システム”の主要な特徴は 次の通りである。                               1.潜水調査船を母船( 遠洋区域・国際航海 )搭載式としたことにより、世界のどの   海域でも調査観測ができる。                        2.母船に整備補給設備と研究設備を有し、長時間の連続運用と研究が可能。    3.シーステート3(波の状態)(1/3有義波高1.25m)の波浪下でも運用可能。    ( 緊急時にはシーステート4(1/3有義波高2.5m)でも揚収できる。 )      4.母船の観測機器を用いて、潜航海域を事前調査する。             5.母船に搭載した電波航法装置と音響航法装置により、母船と潜水船の位置情報を高   精度に把握できる。                            4.3 しんかい2000の主要目・一般配置等 (1)外 観                                   やや鯨に似た船型であり、前部の下方に観測窓の付いた耐圧殻が見える。      その前部にTVカメラ、マニピュレータを始め各種の観測機器が装備されている。  また船側に補助推進器、船尾に主推進器、垂直尾翼、水平尾翼が装備されている。  船首上部の機器は、障害物探知ソーナー、流向流速計、トランスポンダである。 

    図4-1しんかい2000外観      図4-2しんかい2000の船首部   (2)ミッションプロフィール                        2000mでの潜航調査の場合、1回のミッションに要する時間は着水−1h、下降−  1.5h、海底調査−3h、上昇−1.5h、揚収−1h、合計−8hとして計画したが、実際  の運用に習熟している現在は着水・揚収ともに各0.5hで済み、従って海底調査は4h  可能である。                               (3)主 要 目                                しんかい2000の主要目                            
               (4)一般配置および各部名称                          しんかい2000の各部名称を示す。
                            図4-3 一般配置と各部名称              
                            図4-4  耐圧殻内(運転席および観測室)       (5)サブシステムの構成                             しんかい2000を構成するサブシステムを下図に示す。                  “しんかい2000”のサブシステムの構成              
                 大別して四つのサブシステムより構成されている。                   船殻構造-乗員の乗る耐圧殻、船型を構成する非耐圧の外殻構造           浮 力 材-重量に対する浮力不足を補うための複合材料( シンタクチックフォーム)       推進・運動-船の推進、運動、操縦、重量調節を行うコントロール及び動力装置    各種艤装-電源、動力、調査観測、通信・航海、環境制御、応急・救難等の装置  なお、サブシステムの詳細については後述する。                4.4 しんかい2000の設計・建造上の基本方針
しんかい2000の設計及び建造に関する基本方針は、次の4点である。      (1)第1は安全性、信頼性の確保である。                     1.小型軽量化、機動性向上のために採用した新材料( 高張力鋼NS90、浮力材、     チタン材等 )、ならびに新装置については、開発試作の結果を評価し、破壊     試験や高水圧下での作動試験を行って信頼性を確認した上で実用する。     2.装置のシステム設計においては、FMEAやFTA手法による信頼性解析を行     い、重要な系統には二重系、フエイルセーフシステムなどを採用し、また万     一の場合でも確実に浮上できる応急システムを完備する。              ( FMEA:Failure Mode Effect Analysis )                 ( FTA:Fault Tree Analysis )                 (2)第2は船体の小型軽量化であり、次の対策を実施した。             1.耐圧強度部材には、比強度の高い材料を用いる。                 ( 耐圧殻にはNS90鋼、小型耐圧容器にはチタン合金 )            2.耐圧殻や耐圧容器の構造効率を高めるために、シリーズ模型試験を含めた強度     解析により設計法を確立する。また、必要な材料特性や工作上の精度を具現     化するための高精度工作法を確立する。( 熱間曲げ、熱処理、機械加工、全     自動TIG溶接等 )                           3.外殻構造材料にも比強度の高い材料を用いる。( 純チタン、FRP )     4.耐圧殻を小さくするため、耐圧殻内には、操縦装置、環境制御装置、及び航海     通信・調査観測装置のうち乗員が直接操作するもののみを装備し、その他の     機器は極力油漬け均圧方式とし、耐圧殻の外に装備する。(第3章の耐圧、均     圧を参照)                                5.軽比重の浮力材、エネルギー密度の高い油漬け銀電池、油漬け配電盤等を開発    しサブシステムを小型軽量化する。                      