連載-ボートデザイナーの仕事(第4回)


 
■2章(新時代のマリン事業)
2.新時代のマリン事業                            
 舟艇事業を大別すると客船、貨物船や漁船などの業務艇と主に遊びに供するプレ
ジャーボートに分類できる。業務艇事業は大型造船業と基本的に同じ手法であるが、
本書ではプレジャーボートを中心に付加価値の高いマリン事業について述べることに
した。                                   

2-1 船の歴史と高速化                           
 地球の2/3は海であり人類は歴史的に海と深く関わって生きてきた。その中で人類
は海上交通機関として船を造り出した。船は人類が発明した最初の乗り物であり、物
資の輸送と共に人の移動手段として長年その地位を保って来た。第二次大戦前の輸送
手段としては船舶が主流であったが大戦後は人員及び少量貨物に関しては、航空機が
船舶にとって変わった。物流の大量輸送に関しては今後とも必要性は変わらないが、
科学技術の進歩と共に人と物の移動にスピードが要求される時代となり、輸送手段の
評価に時間の価値がより強くなり、船舶も航空機との共存が求められる時代となって
きた。船舶も、ここ数十年の間に新素材、エレクトロニクス、などのハイテク技術等
の技術革新により著しい発達を遂げた。輸送機関は次第に高速化が進み、特に航空輸
送の進歩は著しいが、船舶は特に輸送量、高速性、快適性、耐航性などが重視される
が、近年は一部のフェリーボートを中心に新型式船と呼ばれる高速艇が出現した。
2-1-1 新型式船とは                           
 1950年頃から、従来の排水量型船舶とは異なる新たな船型が開発されてきた。これ
らの新型式船は高速性、良好な耐抗性を重視している。従来の排水量型船舶は大きな
波浪に耐え、外洋を長距離航行し、かつ経済性は高いが高速化を図るには造波抵抗や
摩擦抵抗を減らす工夫が必要となる。排水量型船舶は細長い船型としない限り高速化
は不可能である。言い換えれば細長い船型の採用と大型化により高速化は可能であ
る。一方、従来の排水量船型や滑走船型の発展とは異なる全く新たな発想による高速
船型の改良、研究も行われて新型式船が登場した。近年、新型式船が発達した理由は
船体構造や推進機関をはじめとする周辺技術が大きく進歩し高速化や大型化が可能と
なったからだと言われている。                        
2-1-2 新型式船の種類                           
 新型式船は大きく分けて4つに分類され、モノハル艇(単胴型)、マルチハル艇(多
胴型)、ハイドロフォイル艇、エアクッション艇など様々な船型がある。     
        
●モノハル艇(単胴型)                           
 排水量型艇は速力が増加すると急速に抵抗が増し推進動力を大きくしても速力はな
かなか増加しない。そこで船底をできるだけフラットにすると水面に浮上する状態す
なわち滑走状態となり抵抗が急速に減少する。モノハル艇(単胴型)は滑走状態に入
るまでの抵抗は大きいが大型化(全長100m以上)により、半滑走状態でも絶対速力
で40ノット程度は充分に可能である。新型式船のなかでモノハル艇は比較的大きな所
要馬力が必要だがこの40ノットは十分に実用的な高速力なので他の新型式船に比べシ
ンプルな船型は汎用性に富んでおり、世界中で広く普及している。また比較的小型の
モノハル艇(単胴型)は滑走船型を採用し高速力を実現している。        
●マルチハル艇(多胴型)                          
 モノハル艇を平行に並べ、その上に甲板を繋げて幅を広くとったマルチハル艇(多
胴型)は甲板面積が広くペイロードの搭載の自由度が大きい。抵抗特性はモノハル艇
と同様で細長い船体は大型化(低いフルード数)すれば排水量形式でも実用的な高速
化(40ノット)は可能である。しかし、これ以上の高速化(例えば60ノット以上)は
フルード数が大きくなるので思いきった大型化を実現しない限り高速化は無理であ
る。しかし抜群の耐航性能を持つと言われるウェイブピアサー型や半没水船型
(SWATH)は大型化により低いフルード数で実用的な高速(40KT)を実現し、現在
世界で最も成功した高速船と言われている。比較的小型の滑走船型のマルチハル艇
(多胴型)はライドコントロールを目的とした水中翼を備えるなどの耐航性能を向上
させ50ノット以上の高速化も実現している。                  
●水中翼艇(ハイドロフォイル)                       
 水中翼艇は水中翼によって船体を水面から浮上させて航行する船型である。水中翼
で全重量を支持する速力に達するまではまず滑走状態で船体重量を支持し、更に速力
を上げると水中翼で船体重量を支えて船体抵抗をなくし水中翼とそれを支持するスト
ラットと付加物抵抗だけとなる。水面貫通型水中翼船は速力の変化と共に浮上高が変
化し、水面下の翼面積も変化して速力にあった浮上高さを自動的に一定に保つ特徴を
持つ。全没型水中翼船は揚力を負担する水中翼は全て水面下にあり、速力が変化して
も水面下の翼面積は一定で航空機と同様に速力の変化に応じて水中翼の迎え角やフ
ラップにより揚力を制御している。特に全没型水中翼船は波の影響を最小とするよう
に翼面を制御し優れた耐航性能を実現しているが船体を支えるストラットの強度上他
の新型式船のような大型化は困難と言われている。               
●エアクッション艇                             
 エアクッション艇 (ACV)はホバークラフトと呼ばれることもあるが浮上原理は船体
の全周あるいは前後のスカートによりエアクッションを保持し船体重量を支持する。
エアクッション艇はエアクッションを介した滑走艇と言えるが水面と接する部分が少
なく特に高速性に優れており、船底が水面の影響を受け難いので耐航性能にも優れて
いる。また等圧のエアクッションにより船体を支持するので構造的に大型化が容易で
ある。特に細長い側壁を有するサイドウォールエアクッション艇(SES)は、側壁が
水面と接触することにより優れた操縦性と水中プロペラやウォータージェット等の推
進装置を採用することが可能となりエアクッション艇の本命と言われている。   

