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『100挺のライフル』(100 Rifles)['69] | |||||
監督 トム・グライス
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マカロニならぬトルティーヤ・ウエスタンとも言うべき怪作西部劇だった気がする。メキシコ・インディアンのジャンヌ・ダルクとも言うべきサリータは、ラクエル・ウェルチの役どころではないだろうと思いながら観ていたら、納得の貯水塔場面が現れたからまだしも、同族先住民のヤキ・ジョー・エレラを演じていたバート・レイノルズの主要人物ながらの役どころの冴えなさは、いったい何だったのだろう。 また、元騎兵隊の試験採用警官のライデッカー(ジム・ブラウン)を黒人に設定していたことが目を惹いたが、ロバート・マクラウドの原作からしてそうだったのだろうか。'69年製作という時宜的な微妙さが興味深かった。聞くところによると、白人女性と黒人男性のベッドシーンを映し出した最初の映画でもあるそうだ。ライデッカーとサリータのベッドシーンに『マリア・ブラウンの結婚』['79]を想起したが、かなり負けているように感じたのは、やはり演出力の差なのだろう。 非情なベルドゥーゴ将軍(フェルナンド・ラマス)の率いるメキシコ軍に対する反乱を起こしているメキシコ・インディアンの抗争に巻き込まれる黒人警官のみならず、メキシコ軍への助言者として雇われていながら形無しのドイツ軍人や白人鉄道事業者も入り乱れる興味深い設えが上手く活かされているようには感じられず、何とも締まりのない運びだったように思うが、物珍しさに値打ちがある気がした。最もキャラクターが立っていたのは、敵役のベルドゥーゴ将軍だったように思う。 | |||||
by ヤマ '23.10.15. DVD観賞 | |||||
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