6.個々の構成機器や部品を小型軽量化し、機器の縦走密度を高める。    (3)第3は海底での精細な運動操縦特性、迅速な下降上昇性能を確保する。      1.微速運動での安定性、操縦性に優れた船型、安定ひれを採用する。       2.きめ細かい水平運動、上下運動を可能とする操縦方式及び装置を採用する。   3.油漬け均圧方推進用モーター、大容量トランジスタによるインバータを開発     し、小型軽量化、高効率化、制御性の向上を図る。              4.上下運動、潜入浮上用として、海水漬け高圧海水ポンプ、ショットバラスト    装置を開発し、精細な重量調整機能を持たせる。             (4)第4は水中放射雑音の低減である。                      1.水中通話器やトランスポンダの使用周波数帯域(10kHz付近)に対する許容    雑音レベルを設定し、                            2.油圧ポンプ、インバータ、推進用モーターなどの音源となる機器の雑音レベル    を、許容レベル以下とする対策を実施する。                4.5 しんかい2000のサブシステム   (1)耐圧殻構造                                  乗員の乗り込む内径2.2m、暑さ30@の球殻で、耐圧90Lf/@2の超高張力鋼   で造られている。メタクリル樹脂製観測窓3個(肉眼用2、カメラ用1)を有し   内部には操船、各機器の監視・制御を行うコントロールコンソール、船内の酸   素、炭素ガス、温度等を調節する環境制御装置、マニピュレータ操作盤等が配置   されている。乗員は操縦者2名、研究者1名の計3名である。         (2)外 殻 構 造                                  耐圧殻及び耐圧区外の各機器は骨組に取り付けられ、周囲を外皮で覆っている。   骨組は潜水調査船の着水揚収時の荷重に対して十分な強度を有し、軽量で耐蝕性   に優れたチタン及びチタン合金、外皮は取り外し容易な構造のFRPで造られて   いる。                                 (3)浮 力 材                                    重量浮量調整のための外皮内各所に取り付けられている浮力材は、直径十ミクロ   ンの微小ガラス中空球をエポキシ樹脂で形成したもの(シンタクチックフォーム   と言う)で、比重0.54、圧壊強度約700Lf/B2である。         (4)推 進 装 置                                  船尾左右に60度の首振り可能な主推進器1基を、また船体中央部の両舷に水平・   垂直に首振り可能な補助推進器2基を有する。速度は前進4段、後進2段に設定   されており、最大速力は約3ノットである。これらの推進装置により操船性能は   非常に優れ、その場回頭、垂直上昇下降も可能となっている。        (5)運動・操縦装置                                2名の操縦者のうち、主操縦者(潜水船の船長)は、耐圧殻の中央部に設置した   コントロールコンソールに向い、通常は水中テレビカメラや障害物探知ソナーな   どで、船外の状況を監視しつつ操船する。補助操縦者は観測窓から船外を目視に   より監視する。また、必要に応じて観測窓から外部を見つつ操船できるように可   搬式のコントロールボックスを有している。                (6)重量調整装置                                 高圧空気による主バラストタンク排水装置、海水ポンプによる補助タンク注排水   装置、ショットバラスト投棄装置及び水銀移送式トリム調整装置よりなる。     下降、上昇に際しての重量調整はショットバラストの投棄により、海底で調査す   る際の重量調整は、補助タンクへの注排水により行う。また、潜航前後での海面   での乾舷保持は主にバラストタンク排水で行う。水銀トリム調整装置は、潜水調   査船の前後に設けられたタンクの間を油圧により水銀を移動することにより、±   10度のトリム調整が可能なシステムになっている。            (7)電源・動力装置                                蓄電池を電源とし、インバータにより直流を変換し、推進モーターその他の機器   に給電している(通信系の一部は直流)。主蓄電池にはエネルギー密度が最も高   く小型軽量化できる酸化銀−亜鉛電池を採用している。更に、小型軽量化のため   主蓄電池、配電盤・推進モーター等主要な電気機器は油漬均圧化されている。   安全のため、主蓄電池は2群に分割されており、一方が故障しても所要の電力が   得られるようになっている。その他主蓄電池から電力が得られない場合も考慮   し、緊急浮上の間必要最小限の装置に給電できるよう応急用電池を耐圧殻内に装   備している。 主推進器及び補助推進器の首振りやマニュピュレータの作動など   の動力用として、均圧型油圧装置を装備している。             (8)調査観測装置                                 汎用性があり、各種調整観測で頻繁に用いられるものは、固定観測装置として建   造時より取り付けているが、調査目的に応じて必要となる調査観測装置も取り付   けられるよう電源とペイロード100Lを確保している。    固定観測装置としては、油圧式6自由度のマニピューレータ、テレビカメラ、ス   チルカメラ、水中投光器、流向流速計、STD( 塩分、温度、深度 )計等があ   る。