2-1-3 ハイテク造船業とは                        
 次世代の造船所プロジェクトでは、環境と安全をテーマとしたハイテク造船業が必
要と言われている。造船所自体がこのテーマをベースに構築されるべきであるのはも
ちろんであるが製造される船舶がこのテーマに見合うように開発されることも重要で
ある。造船所のテーマとしては、造船所が周囲の環境に配慮し労働者の安全と労働環
境の改善を図りながら生産性を高めコスト競争力を持つことである。生産される船舶
は、安全かつ就航性が高く、高速で乗り心地が良く、環境に優しい船舶である。これ
らはいわゆる新型式船と呼ばれるがまだ日本では開発が遅れているのが現状である。
● ハイテク造船所とは                           
 造船業ではコストを下げる為、製造技術を高める試みは過去もなされてきたが、他
の製造業に比べると、それほど機械化や合理化は実現していない。その理由は、船舶
が他の乗り物に比べて容積が大きく重量も大きいので設備費がかさみ過ぎる。また量
産効果もあまり期待できないため、有効な設備投資が難しい。つまり、航空機製造と
同様に労働集約型の産業である。もちろん設計分野では最先端の開発はなされている
し、現図作業や溶接の自動化、ブロック建造などの分野ではハイテク化はかなり実現
している。海外の高速艇は新型式船の建造がかなり進んでおり、日本でもこの分野に
特化する造船所も出てくる可能性があり、小型艇(24m以下)でも、思い切った新製
造技術を導入し、コスト低減が実現できるならば、新たな需要を拡大できるであろ
う。大型高速艇は、航空機と同様に労働集約産業だとすると、生産技術に大掛かりな
設備投資は効果的ではなく、むしろ労働環境の整備に重点を置き、作業内容を分析
し、効果のある作業に対してのみ製造技術の開発を計るべきである。この分野では航
空機産業の実態を分析するのも参考になる。                  
●ハイテクボートの開発                           
 ハイテク技術を導入したボートを開発する場合、ハイテクボートとは何であるかと
定義することから始めなくてはならない。例えばゴルフのクラブやテニスのラケット
のようなグッズの世界ではハイテク材料であることが商品として成功する場合もあ
る。これらの意味するものはプロが使用する場合は必要な道具であるが一般大衆に
とっては必ずしも必要としないハイテク商品である。(自己満足やブランド品へのあ
こがれ)大型艇におけるハイテクは性能や経済性に結び付いて商品価値があり、プレ
ジャーボートとは評価される場面に大きな違いがある。プレジャーボートなどは乗用
車と同様に必要とされるかの判断はそのボートが実際に売れて事業として成功するか
が重要となる。例えば、航法装置などの応用はすでに一部利用されているし、他にも
船体の揺れなどを	ある程度制御できる装置は実現できそうである。また今までの船
の形にこだわらず積極的にハイテクを考えるならば、新たな発想やアイデアの商品開
発に行わねばならない。過去100年の船舶の歴史をみると、最高速力(レースボート
を除く) は、ほとんど伸びておらず30〜40ノットのままであるし、耐航性もそれほ
ど進歩していない。とは言え事業として考えれば確実に少しでも改善する流れが新た
な技術開発を呼び起こし、新たなアイデアを生みだすことも忘れてはならない。今後
新規なハイテク技術がどの程度実現できるかは判らないが、21世紀の船舶は、次のよ
うなテーマが研究開発されている。                      
◆スピードの追及                              
 大陸間または長距離を航行する乗り物としては、航空機が先端に存在し約150〜
500ノットの領域を実現しているが、通常の船舶(30〜40ノット)との速度領域、つ
まり30〜150ノットの間は空白であり、この領域を埋める為、新型式船としていろい
ろなアイデアが考えられている。例えば、これらに属する船舶としては、ホパークラ
フト、ハイドロフォイルクラフトなどが既に存在する。波の影響を受けない高度を飛
行する、ラムウィングクラフトも航空機より安全に、船舶より高速と言う狙いで、各
国で研究されロシアでは一部が実用化されている。(速力は50〜300ノット程度)	
しかし、実用的な商品としては経済的な評価も重要である。           
◆乗り心地の改善                              
 海面は自然環境が厳しく、波の影響を完全に取り除くことは困難であるが新型式船
はこれをある程度克服することに成功している。例えば、全没型水中翼船や多胴船が
これに相当する。また潜水船も波の影響を受けない点では、将来の可能性があると言
える。乗り心地の改善は船舶にとって永遠のテーマである。           
◆推進装置の改善                              
 スクリューが発明されて以来、これに取って変わる有効な推進装置はなかなか出現
していないが、安全性や高速性の追及が進むとウォータージェットの開発が期待され
る。近年、リニアモータの原理を応用した電磁誘導推進装置の試作艇が試験を行った
がこれらの推進装置が実用化されれば、騒音の少ない画期的な推進装置となり、今ま
で考えられていないアイデアの船が誕生する可能性もある。           
◆リサイクル、リユース技術                         
 大型船舶では解体事業により船体材料をリサイクルする考え方は以前より確立され
ているが、小型船舶ではFRP船が増えるにつれて廃船やリサイクル技術の開発が求め
られている。しかし、FRPのリサイクル技術はまだまだ難しく、採算をとれる技術と
はなっていないのが現実である。FRP素材はエンジンの寿命に比べると遥かに長寿命
なので室内のリメークや外観の改造などによるリユースも新たな事業となる可能性も
ある。FRPに限らず次世代における商品開発ではリサイクルを重視し販売価格にこの
費用を含む思想も確立すべきであるし、技術開発も求められるであろう。     
◆環境に優しい船                              
 地球環境問題の根源は人口の増加と文明生活への欲求にある。経済活動や文明(物
質的に豊かな生活)を支えるには大量のエネルギー消費を伴い、人口の増加は食料と
エネルギー消費を加速度的に増加させ、そのエネルギーの大部分を化石燃料に依存し
ている。化石燃料は枯渇資源であり、また化石燃料の燃焼による二酸化炭素の発生は
地球温暖化の原因となり地球環境問題をより深刻にしており一刻も早い対策が必要で
ある。世界経済や文明を支える船舶も環境対策が必要である。代替エネルギーとして
は再生可能エネルギーが理想的であるが、実用技術開発にはコスト開発が重要であ
る。船舶へ再生可能エネルギーを利用する技術開発は船舶の動力として直接または間
接的に応用する技術的背景は整いつつある。船舶の環境対策は既存技術の改良も多い
が、新たな技術の導入には新しい安全管理システムも充分に検討する必要がある。ま
た環境対策は現状の改善がコスト効果を充分に考慮し新規技術の開発と改良技術との
組合せなども考えるべきである。(環境に優しい船に関しては別資料を参照)
 このようにハイテクを新規事業に導入するには、いろいろな考え方があるが、いず
れにしてもハイテクに対する資本投下が、直ちに造船業を再生させる切り札となるほ
どではないことは、充分に理解しないと無駄な資本投下になってしまう。むしろハイ
テクに資本を投下している事実を世に知らしめることにより、生産される商品が、あ
たかもハイテクの産物であるような企業イメージを作り上げるほうが、現状の造船業
では事業実績を上げるかもしれない。しかし21世紀に生き残る造船業を考えるなら
ば、ハイテクについては積極的に考える姿勢が必要であり、先進技術を持つ日本も立
ち止まれば発展途上の国々に追い越されるのが激しい状況である。        

