はじめに

日本ではメガヨットの開発例は少ないが本企画では120FT(36m)カスタムボートの
基本設計を行い将来のメガヨット開発の基礎的資料を蓄積することを目的とする。
日本ではこのクラスのデータは少ないのでヨーロッパおよびアメリカの50FT以上の大
型モーターヨットおよびメガヨットのデータを収集し、120FTクラスのメガヨットの
主要寸法を検討した。                            

                   
主要寸法の検討

1. 全長、全幅(L/B)

プレジャーボートは全長が大きくなると一般的には細長い船型になるがFig1はその全
長と全長/全幅の関係を実際に示しており示している。             
計画するメガヨットの全長は24mであるが、グラフから全長/全幅(L/B)は約4と読
み取ることができる。                            
    すなわち                              
    全長L:36.0m の場合   全幅B:7.3m  と仮定する。  
2. 完成重量             収集したデータの完成重量の詳細は不明であるが水、油を搭載しない状態であると判 断し軽荷重量とは区別する。                          また速力との関係は無視しているので搭載エンジンによりグラフから読み取った数値 は増減することになる。                            全長36mの場合はFig2から完成重量は約140,000kgと推定できる。      (注;30KT以上のアルミ高速艇では110,000kg?120,000kg程度と推定)    
3. 燃料タンク容量の検討 燃料タンク容量は搭載エンジンにより変化するがFig4は全長が36mで32000リッター を示している。企画のモーターヨットは高速力を計画し搭載エンジン出力が大きいの で少なくとも35000リッターは必要と仮定する。           
    5. 清水タンク容量の検討 清水タンク容量は生活用水の使用量となるがあまり容量を増やすと重量が増し速力が 低下することになる。そこで標準装備としてはFig5で示す平均量6000リッターとす る。これ以上の必要水量は海水を真水に還る造水機を搭載する。     
  5. 搭載エンジンの検討 Fig3は速長比と馬力荷重の関係を示している。                  計画速力を33ktとすると速長比V/テL=33/テ36=5.5となる。         このときの馬力荷重BHP/Ton=48となるので必要とするエンジン出力BHPは次のよ うに求められる。 満載重量は完成重量に燃料、清水、乗員重量を加算(37t)し 157tとするとBHP=48x157=7536(PS)となる。2基搭載する場合は3800PSク ラスとなる。                                
6. 船価の検討  船価は一般的に公表されておらず大型プレジャーボートの販売価格を参考とする。 Fig9によると36mのモーターヨットでは10億円以上となる。この価格はプレジャー ボートの建造が豊富な海外造船所の場合であり、日本国内で建造する場合は2倍近くの 船価になる場合もある。                            また、近年、中国、東南アジアなどで建造する船も増加しており、この場合、船価は 大幅に低くなることが予想されるため検討する必要がある。このようなメガヨットは 内装のグレードと速力性能により数倍の船価となることも留意する。
7. 主要寸法のまとめ 全長(LOA)           36.00m                   全幅(BOA)             7.30m                    完成重量           120,000kg                   満載重量           157,000kg                   搭載エンジン(33KT仕様)  3800PSx2                   燃料タンク容量        35,000リッター                 清水タンク容量         6,000リッター