19FTマルチボート

企 画 日本ではバブル崩壊以後のレジャーボートは新艇の開発も少なくなり、マリンレ ジャーの大衆化は遊びの質の面でも停滞してしまっている。しかし、成熟した社会と 共にマリンレジャーの本質を考え直す機会は必ずあると思われる。         日本のマリンレジャーの背景は以前として楽観視できる状態ではなく、水面の解放や マリーナの保管料や遊びの開拓などレジャーソフトの面は急激な改善は見込めない が、決して後退しているわけでもないので、5年、10年先を考えた開発が必要となっ ている。日本では依然としてフィッシングが遊びの中心であることは変わらないが、 その他の遊びも取り入れたマルチパーパスボートがもとめられている。       現在初心者向け小型マルチパーパスボートの市場はヤマハSRVシリーズに代表される が、他のメーカー艇では低価格競争ばかりが優先され本格的な大衆艇としての成功例 は少ない。そこで価格、性能、取り扱いや安全性など総合的に判断すると漠然として ではあるが次のような大衆艇の仕様が生まれてくる。本提案はその時期を先取りし、 新たなボートビルダーの立場でプレジャーボートを開発する企画開発書である。   企画の留意点      価格、性能、取り扱いや安全性など総合的に判断すると漠然としてではあるが次のよ うな考えが生まれてくる。                           ●1?2家族で遊べる                              ●釣りができる。                               ●できれば2?3人が仮眠できるバースが欲しい。                 ●エンジンは70?120PSの船外機(最高速力30KT程度)             ●オプションで太陽光発電装置と大容量バッテリー及び電動補助船外機を設定。   ●販売価格は200?400万円程度                        ●外観は斬新なスタイリングとし、コスト低減と仕様のバランスを特に留意し船体の  海外生産も考慮する。                            ●マルチパーパスボートである。                        ●エンジンは低価格は船外機仕様、釣りを重視したボートではディーゼル船内外機仕  様とする。              

開発管理

 1

開発番号

AX19-TYPE1~4

 2

仮 称

MULTI-PURPOSE BOAT19

 3

タイプ

AX19-T1~T4

 4

モデル名称

マルチボート19


開発ステップ

当初計画

備  考

 1

企画書作成

未定

市場調査、カタログ収集、主要寸法の検討、原価計算

イメージスケッチ、一般配置図、室内配置図

 2

基本計画・基本設計

未定

主要寸法の決定、ラインズ、一般配置図

一般艤装図、機関艤装図、室内艤装図、

構造図、電気艤装図、配管艤装図、

重量重心計算、排水量等計算、復原性計算

区画浸水計算、速力計算、総トン数計算

パーツリスト、模型製作、原価計算

 3

詳細設計

未定

部品図、現図、取付図、受験資料、原価計算

工程表、

 4

製作開始

未定

船体製作、機関艤装、甲板艤装、電気艤装

室内艤装、配管艤装

 5

完成検査

未定

水密、電気系統検査

 6

試運転、改造

未定

性能及び機能確認、JCI検査資料作成

 7

JCI検査

未定

検査証取得

完 成


開発意図

市場の背景、企画の狙い

入門艇または17FTクラスからの乗り換えユーザーをターゲットにする。

市場は不景気状態にあるが社会構造の変革期にあたり価値観も多様化する傾向にあるので

現存する他社モデルを参考に新たなマルチパーパスボートとして開発する。

遊びの本質を再考しオープンデッキの活用とキャビン内の空間利用を重視する。

環境に配慮し入出港用の2PS程度の補助電動船外機も装備する。(3?4KTで充分)


対象ユーザー

自営業、初心者及び団塊の世代退職者


主 用 途

スポーツ走行、デイクルージング、釣り重視

 

セールスポイント(スタイリング、性能、艤装)

洗練されたアピール度の強いエクステリアフォルムとし、デッキの有効利用を強調する。

キャビン内はコストは意識するが質感のある内装とする。 またRV車と同様、アウトドア

での遊びを考慮したキャンピング機能を考慮する。

装備エンジンは120PS船外機を標準とするが、低価格仕様は50PSでも最高速力は20?25ノットを確保。

軽量高出力ディーゼル仕様はボルボTAMD22(105PS)を使用し最高速力は30ノットを目標とする。

船型は船底V角度18?20。のディープVとする。

居住性を重視するので太陽光と発電機や陸電による充電による大容量の電源を確保。(オプション)

オプションで入出港用の2PS程度の補助電動船外機も装備する。(3?4KTで充分)




初期主要寸法の検討(企画時点)

主要寸法は企画時の留意点を考慮して決定することになるが基本設計を進めて行く過

程で変更が発生する場合が多い。                       

その都度、企画時のコンセプトから逸脱しない範囲で変更することが重要である。 

ここではまず第一次寸法として下記の通り決定する。                   

全長Loa(船外機を含む)                6.41m         

全長Loa(船体のみ)                 5.80m         

全幅Boa(トラック運搬を考慮)            2.30m         

全高Hoa(プロペラ下端から航海灯上端まで)     2.6m程度       

全高Hdf(喫水線から航海灯上端まで)        1.9m程度        

最大喫水Max.Draft(プロペラ下端まで)        0.75m        

定員            クルー          2名         
              その他の乗員       8名         

総トン数(特に制限はない)            5トン未満        

軽荷排水量                    1.5t程度         

重荷排水量                    2.0t程度         

最大速力(軽荷)120PS船外機            35kt程度         
        70PS船外機            27kt程度         

最大速力(重荷)120PS船外機            33kt程度         
       70PS船外機            25kt程度         

航海速力                   20?25kt程度         

燃料タンク容量                  70リッター        

清水タンク容量                   20リッター        

航続時間(75% 出力)                 3時間         
    (30% 出力)                 8時間