主要寸法の検討
   「パワーアシストボートの可能性を提案」
                  中 尾  浩 一
    Preliminary Proposal For Power Assisted Boat
                                NAKAO Kouichi
 はじめに
地球環境保全への関心が高まり環境に優しい太陽エネルギー、風力エネルギーなどの
“再生可能エネルギー“の技術開発が盛んである。輸送機関でも化石燃料を使用を少
しでも減らす対策として自動車ではハイブリッドや燃料電池車の開発も行われている
が船舶の対策はあまり具体化されていない。小型プレジャーボートは速力性能を満た
す為に大馬力の機関を装備しているが船の歴史をみると手漕ぎや簡単な帆走の小型
ボートで生活を維持していた。そこで環境保全の社会的啓蒙に使用するデモ艇として
“再生可能エネルギー“と”人力エネルギー”を組合わせた推進システムを開発し
“環境に優しい小型ハイブリッドボート”の可能性を検討する。デモ艇では低速力で
はアピール度が低いので適当な速力と軽快な運動性やスポーツ性も有するパワーアシ
ストボートの可能性を検討する。                       

1. パワーアシストボートの可能性                      
環境に優しい小型船舶として動力のすべてを“再生可能エネルギー“でまかなうこと
は理想であるが“再生可能エネルギー“は単位時間および単位面積当りの発生エネル
ギーが小さいことは判っている。“再生可能エネルギー“が常時発生するパワーのみ
で船舶を推進させることは困難で蓄積したエネルギーとして他のエネルギーと組合わ
せる技術が必要である。これはハイブリットボートとして今後実用化される可能性は
高いが小型ボートでは年間使用時間が少なく“再生可能エネルギー“を蓄える時間が
長い。そこで全く化石燃料を使わないボートとして“人力パワー”との組合せでどの
程度の性能が確保でき又商品性があるかを検討する。              

1-1 “再生可能エネルギー“の能力                     
“再生可能エネルギー“としては太陽光太陽熱、地熱、水力、風力、波力などがある
がここでは新たな“再生可能エネルギー“の開発が目的ではないので最も一般的な太
陽光エネルギーと船舶のサイズの関係について検討する。            

1-1-1 太陽光発電と船舶サイズの関連                    
太陽エネルギーが持つエネルギーは1KW/Fと言われているが現在太陽電池として利
用できるエネルギーとしては0.1KW/Fである。そこで船舶に装備できるソーラーパ
ネル面積と船体サイズの関係を調べてみる。但しソーラーパネル装着可能面積は船舶
の全長x全幅xCwとする。Cwは水線面積係数で普通0.6〜0.8程度であるがここではで
きるだけ広い甲板面積が望ましいので0.8を採用する。また検討する船舶のサイズは
7m程度までの小型船舶を対象とし約70隻のデータを集め分析した。       
●船体のサイズと甲板面積の関係                       
分析結果は船体長と甲板面積の関連がはっきりと読み取れるが使用したデータはモノ
ハルでありマルチハルでは幅広船型となるので甲板面積は数割程度が増すはずであ
る。                                    
●甲板面積と発電量の関係                           甲板にソーラーパネルをほぼ100%貼付けたと仮定し発生する電力(KW)とこれを 動力(PS)で表示したのが下図である。                    
1-2 人力エネルギーの能力                          パワーアシストボートで必要とする推進動力は数馬力程度と予想されるがソーラーパ ネルで得られる動力は意外に小さいので人力パワーで得られる動力は期待できる。人 力パワーは生活の中で意識せずに利用しているが人間は一体どの程度のパワーを発生 できるか検討する。人力パワーを乗物に利用した例としては自転車や手漕ぎボートを 思いつくが極限まで人力を利用した例では人力飛行機や人力水中翼船が有名である。 人力で空を飛ぶことは夢であったが現在では50kmも飛べる時代になっている。また 人力水中翼船は最高速力約20KTを達成している。               
                            この性能を支える人力パワーについてはいくつかの文献を参考にする。第一の資料は 日本大学の人力飛行機を紹介する記事からの引用である。           
                         (Canadian Aeronautical Journal.March 1961)次はJOURNAL OF THE ROYAL AERONAUTICAL SOCIETY AUGUST 1960 からの資料である。        
                            これらの資料から推定すると人力飛行機や人力水中翼船はある程度訓練された乗員が 発生したパワーであり最もパワーが必要な離陸や離水時は瞬間的に1.0PS以上を発揮 したと推定される。外国人は体力があるので数割大きなパワーが出せる可能性はある ようだ。参考までに足だけではなく腕や足と併用した場合のパワーがどの程度発揮で きるかを示したのが次図である。                      
