『メル・ブルックス/新サイコ』(High Anxiety)['77]
監督 メル・ブルックス

 高校時分に映画館で観た『ヤング・フランケンシュタイン』['74]が面白くて、大学時分にテレビ視聴した覚えがうっすらとあるのだが、なんだか全然面白くなかった記憶があって、気になっていた作品だ。当時はまだヒッチコック作品は、劇場で観た『ファミリー・プロット』['76]とテレビ視聴した『鳥』['63]くらいしか観てなかったような気がする。

 今となればバルカン超特急['38]レベッカ海外特派員['40]断崖['41]白い恐怖['45]汚名['46]ロープ['48]も、見知らぬ乗客['51]私は告白する['53]ダイヤルMを廻せ!『裏窓』['54]も、泥棒成金『ハリーの災難』['55]知りすぎていた男間違えられた男['56]『めまい』['58]北北西に進路を取れ['59]サイコ['60]も、引き裂かれたカーテン['66]も観ているから、よくもまぁ盛り込んだものだと大いに感心しつつ、愉しむことが出来た。音で殺され耳から血を流していたウェントワース医師(ディック・バン・パッテン)の場面もきっと元ネタがあるのだろうが、思い当たらなかった。

 オープニングの空港でのギャグは些か冴えず、少々嫌な予感が走ったのだが、LGBT看護師ディーゼル(クロリス・リーチマン)が登場した辺りから、すっかり面白くなったような気がする。原題『高所恐怖症』(と字幕にあった)を『新サイコ』としただけあってシャワーシーンは確かによく、しつこく新聞ネタをやってたのはこれ故かのインクに感心した。

 また、リチャード・ハーポ・ソーンダイク博士(メル・ブルックス)がピアノバーで歌う場面でのマイクコードを打ちつける音に思わず感応していたビッキーことビクトリア・プリズベーン(マデリーン・カーン)が可笑しかった。手元にある古いチラシによれば、マダリーン・カーンとなっているが、鞭打ちのような音にのけぞった後の少し照れたような笑顔がなかなか好もしかった。
by ヤマ

'22. 8.11. DVD観賞



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