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『ダーティハリー4』(Sudden Impact)['83] 『ハートブレイク・リッジ 勝利の戦場』(Heartbreak Ridge)['86] | |||||
監督 クリント・イーストウッド | |||||
延々と続く夜景で始まった『ダーティハリー4』の最後は、少し明るい同じ景色だったように思う。どちらかと言えば、夜が明けてきた感じのように見えるものの、この顛末で夜明けとも言い難く、次から次へと起こる犯罪同様に、またもう一つの宵闇が迫っていたのかもしれない。 イーストウッド監督全作品制覇の呼び掛けに応じて観進めているところだが、『センチメンタル・アドベンチャー』['82]の前に観た『ファイヤーフォックス(Firefox)』['82]は、大作感がありながら、なんともまどろっこしかった。昨今のガチャガチャした編集はあまり好きではないが、これほどまどろっこしいと少々倦んでくる感じだった。それからすれば、本作は観やすかったけれども、見せ場のための見せ場に無理やり運んでいく感じが強くて、あまり好むところではなかった。話も話で、何とも陰惨だ。 全作品制覇参加のメンバーから、一人の女性が離脱した原因の1本になった作品だとも聞いたが、確かに分からないでもない。「病院に入ったままの妹が痛ましい…😭 体に痛みが走る怖い映画でした😱💦」とのことだったが、訳のわからないパーキンズ姉弟が最低の人格破綻者で、キャラハン刑事(クリント・イーストウッド)にも弟ミック(ポール・ドレイク)にも見境なく迫って袖にされるレイ・パーキンズ(オードリー・J・ニーナン)の存在が、とりわけ逆撫でしたのだろう。バイト女子大生のジェニファー(ソンドラ・ロック)に妹も連れておいでよと声を掛けていた時の風情と、浜の遊歩道脇で焚火しながら「やっちまいな」とけしかけてた時のギャップが凄かった。化け物というのは、化けるからなんだと改めて思った。もっとも以後の十年間はずっと化け物のままという様子だったが、どっち向きに化けても、女性は見事に化け物だ。だからこそ、スッピンに値打ちがあるのだろう。 次に観た『ハートブレイク・リッジ』は、38度線の記録映像と思しき戦時の動画を序章にして始まった1983年の物語だった。三十年前の朝鮮戦争で名誉勲章を得た英雄ながら己が是を貫く最前線軍人魂が仇となって、退役間近になっても軍曹止まりのトーマス・ハイウェイ(クリント・イーストウッド)が、実戦経験のない若い腑抜け軍人の部下たちを鍛え、人間的にも惹き付けて後進を育成し、遂にはグレナダ侵攻で武勲を上げる話だったのだが、どこからどこまでとっても実に率直なマッチョ礼賛ぶりに失笑が漏れるほどだった。 本作の四年前になる『愛と青春の旅立ち』['82]に欠けていたものは実戦だと言わんばかりの作り手の勇ましさが鼻につくか否かで、好悪の分かれるところだろうと思うが、実戦に対する想像力ゼロで面子と書類に執心するパワハラ連隊長パワーズ少佐(エヴェレット・マッギル)のダメさ加減に異論のある者はいないだろうから、胸がすく結末はエンタメ映画の王道だとも思った。 なんだか妙に可笑しかったのが、ハイウェイが未練を残していた元妻アグネス(マーシャ・メイソン)の言った「何でも歳とともに縮むのね」と、連隊長の「どんな解決方法がいい?」との問いに対するチューズー曹長(アーリン・ディーン・スナイダー)の「殴り合いだ」という台詞だった。 | |||||
by ヤマ '22.12.29. DVD観賞 '23. 1. 2. DVD観賞 | |||||
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