調査目的に応じたものは基本的に研究者が準備するが、採水器、採泥器、水   中温度計等本要請のあるものは海洋科学技術センターが開発しており、調査観測   の進展に伴い逐次装備されている。                    (9)通信・航海装置                                水中通話機、CTFM前方障害物探知ソナー、ジャイロコンパス、深度計、高度   /深度ソーナ、トランスポンダ、無線機、レーダーレフレクタ及び点滅灯を有す   る。水中における潜水調査船の位置は支援母船より水中通話機を通して伝えられ   る。水中で主要な役割を果たす音響機器のために、主な雑音源である油圧ポンプ   や推進モーターの減速歯車等について水中放射雑音の低減を図っている。  (10)環境制御装置                                耐圧殻内部を大気圧(1気圧)に保ち、3名の乗員が呼吸する酸素を供給し、炭   酸ガスを除去し、正常な環境を維持するための装置である。150Lf/B2の圧   力で充填した酸素容器及び酸素放出器、水酸化リチウム( LiOH )による炭   素ガス吸収装置、循環通風器、酸素分圧計、炭素ガス分圧計、脱臭材、除湿材な   どから成る。酸素と水酸化リチウムは通常の運航時間8時間に加えて3日( 72   時間 )分の量を装備している。                     (11)応急・救難装置                               緊急時には、ドロップウェイト、マニピュレータその他の重量物合計800kgを投   棄することができ、インバータ用耐圧容器4個中2個の耐圧容器が破損しても浮   上できる。また、さらに安全性を高めるため、救難ブイシステムを有しており支   援母船により揚収索を用いて引き揚げることも可能である。    なお、事故時の乗員の生命維持のため通常の運航時間8時間に加えて72時間分   の酸素補給、炭酸ガスの吸収ができるようになっている。           4.6 支援母船“なつしま”及び陸上基地  (1)支援母船“なつしま”の要目                      

    図4-1しんかい2000外観      図4-2しんかい2000の船首部   
                “なつしま”は我が国初の潜水調査船専用支援母船で、潜水調査船の輸送、整備補 給、着水揚収、潜航支援、潜航海域の事前調査及び採取した資料の分析、保管の機能 を持っている。“なつしま”は船首楼平甲板船で、潜航支援時の低速操船性能を確保 するため、2機2軸(可変ピッチプロペラ)、2舵及びバウスラスターを有する。ま た、潜水調査船の着水揚収の際、船尾のAフレームクレーンの操作と操船を1ヶ所で 行うため、船橋甲板後部に後部操舵室を設けている。潜水調査船支援関連装置の概要 は以下のとおりである。                            (2)着水揚収システム                               諸外国の実績と優れた実用性等から船尾Aフレームクレーン方式を採用して    おり、通常はシーステート3以下の波浪中で着水揚収を行うが、緊急時にはシ    ーステート4での揚収も可能である。吊揚索は動荷重緩和のため、テトロン・    ナイロンダブルブレードロープとし、油圧−空気式ラムテンショナのより水切    り時の相対動揺を補償する。                          着水揚収時、海面でのしんかい2000への吊揚索取付け取外しはダイバーが行う    が、安全確保と作業簡素化のため、吊揚索先端の自動嵌合システムを開発し     た。なお、後部操舵室からは一連の作業が直接視認できるが、テレビカメラに    より横からの監視も可能となっている。                 
                            図4-7船尾Aフレームクレーン方式            (3)潜航支援システム                               潜航海域の予備調査並びに支援母船及び潜水調査船の位置の把握、潜水調査船    の誘導・管制を行うシステムである。事前調査関係機器には音響測深機、    STDV( 塩分、温度、深度、音速 )、XBT( 投下式温度測定装置 )等が    あり、潜航海域の水深、海底地形、水温、塩分濃度、水 中音速分布を予め調    査し、調査地点及び目標の設定、障害物の検出並びに潜水調査船のバラスト調    整、音響機器の最適使用のためのデータ収集を行う。誘導・管制システムは、    支援母船測位用高精度航法装置、音響航法装置、総合管制表示装置により成    り、次の手順で潜水調査船の誘導・管制を行う。                 @衛星航法装置、電波航法装置(GPS、LORAN−C、DECCA)、     ドップラーログ等からなる支援母船測位用高精度航法装置により、支援母船     の絶対位置を求める。また、海底にトランスポンダを設置し、音響航法装置     により、その位置(海底)を基準点として支援母船の位置を正確に測定す     る。                                    A音響航法装置により、支援母船及び海底基準点と潜水調査船との相対位置を     測定し、水中通話機により潜水調査船への通知及び誘導を行う。なお、支援     母船及び潜水調査船の位置情報及び関連装置からの種々の情報は、総合管制     表示装置により総合、表示、記録されるようになっているため効果的な誘     導・管制が可能であり、さらに後日、支援母船及び潜水調査船の航跡を再現     することも可能である。