はじめに 日本ではバブル崩壊以後のレジャーボートは新艇の開発も少なくなり、低価格フィッ シャーマンばかりが目立ち、マリンレジャーの大衆化は遊びの質の面ではやや停滞し 釣りに特化する傾向になっている。 しかし、経済の回復と共にマリンレジャーの遊びの本質を再考(多用化)する流れも 出て来るであろうしプレジャーボートも新たな仕様を開拓する必要もでてくると予想 される。 ただ、日本のマリンレジャーの背景は依然としてプレジャーボートが大衆化できる環 境にはなく、水面の解放やマリーナの管理などの面で一層の改善が図られないとマリ ンレジャーの大衆化は難しいと思われる。 日本では依然としてフィッシングが遊びの中心であることは変わらないが、免許制度 の変更により1級免許で操船できる船舶のサイズが24m未満となり大型のプレジャー ボートの開発が可能となった。大型プレジャーボートは量産ではなくカスタムボート の可能性が高いと考えられる。そこで今回は60FT(18m)のカスタムヨット(マルチ クルーザー)の可能性を検討する。 1級最大艇の現状 1-1市場 ヤマハ蒲郡製造が事業解散して以来、高品質プレジャーボートの製造可能な国内 のボートビルダーは無くなってしまった。ただアルミやFRPの業務艇を製造する ボートビルダーは多数存在するので、これらの会社が高い開発力と高品質の製造 技術が確立出来る可能性もある。 一方では、海外には魅力ある大型プレジャーボートは多数存在するので、ユー ザーが国産に拘らなければ希望するボートを購入できる選択肢は豊富にあると言 える。 コンセプトおよび留意点 ●量産ではないカスタムヨットとして開発する。 ●剛性の高いアルミの良さを生かし、釣りを重視したマルチクルーザーとする。 ● 外観は独創的でリッチで品格のあるスタイル賭する。 ● 輸入高級車で横付けできるプレステージをイメージ。 ●輸入艇を横にしてもひけを感じないボリュームと質感。 ●1?2家族で数日船内泊が可能。 ●簡単なパーティーも可能にする居住空間を持つ。 ●老人や女性の乗船に充分配慮する。 ●陸電装置、冷暖房設備、シャワー室、ギャレー等生活空間に充分に配慮する。 ●操船を容易にする為にバウスラスター、(アフトスラスター)を装備する。 開発の狙い 3-1国内有数のカスタム艇の製造。 3-2商品訴求点 十分な居住空間、静粛性、高級感、高い安定性、高速性能、安全性 3-3船体及び主要な上部構造はアルミ製とし、FRP型は一部の局面部分とライナーなど に限定する。但し、各種艤装で工数が低減出来る場合には簡易メス型によるFRP 成型部品も採用する。(例:化粧室、ギャレーユニット、運転席コンソール) 主要諸元 総トン数:20トンオーバー、小型船舶1級、沿海仕様 全長・全幅・完成重量:18m程度、5.5m、30t 主機関:エンジンはオーナー要求により検討するが、初期検討では1300PS/ 2300RPMクラスを2基とする。 最高速力: 38?40KT 製造数: カスタム艇として基本的に1隻、同型艇の製造可能性有り 乗船定員:クルー2名、乗客12名 航行区域:沿海 燃料タンク容量:4000リッター 清水タンク容量:900リッター 製造販売価格:2?2.5億円(主機や室内艤装の仕様による) 舟艇各部概要 パッケージ ・オフショアトローリングに対応できる低重心&幅広船型&アフトデッキ広さ ・動感あふれるスタイリング、低重心を強調する外観 ・耐航行性能を重視 ・室内配置に関しては顧客の要望を可能な限り反映する。 (静粛なメインサロンとギャレーのフラット化、船内泊を十分に考慮、下層 デッキにオーナーズルーム、ゲストルーム、クルールーム、ダウンギャレー エンジン ・ エンジンは軽量で高速艇用ディーゼルエンジン 船体構造 ・縦肋骨構造アルミハル構造 ・主要上部も高い剛性を持つアルミ構造。 ・FRP部品の適所配置による組立工数削減と型費低減。 ・アルミ製ハルデッキの表面仕上げ及び塗装はFRPと同等。 ・イージーメンテナンスのための室外からの開口エンジンハッチ。 ・ オプション艤装品の取付が容易な船体構造。 内装・艤装 ・ハンドレール・セイフティパッドの配置を熟慮したソフトインテリア。 ・使いやすさを追及した2レバー電子式リモコン。 ・家具類のユニット組付工法によるオーダーアコモデーションへの対応。 ・ 陸電設備はAC100V-50A。AC-DCコンバーターによる電源供給可。 性能目標 ・ ストレスを感じない加速性能。 ・ 自然な航走姿勢 旋回時ヒール角は15度程度。 ・ 微速トローリング装置の考慮。 ・ キャビン内は航走中に普通の声で会話ができること。バース内では波打ち音が 不快感なきこと。エンジン音が気にならないこと。 その他 ・法定安全備品の取り出しへの対応。 ・廃船リサイクルを考慮した組立構造。 検討課題 6-1原価見積 6-2開発大日程 6-3開発費用 6-4開発課題 6-5生産課題 6-6公的認証関係