三章 「一日は...」より |
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鴎のやうに眼をさます 朝 真珠色の空気から よい詩が生れる |
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枝に来て それはうたふ わざとたのしい唄を すると庭がだまされて小さな薔薇の花をつける |
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眼を見あつてゐる―― 花がにほつてゐるやうだ 時計がうたつてゐるやうだ きつと誰かが帰つて来る 誰かが旅から帰つて来る |
立原道造の詩集「田舎歌」より、そのサブセクション「一日は...」より、1、3、6番目の詩です。このセクションが朝に始まり夜に至る9篇の詩ですから、ちょうど朝・昼・夕方の3つの詩が選び出され、曲がついています。
非常に珍しい作品ですが、平本弘子さんが「四季の命を歌う」というCDアルバムの中で、他の珍しく貴重な作品と一緒に録音してくれています。
( 2016.06.25 藤井宏行 )