音響航法装置には6〜16kHzの超音波を用いている     が、所要の性能を発揮させるためには、支援母船の水中放射雑音を極力低減     する必要がある。このため主機及び主発電機並びにポンプ、減速機等の主な     雑音源は機器の低騒音化を図ると共に防振支持するほか、機関室、空調機質     の周壁に防音対策を施しており、水中放射雑音は通常の船舶の約20分の1(     音圧)になっている。                         (4)整備補給システム                               潜水調査船の効率的運用のために必要な整備点検、補給を支援母船上で行うた    めのシステムである。整備、補給の内容は、潜水調査船主蓄電池及び応急電池    の充放電、環境制御装置への酸素、炭酸ガス吸収剤の補充、ショットバラスト    その他消耗品の補充、油圧、電気系統の点検、潜水調査船揚収後の真水洗浄な    どである。                               (5)ラボラトリー                                 潜水調査船及び支援母船の観測装置で計測したデータの解析及び採取したサ    ンプルの分析、保管を行うため3つのラボラトリーを有している。暗室、急速    冷凍機、ビデオ再生録音装置等の常設の整備のほか、研究者が必要な機器を持    ち込み設置することもできる。                      (6)陸上基地                                  トータルシステムとしての2000m潜水調査船システムの一つである陸上基地    は、専用岸壁、潜水調査船および支援母船の点検整備ほか運航管理、研究業務    等次の機能を有することが必要である。                     a.潜水調査船に関する機能                           イ)潜水調査船を岸壁から運搬、収容できること。                 ロ)潜水調査船の整備・修理ができること。                   ハ)潜水調査船の蓄電池の充放電、空気ボンベの充気、その他消耗品、予備品      の貯蔵、補給ができる。                           ニ)潜水調査船に装備する機器の調整及び簡単な修理ができること。        ホ)高圧タンク等で耐圧試験その他の諸試験ができること。           b.支援母船に関する機能                            イ)岸壁に接岸、係留ができ、潜水調査船を陸揚げまたは積込みができる。      ロ)停泊時に陸電の供給、加入電話の接続、使用ができること。      ハ)消耗品、予備品等の補給、補充ができること。      ニ)搭載している音響機器、観測機器の修理、整備、調整ができること。     c.その他の機能                                イ)運航管理業務が執れること。                         ロ)採取資料の保管ができること。                      以上の機能をもたせるという趣旨に沿って、海洋科学技術センターは、1982年   (昭和57年)8月、低潮面( 横須賀港工事基準面 )下水深4.5m、長さ195mの   接岸岸壁を完成、次いで、1984年(昭和59年)1月、潜水調査選定盤、32t天井   走行クレーン、高圧タンク設置場所、給電・充電設備等を有する潜水調査船整備   場2棟を完成させた。                            (7)なつしまの経緯                            
                4.7 “しんかい6500”の開発 (1)開発の経緯                                 我が国で6000m級の深海潜水調査船を開発・建造しようという動きが始まったの は、1969年(昭和44年)に海洋科学技術審議会という内閣総理大臣の諮問機関 が作成した、我が国の海洋開発の進め方に関する答申書がそのきっかけである。    当時海洋審査の先進国であるアメリカやフランスは、ALVINやCYANAな どの近代型の有人潜水調査船を開発して、深海の調査研究を推進しようとしてい た。我が国では1968年(昭和45年)に海上保安庁の”しんかい”( 潜航深度 600m )が建造されていたが、この答申書が目指す6000mという潜航深度(これ は、世界の海洋の97〜98%をカバーできるもの)は、その10倍という大きなも のであった。 この答申を契機として、(財)日本舶用機器開発協会や民間の造 船会社( 三菱、川重 )は、6000m級潜水調査船のサブシステム・要素技術の研究 を開発した。三菱重工は高砂研究所に最高高圧1200kg/B2(12000m相当)ま  で加圧できる耐圧試験タンクを設置して、潜水船の構成要素の中で最も重要な耐圧  殻の強度実験を行い、また運輸省の研究補助金を得て耐圧殻用の超高張力鋼材の   研究を行った。1971年(昭和46年)に海洋科学技術センター(科学技術庁を監   督官庁とする半官半民の認可法人)が設立され、国家プロジェクトとしての深海   潜水調査船の開発は同センターの下で統括され、推進されるようになった。    1977年(昭和55年)、科技庁及び海洋科学技術センターは、6000m級に至る中   間段階として先ず2000m級潜水調査船を建造する方針を決め、この方針に沿って   建造されたのが、前述の”しんかい2000”であり、1981年(昭和56年)に完成   した。 ”しんかい2000”の完成後は、その運用実績を収集し、分析・評価する   と共に、さらに新技術の研究開発を推進した。そして1983年(昭和58年)に海   洋科学技術センターは6000m級潜水調査船建造の可能性の技術評価を行い、さら   に設計研究、基本設計を経て1986年(昭和61年)に建造に着手した。”しんか   い6500”の建造は三菱重工業(株)神戸造船所が担当し、1989年(平成元年)   に完成した。                              