                            腕のパワーも足の半分は利用できることは判るが足と手を同時に使うような小型ボー トは想像が難しいので今回は手は操縦に専念し足のパワーで推進するボートの企画を 進めることにする。                              1-3 ソーラーパワーと人力パワーの併用                   ソーラーパワーと人力パワーがどの程度の出力を発生できるかは判ったのでこれらの パワーをどのように組合わせて船舶の動力として応用するか検討を進める。まずソー ラーパワーは単位当たりの出力は小さいが日が照っていればコンスタントに出力を出 せるし蓄電することができる。一方、人力は瞬間的に比較的大きな出力が得られる特 徴がある。そこでデモボートでは最高速力を重視し、ソーラーパワーによる出力は充 電した電力を2PS、人力(2人)は1.3PSを20秒間発揮することで性能を検討する。 なぜ電動機の出力を2PSにするかは下記の新しい小型船舶規則で説明する。一方、実 用化を目指すパワーアシストボートはソーラーパワーによる出力は充電した電力を 2PS利用するのは同じであるが人力(2人)は一般人が無理をせずコンスタントに 0.6PSで走れるボートとして検討を進める。従って水中翼などの複雑な設備は使用せ ずシンプルな構造と電力を有効に利用し商品性を高める工夫をする。        1-4 免許不要、検査不要の小型ボート                     日本独自の小型船舶免許制度と小型船舶安全規則は小型船舶の大多数を占めるプレ ジャーボートの発展を制限してきた。経済大国であるにもかかわらず日本プレジャー ボート所有数が米国の1/40しかない事実はそれを示しているが平成15年、16年に改 正された小型船舶関連規則により制限が緩和され小型ボートの新たな商品開発が促進 されることになった。規則改正の中で新たな魅力は登録全長が3.0m未満で最大搭載馬 力が2PS未満の小型船舶は免許不要で船体検査も不要な点である。2PSでどのような 新商品が開発できるかであるが人力飛行機で50km以上も飛行できる技術を考えれば 人力プラス2PSで魅力ある商品はできそうである。しかも化石燃料を使用する船外機 ではなくソーラーバッテリーで2PSを利用できれば燃料は不要で自転車感覚の小型プ レジャーボートが実現できそうである。                     ●企画の要点                                 無免許、検査不要の小型ハイブリッドボートは“再生可能エネルギー“と”人力エネ ルギー”の組合せで実用化することに魅力がある。デモボートでは船舶の動力として 全く化石燃料を使用しないことを強力にアピールする。デモボートの企画留意点及び 主要目は次の通りである。                           ・免許不要、船体検査が不要な小型ボート                    ・動力は大陽電池による電力と人力を組合わせたパワーアシスト方式とする。    ・最高速力は軽快さを感じる自転車程度の速度。(20〜25km/hまたは15kt程)  ・ 水中翼船は離水までの抵抗が大きいので電動パワーで2PS+人力13.3PS以上で計画  する。また最高速力を出す場合は併用出力は全力で使用するが巡航はソーラーパネ  ルのみで1.5PS以下の出力で可能となるよう設計する。             ・ ボートの使用目的はレジャーなどに限定する。                
                            主要目                                    全長(Loa):3.3m                               登録全長(LR):3.00m                             全幅(Boa):1.6m                               定員(70kg/人):2名                             船体重量(We): 約80kg                           最大重量(Wmax):約220kg                          エンジン:人力1.3PS+電気モーター2PS                    ソーラーパネル   300W(0.4PS)                     最大速力      約15KT                          巡航速力(1.5PS未満) 約10KT                       航続時間       晴天時3時間                      デモボートで得られた技術をそのまま使えばより商品性のあるボートも開発が可能で ある。例えば湖河川で使用する釣り舟やペダルボートなどは日本だけでも数千隻の市 場があると予想される。商品化で必要な技術開発は信頼性の高く低価格のパワーアシ スト推進ユニットの開発であろう。以下に実用化を目指すパワーアシストボートの外 観や仮主要目を示す。                            