2-2マリン事業の方向性                           
 次世代のマリン事業は、環境と安全をテーマとしたハイテク造船業が必要と考えら
れる。造船所もこのテーマで構築されるべきであるが生産される船舶がこのテーマに
見合うように開発されることも重要である。造船所は、周囲の環境に配慮し労働者の
安全と労働環境の改善を図りながら生産性を高めコスト競争力を持つことが重要であ
る。製造される舟艇も、安全かつ就航性が高く、乗り心地も良く、環境に優しい船舶
であることが求められる。これらの船舶はいわゆる新型式船と呼ばれるが、まだ日本
は諸外国に比べて開発が十分に先行している訳ではない。            

2-2-1 マリン事業の留意点                         
 社会資本が比較的整備された先進諸国では経済成長と共に労働時間の減少と余暇時
間の有効活用が重視され、アウトドアスポーツは確実に社会に浸透し余暇市場の拡大
が進みつつある。一例としてはリクレーショナルビークル(RV)の普及やキャンピン
グなどがあるが諸外国ではマリンレジャーも大きな比率で普及している。ところが日
本においてはマリンレジャーの普及はかなり遅れており、プレジャーボートの年間生
産隻数は米国と比べると数十分の一の規模でしかない。バブル全盛期に一見華やかに
映ったマリンリゾート事業もバブル崩壊以後は低迷している。プレジャーボートなど
のマリン市場も景気停滞が続いており、一時期の華やかさはバブル資本により作られ
た虚像であり、無責任な関係者は資本を引き揚げただけではなく市場に深い傷跡を残
してしまったことが明らかになっている。結局、近年のマリン市場は1970年代の市場
規模に戻ってしまい、取り巻く環境は必ずしも改善されていない。このような背景で
マリン事業を行なうには現状を十分に認識し問題点を把握し明確な方針をもってマリ
ン事業を実行することが重要である。本書では日本でマリン事業を間違いなく成功さ
せる視点で事業を考え、合理的で品質管理がしっかりした舟艇関連造船所で開発した
商品を低価格適正品質で製造し、また商品流通を簡素化し充分競争力のある適正品質
の商品として市場に提供することを考えてみることにした。

2-2-2日本でマリンレジャーが発展しない理由                 
A.ソフト面                                 
●そもそも日本人と欧米人では生き甲斐や労働の価値観が異なりマリンレジャーは日
 本にはなじまないのかもしれない。                     
●日本の海象は厳しく遊びに適さない環境が多い。               
●マリーナの絶対数が不足しており、しかも保管料が高い。さらに、バブル時期に建
 設されたマリーナは保証料の導入などマリンレジャー入門者の足を遠ざける環境に
 なってしまった。                             
●日本のマリーナ経営は利用者本位では経営されておらず、各マリーナ聞の交流も少
 なくデイクルージングの基本であるマリーナ訪問などではピジターを歓迎しない傾
 向が未だに改善されておらず、係留を認めても法外なサービス料を請求されてしま
 うのが現状である。                            
●日本のマリンレジャーに適した海域は漁業関係者により支配されており、一時期よ
 り改善されてきたとは言え漁業権は強く、依然として水面の解放は遅れている。 
●マリンレジャーの底辺が拡大するにつれてレジャー関係者の知識不足やマナーの悪
 さも問題になり海面の解放を妨げる動きになっている。(マリン文化の未成熟) 
●マリンクラブの未成熟もマリン文化の発達の原因でもある。日本にも多くのマリン
 クラブが存在するが利己的で愛好者の底辺拡大に必ずしも前向きではない。せっか
 く自治体が作ったマリーナ設備を作っても、受け皿となる組織力が不足している。
 (自治体に運営能力は基本的にないと考えるべき)              
B.ハード面                                 
●プレジャーボートの価格が高過ぎる。日本のプレジャーボートはアメリカ製に比べ