図4-8しんかい600  図4-9しんかい2000   図4-9しんかい6500     (2)なぜ6500mか   上述のように”しんかい6500”は、当初6000m級潜水調査船として研究が開発   されたが、基本設計を実地する段階で潜航深度を6500mとすることとなった。当   初6000mとした理由は、世界の海洋の深海底のほとんどが6000m以浅であり、   6000mまで潜航できれば世界の海洋の97〜98%の調査が可能となるからであっ   た。これを6500mに増深したのは、海溝(水深6000mをこえる深い溝)の斜面   を調査するためである。海溝は海洋プレートが沈み込むところであり、その斜面   は大規模な地殻変動の場である。我が国の周辺には日本海溝をはじめ多数の海溝   が分布しているが、潜航深度が6000mでは、これらの下降の斜面の調査はできな   いのである。”しんかい6500”は実地に日本海溝の潜航調査で生々しい海底の亀   裂を発見し、世界的にも貴重な研究成果をあげている。              日本初の6,000m級有人潜水船の開発が決まったとき、まず問題となったのがそ   の最大潜航深度である。当時の世界的な照準は6,000mであり、6000mまで潜航   できれば世界の海洋の97〜98%の調査が可能となるからであった。しかし、日本   は世界有数の地震国であり、深海調査においても巨大地震の解明が重要課題のひ   とつとなっていた。そのためにはプレートのぶつかり合う海溝域、特に太平洋プ   レートが折れ曲がる水深6,200〜6,300mの部分をぜひ調べる必要があり、議論   の末、めざす深度は6,500mと決められた。その後”しんかい6500”は、1989   年8月11日11時28分、三陸沖・日本海溝において”しんかい6500”は深度     6,527mの記録、1991年に日本海溝の6,366mの地点にプレートの沈み込みで生   じたと思われる裂け目を世界で初めて確認。その能力をさっそく活かすことと    なった。                                (3)開発の目的   ”しんかい6500”の開発の目的は、次の3項目に集約される。         1.小型化・軽量化     海中での操縦性の面からも、海底での母船による着水・揚収の面からも、小型軽   量であることが望ましい。このために“しんかい2000”と同程度の寸法・重量を   目標とした。しかし、潜航深度は“しんかい2000”の3倍以上と大幅に増加する   ので、当然ながら耐圧構造や浮力材などの強度増が必要であり、これは潜水船の   重量増加・大型化につながる。そこで新しい技術開発が必要であった。その内容   については後述する。    2.“しんかい2000”の使用実績の分析・反映                 “しんかい2000”の使用実績、乗船したオペレータ及び研究者の意見などを収   集・分析して、“しんかい6500”の設計に反映させ、より高性能であると共に使   い易い潜水船を目指した。その結果、船型、配置、操縦方式などの改良とエネル   ギー源の性能向上などがはかられた。詳細については後述する。         3.調査観測能力の向上                              有人潜水船の特徴である、正確できめ細かい調査ができるように、マニピュレー   タなどの採取能力、TVカメラなどの光学的観測能力、潜水船の位置を割り出す   測位能力などの向上と、操船情報を含む各種データのロギングシステムを装備し   た。また、ペイロードの増加と、ペイロード用の電力及び油圧の接続を設け、調   査観測能力の強化・向上をはかった。                    4.8 “しんかい6500”の主要目・一般配置等
                                   (1)外 観   “しんかい2000”と比較すると突起物が少なく、外皮による整流効果が強調されて   いる。耐圧殻の下の黒い装置はマニピュレータ、グラバ及び採取物入れで、船首   上部のドームの中には観測ソナー、水中通話機などが装備されている。なお、写   真からはわかりにくいが、主船体の幅と高さの比は2.7m/3.2m=0.84と縦長の断   面形状をしている。これは下降・上昇速度の増加のためである。       

  図4-11“しんかい2000”       図4-12 “しんかい6500”   (2)ミッションプロフィール    a)地球内部の動きをとらえる     巨大地震やプレートの沈み込み、マントル中のプルーム運動など、地球内部     の動きを調べ、地球のなりたちを解明する。   b)生物の進化を解明する    深海という道の世界の探査はこれまで、多様で独自性に富んだ生物群や化学合    成生態系の存在を明らかにしてきた。化学合成生態系とは、太陽エネルギーに    ほとんど依存せず、地球内部から湧き出す海水に含まれる硫化水素やメタンを    エネルギー源とする化学合成細菌が有機物をつくっている生態系。これら深海    の生態を調べることで、生物の起原や進化の過程を解明できると期待される。   C)深海生物の利用と保全    今後人類が直面する食糧問題などに向けて、深海生物資源の持続的な利用や、    多様な生理機能を有する深海生物の遺伝子資源の研究が必要とされている。   d)熱・物質循環を解明する    気候変動や潮流の強弱など地球を取り巻く循環変動の歴史は、海底に堆積した    さまざまな物質中に記録されている。こうした記録を採取し解読している。     また、海底の熱水活動により放出される熱や物質は、地球環境に少なからず影    響をもたらしてきた。海底熱水系を理解するということは、地球の環境変遷を    理解することにつながってくる。    6500mでの潜航調査の場合、1回のミッションに要する時間は着水0.5h、下降 2.5h、海底調査3h、上昇2.5h、揚収0.5h、合計9hである。
