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『やわらかい生活』 | |||||
監督 廣木隆一 | |||||
ヤマのMixi日記 2008年04月24日00:03 勝目梓の力作『夢魔』の映画化作品を観てみたいとかねてより思っているのだが、廣木隆一の監督作品を僕はろくに観たことがない。それというのも、ほとんど高知で上映されていないからなのだが、今回、珍しく廣木作品を観ることができ、その空気感に魅せられた。 それは「“粋さ”のない下町 蒲田」の醸し出す懐かしさに心惹かれ癒される、孤独感と哀しみに彩られた少々ウエットな感じだったのだが、帰宅後にチラシを見ると表の面に「それとな~く幸せ」という惹句や「可笑しくて、愛しくて、じんわり心にしみる」「温かな幸福感に包まれる物語」といった言葉が並んでいて、少々驚いた。 たぶん、転がり込んできた従兄の祥一(豊川悦司)に世話してもらってるときの優子(寺島しのぶ)の姿から出てきた言葉なんだろうな。同じ映画を観ても、随分と感じるものが違っているのだな~と、恐らくは、女性担当者が拵えたであろう宣材を眺めつつ、とても興味深く思えた。 僕は、幸福感とはむしろ反対の不条理とか生きにくさのほうを感じていたからな~(たは)。 コメント 2008年04月24日 01:01 (K.K.さん) 私も幸福感には包まれなかったです。 シャンプーしてるシーンはいいなぁと思ったけど。 2008年04月24日 11:55 (ムーマさん) 私も、帰宅してからチラシを読んで、呆気に取られたほうです。(あのチラシの印象から、そういう「あったかい」作品と思って観にいった友人は、ちょっと気分を害して?ました。) 2008年04月24日 20:42 (お茶屋さん) 私もチラシに騙されたと思いました。 詐欺やわ。 寺島しのぶと豊川悦司だったから・・・と自分をなぐさめて帰りました。 2008年04月24日 22:52 ヤマ(管理人) 男性であれ、女性であれ、性別で一律に決まるものではないから、異なる意見もあって当然なのですが、こうも揃いも揃ってとなると、あれは、男性担当者が、女性ならこう受け止めると勝手に思い込んで拵えたものなのかもしれませんね。 僕は、観る前にはろくすっぽチラシを読まないんで、チラシに騙されるということはないんだけど、後で見ての驚きというのは、けっこうありますね~。 2008年04月26日 06:59 (TAOさん) 映画は見てませんが、原作の読後感でいうと、 生きにくさのなかでみつけたひとときのひだまり、でしょうか。 だから惹句の引っ張り方もわからないではありませんね(笑)。 2008年04月26日 09:49 ヤマ(管理人) 原作は、女性作家でしたよね。 自伝的側面もあったんでしょうか? 総合職のキャリアを止め、 優子のようなフリーライターっぽいことをやってたとことか、 その生活を支えていたのが遺産保険金らしいこととか、 精神病院への入退院を繰り返していたこととかは。 従兄との関係の部分は、果たして?って思わなくもありませんが、 そう言えば、寺島しのぶ&豊川悦司コンビということでは、 『愛の流刑地』に先駆けていたわけですね~。 関係性を捉える視線が対照的な気がしてますが、 そこらあたりは、原作者の絲山秋子と渡辺淳一の対照とも思えます。 どちらの原作も読んではないのですが(たは)。 2008年04月26日 12:28 (ムーマさん) 観た帰りに図書館に寄ったら、原作小説がたまたまあったので読んでみました。 すると・・・ 原作と映画は相当違ってると、私は思いました。登場人物の設定もストーリーも。 あの小説からあの映画?っていうくらい、とにかく雰囲気が違います。 なるほど、原作と映画は全く別物ですね~(毎回のことながらシミジミ)。 どちらがすきかと訊かれても、今回は困る感じですが(笑)。 ただ、あの原作なら、生きることに苦労しているヒトたちの「ちょっとひと休み」風景かも・・・と、私も思いました。ドライというならドライな感覚の小説なんですが、TAOさんの仰るとおり、読後感としてはそんな感じだったので。 2008年05月01日 00:17 ヤマ(管理人) で、原作では、どーなってたんです? <ムーマさん。 僕が上に書いたことは、どこか一致していたものがありました? これについては、原作を読む予定ないのですが(たは)。 けど、そげに面白いんかな~??(笑) 2008年05月01日 07:39 (TAOさん) 絲山秋子はTOTO機器だったかの総合職を辞めて、作家になったんです。 躁鬱病はほんとにひどいらしいです。 作品は大きく分けて芥川賞をとった『沖を待つ』をはじめ男女の友情物と、 病気物の2系列があって、この作品は後者寄りですが、 不思議な包容力のある女性なんですよ。 かなり壊れているんだけど母性が強く、ピュアでグレートなかんじ。 私の印象ではジャニス・ジョップリンに近いです。 お姫様願望のない中村うさぎといってもいいかもしれない。 とにかく渡辺先生とは対照的でしょ(笑)。 2008年05月01日 22:50 ヤマ(管理人) ということは、けっこう自分に材を得ているわけですね。 母性が強いという印象は、映画作品からは得られませんでしたが、 ある種のサッパリ感があって、男っぽい個性が窺える点で 中村うさぎに通じる部分がありそうな様子ではありました。 全く全く(笑)、渡辺先生とは対照的ですね~(あは)。 参照テクスト:原作者の他の短編小説集『ニート』を読んで 参照テクスト:勝目梓 著 『楽土 パラダイス』を読んで | |||||
編集採録 by ヤマ '08. 4.23. 美術館ホール | |||||
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