最上型はワシントン軍縮条約の制限下で保有枠が満杯になった重巡を補う目的で、余っていた軽巡枠を用いて建造された巡洋艦でした。コンパクトな艦型に比して攻撃力・防御力が強かった点が最大の特徴で、条約開け後に主砲を換装し、先の大戦では重巡洋艦として活動しました。三隈は1942年6月のミッドウエー海戦で戦没し、この戦いで大破した最上は多数の水上機を搭載する航空巡洋艦に改造され、1944年10月の比島沖海戦で戦没しました。
前作の最上型重巡は田宮模型が最初に送り出したWLキットで、メリハリの効いたクッキリしたモールドや細部の表現は特筆ものでした。ただ発売当時は最上型重巡に関する情報があまり公開されていなかったために、最上に関しては、形状が少し異なる鈴谷の船体を使って空想の飛行甲板を加えた内容に留まっていました。また三隈は第二次大戦に参加した日本の重巡洋艦の中で唯一キット化されていなかった艦で、WLの当初から発売が求められていたものの一つでした。長谷川の妙高型や青島の高雄型に比べて金型の痛みが少ないように見えた事と、後述する同型艦内での船体の違いの問題から、リメイクの可能性には少なからず疑問があったキットでしたが、2002年に発売が成った最上/三隈は共に良い内容に仕上がっていました。
まずは例によって評価表から。 |
項 目 名 |
内 容 |
ジャンル |
近代艦船・旧日本海軍重巡洋艦 |
名 称 |
最上(三隈) |
メーカー |
田宮 |
スケール |
1/700 |
マーキング |
主砲塔上の対空識別国旗(軍艦旗は紙製) |
モールド |
★★★★ |
良好だが、最上のシェルター甲板の滑り止めは疑問 |
スタイル |
★★★★ |
良好。 |
難 易 度 |
★★ |
船底板の接着と整形には注意。他は◎ |
おすすめ度 |
★★★★★ |
価格以上の価値はあると思います。細部の手の入れ方はお好みで。 |
コメント |
最上のシェルター甲板を除いては、大きく問題になる部分はありません。重ねて脱帽。 |
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部品割は以下の通り。
- Aパーツ
- 艦底板、前部最上甲板、魚雷発射管室
- 後部最上甲板(三隈のみ)
- Bパーツ
- Dパーツ
- 前部マスト、高角砲台座、煙突、艦橋前部
- 下部艦橋甲板、羅針艦橋、羅針艦橋整流板
- 後部指揮所基部、4.5m測距儀、6m測距儀
- 艦橋吸気口、煙突吸気口、缶室吸気口
- Gパーツ×2枚
- 魚雷発射管、3・4番主砲砲座、艦橋支柱、21号電探
- 九四式方位盤、九一式高射装置、探照灯台+探照灯
- 零式観測機一式、零式三座水偵一式、滑走車、台車
- 13mm連装機銃、艦尾旗竿、6m通船
- Hパーツ×2枚
- Wパーツ
- 軍艦旗(紙製)
- ポリキャップ(最上4個、三隈10個)
- デカール
以上、最上/三隈共通
- Eパーツ
- シェルター甲板+後部航空機甲板、後部最上甲板
- 上部艦橋甲板、信号所甲板、防空指揮所、艦橋機銃座
- 九五式射撃指揮装置+台座、後部マスト、デリック
- 中部機銃座、後部指揮所上部、前部マスト旗竿
以上、最上のみ
- Fパーツ
- シェルター甲板、上部艦橋甲板、信号所甲板
- 後部指揮所上部、後部マスト、デリック
- 羅針艦橋天蓋、中部機銃座、前部マスト旗竿
以上、三隈のみ
キットはA+Bパーツ、G+Hパーツ、 D+Eパーツ(最上)/
D+Fパーツ(三隈)が、それぞれつながって成形されています。
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