           図4-13 海底調査の1日
               (3)主 要 目              
                  (4)各部名称                
図4-14 各部名称   1)耐圧殻                         “しんかい6500”の居住空間は内径2.0mの耐圧殻の中である。そこにパイロット   2名と研究者1名が乗り込み、調査を行う。耐圧殻の中には計器類などが設置さ   れているため、居住空間はもっと狭くなるのである。   耐圧殻は軽くて丈夫なチタン合金でできており、厚みが73.5@ある。水深6500   mでは水圧が約680気圧にもなるので、耐圧殻の少しの“ゆがみ”が破壊に繋が   るのである。そこで、可能な限り真球に近づけられたのである。その精度は、直   径のどこを測っても0.5@までの誤差しかない。              

図4-15 耐圧殻内部        図4-16 乗船した際の内部 2)浮力材                                    潜水調査船に使用される浮力材は海水よりも小さい比重であると同時に、高い水  圧に耐えられる強度が必要である。“しんかい6500”では、シンタクティックフ  ォームと呼ばれる浮力材を使用している。シンタクティックフォームはガラスマ  イクロバルーンという中空の小さなガラス球(主に直径40〜44μmと直径88〜  105μmの2種類)を高強度樹脂(エポキシ樹脂)で固めたものである。これによ  り、高い水圧でも変形することのない強度と浮力をもっている。         3)マニピュレータ                                生物や海底の岩石の採取に使われる。水中では約100kgの物を持ち上げる事が出  きる。 現在のマニピュレータは、つかんだ力が操作者にも伝わるため、生卵や  ワイングラスなど割らずにそっとつかむことができる。          
                         図4-17 現在のマニピュレータ               4)のぞき窓                                   耐圧殻の前方と左右に合計3つの覗窓が付いている。頑強に製作された耐圧殻も  高い水圧によってわずかに変形する。この変形に追従出来るように覗窓の材料と  して使用されているのはガラスではなく、透明度が高いメタクリル樹脂である。  厚さ7cmの樹脂板を2枚貼り合わせ14cmの厚さのすり鉢状の形状になっている。
                         図4-18 メタクリル樹脂製ののぞき窓             5)主蓄電池                                   従来は酸化銀亜鉛電池を使用していたが、2004年からリチウムイオン電池に切  り替えられたのである。寿命の長い高性能リチウムイオン電池の開発により、  従来の電池と比較し小型軽量化とメンテナンスフリーよる整備性の改善等によ  り、コストパフォーマンスも向上した。                    6)投光器                                    水深200mを過ぎると太陽の光はほとんど届かなくなり、深海では全くの暗闇で   ある。“しんかい6500”の投光器は1灯で自動車の強力なヘッドライト3〜4個   分の明るさがある。しかしマリンスノーなどの懸濁物が少なく海水の条件が良  い海域で、全灯(7灯)を使って照らしても視程は10m程である。       
                           図4-19 海底でのしんかい6500              4.9 しんかい6500の特長(しんかい2000との比較)
                             (1)主 要 目                             
                 上表に示すように、“しんかい6500”は“しんかい2000”と比較して最大潜航   深度のほかにライフサポートとペイロードも増加している。         (2)潜航深度2000m→6500m 3.25倍                       潜航深度の増加に伴い、次のような課題が生ずる。              1 耐圧力の増加                                2 海面⇔海底間の移動時間の短縮が必要                     3 潜水船⇔支援母船間の水中超音波の伝播減衰が増加するので、潜水船・母船の     両方で雑音の低減が必要                        (3)潜航速度     下降・上昇速度を2倍とした。(しんかい2000と同じ速度なら、片道約5時間    はかかる。)                                           所要時間                    