 ると同じ仕様で比較すると高価格の感があり裏を返せば価格の割に仕様が低いと言
 える。                                  
●プレジャーボートは使用頻度が低いせいもあり車に比べ故障が一般的に多いと言わ
 れているが、日本では部品の供給体制もまだ十分とは言えず整備を委託するサービ
 スマンの外注費も異常に高いのが現実である。                
●ソフトの面と関連するが日本のプレジャーボートは海面での遊びに対する配慮が不
 足している。日本では釣りが遊びの主流であるが、やや偏重のきらいがあり、釣り
 が水面での遊びの目的になっているとすればいかにも寂しい現実である。    

2-2-3 問題点に対する対応案                        
ソフトの面に関しては行政による社会資本の改善や整備が伴うので大資本の投入など
大きな視点での改善が必要である。本書ではマリン事業の中でプレジャーボート製造
業を中心として展開して行く上で成功するための留意点を検討することにした。  
A.低価格で適正な仕様のボートの販売                     
●低価格ボートを実現させるには製造原価の低減は当然であるが、アフターサービス
 など販売管理費をどう考えるかが重要である。日本のプレジャーボートの販売価格
 にはメーカーのサービス体制を過度に維持するための価格が含まれており、この点
 を改善するにはユーザー自身が購入後のサービスは基本的に有償であることを理解
 することが重要である。(基本的にユーザーが自らメンテナンスできる商品開発が
 必要。)                                 
●必要以上のサービスは行わないが製造者責任の義務は変わりないので、販売方法を
 工夫する。例えば低価格の可搬艇などは購入者に製品の管理責任を意識させるため
 に半完成品でのキット販売も一案である。但し、購入者にとっては困難な船体検査
 などに対しては船体の予備検査やエンジンセットの代行などに応じる体制は必要で
 ある.また購入希望者に直接販売する他に、直接サービスに携わることを条件にマ
 リーナやサービス会社などに現状のマージン体系よりも有利な仕切り価格(有利な
 マージン率を設定)で販売を委託するのも一考に値する。また高マージン率を条件
 にマリーナでの販売では無保証金と年間保管料の割引を求めることも一考である。	
B.購入者に対するアフターサービス                      
●ボート購入者は商品に満足すればボートの口コミ効果による販売促進の担い手とな
 りセールスマンにもなるわけであり、まず商品に満足してもらうことが重要であり
 マリン事業初期段階ではできるだけ積極的にアフターサービスに努めることが重要
 である。またユーザーに自ら点検整備を行なうよう促す体制をつくることも重要
 で、ファックスやインターネットでの問い合わせに24時間体制で応じることも必要
 かもしれない。	                             
●マリン事業はサービス産業であり顧客サービスを前提に多角的な経営を考えるべき
 である。顧客へマリンサービスの情報を定期的に送り、マリンバーツの販売も事業
 化する。各地域でのクラブ組織の設立やデイクルージングなどの企画を実施する。
●プロのサービスマンを育成                         
 上記に述べた対策案の多くは大手マリン企業では既に対応できる体制になっている
 が、これらの体制は必要以上に経費がかかり実際は官僚的であり顧客は不満を持っ
 ている。(それでも大手マリン業者は料金が高い点を除けばかなり充実した体制で
 ある。)マリン文化の大衆化が実現するには販売実績を増進させ下取り艇の再販や
 中古艇の積極的な販売も重要である。現状ではインターネットによる情報網も整備
 されてきたが更に改善されれば市場の活性化と共に有効な事業が発生する可能性が
 ある。現状でも優秀なサービスマンも存在するが評価とこれに見合う待遇であるか
 は見直しも必要である。今後、いわゆる官民共にリストラが進みプロ意識が徹底し
 てくればマリン事業は発展して行くであろう。                

