妙高型は1923年に締結されたワシントン軍縮条約の枠内で建造された、日本海軍最初の「条約型巡洋艦」でした。高い性能と精悍な外観は内外に強い印象を与え、また先の大戦ではどの艦も開戦から大戦末期まで常に最前線に立って活動し、妙高のみが中破状態で終戦を迎えました。
前作の重巡妙高は長谷川が送り出した最初のWLキットでした。旧日本海軍艦艇の中では資料が比較的残っている艦で、キットには大きな考証ミスは無かったものの、細部の表現には見劣りする部分が多く、また基本形が同じである高雄級重巡と並べても同じ船体には見えないという問題もあり、鑑賞に堪える内容に仕上げるにはかなりの腕と工作量を必要としました。長谷川には修正が極めて困難なキットが他にも存在するためリメイクの必然性には疑問もありますが、キットそのものは2000年末の「いま」を反映した内容に仕上がっていました。
まずは評価表から。 |
項 目 名 |
内 容 |
ジャンル |
近代艦船・旧日本海軍重巡洋艦 |
名 称 |
妙高(那智) |
メーカー |
長谷川 |
スケール |
1/700 |
マーキング |
艦名、軍艦旗、艦載機の日の丸、フロートの各種マーク、
艦底板の名前 |
モールド |
★★★★ |
全般的に良好(W部品の換装は作る人次第) |
スタイル |
★★★★ |
妙高に限れば星5つ。大きな問題はないようです。 |
難 易 度 |
★★ |
ただし、妙高以外は部品共用による修正が要ります。 |
おすすめ度 |
★★★★★ |
価格に見合った力作です。実艦に興味のある方はぜひ。 |
コメント |
価格と内容の釣り合いが高いレベルで取れているキットと思います。 |
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部品割は以下の通り。キットは両艦共に第二次改装後(1941年頃)と最終時(1944-45年頃)のどちらかの年代を選択して作る事ができます。
・A部品 上甲板+シェルター甲板(一体化)、右舷側船体
・B部品 艦底板、左舷側船体、船体補強用のビーム
・C部品 マスト、高角砲台座、煙突、前後部艦橋構造物、主砲測距儀、ほか
・D部品(2枚)主砲塔(4艦共通形式)、2・4番主砲台座、魚雷発射管、ほか
・W部品(2枚)WL大型艦用ディテールアップパーツに同じ
以上 妙高/那智 共通
・E部品(2枚)主砲塔(妙高/羽黒共通形式)
・K部品 艦橋上部、測距儀、方位盤
以上 妙高のみ
・F部品 主砲塔(那智独自形式)、後部トップマスト、防空指揮所上部
・J部品 上部見張所、艦橋頂部、デリックブーム、三脚マスト頂部
以上 那智のみ
長谷川に関しては、前作の祥鳳型空母が必ずしも現在を反映した内容になっていなかったことや、船体形状が同一であるピットロードの高雄型重巡がほぼ同時に発売される事などから、かなり不安を感じていました。しかし、いざキットを開いてみると、同型艦の細かい識別の違いが若干再現されていない事や武装装備品が共通パーツである事を除けば、外形も細部も良く再現されています。特に船体の表現と再現力は素晴らしく、当初の予想とは全く逆に、ピットロードの高雄の船体の方が並べて考え込む結果になってしまいました(これは別に感想を書きます)。 |