                          このため風洞試験等で船型を改良した。                     1.断面形状をやや縦長にした。                        2.船型を極力fairにし、上下方向流線の均整化                 3.船首上部の張出部を、小さく且つfairにし、また前部斜上方の直接観測が可能な    形状とした。                              (4)操 縦 性                                  主として“しんかい2000”の運用試験から、次のような改良を加えた。      1.パイロットが耐圧殻の観測窓を通して直接船外を見ながら操縦する方式とし、     観測窓の配置を広視界型とした。(しんかい2000は共通視界型)       2.左右の補助推進器(ポッドペラ)を廃止し、次のダクトスラスターを設けた。     船首に水平スラスタ(0.7kW)→1.5°/sのその場回頭           12m/分の横移動(主推進器の首振り80°と共に)                中央部両舷に垂直スラスタ(1.4kWx2)→15m/分の上下移動        3.主推進器の回転数を連続可変とし、首振角度を60°→80°とした。   (5)動 力 源                                    主蓄電池(油漬銀亜鉛電池)の容量                        しんかい2000  285Ah×108V×2群                    しんかい6500  400Ah×108V×2群(1.4倍)          (6)ライフサポート                                 酸素の供給と炭酸ガスの吸収の能力                        しんかい2000  8h+72h(3日) = 80h                  しんかい6500  9h+120h(5日) = 129h           (7)調査観測性能                            
               (8)航海通信性能                            
               (9)重量対策                                   潜航深度が2000mから6500mと3倍以上になると共に、前述したように性能改   良及び装備内容が大幅に増大しているにも関わらず、全重心をしんかい2000と   同等に抑えている。主な重量対策の一例を下表に示す。           
                4.10しんかい6500の新技術の開発経緯と概要
                                 (1)耐 圧 殻                                a)チタン合金Ti-6A1-4V ELI製耐圧殻の開発経緯              
                b)耐圧殻材料の概要                          
                c)設計・製作                                     設計方法                  製作方式        
  (2)浮力材                                
               (3)油漬機器(油漬けの範囲)                        
               (4)主蓄電池                              
               285AH/群 → 400AH/群とした理由                      1.油圧ポンプ用電動機:グラバの新採用、マニピュレータの対称型バイラテラル    の採用(約3.5倍)                             2.海水ポンプ用電動機:深海増(約3倍)                   3.水深スタスタ                                  同期ピンガ      新採用                         音響測位装置     新採用                         総合情報表示装置   新採用                     (5)音響機器                              
               (6)海水ポンプ                              
                4.11 支援母船“よこすか”の概要     “よこすか”と“なつしま”の比較                  
  図4-20支援母船 よこすか      図45-21支援母船なつしま      1.用 途                                  
                2.船級・適用法規等                             
                3.主要目等                                  a)主要寸法                                
                 b)総トン数                               
                c)載貨重量                               
