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三章 「一日は...」より  


詩: 立原道造 (Tachihara Michizou,1914-1939) 日本

曲: 外山雄三 (Toyama Yuuzou,1931-) 日本 日本語


T


揺られながら あかりが消えて行くと
鴎のやうに眼をさます
朝 真珠色の空気から
よい詩が生れる


U


貧乏な天使が小鳥に変装する
枝に来て それはうたふ
わざとたのしい唄を
すると庭がだまされて小さな薔薇の花をつける


V


しづかに靄がおりたといひ
眼を見あつてゐる――
花がにほつてゐるやうだ
時計がうたつてゐるやうだ

きつと誰かが帰つて来る
誰かが旅から帰つて来る



立原道造の詩集「田舎歌」より、そのサブセクション「一日は...」より、1、3、6番目の詩です。このセクションが朝に始まり夜に至る9篇の詩ですから、ちょうど朝・昼・夕方の3つの詩が選び出され、曲がついています。
非常に珍しい作品ですが、平本弘子さんが「四季の命を歌う」というCDアルバムの中で、他の珍しく貴重な作品と一緒に録音してくれています。

( 2016.06.25 藤井宏行 )