                            主要目                                    全長(Loa):3.3m                               登録全長(LR):3.00m                             全幅(Boa):1.6m                                定員(70kg/人):2名                             船体重量(We): 約200kg                           最大重量(Wmax):約340kg                          エンジン:人力1PS+電気モーター2PS                     ソーラーパネル   300W(0.4PS)                     最大速力      約6KT                          巡航速力(1.5PS未満) 約4KT                        航続時間       晴天時3時間                      2. デモボートの可能性検討                          船舶の主要目を決めるのは重要な作業であるがサイズや推進馬力はその中でも慎重に 検討されるのが普通であるが今回は無免許、無検査の条件で全長と最大搭載馬力の制 限があり概略要目が既に決まっているのでこの条件下で予定の性能が成立つかを検討 するのが重要なことである。                          2-1 デモボート設計の留意点                         人間の出せるパワーは前述に示すように数分間の持続時間を考えると2人合わせても せいぜい1.3PS程度である。人力水中翼船が水平走行をするのに必要な出力は飛行機 の場合を流用すると次式で表される。                     
                           但し、                                    海水の密度:0.1046kg・s2/m4、                       プロペラ及び伝達効率:η                           揚力係数:CL                                 抗力係数:CD                                 走行重量:W(kg)                              翼面積:S(m4)                               走行動力低減を計るには揚抗比の向上、プロペラ伝達効率の向上、機体重量の軽減が 重要なことが判る。実際に巡航走行する際は最大の揚抗比が望ましいがこれが失速に 近い迎え角の場合は失速気味になりかえって翼面はく離が発生し抗力が増す恐れもあ る。離水や巡航時の揚力係数CLは実験で決めることになりそうである。いずれにして も揚力係数が大きいところで走行するのでCLの二乗に比例する誘導抗力を減らすには 主翼等の縦横比(アスペクト比)は大きい方が望ましい。しかしあまり大きな縦横比 は構造強度上も限界があり一般配置図上で総合的に決めるのが現実的である。強度に 関しても波の衝撃は大きいのでこれをどの程度留意するかは難しく結果的には人力水 中翼船の経験値を使用する事になりそうである。参考までに日大人力飛行機(ストー ク)が水平飛行時の必要馬力等は次の通りである。               
                           飛行重量が125kgで必要馬力が約0.4PS、飛行速度は8.5m/s(31km/h-16.7kt) である。そこで長崎総合科学大学の人力水中翼船の結果で検討してみる。正確に出力 や抵抗を図ったデータはないので浜名湖レースの結果から推定すると走行重量が 173kgで発生馬力は約1.3PSと推定、走行速度は5.2m/s(19km/h-10.0kt)であ る。ヤマハのスーパーフェニックスの世界記録時は走行重量が168kgで発生馬力は特 別に訓練されたアスリートが漕いだとして約1.9PSと推定、走行速度は9.7m/s (35km/h-18.9kt)である。これらをグラフにしデモボートの性能を推定する。 
                           人力水中翼船は信頼できるデータが少ないので単純に比較はできないがグラフから読 み取ると3.3PSの全力状態であれば26ktが発揮できることになるがこれはあまりにも 楽観的な数値である。これだけで判断すればデモボートの実現性は高いように思える が人力飛行機や人力水中翼船は極限に性能を追求した結果でありそのまま使用するの は安易すぎると思われる。しかし人力水中翼船の最高速力を超える20ktは目標として 可能性はありそうだ。                             3. 実用化ボートの可能性検討                         船舶の主要目を決めるのは重要な作業であるがサイズや推進馬力はその中でも慎重に 検討されるのが普通であるが今回は無免許、無検査の条件で全長と最大搭載馬力の制 限があり概略要目が既に決まっているのでこの条件下で予定の性能が成立つかを検討 するのが重要なことである。またデモボートと異なり実用化ボートは通常のモノハル またはカタマラン(双胴船)として検討を進める。                3-1 必要動力と速力性能の推定                        船のサイズと速力が変化すると当然推進に要する動力は変化するので小型船舶のデー タから速力と推進動力動力の関連を検討する。                  3-1馬力荷重と速長比の関係                          船舶の必要馬力を推定するには馬力荷重と速長比の関連グラフを作成し推定する。ま ず船長と排水量の関係を調べると下図のようにはっきりと相関関係が読み取れる。次 に馬力荷重と速長比の関連を調べると速長比が大きくなると分布差が大きくなる理由 は高速領域になると重心変化により推進抵抗が大きく変化するからであるがハイブ リットボートでは極めて低速領域で航行するのでこのグラフを使用する。     