                d)速力等                                
                4.乗組員数                                
               (2)よこすかの特徴                              水中通話機                                  海底で調査する「しんかい6500」と通話するために用いられる。音波を使った水中通 話機です。音波は水中で1秒間に約1500m進むので、船上からの声が6500mの海底 にいる「しんかい6500」に届くまでに約4秒かかる。              
                              図4-22 水中通話機                 格納庫                                    全長9m、幅2m、高さ3mにおよぶ「しんかい6500」を納め、整備も行う格納庫は、 船上とは思えない広い空間が確保されている。                 
                                図4-23格納庫                  着水揚収装置とA型クレーン                           後部甲板には、26トン近い「しんかい6500」の船体を着水・揚収する着水揚収装置 とそれを支える巨大なクレーンが設置されている。              
                               図4-24 A型クレーン             (3)よこすかのミッション                          

          
   図4-25 ディープ・トウ       図4-26しんかい6500       4.12 海上試運転と潜航調査      (1)しんかい6500の海上試運転   しんかい6500の海上試運転は、1989年(平成元年)の4月から8月にかけて行  われた。日本周辺海域での28回の潜航試験を行い、最大潜航深度6527mを達成   してその性能を確認した。 (2)しんかい2000の潜航調査 1.わが国の深海潜水船による潜航調査は「未知の現象の解明のための調査研究に  資することを原則とする」ことが基本方針であり、実施すべき総合的調査研究課  題として、1986年に次の4課題が設定された。  1 駿河湾、相模湾及び日本海等を対象として「プレート境界領域に関する調 査研究」   2 伊豆・小笠原海域及び西南諸島海域等を対象として「海底火山域及び海山    域に関する調査研究」   3 上記の全ての海域を対象として「深海生物と海底環境に関する調査研究」   4 当面駿河湾及び相模湾を対象に「「深海調査の基準海域の確立」  2.しんかい2000による潜航調査は1986年度から、この指針に則り進められ、沖   縄トラフにおける高温のブラックスモーカーの発見や、日本海東緑部の奥尻海   嶺における日本海の基盤と思われる玄武岩の露頭を確認する等の成果を挙げ   ている。 3.1992年に駿河湾の海底の泥から極めて強力な石油分解菌を発見、分離培養を行   った。1993年に北海道南西沖地震後の奥尻島沖潜航調査で、海底の表面に噴砂、   地割れ、亀裂などを発見、また、底生生物の多くが土石流によって埋もれたり、   深い方に流された様子など観察をした。 4.しんかい2000の潜航回数(試験潜航及び訓練潜航も含む)は、2002年11月11   日に、1,411回の潜航を無事終えた後、20年以上の長期にわたるその活動を休   止した。 (3)しんかい6500の潜航調査 1.1989年(平成元年)10月のしんかい6500の完成に伴い、1990年(平成2年)   しんかい2000との2船体制での指針として、上記の課題を継続実施すると共に、   当然対象海域は広げられ、西太平洋を重視するものの、国際共同研究の重要性   に鑑み、世界中の海域を対象とする方針が示された。            2.1990年(平成2年)後半からしんかい6500の調査潜航が開始され、日本海航   海側斜面での裂け目の発見や、陸側斜面での最深のシロウリガイ群集の発見等、   多くの重要な発見が相次いで行われてきている。                 また、しんかい2000と潜航地点を分担して調査を行うという連携プレイも日仏   共同研究として、フィリピン海プレート沈み込みの南海トラフ海域で実施され   ている。                                 3.わが国周辺の深海域のみならず、はるか南西太平洋の北フィジー海盆において   フランスとの共同研究による潜航調査を皮切りに、マリアナ、パラオ、ヤップ   等の海域においてもアメリカの研究者との共同研究も実施されている。     4.更に新しい計画として、1994年度(平成6年度)にはわが国では初めての本   格的な中央海嶺の中軸谷を中心とするプレート形成海域に関する総合的潜航調   査を、アメリカWHOI及びNOAAと共同で、大西洋中央海嶺及び東太平洋海膨で   実施した。                                5.しんかい6500の潜航回数(試験潜航及び訓練潜航を含む)は、2005年(平成   17年)7月までに900回に達している。                   6.このように、今後国際共同プロジェクトが一層進められる機運にあるが、この   中でわが国の研究者の一層の努力と貢献と成果によって主導的立場が拡大して   いくものと考えられる。