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『ビッグ・アイズ』(Big Eyes) | |||||
監督 ティム・バートン
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思いのほか面白くて、さすがエイミー・アダムスの出てくる作品にはハズレがないと改めて感心した。実際がどうだったかなどということは、とりわけ人物像の場合、何とも言いようがない。それを前提に、本作で造形されていた人物像の何と鮮やかでインパクトのあることか! さすがティム・バートンだと、大いに感心した。絵柄的にも結構、バートン色を強く感じて喜んだのだが、それ以上に僕の最も好む『ビッグ・フィッシュ』に通じるテイストを感じて、嬉しくなった。 そして、マーガレット・キーン(エイミー・アダムス)以上に、ウォルター・キーン(クリストフ・ヴァルツ)の破格に恐れ入った。マーガレットの描くビッグ・アイズに劣らぬウォルターのビッグ・マウスぶりに唖然としたわけだが、何だか『ラヴレース』のリンダとチャックのような関係に思えた。その『ラヴレース』の映画日誌に「本作はほぼ全面的にリンダの目に映った『ディープ・スロート』秘話すなわち自叙伝『Out OF Bondage』ということなのだろう。」と綴ったような視座から描かれていることも共通しているように感じた作品だ。 それにしても、ハワイに母子で再び逃亡しての生活の糧は何だったのだろうか。このあたりの釈然としない点にも『ラヴレース』を想起したような気がしているのだが、いちばんは、やはりウォルターの描き方で、元々のろくでなしのようには描かれていなかった点だろう。クリストフ・ヴァルツが愛嬌をよく表していたように思う。それが次第に本当のろくでなしになって行っていた。マーガレットの目に映った姿そのままなのだろう。 ジャンルは違うけれども、佐村河内守のゴーストライター問題が18年間伏せられていたことを思うと、キーンの場合は10年間足らずだ。されど、何よりもウォルターが発覚後も終生認めていなかったらしいところが圧巻だ。この恐るべき精神構造が、しかし、どこぞの国の首相にも窺えることを本作を観ながら痛感し、いささか恐れ入った。事実は誠に奇なるものだが、佐村河内やウォルターは、“困ったちゃん”で済むとまでは言えないにしても、ある意味まだ罪が軽いように感じる。 推薦テクスト:「映画感想*観ているうちが花なのよやめたらそれまでよ」より https://kutsushitaeiga.wordpress.com/2015/01/25/big-eyes/ | |||||
by ヤマ '15. 3.10. TOHOシネマズ1 | |||||
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