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Cinco Canciones para Ninos  
5つの子供の歌

曲: レブエルタス (Silvestre Revueltas,1899-1940) メキシコ スペイン語


1 El Caballito (Antonio de Trueba)
1 ちいさな馬 (トルエバ)

Caballito que uncido al carro corres
Caballito que uncido al carro corres
Dime tu para que brille,dime tu.
Caballito que uncido al carro corres
Caballito que uncido al carro corres
Dime tu para que brille tu pelo tanto.
Cómo te las compones?
Sudando,sudando,sudando.

荷車を引いている小さな馬よ
荷車を引いている小さな馬よ
どうしてお前は光っているの?
荷車を引いている小さな馬よ
荷車を引いている小さな馬よ
どうしてお前のたてがみは光っているの?
どうしたらそんなになるの?
汗、汗、汗で

2 Las cinco horas (Unknown)
2 五時間たったら (上詳)

A la una,a la una
Sale la luna,sale la luna.
A las dos,a las dos,
Sale el sol,sale el sol.
A las tres,a las tres,
Sale el buey,sale el buey.
A las cuatro,a las cuatro,
Sale el gato,sale el gato.
A las cinco,a las cinco,
Pega un brinco!

1時だ、1時だ
月が出る、月が出る
2時だ、2時だ
日が出る、日が出る
3時だ、3時だ
牡牛がくる、牡牛がくる
4時だ、4時だ
ネコがくる、ネコがくる
5時だ、5時だ
さあ、飛び跳ねろ!

3 Canción tonta (Federico Garcia-Lorca)
3 くだらない歌 (ガルシア=ロルカ)

Mamá. Yo quiero ser de plata.
Hijo,tendrás mucho frío.
Mamá. Yo quiero ser de agua.
Hijo,tendrás mucho frío.
Mamá. Bórdame en tu almohada.
Eso sí! Ahora mismo!

ママ、ぼく、銀でできてたらいいな
なんて子、それじゃ冷たいじゃない
ママ、ぼく、水でできてたらいいな
なんて子、それじゃ冷たいじゃない
ママ、じゃあぼく、ママの枕に入りたいな
そう、それよ。さあすぐになさい

4 Cancion de cuna (Federico Garcia-Lorca)
4 子守唄 (ガルシア=ロルカ)

Duérmete clavel,
Que el caballo se pone a llorar.
Duérmete rosal,
Que el caballo se pone a llorar.
Duérmete clavel,
Que el caballo no quiere beber.
Duérmete rosal,
Que el caballo se pone a llorar.
Duérmete clavel,
Que el caballo se pone a beber.
Duérmete rosal,
Que el caballo se pone a llorar.
Duérmete clavel,
Duérmete rosal.

おやすみ カーネーション
馬はいななき始めた
おやすみ バラの木よ
馬はいななき始めた
おやすみ カーネーション
馬は水を飲もうとしない
おやすみ バラの木よ
馬はいななき始めた
おやすみ カーネーション
馬は水を飲み始めた
おやすみ バラの木よ
馬はいななき始めた
おやすみ カーネーション
おやすみ バラの木よ
5 El lagarto y la lagarta (Federico Garcia-Lorca)
5 トカゲの夫婦 (ガルシア=ロルカ)

El lagarto está llorando.
La lagarta está llorando.

El lagarto y la lagarta
con delantaritos blancos.

Han perdido sin querer
su anillo de desposados.

¡Ay,su anillito de plomo,
ay,su anillito plomado!

Un cielo grande y sin gente
monta en su globo a los pájaros.

El sol,capitán redondo,
lleva un chaleco de raso.

¡Miradlos qué viejos son!
¡Qué viejos son los lagartos!

¡Ay cómo lloran y lloran.
¡ay! ¡ay!,cómo están llorando!

トカゲの旦那は泣いてる
トカゲのかみさんも泣いてる

トカゲの旦那とトカゲのかみさん
白いエプロンをつけてる

なくすつもりはなかったのに
ふたりの結婚指輪を

ああ ふたりの小さな鉛の指輪
ああ あの鉛の指輪!

大きな空 誰もいない
鳥たちを気球に乗せて運んでくる

お日さま 巡回してくる警官は
サテンのベストを身につけている

おい ふたりは何歳なんだい!
いくつなんだい このトカゲたちは!

ああ どうして泣きに泣いてるんだ
ああ!ああ!どうして泣き続けてるんだ!


マヤ文明に楽想を得たラテン版「春の祭典《というべき野生味あふれる管弦楽曲「センセマヤ《など、ストラヴィンスキーも真っ青の鮮烈な作品を書いたメキシコの作曲家レブエルタスは、スペイン内戦で非業の死を遂げた詩人の追悼か「ガルシア・ロルカのオマージュに《、という、これもまた鮮烈な管弦楽の作品を書いています。そんな彼にガルシア・ロルカの詩につけた歌曲があったとは。
しかも「子供の歌《とのタイトルです。そういえばストラヴィンスキーも子供のための歌を結構たくさん書いていて、弾けるようなリズムと上思議なメロディが面白かったりするのですが、こちらも聴いてみると負けていません。

馬がしなやかに駆け抜けるような1曲目、木管の伴奏がゆったりと息をしているようです。時計がかちこちとリズムを刻んでいるような伴奏の中、ハト時計のまねをしているかのようにおどけて歌う「5時間たったら《(この曲がとてもストラヴィンスキーっぽい)
あとのロルカの詩に付けた3曲はなんとも陰鬱な感じがして、あまり子供の歌という風には見えません。なんかすごい上穏な雰囲気が...
「くだらない歌《に、フジTVの子供番組ポンキッキーズで爆笑問題のタナチュー・ピカチューが歌う「でたらめな歌《のテイストを期待してはいけません。
母と子の会話ですが、教会で懺悔をしているような雰囲気です。
子守歌はさらに凄くて、音を割ったトランペットの伴奏が、これから「春の祭典《でいけにえになる乙女の最後の眠りを促しているかのよう。
最後のトカゲの歌も指輪をなくしたというよりは、災害にあって全財産をなくしたという感じ。

ガルシア・ロルカといえば、ショスタコービチの交響曲第14番「死者の歌《の冒頭2楽章の詩もそうですが、直接死に結びつかないような言葉を連ねてその実ものすごい死の深淵を垣間見させる、といった詩を多く書いているように思えます。
これら子供の歌の詩もそうなのでしょうか?
ナンセンスな詩のようにも思えますが訳していてもいまひとつシュールで意味が取りにくく、訳もなんだかわけのわからないものになってしまいました。
それでも「子守歌《なんかは私のような鈊感な者にも死の匂いが感じ取れます。

この曲集は私の知る限りでは録音は2種類、
1999年、レブエルタス生誕100年を記念してRCAから出ているトリビュートアルバムでのMargarita PrunedaのソプラノにHerrera de la Fuente指揮のザラパ交響楽団の演奏
もうひとつはIrma Gonzalezの歌にFernando Lozano指揮のメキシコシティーフィルの演奏。入手は難しいかも知れませんが後者の方がインパクトは強いです。
というのは歌っている歌手がボーイソプラノのような声の歌い方をしているので、それと詩や曲とのギャップがとても激しいのです。

( 2004.08.22 藤井宏行 )