2-2-4マリン事業の基本方針                         
マリン事業は時代にふさわしいマリンスポーツ、マリンレジヤーの道具として高品質
のプレジャーボートを普及拡大させるため、以下のようなマリン事業を提案する。
(1)開発される舟艇は十分な競争力及び品と充分な技術力(ENGINEERING)を持つ。
(2)効率の良い資本投下により、充分な利益を生みださねばならない。(COST 
   EFFECTIVENESS)                           
1.	管理一般                                 
●採算性の高い造船所にするため、できるだけ間接部門の比率を下げる。     
● 少数精鋭の人事とし、ブレーンになるメンバーを集める。野心的な意欲を持ち年令
 は30〜40歳。                               
●プロジェクト初年度はブレーンになるメンバーができるだけ兼務とする。    
●省力化及びアフターサービスの向上の為、管理にはパーソナルコンピュータを導入
 する。特に資材、アフターサービス、技術部門は早期に導入する。       
●輸入大型プレジャーボートの登録手続きや管理が面倒な場合は、海外に管理会社を
 作り運行することも考慮する。商船会社、リゾート開発会社とタイアップするのも
 一案。                                  
●ボートラインナップの基本としては、高品質で適切な価格で提供することにある。
 このため中小型艇は製造コストをいかに下げるか、大型艇は客のニ−ズをできるだ
 け受け入れるため、フレキシブルに対応のできる技術者(設計、製造現場)を養成
 すことが重要である。	                           
●日本では、ユーザーが自分で整備し管理できる能力は低いので、販売会社が販売後
 の管理、サービスを行う必要がある。しかもサービスが有料との感覚が乏しいの
 で、販売会社は販売後のサービス料を販売価格に上乗せする必要があった点を改め
 る。輸入艇はサービス力の不足を低価格で販売促進を図る可能性があるので、日本
 のボートビルダーとして事業を成功させるには、ボートを管理するマリーナとサー
 ビス体制を協力して確立しないと成功は難しい。               
●事業を有効に管理するには、各部門では業務の基本となる基準、規格、資料の整理
 を計るべきである。                           
(データ管理)                               
・営業部、管理部                              
 顧客リスト、ブラックリスト、アフターサービス管理             
・企画、開発                                
 企画書のフォーム、他社情報の管理、市場調査資料の整理、外部デザイナーとの契
 約、見槙資料の作成、                           
・技術部                                  
 特許新案の管理、設計管理基準、設計標準、官庁承認作業のフローチャート、標準
 試運転方案書、部品表のデータベース管理、作業標準、生産技術基準、作業要領
 書、型基準書、品質管理基準                        
・ 製造部                                  
 品質管理基準、品質検査基準、生産管理基準、製造技術基準、資材管理基準   

営業部、管理部門の業務内容                         
● 日本では、セーリングボートは利益率の少ない商品である。これは大型のセーリン
 グクルーザを除いて、購入層(ユーザー)の商品に対する考え方が厳しいことによ
 る。つまり小型セールポートはモータボートの購入者と違い、自らボートを整備す
 る能力も高くまた、金銭にシビアな人が多いと言われ、ボートビルダーにとっては
 利益を産みだしにくい商品なのだろう。またセーリング技術の指導やヨット教室な
 ど、レジャーソフトの促進に手間がかるので、マリン事業で当初からセールボート
 を製造するかは、慎重に考えるべきである。                 
● マリン事業のテリトリーとしては、最終的には日本全国を目標とするが、事業の初
 期段階では、造船所の近辺を重視し、アフターサービスが比較的容易な地域に限定
 し事業を展開することが望ましい。                     
● 省力化及びサービスの向上の為、管理にはコンピュータを導入すべきであり、特に
 資材、アフターサービス、設計はデータベース管理が重要である。       
●詳細設計、生産技術、アフターサービス、資材部門では人材のローテーションで常
 にレベルアップを図る。                          

