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訳者 | 大畑末吉(おおはた・すえきち、1901~1978) |
一言でいうと | 北欧文学翻訳に功績のあったドイツ文学者。アンデルセンを日本で初めてデンマーク語原典から翻訳。 |
解説 | 日本における北欧文学の翻訳と受容は、かなりの程度、ドイツ文学者(独文科出身者)によって担われてきました。思いつくままに名前を上げると、石丸静雄、柴田治三郎、丸山武夫、谷口幸男など。大畑末吉は、その先駆者的な存在で、現在でも新刊で出ている業績が多いということで採りあげました。
大畑は、1901年埼玉県生まれ、第一高等学校から東京帝大独文科に進学。卒業後、新潟・山形の旧制高校や立教、一橋の教授を経て、1966年から72年まで、早稲田大学の教授を務めます。なんと、文学博士号所有者!当時は博士号の位置づけが今とは全然違っていて、この年代で博士号を持っている人は、有名な学者の中でも少ないと思います。
大畑の業績は、なんといっても、アンデルセンの翻訳です。岩波文庫の『アンデルセン童話集』(現在の『完訳 アンデルセン童話集』の前身)全7巻は、1939年から48年にかけての出版。戦時中にこれが出せたのがすごいと思うと同時に、出せた背景を知りたいところです。個人的な印象ですが、アンデルセンのデンマーク語原文は、必ずしも名文というわけではないのですが、大畑訳は、大人にも子供にも読みやすく、かつきれいな文章であると同時に、原文に忠実です。
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主な著書・訳書 |
・『完訳 アンデルセン童話集』全7巻、岩波文庫、2000
収録された童話の数は総計156!
・アンデルセン『即興詩人』(上・下)、岩波文庫、1960
岩波文庫には、二種類の『即興詩人』が収録されています。緑帯(日本近代文学)には森鷗外訳、赤帯(ヨーロッパ文学)には大畑訳。
・アンデルセン『アンデルセン自伝 わが生涯の物語』、岩波書店、1985
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