                           実用化ボートの全長3.3m、ソーラーと人力の合計パワー、全備重量340kgから最高 速力を推定してみる。BHP/Δ=8.8程度であればV/√L=2.0程度と推定できる。ここ 値から速力を求めると3.5kt前後となり計画値を満たすのが困難なように思われるが これは高速艇のデータがベースになっているのでこのような結果となったのであろ う。現在湖等で使用されているペダルボートは人力のみで3〜4ktは出ているのでパ ワーアシストボートは2倍以上の出力を有するのではるかに高速力を発揮できるのは 間違いないと考えられる。速力性能の確認は実際の開発段階で詳細に確認する。   4. パワーアシストの評価                           前述の通りソーラーパネルで得られるパワーは小さく小型ボートに装備したソーラー パネルのみでは船体を充分に推進させる動力には成り難い。しかしソーラーエネル ギーは再生可能エネルギーとして長所を活かした使用方法を考えて評価をしてみる。 ●1週間に数時間使用するようなプレジャーボートでは充電量が期待できる。特に   2PSが必要なパワーアシストボートでは毎日全力で3時間程度の走行は可能であ  る。                                    ●ソーラーパネルによる電力をオーディオなどの電力として使用すれば湖川で使用  するレンタルボートなどを魅力的な商品にできる。●無免許、無検査で乗れるパ  ワーアシストボートはソーラーパワーと人力パワーの組合わせで高性能なスポーツ  ボートの可能性もある。                           4-1 その他の再生可能エネルギー                       パワーアシストボートに使用できそうな“再生可能エネルギー“としてソーラーエネ ルギーの可能性を検討したが、その他のエネルギーでは風力が最も有力である。現在 も帆船としてはセーリングクルーザーとして実用化されている。帆走は風力を最も効 率的に利用しているが安定したエネルギーとして取り出す事は難しく、定時運行が必 要な船舶には難しい。安定したパワーとして利用するには何らかのシステムを開発し 風力エネルギーを安定したパワーとして取り出すことが重要である。例えばソーラー パネルを組込んだメカニカルセールとし向い風でも推進力を得る装置や風車によりパ ワーを取り出し貯える装置の開発である。                   
                           4-2 パワーアシストボートの特色                       パワーアシスト技術はハイブリッド技術であり、再生可能エネルギーを使用しCO2 の発生がないことを考えれば理想的なシステムであり発生エネルギーを蓄積する時間 が充分に取れ年間使用時間の比較的少ないプレジャーボートは実用化は可能性が高い と言える。特に低速で航行するセーリングクルーザーなどの補助推進エンジンとして は短時間に実用化が可能である。プレジャーボートは隻数が多いので装置の開発費償 却は比較的容易で、量産効果も高い。パワーアシストボートの特色や利点は次の通り である。                                   ●化石燃料を使用せず再生可能エネルギーを利用するので環境に優しい。      ●内燃機関を使用しないので排気ガスもなく、騒音が小さく快適である。      ●再生可能エネルギーを利用するので燃料費が不要である。            ●人力は健康にも良くスポーツ性がある。                    ●地球環境保全の啓蒙活動、地域観光や宣伝に役立てることができる。       4-3 パワーアシストボート開発のポイント                   技術開発のポイントは、以下の通りである。                   @太陽光発電は単位面積当たりの発電量が小さいので甲板面積が広くする。     A軽量で抵抗の少ない船型を開発し、効率の良い駆動装置やバッテリーを含む電源  装置を開発。                                B太陽光発電のパネルが汚れなどで経年劣化を防ぐために光触媒を塗布して性能効  化を確認する。                               C風力エネルギーも積極的に推進力として利用できる最適なセールシステムの設計。 Dテストで最適な航行速度や航続距離を検証する。                4-4 パワーアシストボート技術の目標設定                   パワーアシスト技術に関する開発目標は次のとおりである。            @小型船舶は販売価格が高いと普及しないので低コストを重視する。販売価格は100  万円前後。                                 A一般人が使用する機会が多いので故障が少なくシンプルな構造を開発する。