企画部門の業務内容                             
●高品質、高性能な商品を開発し、個性化、多様化するユーザーのニ−ズに応える。
●マリンレジャー市場拡大の為、適当なる価格品質の商品を開発する。      
●レジャーの多様化に合わせ、新商品(アイデア商品)を開発する。       
● 新たにマリン製造業に参入するには、企業イメージを高める必要もあり、次世代を
 見据えたボートの開発や新商品により技術力や商品開発力の高さをアピールするこ
 とが重要である。例えばリサイクルを考慮した船体材料や構造設計、新規アイデア
 のマルチボートなどである。                        
●低成長時代を迎え、国産プレジャーボートは小型艇が増える傾向が予想される。米
 国の例でも17〜20FT前後のトレーラブルボートが全数の80%を占めており日本も
 この流れに向かうと考えられるがその時期はトレーラの牽引規制が緩和されるのを
 待つ必要がある。                             
● 25フィート未満のモデルは、各社、販売競争が厳しいので、いかに製造コストの低
 減ができるかが重要になるので材料費はもちろん、人件費についても、適正人員を
 企画段階からはっきりさせる必要がある。 つまり人件費の安い地域に造船所を建設
 するか、徹底的な合理化を計るため、生産技術を強化し設備投資を図るかどうかで
 ある。                                  
● 商品体系の中で、無駄な開発リスクを持たぬよう、日本国内で販売が見込める商品
 性の高い輸入艇も取り扱い幅広いユーザーのニーズに応えるのも重要である。但
 し、輸入艇は必ずしも日本でサービス体制が十分とはならないので、その選定にお
 いては慎重を要する。                           
● 小型レジャーボートの船体材料はFRP製が主流で、今後も変わらないと考えられる
 が、大型のレジャーボートの需要や業務艇の事業を考えると、アルミやその他の材
 料による製造技術も考慮しておく必要もある。特にリサイクルや環境問題を考える
 とFRPボートとは異なる材料によるボートの可能性はあるが積極導入はタイミング
 を図ることが重要と思われる。                       
●インテリアデザインは流行が激しいので、優秀な外部デザイナーの登用も多用す
 る。                                   

技術部門の業務内容                             
●事業が軌道に乗ったら、新規開発の設計工数は設計管理費で賄う。(開発費はロイ
 ヤルティとして確保)                           
● CAD技術導入により省図面化を計り、設計工数を減らす。           
●技術部門は、大型艇の特殊艤装設計では営業に協力する。(セールスエンジニアの
 養成)                                  
● 徹底的な合理化を図り、生産技術を強化し、作りやすいボートの開発に努める事が
 重要である。                               

営業部門の業務内容                             
● 製造したボートを全国ネットで販売するには、サービスの重要性は勿論であるが、
 各地域の実態を常に把捉しておく必要がある。製造系列のサービスネットを持つの
 は大変なので、実際の活動では、販売力のあるディーラーと契約するであろうが、
 ビルダーとしての戦略に関する理解を得られることが重要である。このためにも、
 ビルダーの友好関係にあるマリーナは、人材の教育、訓練機関として協力を得られ
 る関係が重要である。                           
● マリン事業を成功させるには、販売促進活動が重要だが、従来の組織や人による活
 動は経費がかかるのでインターネットなどを活用し通信販売も考慮すると良い。但
 し、不良カスタマーも増えるので与信調査が重要となるのは当然である。    

製造部門の業務内容                             
●造船所は、海岸に面し、労働賃率の低い地域商品の流通経費があまり高くない地
 域。(特に低価格ボート)                         
●パートタイム従業員の確保が可能な地域。                  
●可能であれば海外生産も考慮する。                     

