MLB観戦記
ヤンキー・スタジアム
ヤンキー・スタジアムは、ニューヨークに行ったら、是非訪ねてほしい場所です。たとえ、メジャー・リーグに興味がない人でも、アメリカにそれなりの興味があり、ニューヨークに来ているのなら、メジャー・リーグを知ることは、アメリカの一部を知ることになるからです。また、現在メジャー30球団の本拠地としては、1912年設立の、ボストン・レッドソックスのフェンウェイ・パーク、1916年設立の、シカゴ・カブスのリグレー・フィールドに次ぎ、3番目に古いのが、このヤンキー・スタジアムです。1923年に建てられたのですが、それまでは、ヤンキースは球団創立以来、一度もリーグ優勝さえしたことのないチームでしたが、すでに、ワールド・チャンピオンに5回も輝いているレッドソックスから、ベーブ・ルースを1920年に迎え、そのルースがホームランを量産する活躍で、ホームランを見に、そして強くなったヤンキースを応援しに、観客数が爆発的に増え、それまで間借りしていた、ニューヨーク・ジャイアンツの本拠地エベッツ・フィールドを出て、「ルースが建てた家」と呼ばれることとなる、ヤンキー・スタジアムを新しく建て、本拠地としたのです。1918年を最期に、ヤンキースにルースが移って以来、ワールド・シリーズをどうしても制することが出来なかったレッドソックスは、2004年にようやく「バンビーノ(ルースがそう呼ばれていたことから)の呪い」から解き放たれ、86年ぶりに6度目のワールド・チャンピオンになりました。その間、ヤンキースはというと、1923年に初めてワールド・チャンピオンになった後、他球団をよせつけない数字である、26度のチャンピオンになっている名門チームなのです。これが、その「26」を記している写真です。ヤンキー・スタジアムと、その横にある駐車場を結ぶ通路のような建物に書いてあります。
ヤンキー・スタジアムへの行き方は、マンハッタンから地下鉄に乗り、セントラル・パークよりもっと北の161St.Yankee Sutadium駅下車です。駅を降りると、あまり治安がよさそうには見えない、ブロンクスの街なのですが、真昼間なら、一人でも大丈夫(なはず!)。前記したように、かなり古い造りとなり、現在主流のボール・パークではなくなっていることなどもあり、来年2008年のシーズン終了を持って、隣りの敷地に建てられる、新しいスタジアムにその役目を譲ることとなります。その周りも、ショッピング・モールなどが出来る計画もあるようで、新しい街に生まれ変わろうとしているので、なおさら、このちょっと危なさそうな雰囲気がなくなるのは、残念な気がするのですが。駅周辺は、レストランなどもありますが、メジャー・グッズを販売している店も多く、メジャー・ファンなら?楽しめます。まあ、それぐらいしか、店らしい店がないので、球場の入場時刻よりも早く行き過ぎても、時間をつぶしようがないのは事実です。ただ、これらの古い愛すべきメジャー・グッズの店が、なくなってしまう可能性もあるので、興味がある方は、今のうちに、ブロンクスを訪れてみてください。これは、ヤンキー・スタジアム本体を外側から撮った写真です。26度目のワールド・チャンピオンが2000年で、その後、地区優勝、リーグ優勝はするものの、ワールド・チャンピオンからは遠ざかっています。この建物が取り壊される前、今年、もしくは、来年のうちには、ルースに捧げる、ワールド・シリーズ制覇を
これは、試合前の、バック・ステージ・ツアーに参加した時の写真です。このツアーの開催日や、時刻などは確認してからの方がいいです。例えば、シーズン・オフや、シーズン中でも試合がない日にやっているのかどうかとか、試合がある日でも、デー・ゲームかナイト・ゲームかで、開催時刻が違うはずです。この日は、ナイト・ゲームの前で、正午前後だったと記憶しています。まだ選手も練習していない時間です。ちなみに、よく日本のガイド本に、このツアーが載っていますが、一人70ドル近い金額で表示されています。実際は、15ドルぐらいなので、現地のオフィスに行って、チケットを購入するべきです。ただ内容をよく見ると、日本語ガイド代、交通費などが込みになっていますので、高くてもいいので、マンハッタンのど真ん中から、みんなと行って、かつ、日本語でのガイドを受けたいのならば、こっちを選んでもいいでしょう。まあ、日本語はわからなくても、雰囲気はしっかり味わえるので、私なら、自分でチケットを購入する方をお勧めします。球場ツアーは、試合中とは雰囲気が全く違うし、ヤンキー・スタジアムは特に、試合中には入れない、レフトスタンド側にある、モニュメント・パークなどにも行けるので、是非参加してみましょう。
これは、ツアーの中で、ヤンキースのダグアウト=ベンチでの写真です。もちろん、いろんな国の観光客と一緒です。まあたぶん、その大半は、日本人とアメリカ人だと思いますが。アメリカ人は、日本よりも国の面積が広いので、他の州の人たちが、、こうやってニューヨークに、そして、ヤンキー・スタジアムにくることは、そんなにないはずです。ちょうど松葉杖の方が写っていますが、身障者でもエレベーターや車椅子などを使って案内してくれるので安心です。アメリカはこれが当たり前なので。一つびっくりしたのが、ベンチ内のクーラーです。冷風がガンガン吹いてて、選手の暑い体を冷やしてくれるシステムなのです。それから何より、ベンチに座ってみると、松井が座ってるんだなあ、ルースも座ったんだなあ、と勝手に想いを巡らすと、楽しいものです。好きなひとは、カーテン・コールに応えて、手を振ってみるのもいいでしょう。
ここが、レフト・スタンド側にある、モニュメント・パークです。ヤンキースの永久欠番が飾られ、その番号を身に付けて、プレーした選手や、指揮を振るった監督を讃えています。別にここに、お墓があるわけではありませんが、銅でできたレリーフもあり、墓地っぽくて、なにか崇高な場所のような雰囲気です。あのロジャー・クレメンスも、先発の日、ブルペンで投げ込んで、さあいざ本番という時に、ベーブ・ルースのレリーフを触って、目を閉じ祈ってから、マウンドに向っていったのは有名です。
これは、モニュメント・パークにある、選手・監督のレリーフと一緒にある、「9.11」のレリーフです。この事件があったのは、2001年で、イチローがメジャー・デビューした年。第2次世界大戦の時でさえ、中止することがなかったメジャー・リーグが数日間全試合中止となりました。しかし、そんな時だからこそ、「National Pastime(国民的娯楽)」であるメジャー・リーグが、しずんだアメリカを元気付けようと、再開されました。このレリーフには、ビルにいて亡くなった人とともに、救出しようとして命を落とした、警察官、消防士なども刻まれています。それから後、7回裏には「God Bless America」が歌われるようになりました。イラクへの報復には疑問を感じますが、なにはともあれ、世界が平和で、純粋にスポーツが行われ続けることを願います。
ヤンキースのマークは、「N・Y」です。試合前に、ホーム・プレートとバック・ネットの間に、そのマークがスプレーされていました。アメリカは天然芝の球場がほとんどで、いつもきれいに整備されています。芝が切り整えられた後に、薄くなったマークをきれいにしているところなのでしょう。日本では、ありそうで、ないシーンじゃないでしょうか。