船体は  FRP製。                                  5. パワーアシストボートの開発プロセス                    実用化を目標に開発プロセスを考える。                     5-1 開発ステップ1                             パワーアシストボートが必要とするエネルギーの形態を調査する必要が有る。そこで ステップ1では下記のテーマを検討する。                    ●“環境に優しいエネルギー“を使用した世界と日本の船舶の実績を調査する。   ●デモボートでは離水前後の抵抗特性を知る。                  ●効率の高い推進器の開発。                          ●人力パワーの確認                              ●ソーラーパネルの発生電力の確認と劣化防止対策。これらは実際にプレジャーボー  トに搭載しデーターを取得する。                      
                           5-2開発ステップ2                              パワーアシストボートの可能性をアピールするデモボートを開発する。       ●推進駆動装置、水中翼の開発や改良。                     ●速力性能や航続性能の追求                          ●風力エネルギーの利用法としてソーラーパネル兼用のメカニカルセールを開発す   る。                                    ●実用化モデルの設計。                            ●各地でデモ走行を実施。                           5-3 開発ステップ3                             デモボートで開発した技術で商品化を前提とした実用化モデルを開発する。     ●産官学が連係して実用化モデルのプロジェクトチームを結成し販売体制やサービ   ス体制を検討する。                             ●パワーアシスト装置は既存の装置を流用する。                 ●量産化の為の資金を確保する。                        ●実用化モデルを試作し試験運航を行い性能他を評価確認する。          ●低価格なエネルギー蓄積方法を選択する                    ●コストを明確にし販売価格を設定する。                    ●より高性能なハイブリッドボート開発に必要な技術データを取得。        6. パワーアシストボートの将来展望                      地球環境保全の高まりは船舶にも大きな影響を与えると考えられハイブリットボート のような“環境に優しい船舶“の開発は必ず必要になると考えられる。地球環境保全 は技術先進国だけの問題ではなく開発途上国との共存を視野に入れた技術開発を行う べきである。技術先進国は複雑で大規模な技術開発を行おうとするが、歴史を振り返 ると再生可能エネルギーに関しては風力や太陽熱を直接利用する簡単な技術を生活に 活かしていたことを学ぶことができる。開発途上国では過去のこのようなローテク技 術も活かす工夫も必要である。再生可能エネルギーの開発で最も重要な課題は蓄積技 術であり電気が最も利用しやすい手段で、電気は電気分解で得られる水素は効率の高 い燃料電池の燃料として最適である。将来、自動車の動力源として、建物に電力や冷 暖房を供給する場合も燃料電池が使われることになるであろう。20世紀までのエネル ギーは化石燃料に依存して来たが21世紀はエネルギー経済は地球環境保全をテーマに 大きく転換し電力開発も大規模集中から小規模で局地的なものへと変わろうとしてい る。当面は技術的にもコスト的にも応用が容易な部分から実績を作ることが重要であ る。そこで可能性が高い船舶としては年間使用時間が少ないプレジャーボートなどは 可能性が高いのでパワーアシストボートは技術開発も比較的容易で低価格ボートとし て全国に販売されれば社会へ地球環境改善の意識を啓蒙することにも貢献できる。特 に環境保全をアピールする施設でモデル地域(“仮称エコトピア)を作り教育施設と して活用してはどうだろうか。人力エネルギーも立派な再生可能エネルギーでありこ のモデル地域で集客ができそうなアイデアもある。パワーアシストボートに乗船しお 客に人力エネルギーを発揮してもらい料金に反映させたりマイレージとして記録し別 にサービスを行うのもアイデアである。                     参 考 文 献                               1)風力エネルギーの基礎(オーム社)P1 〜P8                2) 太陽エネルギー読本(オーム社)                      3)航空ジャーナル76-JulyP92-P106                    4)JOURNAL OF THE ROYAL AERONAUTICAL SOCIETY AUGUST 1960 [Man as  an Aero E ngine] P477-P481                      5)ヤマハ人力水中翼船資料                          6)長総大人力水中翼船資料