2-3 商品企画                               
 マリン事業を推進するにはまず市場の現実を知る必要がある。少し古い情報ではあ
るがプレジャーボートの先進国である米国と日本のマーケットの違いを調査してみ
る。米国の市場分析には1996、1997年NMMAのボート生産実績資料を使用し、日本
の市場分析には1996年舟艇工業会のボート生産実績資料を使用した。そこでまずプレ
ジャーボートの種類を解説することから始める。                
2-3-1 プレジャーボートの分類                       
プレジャーボートは推進装置の種類と遊びの種類に分けることができる。     
●推進装置による分類                            
船外機(OUTOBOARD MOTOR)                        
 小型ボートの主流は船外機である。本来は小型軽量が特徴であったが最近は最高出
力が300PS以上の大型船外機も販売されている。小型量産プレジャーボートの多くは
船外機を1〜2基装備していたが、最近は30FTクラスのスポーツボートやフィッシン
グクルーザーに300PS以上の大馬力船外機を2〜4基搭載するボートも見受けられる。
アウトボードエンジンサプライヤーとしてはヤマハ、マーキュリー、ジョンソン、ク
ライスラー、OMCなどが有名であるが販売戦略としてボートビルダーとの結び付きも
重要である。一時期はボートビルダーのベイライナーもシーレイもマーキュリー系船
外機を採用し、ヤマハもアメリカのボートビルダーを数社買収しパッケージボートと
してエンジンの販売促進を図ったこともある。図は小型フィッシャーマンに搭載した
例である。                                 
        

船内外機(STERNDRIVE)                          
 船外機と同様に小型ボートに搭載するエンジンの主流を占めていたのが船内外機で
あり、エンジン本体をマリン用としてオリジナルに開発する場合もあるが、車両用エ
ンジンをマリナイズする場合が多い。スポーツボート用ガソリン船内外機の最高出力
は600PSクラスも存在するが通常のガソリン船内外機は300PS程度である。最近は燃
費の良い高出力ディーゼル船内外機が多数市場に供給されるようになった。船内外機
サプライヤーとしてはボルボ、マークルーザー、ヤマハなどが有名である。マリンエ
ンジン事業は量産効果も大きいので船体事業よりも収益性がはるかに高い。船内外機
は自動車用エンジンをベースに開発する場合が多いので自動車メーカーもマリンエン
ジン事業に関心を持つがマリンエンジンに要求される品質は自動車以上に厳しい熱負
荷に対応することが必要で自動車用エンジンを単純に転用することはできない。マリ
ンエンジン事業を成功させるには有力なボートビルダーとの結び付きが重要で船体の
開発も含めた戦略が必要である。                       
        

船内機(INBOARD DRIVE)                         
 エンジンがほぼ船体中央にある船内機艇は大型艇向きと言えるが、米国では水上ス
キーを牽引するスキーボートも例外的にかなりの市場規模が存在する。しかし近年ス
キーボートはその他の遊びを付加したマルチボートに進化しつつある。
大型艇は大馬力が必要なので300PS以上のディーゼルエンジンを複数装備する。
500PS以上の大出力エンジンはバスやトラックなどの特殊車両エンジンをベースとす
る場合が多く、エンジンビルダーとしてはG.M、MAN、ベンツ、キャタピラー、ヤン
マー、ダイハツなどが有名である。                      
            

ポットドライブ(POD DRIVE)                        
 最近はボルボやマーキュリーブランドから推進効率を高めたポッドドライブが開発
され注目されている。ポッドドライブは独立して作動することによりバウスラスター
を使用せず横向きに移動できる。ZF社から1000PS以上の大型ポットドライブも発表
されており大型プレジャーボートも従来の船内機からポッドドライブへ変わることが
予想される。                                
        


●遊びの種類による分類                           
 遊びの価値観は個人によりさまざまである。マリンレジャーを分析すると、遊びの
種類、ボートの種類を次のように分類できる。しかし遊びは年々開発され新たな用具
も誕生し関連するボートも進化している。例をあげると米国の小型ボートの一部に多
機能を有するボートが出現してきている。例えば甲板上を出来るだけ有効に遊びに利
用したDeckboatや水上スキーを主目的の遊びとしながら前部デッキでフィッシングも
可能としたFish in Skiなどと呼ばれるランナバウトも出現している。       
        

2-3-2 市場分析
 マリンレジャーは今後も徐々に拡大していくと予想されているが、遊びの多様化も
更に進みマリン事業はレジャー用具(ハード)を作り出すだけでは充分ではない。大
規模マリンレジャー施設の多くは大企業が企画するレジャーソフトの一環として組み
入れられている。ここでは大規模マリン事業のレジャーソフト部分は大企業に任せ、
高い商品開発力と製造技術力を駆使したハード(遊び道具)を商品化し製造販売を検
討するが次の様な商品が考えられる。                     
●モーターボート(パワーボート)	
●セールボート			
●ウィンドサ-フイン、サーフボード    
●その他各種の特殊ボート及び新商品    
 マリン事業が目標とする商品としては、高品質、高性能およびアイデア性が重要で
ある。プレジャーボートの遊びとしては前述のように釣り、クルージング、スポーツ
走行などがあるが、図は日本や米国におけるプレジャーボートの遊びの例とボートの
種類およびそのサイズをまとめたものである。日米では遊びの好みが違うので販売さ
れたプレジャーボートの主流は異なっている。例えば日本では釣りボートが多数であ
るが米国では釣りはもちろんであるがスポーツ走行を重視したランナバウトの人気が
高いようである。                              
        

米国の市場分析                               
 米国市場は従来から遊びの開拓やボートの開発では先進性があり、米国の流れが世
界のプレジャーボート界に大きく影響を与えている。図は推進装置の種類によるプレ
ジャーボートの比率を示す。米国ではPWC(水上オートバイ)がプレジャーボートに
占める割合が極めて大きいことを示している。次に船外機艇の比率が大きい理由は大
衆艇が普及するには軽量低価格が重要であることを示している。         
        

図-46からPWC,Canoes,Sailboatsを除外したのが図-47である。米国のプレジャー
ボートの主流は船外機艇であることを示している。近年Jet Drive Boatsが増加する
傾向にあるがこれはPWCユーザーが通常のボートへ移行するのに適した入門艇に適し
ており今後需要が拡大する可能性を示している。                
       

図-48はプレジャーボートを遊びの要素で分類したが、米国ではスポーツ走行を重視
したプレジャーボートの割合は70%前後を示しているのが特徴である。前述のJet 
Drive Boatsはまだ少ないがPWCの愛好者が年令とともに乗り換えてくる事が予想さ
れる。                                   
       

図-49は図-48からPWCを除外した結果である。PWCを除くと遊びの種類としてはス
ポーツボートとフィッシングボートが、大きな割合であることを示している。   
       

図-50は船外機艇に限定しボートの種類とサイズに関して分析した結果である。
●17FT前後にバスボートの大きな市場が存在。                
●16FT前後のフィッシングボートは低価格アルミボートである。              
●18〜26FTでデッキボートの市場が拡大。                  
●16〜20FTで釣り機能を有するスキーボートやランナバウトが新たにシェアを持つ
傾向も見られる。                              
       

図-51は船内外機艇に限定しボートの種類とサイズの分析であるが、ランナバウトは17〜
23FTで大きなマーケットが存在していることが判る。             
       

図-52は船内機艇に限定しボートの種類とサイズの分析であるが、21〜25FTでスキーボートの大きなマーケットが存在している。                  
       


日本の市場分析                               
 日本はマリン文化の大衆化が遅れており、経済力に見合うマーケット規模になって
いないと言われている。(舟艇工業会資料)図-53は日本市場におけるプレジャー
ボートの種類を示しているが特徴として和船や低馬力の可搬ボートが多く、釣りを主
としたマリンレジャーが主流でモーターボートはまだ充分に普及していない。また漁
船や業務艇が多いことは釣りが遊びとして地位を示す一方、プレジャーボートを個人
所有として普及するのを阻む社会的な事情があることを予想させる。       
       

図-54は国内有力ボートビルダー4社の推進装置により分類したデータである。日本は
有力な船外機メーカーが4社存在することもあり船外機艇の割合が多いことは米国以上
であり、大衆艇としては軽量低価格が重要であることを示している。       
       

図-55はPWCを除くと遊びの種類としては日本もフィッシングが主流であることを示
している。しかし今後は米国の影響でスポーツ性を持ったマルチボートが増えること
が予想される。21世紀は環境対策が厳しくなりPWCのエンジンが2サイクルから4サ
イクルへ替わるに伴い大型化したPWCが多目的スポーツボートとして増加している。
       

図-56は船外機艇の種類とサイズで分析している。               
●18〜27FT(5.5〜9m)で釣りボートの大きなマーケットが存在。       
●21〜24FT前後は大衆艇と言われるマーケットが存在。            
       

図-57は船内外機艇の種類とサイズを分析しているが、船外機艇と同様に24〜26FTで
釣りボートのマーケットが存在している。また26〜30FT前後はクルーザーのマー
ケットが存在することを示している。                    
       

日米の市場比較                               
図-58、59は日米の比較である。規模の違いはあるが遊びとしてはフィッシングボー
トやPWC、スポーツボートの存在が大きい。                  
            

今後の市場                                 
日本のプレジャーボートマーケットは米国と比べるとあまりにも規模が小さく(1/
40)比較の対象とならないかもしれないが遊びの本質がそれほど異なるとは考えられ
ず、普及が遅れている要因が取り除かれれば経済力に見合う市場の発展が期待でき
る。日本のマーケットは国民性の違いがあるにしても釣りに偏重しており米国に比べ
ると魅力あるボートを提供する努力に欠けているのかもしれない。米国のマーケット
では近年新たなジャンルのボートが開発されておりランナバウトのバウライダー化
(釣り機能を持たせる。)やスキーボートに釣り機能を持たせるなどの多機能化が進
みつつある。またデッキの有効利用を考えたデッキボートが市場で目立ちはじめてい
る。さらに次世代は安全性を考慮した推進装置としてウォータージェット艇は確実に
増えることが予想されPWCの現状を考えるとPWCからジェットボートへと遊びを進め
て行く流れができる可能性がある。これらを背景として理解しプレジャーボートの開
発を進めなければならないが将来日本が米国に近い流れになるとすると20FT以下で魅
力のある低価格大衆艇(入門艇)の開発は是非必要である。